資本主義とは、経済体制の一種で、現代において日本や欧米諸国を始めとして多くの国々で採用されている経済体制である。本来は個人や企業の預貯金などであるところの資本が、あたかも自律して運動するかのように振舞う事から、資本主義と呼ばれている。
すでに過去のものと化し、その大失敗から何かとネタにされる事の多い共産主義(→赤いニコニコ動画)に比べ、今現在の日本の社会体制であり、普段意識する事もない当たり前の存在であるところの資本主義はどうにもネタにしづらいらしく、ニコニコ動画においては影が薄いようである。
共産主義が「赤」をイメージカラーとして定着させているのに対し、特にイメージカラーは定まっていない。一説には灰色(その行く末から)、金色(ブルジョワ色)、青(対称色、及び支配階級の血筋をブルーブラッドという)、白(自由の色、アメリカ星条旗等の白い星やフランスブルボン朝からか)等とされる。
概要
資本主義とは、資本の自立的な運動によって特徴付けられる経済体制の事で、産業革命期に至り、前時代とは異なる新たな様相を示しつつあった近代ヨーロッパにおける経済・社会の研究と理解の中から用いられるようになった用語である。
かつて農家や職人や個人商店などの自営業が社会の主流であった時代、資本(農地・農耕器具など)の所有者とそれを活用し富を生み出す労働者は一致していたものであった。ところが、近代的な銀行制度や株式市場が整備されてくると、資産家が提供した資本(工場・機械)に賃金労働者が雇われ労働を行うという、資本と労働の分離が広く社会にみられるようになり、そして、労働から分離された資本が、それ自身がまるで自律した意志を持つかのように振る舞い、社会に大きな影響を及ぼすようになったのである。そのような資本による社会支配が行われている社会、それを資本主義社会と呼ぶのである。
資本主義は近代ヨーロッパで生じ発展した経済社会体制であったが、その資本主義は貧困・公害などの多くの社会問題を生み出し、それを批判する立場から社会主義・共産主義の思想が起こった。20世紀にはロシア革命で成立したソ連に続いて多くの国が共産主義を採用し資本主義を取る国々と世界を二分して対峙するようになり、また、一方の資本主義側でも資本主義に適度な修正を加えてよりよい社会を実現しようとしていく社会民主主義が広がりをみせるようになった。そして、20世紀末には、ソ連を始めとした東側諸国の崩壊により、資本主義の勝利が高らかに叫ばれるようになったが、その後、純粋な資本主義を志向する新自由主義と呼ばれる一派がアメリカなどにおけるバブルを牽引し、80年振りとも言われる世界的な恐慌を引き起こした事もあり、未だ様々な議論が続けられている状況である。
資本主義社会において社会通念は資本によって定められる
自営業ないし株式企業がある月の半ばまでに、利益の上がる仕事を十分にこなす事ができた場合を考えよう。
この時、資本と労働が一致している自営業ならば「今月は十分稼いだから、月末は休みにして旅行にでも出かけよう」といった融通が利くのに対し、資本と労働が分離している株式企業に勤めるサラリーマンにとってそのような事は困難である。なぜならば、資本(株主)は「今月は頑張ったからご褒美に社員旅行を」とか、「十分稼いだから後は業績の悪い同業他社に回してあげよう」といった配慮に一切の興味はなく、資本は飽くなき利潤の追求を求める存在であるがゆえに、労働者に「もっと働きもっと利潤(配当)をよこせ」と要求するのである。
さらに、昨今の日本においては、資本の出し手の多くは一般労働者であり、資本そのものは一般労働者の老後資金である。だとすれば、かつての労働者であった資本の出し手である高齢者は「今月は頑張ったからご褒美に」といった論理にある程度の理解を示してもよさそうなものであるが、そのような声が実際の労働者に届く事はない。というのも、高齢者が老後資金を年金や貯蓄といった形で機関投資家や銀行に預けてそれが企業に投資されてしまった時点で、高齢者の老後資金は元労働者の資金であるという性質を失い資本という名の妖怪へと変化してしまい、「もっと働きもっと利潤(配当)をよこせ」とか、「利潤(配当)が上げられないなら、お前らクビにするぞ」と脅しつける恐ろしい存在として現役労働者の前にその姿を現すのである。
以上のように、資本と労働の分離が資本そのものを一人歩きさせ、さらにその資本によって社会が支配されてしまう、これが名称の由来ともなった資本主義社会の特徴なのである。
特徴
今日の欧米諸国や日本などで営まれているのは資本主義経済である。資本主義経済の大きな特徴は、
である。
資本主義経済の成立過程で、生産手段を所有する資本家と、生産手段を持たず労働(労働サービス)を資本家に売って賃金を得る賃金労働者の2つの階級が生まれた。資本家は、企業を経営し、企業は、財・サービスを生産・販売し利潤を追求する。しかし、資本家と労働者との貧富の差の拡大は、富の分配の問題として社会的な関心を集めた。
自由競争の社会で人々は、利潤の追求を目的として経済活動を行う。経済活動によって得たものは、その人々の財産となる。この考え方を、資本主義経済=経済的自由主義という。
