賢いのはクラブとは、クラブが賢いということである。
概要
賢いのはクラブとは、要するに『ひみつのアイプリ』のダークカルテットスターのキャラクターソング、「ニュースタージョーカー」のBメロの歌詞である。
簡単にこの箇所を説明する。まず『ひみつのアイプリ』の敵キャラクターであるダークカルテットスターは、各人のベースとなった本来のカルテットスターと同様、4人それぞれがトランプのスートモチーフである。このため、このA〜Bメロで各キャラクターが自身のスートにちなんだ歌詞を歌うわけだ。
それが以下である。
| キャラクター | スート | 内容 |
|---|---|---|
| ダークサクラ | ハート |
|
| ダークタマキ | スペード |
|
| ダークアイリ | ダイヤ |
|
| ダークリンリン | クラブ |
|
ダークサクラ、ダークタマキ、ダークアイリは自分のスートの見た目・形の持つ性質などにちなんだ歌詞を歌ってきた。だが、それにも関わらず、ダークリンリンのクラブだけ急に「賢いのはクラブ」とのみ言われて済まされてしまった。
おまけに、このダークリンリン、およびオリジナルの四之宮リンリンというのは、知性派のデータキャラである。つまり、キャラクター自体が賢いポジションにあたる。
結果として、以後この賢いのはクラブという歌詞はネタにされることとなった。例えばリンリンが頭脳労働やひらめきを示す場面で、賢いのはクラブとはやし立てることが恒例となったのである
クラブは賢いのか?
しかし、あまりにもネタにされたあまり、ある反論が散見されるようになった。トランプのスートでクラブは知識の象徴なので、この歌詞は合っているという主張である。確かに、日本語でネットで検索すると、クラブは知性のスートと紹介されることが多い[1]。また、作ってる側も全く描写しなかったので忘れ去られていることだが、四之宮リンリンには占いが得意という設定もあったことも若干関連付けられる。
しかし、結論から言うとこれは、ごく一部で述べられている極小的な解釈が2010年代以降市民権を得ただけの可能性が高い。それには2段階あり、1つ目はかなり後述になるが、超ローカルな解釈が日本の一部界隈でほそぼそと語り継がれてきたというもの。2つ目は、その解釈がバズった結果ネットでひたすらコピペされたことで定着してしまったというものである。
なお、この記事であるが、初版作成者に対して2回も手厚い情報提供が行われた結果、合計3回大規模な調査が行われたが故にとてつもなく長い。笑って許せる範疇じゃないなと思った場合は以下の結論だけ読んですっ飛ばしてほしい。
- (おそらく日本のトランプ占いでは20世紀までは全く言われていなかった?)
- 19世紀に英語圏でトランプに四季を見出す解釈が流行る
- 19世紀末に「夏の担当者なので賢いのはクラブ」などと主張するオカルト結社が誕生する
- 3に感銘を受けたフリーメイソンの人物が、3を元ネタにした「賢いのはクラブ」を表す具体的な物語を作る
- なぜか4と全く似たような内容の「賢いのはクラブ」という記述などを含めたトランプの伝承を、遅くとも1922年以降マジシャンのJesse Albert Muellerが「Society of American Magicians」などで披露した
- 1958年に来日したJesse Albert Muellerから、石田天海、気賀康夫といった数人のマジシャンが直接「賢いのはクラブ」と伝えられた
- 気賀康夫らがおそらくマジックを披露する際「賢いのはクラブ」を持ちネタにし、1973年には活字化もされた
- 泡坂妻夫もおそらく7をもとに、「賢いのはクラブ」と述べる
- おそらくこの気賀康夫らの持ちネタが、半世紀以上細々とマジシャン界隈に伝わる
- 21世紀初頭にMr.マリックがテレビ出演時に「賢いのはクラブ」を雑学として語る
- 2010年頃にMr.マリックをソースにして「賢いのはクラブ」と言う言及が徐々に浸透する
- 2012年〜2013年にかけて「賢いのはクラブ」がTwitter(当時)で複数回バズる
- 11~12がひたすらコピペされ、「賢いのはクラブ」という雑学が日本で一般化する
- 賢 い の は ク ラ ブ ♣
トランプのスートってそもそもなんだよ
本題に入るために、まず大前提について指摘しておきたい。そもそもいま日本で見かけるトランプのスートはあくまでもフランス式という点である。
簡単にトランプの歴史を追うと、イスラーム圏からヨーロッパに入ったトランプは、ドイツで形を変え、フランスでさらに簡略化された結果が今の日本のトランプである。よって、こうしてトランプが複数文化圏を渡り歩いた結果、トランプのスートというのは以下のバリエーションがあるのである。
| 地域 | クラブ | ハート | スペード | ダイヤ |
|---|---|---|---|---|
| イスラーム圏 | ポロ用スティック | 杯 | 剣 | 貨幣 |
| イタリア | こん棒 | 杯 | 剣 | 貨幣 |
| スペイン | こん棒 | 杯 | 剣 | 貨幣 |
| ポルトガル | こん棒 | 杯 | 剣 | 貨幣 |
| スイス | どんぐり | 盾 | バラ | 鈴 |
| ドイツ | どんぐり | ハート | 葉 | 鈴 |
| フランス | クラブ | ハート | スペード | ダイヤ |
タロットからの影響はないのかよ
上の表を見た結果、とある前提知識がある人には本論に対してある推測が働く。ラテンヨーロッパ圏のトランプとは、タロットの小アルカナとも言える。つまり、タロットの小アルカナにそういう解釈があるのではないかという疑問が出るのである。
確かに、黄金の夜明け団の影響などで、「小アルカナとフランス式トランプのスートは対応し得る」とみなす見解が、19世紀以降成立している。だが、近世以来のマルセイユ版にも、黄金の夜明け団などの影響が強い近代にできたもう一つの主流・ウェイト版にも、そんな意味はない。
まず、マルセイユ版の小アルカナは四大元素の意味付けを除くと数秘術的な傾向が強く、スート単位で何らかの象徴を示すという解釈はあり得ない。
ウェイト版も、ワンド(クラブ)の立ち位置は意思や行動であって、知性担当はソード(スペード)なのである。
つまり、2通りある伝統的なタロット占いにクラブ=知識という見方がない。あっても20世紀以降の新しい教えとみなせられる。よって、この仮説は簡単に放棄できるのである。
じゃあ、トランプ占いでどのくらいまでさかのぼれるんだよ
タロットの可能性が消えたことで、クラブ=知識という解釈が実在するかどうかを、トランプの側でしかできなくなった。では、トランプを使った同様の存在、トランプ占いはどうだという話になる。
ところが、そもそもトランプ占いは組織的体系化がほとんど行われておらず、19世紀以前はほぼ個々人の経験的な感覚でやっていた。つまり、近世以前にさかのぼる統一的な解釈などハナからないのである
だが、やがてイギリスなどのアングロサクソン系諸国では、ハート=感情、ダイヤ=富、クラブ=挑戦、スペード=困難というざっくりした区分けが、20世紀になるころからできてきた。20世紀初頭のシリル・アーサー・ピアソンが偽名「P.R.S. Foli」で書いた本などに、確かにこれっぽい記述も出てくる。
ただし、もう一度前の段落に戻ってほしい。クラブは知識や知性と言ったポジションでは全くない。近現代にふんわりできたトランプ占いのやや統一的な解釈に、クラブ=知識という見方がないのである。
長々と書いてきたが、結局結論としては20世紀前半にクラブ=知識という解釈がトランプ占いに限っては全くなかった。ここまで絞り込み出来ると20世紀後半が初出の可能性が高い。