生産されたものは、市場機構を通じて、必要とされるところへ配分される。これによって、財やサービスを効率よく獲得したり利用することが可能になり、飛躍的な経済的繁栄が生み出された。
歴史的な流れ
原理的な段階
人類の経済活動は、原始的な採集経済に始まり、やがて遊牧や農耕経済を経て、農工商業を発達させた。。現在の私達が生活している資本主義は、封建社会の崩壊過程で準備され、18世紀後半のイギリスの産業革命を通じて初めて確立した。
16世紀以後の絶対主義国家では、国内産業を保護し、輸出の振興に努める重商主義政策がとられた。イギリスでは、15世紀末から、地主層による土地の囲い込み運動(エンクロージャー)が行われ、農民の多くは土地を追われて賃金労働者となり、一部はマニュファクチュア(工場制手工業)を経営する資本家となった。資本主義経済の成立には、この余剰労働力と資本の蓄積が必要であった。
産業革命後、マニュファクチュアは機械制工業(工場制機械工業)に代わり、生産過程を直接担う産業資本が成立した。資本主義書記の経済的自由主義(自由放任主義 レッセフェール)は、資本主義経済の原理となった。産業資本は、革新的な技術の発明・発見によって大量生産を実現し、急速に資本蓄積を進めて、19世紀半ばには生産力が飛躍的に発展した。
しかし、19世紀末には競争に勝った少数の大企業が巨大化し、産業を支配するようになった。資本主義は常に利潤の拡大を求める経済体制であるため、国外にも新しい市場を求め、植民地の拡大をはかった。また、国内では貧富の差や労働争議、あるいは「労働者と資本家の対立」が社会問題となった。このような資本主義の歪みは、マルクスらによって批判され、19世紀末以降の発展段階は、後に独占資本主義とも呼ばれた。
株式会社の設立
おそらく、高校の世界史で学ぶ1602年にオランダに設立された東インド会社が大々的に株式というシステムを利用して、栄華を誇ったという点で有名であると思われる。当時の海外との貿易は、船を利用した商品の輸送によって主に利益を出していた。船の建造からはじまり、当時の人類が未だ経験したことのないような未知の航路を行く過酷な旅を経て、ようやく利益が得られる冒険であった。この船による貿易を行うための資金調達に株式と言う、小口の資金を集めて、株主にその貿易で得た利益を還元する仕組みが活用された。当然、船による旅が失敗すれば、利益はないというリスクがあるのである。
現在では、「平均株価」という数値が、経済動向を表す指標として使われるが、平均株価が、そのままその経済的な人々の「豊かさ」を表しているのかは、少し疑問の余地がある。
資本主義の変質
1920年代のアメリカは、未曾有の好景気を記録したが、1929年の株式暴落(ブラックサーズデー)で始まった大恐慌(世界恐慌)と、これに続く30年代の大不況によって、失業者は増大し、生産は停滞した。それまでの理想とされた安価な政府、自由放任主義では、この不況を解決する事が出来なかった。そこでルーズベルト大統領はニューディール政策を実施し、積極的な政府の介入によって有効需要を作り出し、不況の克服を試みた。
ケインズが説いた、政府の有効需要創出で経済の安定をはかる積極的な政策(大きな政府)が各国に広がったのは、第二次世界大戦後の事である。こうした現代の資本主義は、政府による介入を伴った自由主義経済(修正資本主義経済)であり、公的経済と私的経済とが並存するため、混合経済とも呼ばれている。
現代資本主義の特徴
石油危機とスタグフレーションが深刻化した1970年代後半に入ると、ケインズ的な経済政策に対する疑問も生ずるようになってきた。手厚い福祉のお陰で、働かなくても一定の生活水準が維持できるようになった反面、それらを支えるために、税負担が上昇して、労働、貯蓄・投資意欲を阻害するとの弊害が強調された。こうした考え方は、理論的には、不安定なインフレを回避するためマネーサプライを安定的に供給することを重視するマネタリズムや、労働供給や貯蓄・資本蓄積意欲が経済成長の源泉であるという立場から供給面での経済活力を引き出す政策を重視するサプライサイド経済学として、経済政策にも大きな影響を与えた。
1970年代の後半から、政府の守備範囲を限定して市場の本来のメカニズムを重視する自由化が支配的な動きとなった。イギリスでのサッチャー政権、アメリカでのローガン政権、日本での中曽根政権の民間活力を重視する政策は、こうした価値判断にたっていた。1990年代に入ると、市場メカニズムへの過度な期待は小さくなり、政府と市場との適切な役割分担が重要な課題になっている。
その背景には、社会的弱者にも配慮して、市場に参加する機会をより平等にすることが、より公平であり、更に社会全体の活性化にもつながるという考え方がある。
関連動画
関連項目
- 経済学
- 政治
- 大きな政府(福祉国家)
- 小さな政府 (夜警国家・自由主義国家)
- 無政府主義(アナーキズム)
- 新自由主義
- グローバル化(グローバリズム)
- 社会民主主義
- 民主主義
- 社会主義
- 共産主義
- カール・マルクス
- 資本主義の犬
- 加速主義
- ステークホルダー資本主義
- 株主資本主義(株主至上主義)
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