ここから先は、戦後に出た50年代の久保清にはじまり、木星王とか黄泉とか70年代から増え、近年の鏡リュウジとかにいたるその辺の有象無象の本、少女漫画誌の記事、「ムー」辺りのオカルト誌をひたすら読むことになる。とりあえず、現時点でどの程度分かっているのかは後学のために記しておきたい。
【※飛ばしていいよ】
長い上にまとまりがない調査記録
なお、長くなるので近い時期に同著者がほぼ同内容を語っているものは省く。
| 西暦 | 著者 | タイトル | 内容 |
|---|---|---|---|
| 1950年 | 住友由紀 | 最新とらんぷ | |
| 1951 | 名取俊一郎 | ゲームの遊び方 | |
| 1951 | 井出波男 | トランプの遊び方 | |
| 1952 | 久我一郎 | 百人一首の取り方:早取秘訣 | |
| 1954 | 高畠猛 | トランプと花札の遊び方 |
|
| 1955 | 田口二州 | 愛の占術 |
|
| 1955 | 丸山柳太郎 | 誰でも出来る余興と演芸 | |
| 1956 | 石川雅章 | 奇術と手品の遊び方 | |
| 1956 | 柳沢よしたね | トランプ遊び全書 | |
| 1956 | 田口二州 | 運をつかめ | |
| 1958 | 神木大軒 | 占い | |
| 1958 | 片桐童二 | トランプと花札 |
|
| 1959 | 久保清 | トランプ占い | |
| 1960 | 藤瀬雅夫 | トランプの一人遊び | |
| 1960 | 上川武二 | トランプと花札 | |
| 1960 | 三世社 | 「読切俱楽部」1960年1月号 | |
| 1960 | 社会人社 | 「社会人」129号 | |
| 1961 | 栗林克伊、高杉竜二 | トランプ占いと遊び方 | |
| 1962 | 九鬼成明 | トランプ占い | |
| 1962 | 澄川町美 | 新しいカード・ゲーム | |
| 1963 | 浅岡良助 | トランプ占い | |
| 1963 | 田代洋二 | トランプ占いを本で覚えたい人に | |
| 1963 | 高島翁山 編 | 易占いの入門 | |
| 1964 | 新生活研究会 編 | これだけは知らねばならない5巻「陶酔させる遊び術」 |
|
| 1969 | 主婦の友社 | 主婦の友実用百科事典別巻 | |
| 1975 | 浜田勝之 | トランプ手品と占い | |
| 1989 | 久保清 | トランプ占い改定版 | |
| 1991 | 美堀真利 | トランプ恋占い |
格納したリストを要約すると、日本のトランプ占いでは「クラブ=幸運、繁栄」ということに1950年代~60年代くらいまではなっていたようだ。「繁栄の具体例の一種として学歴なども言及されることがたまにある」のだが、あくまでも「クラブは運や富の象徴」という扱いを2~30年くらいはされていたらしい[2]。
これらの記述の元ネタが何を起源としているかはわからないし、後述の「クラブ=知」をそのものずばり初手に持ってくる解釈とは、微妙に連続性も見いだせない。
ここから先は正直調査に時間がかかるし、後述の通り別の切り口で「賢いのはクラブ」の元ネタが明らかになるので、「占い」サイドについては一旦留保したい。
遅くともいつから言われていたのか?
ここまでは過去から現在までを辿ったが、逆に現在から過去に遡る形で確実にどこまで遡れるかを見たい。手法としては、ネット検索のコマンドで、2025年時点でいつより前には確実にあったかを見ていく形になる(もうほぼほぼどのブログサービスも壊滅してるけど)。
まず、Google検索で範囲指定すると、2015年以前と指定するとタトゥーに関する解説で個人サイトが一つ、2016年以前とすると占い学校の解説でもう一つ加わるなど、せいぜい2つか3つくらいである。つまり、現在時点でののGoogle検索とは打って変わって検出できなくなる。よって、2010年代まではGoogle検索に残っていないような、影も形もない言説だったと思われる。
一方で、Xの場合は自動botのウソ雑学コピペ系が2013年頃から大量にクラブは知識の象徴と吐き出している。この情報の出どころは、元ポストかどうかは定かではないが2012年1月15日や2013年1月5日に呟かれた次の投稿である[3]。
便乗ですが、トランプに関するトリビアを一つ。スペードは死、ハートは愛、クラブは知識、ダイヤは富を表しているため、JQKはスペードからは顔を逸らし、ハートとダイヤには顔を向けている。知識に関心がないと思われる若者のJはクローバーからも顔を逸らしている。 #有益なことを呟こう
先ほどのGoogle検索の例と合わせると、ネットにおけるエポックメイキングがこのツイート(当時)のバズによるものと思われる。つまり、2012~2013年に複数回呟かれたこれが一定回数バズり、自動botなどでひたすらコピペされた結果、クラブ=知識が定着した可能性が高い[4]
では、さらにこの情報の出どころはどこまで遡れるのか。ここで、Yahoo!知恵袋に登場してもらう。Yahoo!知恵袋で投稿を古いものから順に調べていくと、2011年1月5日以降、トランプのスートの解釈を聞く質問が散見されるようになる。そしてこの回答がまさに、このクラブ=知識なのである。
よって、Yahoo知恵袋から2010年末〜2011年初頭にクラブ=知識と一般人に刷り込む何らかのきっかけがあったのではないかという仮説が立てられる。
小結
ここまで見てきた結論を述べよう。トランプ占いで誰が言い出したのか、そもそもトランプ占いに起源があるのかについてはここまでは導けなかった。
しかし、賢いのはクラブというのは、2011年前後に何らかのきっかけがあって言われるようになり、2013年初頭までにTwitter(当時)で複数回バズった結果、日本に定着したガラパゴスなスートの解釈だと思われるのである
補足:スートのクラブ、クローバーとみなせばどうなんだよ
ここで、あえて発想の転換をしてみたい。トランプのクラブが、形としてはもはやこん棒、クラブとは到底見なし得ず、英語圏でも日本語圏でもクローバーとして扱われがちという観点である。クラブ=クローバーと考えて、賢いのはクローバー、と考えればなんらかの文化的背景が見いだせるのでは?という点からの検証も行いたい。
しかし、結論から言うと、クローバーにしたところで文化的背景は何もなかった。ただ、賢いの英語・クレバー(clever)とクローバー(clover)の音が近いため、気取った雰囲気を醸し出せるということで、若干の使用例があるようだ。
まず、辞書に載ってない。そこは大前提となる。そのうえで、用例としてはないかと英語のコーパスに複数当たってみる。
しかし、コーパスを検索した結果も、イギリス圏のBNCには全くヒットがなく、アメリカ圏のCOCAはclever cloverが1件、clover the cleverが2件ヒットする程度。文語の用例を調べられるツールであるコーパスに乗っていない時点で、文語としてはほとんど使われない組み合わせというのである。
一方で、固有名詞としてなら、若干の用例がある。Clever Cloverを名乗る団体は複数あり、ミシガン州にClever Cloverというブティックがあるなど、店の名前もちらほら見つかる。さらに言えば、マイリトルポニーのオタクにはClover the Cleverの一例を挙げれば済んでしまうだろう。
というか、日本にもアイドルマスター ミリオンライブ!にスートモチーフのCLEVER CLOVERというユニットがいる。この一言で、まあ言葉遊びとしてなら日本人でも思いつくレベルとできてしまう。
しかし、結局のところクローバーを賢いとする解釈も、イディオム、コロケーション、スラング、ミームとなるほどのものではなかった。主にアメリカに限定して、たまに使われる固有名詞の範囲を出ないようだ。
改めて、クラブは賢いのか?
実は……
この記事がきっかけでさらに絞る動きが生じ[5]、発案者かどうかでは定かではないが、広めたのはMr.マリックではないかという説が生じている。
上記仮説と時期的には一致し、おそらくYahoo!知恵袋とXで生じた言説の出どころはここと思われる。
この記事を受けてさらなる追加調査の結果を記したい。実は本大百科記事の初版者は占い方面にこだわるあまり、ある観点が抜けていた。マジシャンと小説である。つまり、Mr.マリックがマジシャンとして知識を披露したことで広まったことから、マジシャン方面に伝わる言い伝えだった可能性があるのである。
結論だけ先に言ってしまおう。マジックに造詣が深い推理小説家、泡坂妻夫の小説「曾我佳城」シリーズにまさにそのものズバリの言及が出てくるのである。
流れとしては「事件の推理のために主人公が、マジシャンの曾我佳城の弟子から聞き取り調査をしている際に、その弟子が師匠から教わったと披露した知識」である。この小説の初出が1980年であり、少なくとも推理小説家に豆知識として引用されるような口伝がマジック方面であった可能性が高い。なおかつ、この伝承はマジシャンにしか伝わっていなかった可能性が高い。
例えば、この手の胡乱な雑学の元ネタに割となりがちな寺山修司は、市川崑の『顔』に収録されたような随筆で以下のようなことを書いており、明らかにクラブ=知ではない。
ジャーナリズムは、いずれ、「またやってきた片眼の時代!」と書きたてることになるだろう。トランプでは、片眼のジャックはスペード(死)とハート(愛)だけであり、クラブ(希望)とダイヤ(富)は両眼を開けている。だが、死と愛との片眼のジャックが、いみじくも愛人殺し事件へと通底してゆくところに、一つの予見がある。
澁澤龍彦や種村季弘ら(あの辺の)括りにしても、タロットについては雄弁に語ってくれているのだが、トランプについての言及があまりない。この手の昭和型の博覧強記系文化人が元ネタにしたと思われるキャサリン・ペリー・ハーグレイヴ(Catherine Perry Hargrave)にしてもトランプのスートに関する言及はあまりない。
さらに、もっと他に有名な小説ネタがあるかとなると、割と初手に「トランプ殺人事件」こと、1938年にエラリー・クイーンが著した『ハートの4』が来る。のだが、推理に使われるトランプのクラブの意味は以下となり、全く知識が出てこない(訳語は石川信夫版を参照)。
- キング:黒髪の男
- クイーン:黒髪の女
- ジャック:法律違反者
- 10:賭博
- 9:最後の警告
- 8:事故
- 7:牢獄
- 6:過労に注意
- 5:転換
- 4:秘密
- 3:成功途上の障害
- 2:二日以内、又は二週間以内に何かが起る
- エース:富
また、日本でトランプを使ったミステリーというと、ある世代には『名探偵コナン 14番目の標的』が思い出されるかもしれない。しかし、これまた同様にクラブは知識ではない。
白鳥任三郎「スペードには死の意味があります。同じようにハートには愛、ダイヤにはお金、クラブには幸福の意味があります。」
――『名探偵コナン 14番目の標的』26分ごろのセリフ
よって、なぜか泡坂妻夫だけミッシングリンクのようにクラブが知の象徴と言っている。つまり彼の元ネタはミステリー系の小説でも、文化人の謎ソースによるうんちく披露でもないのである。
真実の「賢いのはクラブ」の原点
ということをまとめた結果、上記記事から回答があり、マジシャンの気賀康夫の言及が泡坂妻夫よりもさらに早い可能性があるというヒントが得られた。
ということで、本大百科記事の初版者は気賀康夫の書いた著作をすべてあたった。この結果、結論だけ述べると「賢いのはクラブ」の出所が明らかになった。つまり、気賀康夫本人が「賢いのはクラブ」がどこから日本に来たのかはっきりと述べているのである。
トランプに関する物語は数多くありますが、どの話がどのくらい本当なのか誰にもわかりません。これからご紹介するのもそのうちの一つです。
1958年の夏、SAMの会員 G.A.ミューラー氏ご夫妻が旅行の途次、日本へ立ち寄られました。そのとき、天海氏ほか二、三の方々と、氏を宿舎帝国ホテルの新館にお訪ねしました。そこで読んでみてくれといって手渡されたのは、氏がMUM誌に発表されたトランプに関する物語の原稿の写しでした。この話を人に聞かせたところ、思ったより好評だったので、原作を少し脚色して影絵にしてみたのがこれです。
(中略)
〔影絵13 知〕第3に知。これはクラブです。姥捨山にすてられそうになった老婆の知恵が、一国を救ったというお話を、みなさんもご存じと思いますが、このように長年かかって積み立てられた知識は、永久に失われることのない宝です。
この記述がまとめられた『気賀康夫作品集』は1973年に500部だけ刷られた著書で、気賀康夫の第5回「石田天海賞」受賞を記念して出版されたものである。この石田天海賞というのは「創作奇術に貢献した奇術師に贈られ、作品集を発刊する権利が与えられる」という、ほぼマジシャンの内輪向けの名誉であり、この本もおそらくほぼ内輪だけで読まれたと思われる。
つまり一言で言ってしまうと、「自分がマジックを披露するときの持ちネタを活字化したネタ帳」がこの著書にあたるようだ。ということであれば、気賀康夫は1958年〜1973年の間にマジック中に何回かは「賢いのはクラブ」と言っていたのだと思われる。
さらに、冒頭のエピソードで出てきた略語を解読していく。SAMとは「Society of American Magicians」、要するにアメリカのマジシャンの協会である。MUMも「Magic, Unity, Might」の頭文字を取ったアクロニムで、SAMが発行していた、アメリカのマジシャン界隈が書いていた会報に近いものである。
つまり、ここに出てくる「G.A.ミューラー」という人物はアメリカの団体に属するマジシャンだったのだろう。よって、「賢いのはクラブ」というのは日本にはG.A.ミューラーから伝わったということである。
さらに言えば、この気賀康夫のネタがはるか後世のマジシャンにも伝わっていたことは明確である。情報提供の中で気賀康夫が『トランプ物語』で「賢いのはクラブ」を述べていた出典となっていた記事は「個人のブログ」として引用されていたが、実はこの記事の著者は「マジェイア」、つまりマジシャンの三輪晴彦の個人サイトである。
この三輪晴彦については例えば東京堂出版から1992年に出版された『夢のクロースアップ・マジック劇場』を泡坂妻夫らとともに執筆しており[6]、完全に石田天海・気賀康夫・泡坂妻夫らのサークルに近い存在と言える。そしてMr.マリックこと松尾昭も師匠は気賀康夫の翌年に第6回「石田天海賞」を受賞した沢浩であり、ぶっちゃけ同様に石田天海のサークルに接点はあると言える。
よって、因果関係までは立証できないのだが[7]、石田天海・気賀康夫らを土壌とした複数のマジシャンに語り継がれた仮説までは唱えられると思われる。
さらにさかのぼれるだけさかのぼってみた!
ただし、このG.A.ミューラーが何者かについてと、そもそもG.A.ミューラーは何を元ネタに「賢いのはクラブ」と言ったのかについては、高く!分厚い!著作権の壁!がある。のだが、Society of American Magiciansの会員になればMUMが読み放題になるので手はなくはない。
よって、ニコニコ大百科編集のためだけではあるのだが、アメリカのプロの団体に実際に属しアーカイブを漁れるだけ漁ってみた。
この結果はっきりわかったのが、そもそもこの人物はG.A.ミューラーではなく、Jesse Albert Mueller、つまりJ.A.ミューラーだったということである。
まず、MUMの1959年7月号には、Jesse A. Mueller名義で書かれた、妻のBlancheと回った各地の旅行記を記した「Around the World with Magic」という記事がある。
In Tokyo, Japan, we were visited at hotel by Tenkai and his famous wife, Okino, together with other members of their group. Ther were about seventeen of us, so we sojourned to the roof garden of the hotel where all of them performed and I had an opportunity of displaying my wares. Tenko Nishio, a student of Tenkai, who is professionally engaged, performed the cups and balls with small rice bowls, which were presented to me at the close of the session. Others who performed included Yasua Kiga, Tadshiko Yoshimoto and Kosaku Kodera. They all enjoyed performing for us and seemed to enjoy my efforts.
――Jesse A. Mueller「Aroudn the World with Magic」『MUM』1959年7月号
日本側と同様に確かにミューラー側も、石田天海の妻の石田おきぬを「Okino」、気賀康夫を「Yasua Kiga」とうろ覚えで書いている。しかし、登場する人物と記事に添付されている「Hotel imperial in Tokyo」1958年10月18日に「Tenkai and menbers of the Tokyo Magic Club」と撮影した写真から日時・場所も確かに一致する。よって、石田天海が気賀康夫に会わせたG.A.ミューラーは間違いなくこのJesse Albert Muellerと断言できる。
また、この記事の写真からこの席にいたのは14人、ミューラー夫妻を除くと12人いたことがわかり、おそらくこの12人が石田天海の関係者である。そのうち6人についてはこの記事から名前が推測でき、石田天海や気賀康夫の著作に登場する人名で比定すると最低限以下が立ち会っていたことがわかる。
ただし、ここからが問題なのだが、このJesse Albert Muellerは1890年10月18日生まれ、1970年5月5日没で活動時期が妙に長い(参照:Magicpediaの当該人物の記事
)。そしてもう一つややこしいのが、MUMは1927年~1951年に独立した雑誌になっておらず、他の雑誌の庇を借りていた状態という点である。一言でまとめると、その期間のMUMはアーカイブにない。つまり、定量的・時系列的にデータはまだ集められていない状態にあたる。
しかし、少なくともおそらくこのJesse Albert Muellerが石田天海や気賀康夫に読ませたと思われる記事は判明した。MUMの1956年1月号に掲載された「Why One-Eyed Jacks?」というものである。
この記事は世界の始まりとトランプの起こりを神話的に述べるもの(カードゲームアニメでよく見る感じのもの)で確かに先の引用と記述は一致するので、一応引用してみたい[8]。
Since the beginning of time, half of the earth has been in light; the other half in darkness, representing day and night. To signify this, the first element of time, half a deck of cards are black, signifying night or darkness.
The next division of time constitutes the four seasons of the year: for that reason we have four suits in every deck of cards. After that, time was divided into the 13 lunar months of the year, thus there are 13 cards in every suit. Our modern calendar has only 12 months in the year, and deck of cards has 12 court cards, or picture cards.
There are 52 weeks in the year, and 52 cards in every deck. There are 365 days in the year, and if you count the Jack as 11, Queen as 12 and King as 13, there are 364 spots on a deck of cards To take care of the next day, a Joker is added to the deck. For a time two Jokers were included in every deck to signify leap year.
Ther are four great things in life: Love, represented by the Heart; Wealth, represented by the Diamond; Knowledge, represented by the Cloverleaf, which is the first plant in the year to bloom and the last to die; and Death, as represented by the Spade.
(中略)
The King naturally seeks knowledge and is looking at the Club while the Jack is too busy making Love and, therefore, does not seek knowledge and his head is turned away from the Club. The King naturally fears Death, and has his head turned partly away from the Club, while the Jack being the more ignorant of the two, fears Death more than the King does and is looking as far away from the Spade as possible, so that only one eye is showing.
The Queens are in between; neither do they seek Wealth, Love or Knowledge, with the interest of the King or Jack and, therefore, there are no one-eyed Queens.
――Jesse A. Mueller「Why One-Eyed Jacks?」『MUM』1956年1月号(青字は記事作成者)
長くなったのだが、すでにMr.マリック、および2010年代以降のコピペに書かれている以下3点は出そろっている。
しかし、やけにここまで奥歯にものが挟まった言い方になったのは他でもない。肝心の「賢いのはクラブ」はほぼ「みんな知っているよね?」と言わんばかりにあっさり済まされているのである。さらに言えばこの物語の出典も特にJesse Albert Muellerは記していない。
ただし、青字で書いた通り、なぜクラブが賢いのかは憶測ながら一つの仮説が言える。この記事では他がすべてクラブと表記されているにもかかわらず、「賢いのはクラブ」と言う箇所だけ「賢いのはクローバーの葉」と述べているのである。なぜクローバーの葉が賢いかの理由としては、「1年で真っ先に花を咲かせ、1年で最後に枯れるから」である。
さらに改めて、クラブは賢いのか?
ということを事細かく書いた結果、掲示板から複数情報がもたらされた。実を言うと筆者は「賢いのはクラブ」にこだわるあまり引用から中略してしまっていたのだが[9]、実はJesse Albert Mueller自身もすでに掲示板で言われるような興味深い記述をしている。トランプが1年12か月四季365日を表しているというものである。
ミューラーの言及がさらにさかのぼれた!
Jesse Albert Muellerがこんなことを言い出したのは今に始まったことではない。その34年前に『The Sphinx』1922年7月号でほぼ同じような「THE OPENING OF A CARD ACT INCLUDING THE HISTORY OF A DECK OF CARDS WITH NEW FEATURES」という記事を書いている。これは要約すると彼がトランプマジックをやる時に場を持たせる会話として以下のような小話を披露しているという種明かしである。
(中略)
The origin of a deck of cards is not known but the meaning of a deck is known just as the history of Egypt is known from the writings left behind. A deck of cards represents our universe.
First the day was divided into night and day, so the deck was divided into light (red) and night (black); then the four seasons; spring, summer, autumn and winter, and we find the four suits in the deck; then the original thirteen lunar months and the thirteen cards to a suit; we have also our modern twelve months in a year and our twelve court cards in a deck.
There are four great things in life: (1) love represented by the heart; (2) wealth represented by the diamond; (3) knowledge represented by the club, which is, by the way, the clover leaf, being the first to bloom and the last to die in the plant kingdom, and (4) and last, death represented by the spade.
(以下略)
――Jesse A. Mueller「THE OPENING OF A CARD ACT INCLUDING THE HISTORY OF A DECK OF CARDS WITH NEW FEATURES」『The Sphinx』1922年7月号(赤字、青字は記事作成者)
正直すでに書いた後年の記述とほぼ同じ内容である。ただし、青字で強調した「「賢いのはクラブ」が石田天海や気賀康夫に伝わった戦後に始まるものではなく、第一次世界大戦直後時点ですでに存在する」ということ以外に、もう一つ新たにわかることがある。赤字で強調した、トランプのスートが四季を表しているということである。つまり、各スートには2つの意味があることが読み取れる。
というわけで、記事初版者のほうで追跡調査を行ったところ、世間一般のトランプ占い解釈とは別に「賢いのはクラブ」と教義で唱えた中規模団体が、Jesse Albert Muellerに先立ってアメリカに存在したことがわかった。つまり、「賢いのはクラブ」の起源がさらにさかのぼったのである。
よって、さらなる追跡調査の結果を以下で記していきたい。
古今東西、人間がいかにカードに深読みをしてきたか
まず、タロットやトランプに限らず、洋の東西問わず人間はカードに隠された意味を文化的に持たせてきた。本題にはかかわらないのでいちいち引用しないが、中国では貨幣の単位だったり、中東では宗教体系だったりである。というか日本人にとっては花札が暦を表しているが割とわかりやすい例だろう。
そしてそれはヨーロッパも同じなのだが、いったん近代まで話をすっ飛ばすと、近代以降ヨーロッパにおいて、トランプにある解釈が生まれた。トランプは1年12か月四季365日を表しているというものである。
おそくとも18世紀にある物語が流布された。イギリスの兵士Richard Middletonがトランプ遊びをしていると怒られたところ「トランプは365日を表しており、俺にとっては祈祷書なのだ」と反論したという物語である[10]。この物語が具体的にいつ生まれたのかはやや定かではないのだが、あることはわかる。つまり、ある時期からトランプは1年の象徴だという理解が生まれていたのである。
1800年頃に出たこの物語を活字化したものには、具体的にどれがどれかは明記されていないのだが、確かにスートは四季を表していると記載がある。
The soldier continued as follows, if your worship observe again, you will find in the first place, there are four suits in the card, that intimate the four quarters in the year; then as there are thirteen cards in each suit, that is just as many as there are weeks in the quarter; there are also as many lunations in a year as there are cards in a suit; there are twelve court cards which intimate the twelve months of the year, and the twelve signs of the zodiack thro’ which the sun fleers its diurnal course during the spice of one whole year; there are fifty-two cards in the pack, and that directly answers the exact number of weeks in a year; examine the cards a little farther, and you will find as many spots in them as there are days in a year, there being 365 spots; there I multiply by 24, and then by 60, which brings me out the exact number of days, hours, and minutes in a year. So that on the whole, an’t please your worship, this pack of cards is both a bible, an almanack, and a prayer book to me.
――"Cards spiritualized, or, The pack of cards transformed into a Bible, almanack, and prayer-book"(青字は記事作成者)[11]
例えば、1676年にはトランプを使って天文学を教えるJoseph Moxonの教育書があり、四季を教えるたとえとしてトランプのスートがすでに用いられている。文字を見ての通り、まだ中英語の時代である。少し読みづらく、理由も説明されていないが、春夏秋冬を個々のスートにあてはめ、クラブが冬としている。
How you may learn to know all the Stars in Heaven by theſe Playing Cards.
To each of theſe Cards T have ſet down the day of the moneth that the Conſtellation in it riſes at the Time of Sun-ſetting, as alſo the point ot the Compaſsit riſes on, fo that if you will obſerve it, when the Sun ſets, you will ſee the Conſtellation riſing upon that point of the Compaſs fet down on the Card with the letters of the point ofthe Compaſs.
For Example.
If you would know when the Lizzle Dogg riſes in the Evening, look in the bottom of the Card, and you will find Jan. 11. E. by N, which ſhews that on the 11th. of January at Sun-ſet the Conſtellation of the Little Dog riſes Eaſt and by North; therefore looking into that part of Heaven, you ſhall ſee the Conſtellation riſing, and the Stars placed in Heaven, juſt as you find them placed on the Card. But if the Conſtellation be riſen ſome conſiderable time, you muſt know the time ſince it roſe, and eſtimate how high it may be above the Earth, by allowing about the twelfth part of Heaven for every hour ſince Sun-ſet, and about that eſteemed height look for it, and when you find a number of Stars placed in Heaven like thoſe on your Card, you may conclude that to be the Conſtellation, and to your great delight and ſatiſfaction. See in what part of the Conſtellation each particular Star lies, andof what Nature, Coulours, and magnitude it is.
Theſe Cards are divided into four Suits, as other playing Cards are, viz. Spades, Hearts, Diamonds, Clubs: And Aſtronomers have divided the whole face of Heaven into four Colures, viz.
The{ Vernal }colure, or { Spring, Æſtival Summer, Autumnal Autumne, Hyemnal Winter. Becauſe when the Sun comes to any of theſe Colures, the Seaſon of the year alters into Spring, Summer, Autumn, Winter; and ſo have I divided theſe Cards; for all the Conſtellations that are in the Vernal Colure are known by the ſuit of Spades in the Æſtiral Colure are Hearts, in the Autumnal colure Diamonds, and in the Hyemnal Colure are Clubs, which are placcd on the top at the left hand of every Card;
Joseph Moxon(1676)"The use of the astronomical playing-cards"(青字は記事作成者)[12]
また、フランス革命期に粗製乱造された従来のデザインから解放されたトランプの一つに"Jeu des Quatre Saisons de l’An II"というものがあり、♥ 春 → ♦ 夏 → ♠ 秋 → ♣ 冬の順とされている。[13]。
1816年頃に出たSamuel Weller Singerの著作には以下のような記述がある。スートは4つ、四季も4つ。なのでカードのスートは四季を表しており(ケツバトラーじゃないんだから……)、スペードはドングリなので秋、ハートはかつて杯だったので飲んだくれる冬、ダイヤはもともとバラだったので夏、もともとTrefoils(三つ葉のクローバー)のクラブは春を表すということである。
The four suits1 indicate the four seasons, which appear formerly to have been distinguished by devices much more appropriate than those now in use. Spades represented acorns which are mature in autumn; and Hearts were cups, indicating, probably, that wine was ready and fit to be drunk in the winter season.
1Clubs were originally Trefoils, representing Spring. Diamonds were formerly Roses, typical of Summer, &c. Vide Archeologia, Vol. XV.
――Samuel Weller Singer(1816)"Researches into the History of Playing Cards"p.362[14]
ここできわめて重要なターニングポイントが1825年頃に出たMarie-Anne Adélaide Le Normandの著書である。
The Suites are four, answering to the four Seasons. The emblems of these formerly were, and still are, in Spain, —for the Heart, a Cup, which is emblematic of Winter; for the Spade, an Acorn, the emblem of Autumn; for the Club, a Trefoil, the emblem of Summer; and for the Diamond, a Rose, which is the emblem of Spring.
――Marie-Anne Adélaide Le Normand(1825)"The oracle of human destiny" p.12[15]
この人物は「スペインの伝承にある~」と称しつつも、全く同じ理由なのにもかかわらず、クラブを夏、ダイヤを春の象徴に入れ替えているのである。
12星座に話を広げるとどうなるか?
例えば、1656年にGeorg Philipp Harsdörfferの"Das astronomische Kartenspiel"というカードがある。十二星座などの天文的な知識をカードゲームに置き換えたものとして引用される最古の例である。つまり、暦ではなく天文をカード化したものとしてみると、どうなるかも追ってみたい。
ここで、トランプカードとして見つかった最古の例が1719年に現在のドイツのニュルンベルクで出たJohann Philipp Andreae"Neu Inventirtes Belehrendes und ergötzendes Astronomisches Karten Spiel"である。大英博物館にあり[16]、やぎ座、みずがめ座、うお座がどんぐり、かに座、しし座、おとめ座がハート、おひつじ座、おうし座、ふたご座が葉、てんびん座、さそり座、いて座が鈴となる。これをフランス式に置き換えると、♣ 春 → ♥ 夏 → ♦ 秋 → ♠ 冬の順になる。
一方で、1828年頃にCharles Hodgesが出した天文学の教育用のトランプカードがある[17]。ここでエースに描かれた黄道十二宮の12星座を同様に換算すると、おおむね♥ 春 → ♦ 夏 → ♣ 秋 → ♠ 冬の順と考えられる[18]。
正直2例しか見つけられなかったのだが、スペードが冬という見解以外は特に共通点が挙げられなかった。
19世紀以前の動向
あれこれ言ってきたのだが19世紀段階の英語圏ではどうもクラブが夏とする解釈の方が一般的になったようである。根拠としてはMarie-Anne Adélaide Le Normandのコピペのような解説が、イギリスに限らずアメリカやオーストラリアの新聞でまで紹介されているからである。
| 年 | 典拠 | 対応 |
|---|---|---|
| 1656 | Johann Philipp Andreae"Neu Inventirtes Belehrendes und ergötzendes Astronomisches Karten Spiel" | ♣春、♥夏、♦秋、♠冬 |
| 1676 | Joseph Moxon"The use of the astronomical playing-cards" | ♠春、♥夏、♦秋、♣冬 |
| 1793 | "Jeu des Quatre Saisons de l’An II" | ♥春、♦夏、♠秋、♣冬 |
| 1816 | Samuel Weller Singer"Researches into the History of Playing Cards" | ♣春、♦夏、♠秋、♥冬 |
| 1825 | Marie-Anne Adélaide Le Normand"The oracle of human destiny" | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1828 | Charles Hodges"Astrological Hodges Playing Cards" | ♥春、♦夏、♣秋、♠冬 |
| 1830 | William Pulleyn"Etymological Compendium"[19] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1843 | "Vincennes Gazette"誌1843年3月4日号[20] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1845 | "The astrologer and oracle of destiny[21] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1849 | "Quarterly Meetings Thetford September 27 1849"[22] | ♣春、♦夏、♠秋、♥冬 |
| 1867 | "Trove"誌1867年3月30日号[23] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 19世紀後半 | "Orion’s Prophetic Almanac"[24] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1875 | "Weekly Constitutionalist"誌1875年8月18日号[25] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1884 | "Saturday Evening Mail"誌1884年4月5日号[26] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
| 1907 | Orison Swett Marden"The Consolidated Library"[27] | ♦春、♣夏、♠秋、♥冬 |
とりあえずオレンジセルで塗ったのが、クラブが夏という解釈である。見つけたものを片っ端からぶち込んだので定量的なデータと言えないかもしれないが、クラブが夏という解釈は19世紀を通して割と一般的であったと言えなくもない。
確かに、正直当時時点ですら「スートとかそういうメーカーとか流行りすたりとかで変わってるものに解釈とかばっかじゃねーの」みたいなツッコミも行われてはいる[28]。しかし、この英語圏でクラブが夏担当にふわっとされたことはさらに大きな展開を起こす。
賢いのはクラブと言い出した初犯と思われる存在
スレッドでも既に言及されているのだが、このトランプは1年12か月四季365日をさらに飛躍させ、「賢いのはクラブ」と言い出したと思われる人物がOlney Hawkins Richmondである。まず、彼の書いた"The mystic test book"の一番古いバージョンと思われる1893年版を引用したい。
The 52 emblems or pages represent the 52 weeks in a year.
The 12 court emblems represent the 12 months in a year.
The 13 cards in each suit represent the sun and the 12 signs of the Zodiac.
The four suits represent 4 seasons.
Chart showing the emblems arranged to illustrate the above arrangement will be found on preceding page.
In the spring of the year the birds mate. In the springtime of life or the first quarter. love is the master passion. The heart was therefore chosen as the emblem of the first quarter ant the first season.
The next stage of life represented by the trefoil or clover leaf of summer. Knowledge is best gained and retained in the summer of life, the second period.
Therefore the shamrock or "club", became the emblem of knowledge. intelligence, heat, argument, or even quarrels and law suits under some planets.
The third season, autumn, has for its emblem the diamond, representative of wealth. The third period of man's life is the one in which he is best able to gain wealth. In the fall of the year the crops are sold and the wealth of the harvest realized.
Winter of the fourth quarter of the Zodiac, is represented by the spade or acorn. By a strange and yet natural transformation, the acorn which represented the symbolism of the death and burial of the physical form was changed among some nations to the spade which represented the same thing. But the acorn, when planted in the soil, sends forth a life principle which becomes a new tree in time. So it had a deeper signification than the spade, which symbolizes death without resurrection.
But the spade being an instrument of labor, it becomes a symbol of labor and death combined.
――Olney Hawkins Richmond(1893)"The mystic test book"[29] p.28(青字は記事作成者)
彼の言うところでは ♥ 春 → ♣ 夏 → ♦ 秋 → ♠ 冬の順である。ただ、記述を読む通り、ここではもう何が元ネタかは関係ない。正直もう、細かい考証をすっ飛ばして先に結論を言おう。「賢いのはクラブ」とは、「この著書でクラブが夏担当者にされたというだけで、夏に割り当てられた青年期の属性である賢いを付与された」のが当初の始まりということらしい。つまり、「クラブは夏」→「人生を1年に例えると夏は学びを得る青年期」→「青年期は知恵」→「賢いのはクラブ」ということである。
さて、掲示板でも突っ込まれているが、「なんでやねん」とまず思うだろう。しかし、これには深いわけ、というかある前提知識が必要になる。
実はOlney Hawkins Richmondという人物は、Cardologyという近代オカルト理論の一つを作った割と創設者に近い存在なのである。
19世紀後半、それまでの科学万能主義の反動で、神智学協会だの黄金の夜明け団だの有象無象のオカルト結社が創設されていく。そんな日本でも知られているような団体にははるかに及ばないのだが、この「Cardology」を教義に掲げた「Ancient Order of the Magi」という割と中小規模なオカルト結社的な団体が当時存在し、今も「Cardology」を実践している「International Association of Cardology」という団体も続いている[30]。この団体においてOlney Hawkins Richmondとはすべての起源となった「Cardologyの父」としてまつられており、この「賢いのはクラブ」と最初に言ったっぽい1893年の"The mystic test book"というのは、要するにこの団体におけるバイブルなのである。
Olney Hawkins Richmond曰く「南北戦争中に謎のフランス人から秘教を授けられ、のちにOrder of the Magiを復興した」という経緯でできた割とありがちな世紀末期のオカルト結社である。一応客観的な記述として「1889年のシカゴで30人規模くらいで創設された新しい占星術宗教の団体」との評価があり[31]、公式発表的にも最大規模1万人くらいとのことなので、先に述べた神智学協会や黄金の夜明け団に比べるとはるかに弱小な、悪く言ってしまうと歴史的にほとんど影響を与えなかった団体と言ってもよい。
ただ、まあわかりやすく言ってしまうとOlney Hawkins Richmondはヘレナ・ペトロヴナ・ブラヴァツキーやアレイスター・クロウリー的なポジションであり、"The mystic test book"は『エメラルド・タブレット』や『法の書』的なポジションなのである(この辺の大手と比べると何これ……となるが)。
じゃあその「Cardology」ってなんだよとなる。トランプ占いと何が違うんだよとなる。
では何が違うのか。「Cardology」はまず大前提として「1年=52週」「4スート=四季」「13枚=周期」「誕生日=特定カード」というのがあらかじめ割り振られており、これを暦・占星術的に解釈するのである。つまり、トランプ占いがあくまでも引いたカードを占い師が解釈するものであるのに対し、「Cardology」は1年365日があらかじめトランプに割り振られていて「誕生日ごとに対応カードがあり、その人の性格・運勢・人生周期を読む」感じの神秘術なのである。なお、説明をざっくりさせた結果詳しくは省くが、「Cardlogy」はこれにさらに独自の占星術の解釈を加えていく。例えば知性担当のクラブは、活動を示す火星と物質世界である地上を示す地球の位置関係によってどのような影響が出るかといったことを解釈していくのが「Cardlogy」である。
星については置いておいても、なぜここまで長い説明になったかわかるだろう。トランプに1年12か月四季365日を読み取る英語圏の謎のブームが明らかに原因とみなせるのである。
要するにトランプカードに年月日を見出す解釈が1世紀にわたって続いた結果「トランプカード!それは深淵な宇宙の象徴!トランプカード!それは人生の縮図、人間のロマンである!」というノリで、見えないものを見ようとしてトランプカードを覗き込んだ感じの人たちが出てきた。それこそがこの「Cardlogy」である。
早い話、「賢いのはクラブ」とは、近代に誕生したオカルト団体に「クラブが夏担当だからそういう割り振りに強制的にされた」のが大本と考えられるのである。
そして、この「賢いのはクラブ」と言っているのは、ほぼこの団体くらいである。割と序盤に挙げた通り、クラブは一般的には挑戦[32]とか実生活[33]とかその辺の担当なのである。一方で「Cardology」に関して言えば、今もなお「賢いのはクラブ」なのであり、ローカルな教えとして英語圏で細々と残っている[34]。
さらなる波及
しかし、Richmondが示したカードに宇宙を見出す感じの知見は、別方向の人物に影響した。掲示板でも既に指摘がある、1905年に"Symbolism"を出したMilton Alberto Pottengerという人物である。実はRichmondの著書は上述の通り超理論によって「賢いのはクラブ」と言っているだけで、日本にたどり着く「クローバーの葉が~なので賢いのはクラブ」の元ネタはこちらと思われる。
The above picture is called a Club; just why, it is difficult to explain, unless because of its resemblance to the shamrock. It is a very faithful resemblance, however, of a universal plant found in the remotest corners of the earth. The first plant to make its appearance in the spring in all countries is the clover. It is also the last to disappear at the approach of winter. It is a universal summer plant and was chosen by the mystics of old to symbolize the summer time of life, since it is in the summer time of life that man gathers knowledge. The clover leaf was chosen to represent him from 12 to 30 years of age. It not only symbolizes knowledge but wisdom. The latter, a faculty of the soul, is gained only by experience. As a symbol of wisdom, therefore, the clover leaf can be said to be a picture language of the soul's growth from birth to death. Knowledge, however, is a faculty of the mind and may be gained from books, teachers and other sources. The latter belong to youth. All Kings and Queens desire to rule their kingdom wisely, hence it will be seen that the King and Queen of clubs look with longing eyes upon the emblem of wisdom. The Knave, however, representing youth and vacillation, would hardly be expected to desire wisdom : we find the Knave of Clubs turning his face away from the emblem of wisdom; but he is shown as "knocking at the door." The spiritual nature of this card shows the Christ, or Soul of man, the living and eternal divine spirit, standing at the door of conscience knocking for admission.
そもそもこのMilton Alberto Pottengerとは誰なのかという話になる。
調べてみたところ、彼は少なくともフリーメイソンであり[36]、Philosophical Research Society(PRS)を創設したManly Palmer Hallに機関誌の"Horizon"1955年夏号で古い友人のカード解釈として紹介されている人物である[37]。つまり、「Cardlogy」とは完全に別サイドのオカルティストである。
のだが、実は彼本人がすべての答えをこの著書に書いていた。要するに、Richmondの本のトランプカードに宇宙を読み解く解釈にえらく感銘を受けてしまい、それをフリーメイソン的に再解釈したのがこの本なのである。
Let me, first of all, give credit to Mr. Olney H. Richmond for having started me on the pathway that leads to unfathomable mines of knowledge of mystical nature.
Mr. Richmond is one of the few great light bearers of the world, and in his "Mystic Test Book," published in 1893, will be found a vast amount of information that the student of mysteries cannot afford to be without. He it was who first proved to me that the deck of playing cards was the Sacred Book and was the absolute infallible key which would unlock the secrets of the universe.
つまり、PottengerはRichmondの「Ancient Order of the Magi」とはおそらく無関係なのだが、「トランプを宇宙的・フリーメイソン的象徴体系として読んだ初期20世紀の秘教著述家」と言える。ということで現在では「Cardlogy」側に参考文献にもされている[39]。
要するに、日本にたどり着く「賢いのはクラブ」の伝承というのは、「Cardlogy」→フリーメイソンという流れをたどったということである。
残る問題
ここまでで、「賢いのはクラブ」と言い出したのが19世紀末に誕生した「トランプに世界を見出す感じの団体の教義」という超ローカルな謂れなのは導けたと思う。残る問題としては、なぜマジシャンのJesse Albert Muellerが、ほとんどそれのコピペに近いネタをマジック中に披露していたかということになる。
ここでヒントになりそうなのが、ビルボード誌の1920年2月21日号である。この記事を読む限り、サンフランシスコの Billboard「Magic and Magicians」にてJesse Albert Muellerのいる場でスピリチュアリズムに関する討論などが行われているので、この当時のマジシャン界隈が「そういうコミュニティ」だったと言えなくもない。
Quite an impromptu convention of conjurers and mentalists was held in our offices here last week, Among those “‘who just dropped in’ about the same time were: La Follette (Bush Ling Toy), Helmar, Dr. S. S. Baldwin (happily recovered from a touch of the ‘‘fiu’’), Cunning, Jesse Mueller (president of the Golden Gate Assembly of the S. A. M.), and Joveddah de Rajah. A heated discussion took place between Cunning and Joveddah regarding the pro and con of spiritualism.
なお、この登場人物であるが、それぞれ以下と思われる。
- La Follette / Bush Ling Toy:George Reuschling(1886~1960)中国人風変名を用いた東洋系演出を得意としたマジシャン[41]
- Helmar:本名がHelmannらしいということ以外詳細不明[42]
- Dr. S. S. Baldwin:Samuel Spencer Baldwin(1848~1924)Wikipediaにも記事があるような「The White Mahatma」を名乗る有名マジシャンで、神智学協会人気などを利用し、あくまでも芸風として心霊術風の芸と他所のトリック暴露ネタを行った古参の大物[43]
- Cunning:Robert Marion Cunningham(1873~1951)通称「Doc Cunningham」。Wikipediaにも記事があるような有名人物で、脱出芸から心霊術風の芸に移った [44]
- Jesse Mueller:本人。言うまでもなし
- Joveddah de Rajah:アフリカ系アメリカ人だが、インドの王族風の格好をしてオリエンタルな芸風の人物だったらしい[45]
よって、Jesse Albert Muellerがなんかスピリチュアルな胡散臭そうな人たちと普通に同席する感じの人物だったことは察される。
また、この伝承がマジシャン界隈に伝わった経路については『The Sphinx』1922年7月号に思いきり書かれていた。Jesse Albert Muellerが記事を載せた全く同じ号に、R. W. Hoelという人物による「THE SECRET OF THE SUITS」という記事があるのである。
When I wrote "Klever Kard Kings" I thought I included all that was new with cards. That was back in 1915 and in New York. Now in 1922, and in San Francisco, I learn the secret meaning of the suits.
Diamonds indicate wealth.
Hearts indicate love.
Spades indicate death.
Clubs indicate knowledge.
With this interpretation in mind examine the face cards and you will discover that the four jacks look straight at and think most of love; they turn their backs to death, showing that the young man does not fear death, he also turns away from knowledge
and faces wealth.
The queen looks toward wealth, love and knowledge and away from deatth.
The king turns from death and faces wealth and turns toward knowledge and love.
While the king and queen turn slightly from death, the jack turns away completely.
The king and queen turn partly towards knowledge while the jack turns from it, being most interested in anything else.
The jack and queen turn half way to wealth while the king faces it squarely.
The king and queen, being older, turn only halfway to love while the jack faces it squarely.
The queen neither turns completely away or towards anything, thus showing her diplomacy, while the jack turns squarely away from death and towards love. The king squarely towards wealth.――R. W. Hoel「THE SECRET OF THE SUITS」『The Sphinx』1922年7月号(赤字、青字は記事作成者)
青字に思いきり「賢いのはクラブ」と書いてあるのとは別に、赤字を見てほしい。少し読みづらいのだが、1922年のサンフランシスコで彼はスートに秘められた解釈を知ったとある[46]。
このR. W. Hoelについては、Magipediaもかなりよくわからん人物とみなしているのだが(参照:Magipediaの該当人物の記事
)、複数のマジシャン雑誌のR.W. Hoelの記事の表記ゆれをすべて見たところ、本名はRobert Woodward Hoelであることが確定する。この人物はCombined Magical Clubs of Americaの副会長として1915年にCombined Magical Club Bulletinという雑誌を刊行しており(参照:Magipediaの該当雑誌の記事
)、いろいろあってニューヨークからカリフォルニアの方に流れて『Thayer's Magical Bulletin』1923年10月号から旧雑誌の読者向けに「KLEVER KARD KINKS」という連載枠ももらっていることが確認できる。それ以外は全く分からなかった。
よって、細かい過程をすっ飛ばすと、「賢いのはクラブ」がマジシャン界隈に伝わったのはほぼ間違いなくカリフォルニア州サンフランシスコである。
ここからはもうよくわからない。Milton Alberto Pottengerがカリフォルニア州サクラメントでほとんど自費出版に近いレベルで1905年に"Symbolism"を出版したのは間違いないので、正直ほぼ両者が地理的に接しているのである。しかし、この間を確実に埋める線がまだ見つからないのが現状である。
つまり、残るはこの「Cardology」という超ローカルな教義、およびその間に挟まったフリーメイソンと、アメリカの20世紀前半のマジシャン界隈を結びつける作業が必要になるのだが、全く見当もつけられていないので、いったん問題提起だけして終わらせたい(丸投げは基本)[47]。
結局「賢いのはクラブ」って何だったんですか?
一部未解決の事実はあるので若干すっきりしないところはあるのだが、結論を端的に述べよう。
「賢いのはクラブ」というのは、「19世紀にトランプカードに四季を見出す解釈がそこそこ流行り、その影響で誕生したアメリカのオカルト結社で掲げられた教義がなぜかマジシャン界隈に伝わり、1958年に来日したアメリカのマジシャンから、数人の日本のマジシャンがたまたま個人的に聞いただけで日本に着弾し、この伝承を持ちネタにした気賀康夫のようなマジシャンが以後存在した結果、20世紀後半に日本のマジシャンの間にだけ広まった」という超ローカルな言い伝えだったのである。
ここから時代は飛ぶのだが、Mr.マリックが気賀康夫らの言い伝えを典拠にしたと思われる雑学を21世紀に披露した。これがMr.マリックがあまりにもテレビで知名度が高かったので定着してしまった。そのうちソースがMr.マリックだったことも忘れられて占い界隈でも一般的な解釈とすら錯覚されてしまった。たったそれだけと思われる。
よって、再掲になるが今のところは賢いのはクラブというのは以下の時系列で追えるということまでは後学のために記しておきたい。
- (おそらく日本のトランプ占いでは20世紀までは全く言われていなかった?)
- 19世紀に英語圏でトランプに四季を見出す解釈が流行る
- 19世紀末に「夏の担当者なので賢いのはクラブ」などと主張するオカルト結社が誕生する
- 3に感銘を受けたフリーメイソンの人物が、3を元ネタにした「賢いのはクラブ」を表す具体的な物語を作る
- なぜか4と全く似たような内容の「賢いのはクラブ」という記述などを含めたトランプの伝承を、遅くとも1922年以降マジシャンのJesse Albert Muellerが「Society of American Magicians」などで披露した
- 1958年に来日したJesse Albert Muellerから、石田天海、気賀康夫といった数人のマジシャンが直接「賢いのはクラブ」と伝えられた
- 気賀康夫らがおそらくマジックを披露する際「賢いのはクラブ」を持ちネタにし、1973年には活字化もされた
- 泡坂妻夫もおそらく7をもとに、「賢いのはクラブ」と述べる
- おそらくこの気賀康夫らの持ちネタが、半世紀以上細々とマジシャン界隈に伝わる
- 21世紀初頭にMr.マリックがテレビ出演時に「賢いのはクラブ」を雑学として語る
- 2010年頃にMr.マリックをソースにして「賢いのはクラブ」と言う言及が徐々に浸透する
- 2012年〜2013年にかけて「賢いのはクラブ」がTwitter(当時)で複数回バズる
- 11~12がひたすらコピペされ、「賢いのはクラブ」という雑学が日本で一般化する
- 賢 い の は ク ラ ブ ♣
結局クラブは賢いですか?
わかりません。クラブが賢くても賢くなくても、賢いのはクラブという歌詞はこれから先もネタにされ続けるでしょう。
韓国版では
韓国版の『ひみつのアイプリ』の同曲では「빈틈이 없는 이 클로버」という歌詞になった。
雑に音にすると「ピントゥミ オㇺヌン イ クㇽロボ」であり、빈틈이 없는は「隙のない」、「抜け目がない」といった意味の「빈틈이 없다」の連体形的なもの。이は普通に指示代名詞の「この」。클로버は音からもなんとなく察されるように普通に「クローバー」。
なのでざっくり直訳すると「隙のないこのクローバー」的に歌っている。よって、韓国版では「賢いのはクラブ」とはならなかったようだ。
余談:各作品のクラブ担当者
抜けがあったらごめんな…
- アレキサンダー/アレクサンドロス3世(パリ版トランプのクラブのキング)
- アルジーヌ(パリ版トランプのクラブのクイーン)
- ランスロット(パリ版トランプのクラブのジャック)
- 大地文太/クローバーキング(ジャッカー電撃隊)
- 荒波トラジロー(超合体魔術ロボ ギンガイザー)
- クラブ(北斗の拳)
- グラブゾン(ドラゴンクエスト)
- サイ・サイシー/クラブ・エース(機動武闘伝Gガンダム)
- トレーボル(ONE PIECE)
- ジャッカル(メダロット)
- 或真敷ザック(逆転裁判)
- 上城睦月/仮面ライダーレンゲル(仮面ライダー剣)
- スゥ(しゅごキャラ!)
- ラット(探偵オペラ ミルキィホームズ)
- プロフェッサー・C(怪盗ジョーカー)
- シナダ・ベニオ/スカーレットキス(STAR DRIVER 輝きのタクト)
- ホンダ・ジョージ/レイジングブル(STAR DRIVER 輝きのタクト)
- ゴウダ・テツヤ/スピードキッド(STAR DRIVER 輝きのタクト)
- 久間欣治(今際の国のアリス)
- 東方密葉(ジョジョリオン)
- ケント(AMNESIA)
- 四葉ありす/キュアロゼッタ(ドキドキ!プリキュア)
- 怒りの戦騎ドゴルド(獣電戦隊キョウリュウジャー)
- 神田ミツバ(KING OF PRISM)
- 礼瀬マヨイ(あんさんぶるスターズ!!)
- 紫月ヨツバ/ファントミクローバー(ひみつ×戦士 ファントミラージュ!)
- トレイ・クローバー(ツイステッドワンダーランド)
- 四之宮リンリン(ひみつのアイプリ)
- ダークリンリン(ひみつのアイプリ)
- ドラン(プリンセッション・オーケストラ)
関連動画
関連静画
関連項目
脚注
- *おそらく、この歌詞自体もこれが理由とは思う
- *ただし、国会図書館デジタルコレクションの調査なので、データにバイアスがあること自体は気を付けておきたい
- *なお、あくまでもバズったツイートがこれであって、これ自体パクツイである
- *実際、Xにはこれ以前にクラブを知識の象徴などと述べているポストは3点しか残っていない(2点は間違いなく遊戯王ZEXALにかこつけた投稿)。
- *言い訳すると、パクツイの出どころについてはこの文言で調べてた時普通に何回目かのバズを最初と思ってしまった
- *https://garaman.holy.jp/book/omnibus/yumeno_closeup_magic_gekijou.php
- *三輪晴彦とMr.マリックに接点があるかどうかも不明で、インターネット上で主に活動していた三輪側の言及は複数見つかるのだが、テレビという見返しづらいメディア露出が主だったMr.マリックの言行が追えない以上同じ土壌から出てきたという言及にとどめたほうが良い。
- *なお、後述の掲示板の記述を受けて行われた第3次調査の内容についてわかりやすくするために、第2次調査時点でなかった記載をいくつか追記していることを明記しておく
- *今はもうちゃんと正確に引用している
- *https://wiki.geniimagazine.com/index.php?title=Soldier%27s_Prayer_Book
- *https://en.wikisource.org/wiki/Cards_spiritualized,_or,_The_pack_of_cards_transformed_into_a_Bible,_almanack,_and_prayer-book
- *https://archive.org/details/bim_early-english-books-1641-1700_the-use-of-the-astronomi_moxon-joseph_1676/page/(8)/mode/2up
- *https://www.wopc.co.uk/france/boechat-freres/editions-dusserre/debeine-repro
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- *https://www.britishmuseum.org/collection/object/P_1896-0501-437
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- *https://iapsop.com/archive/materials/orions_prophetic_almanac/
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- *https://www.gutenberg.org/files/45584/45584-h/45584-h.htm
- *https://catalog.hathitrust.org/Record/011208792
- *詳しいことは公式サイト(https://cardology.com/)をチェック
- *https://www.patheos.com/blogs/aidankelly/2012/10/before-the-gardnerians-introducing-the-magus/
- *https://archive.org/details/fortunetellingby00foli/page/16/mode/2up
- *https://www.scribd.com/doc/49441659/A-Playing-card-Reader-s-Notebook
- *https://sacredcardology.com/suits
- *https://archive.org/details/symbolismtreatis00pott/page/112/mode/2up
- *https://www.truthunity.net/monthly-magazine/1918-07-unity-beyond-masonic-symbols
- *https://manlyhall.org/prsjournals/
- *https://archive.org/details/symbolismtreatis00pott/page/54/mode/2up
- *https://cardology.com/cardology-books
- *https://archive.org/details/sim_billboard_1920-02-21_32_8/page/38/mode/2up
- *https://www.swanngalleries.com/auction-lot/la-follette-george-p.-reuschling-1886-1960-.-two_44jvqvdnsi
- *https://archive.org/details/sim_billboard_1920-01-10_32_2/page/40/mode/2up
- *https://en.wikipedia.org/wiki/Samri_Baldwin
- *https://en.wikipedia.org/wiki/Doc_Cunningham
- *重要トピックなので複数先行研究があるが、初版作成者はPhilip Deslippe(2014)"The Hindu in Hoodoo: Fake Yogis, Pseudo-Swamis, and the Manufacture of African American Folk Magic"以外未確認
- *なお、この前段階にある"Klever Kard Kings"はどの雑誌に載っているなにかは不明。
- *なお、マジシャン側にJoseph OvetteだのM. F. Zensだの「Cardology」という単語が含まれる記事を書いた人間が複数確認されるが、どうもこれはただのカードマジックのネタ帳っぽい。
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