賢者の選択とは次のものを指す名詞である。
本稿では2について扱う。1については「賢者の選択 Leaders」を参照。
概要
この作品は、CardWirthの開発者であるグループASKが提供したものであり、そのため一種の「公式」作品・「基本シナリオ」と見做されている。CardWirthの黎明期においてその紹介役として作られた基本シナリオ中の一作であるため、後の時代と比べてアイコンの美麗さなどについては劣るものの、その脚本、演出、ギミックの全てが簡潔にして秀逸とされており、プレイ後に忘れられない印象を覚える者も多い。そのため現在、無数に存在しているシナリオの中でも特に高い評価を得るに至っている。多くのCardWirthファンがこの作品に寄せる信頼感は、製作後すでに10年が経ち、エンジンがVer.upされるなど周囲の変化にされされている中でも全く揺らぐ事がない。
ジャンルとしてはホラーに属すが、極端な視覚効果や安易な煽りは全く存在しない。極限状態に陥ったパーティーが、絶望的な状況の中である選択を行うまでの前後を淡々と紡ぐだけである。それにもかかわらず、このシナリオを実際にプレイした場合はゲームと言う枠を超えた不安を感じる事も多い。
本作発表以前のシナリオと比較するとユーザーシナリオの影響も感じられ、宿の亭主を介さない本格的な導入部、公式発表された中では最強の敵との戦い、(当時としては)本格的なギミック戦闘、成功と失敗だけでは分けられないマルチエンディング等ユーザー発のアイディアを抽出して意欲的に盛り込み、非常に凝られた作品ながらそれまでと同じく参考にしやすく教科書的な性質を併せ持ち、現在に至るまで不動の評価を受けている。
シナリオ本編に突入した末のエンディングは5つあり、騙されて結局ゲームオーバーになるDEADEND、途中放棄するか矢先の問題を解決しきらないと汚名が付く2つあるBADEND、ある場面で敗北すると突入するANOTHEREND、問題を完全に解決するとたどり着けるTRUEENDに分かれる。同じaskシナリオの「教会の妖姫」などとは違い、相手が信用できるかどうか、目の前の問題を何とか解決する事を考えればちゃんとTRUEENDに行けるよう出来ているが、TRUEENDでもある登場人物の「賢者の選択」によってしこりが残る結果になってしまうのでこのシナリオの結果は一概に成功と失敗だけで分けられない。
なお、現在(2010.10.20)でも「グループASKホームページ」及び「ベクター」からDLする事ができる。
あらすじ
緑の都市ヴィスマールからの帰り道、冒険者たちのパーティーは中央行路の寂しい道筋に一軒宿「賢者の選択亭」を見つける。ひと時の安らぎに今日の疲れを癒している最中、しかし宿の扉が荒々しく開いて、一人の男が飛び込んでくる。騎士ミューゼルと名乗るその男は、冒険者達に向かって理由すら告げないまま同道を依頼する。信頼できる人物と見て、その依頼を受けた冒険者達は、しかし拭いきれない一抹の不吉さをも感じ取っていた。
他作品に対する影響
概要に有るとおり「公式基本シナリオ」として発表されたため、正式な続編は存在していない。その一方、「公式の基本シナリオ」は一般ユーザーにシナリオ作りの助けと成る世界観(ネタ)を提供する目的も持って作られており、作品自体の人気にも後押しされてキャラクター、ガジェット、設定などのクロスオーバーは非常に幅広く行われた。その中でも次の二作は、直接のオマージュ作品として知られている。
他に本作で入手可能なアイテム「カナンの魔剣」は設定上も非常にクロスしやすいため、多くのシナリオでクロスされ、ユーザーシナリオではこれ以上のアイテムも転がっているのも珍しくないが別格の扱いを受けている。
一方、「マルチエンディングでトゥルーエンドもちゃんとあるが、いずれもハッピーエンドとは言い難い」「選択によっては無理ゲーを強いられたり戦闘無しで全滅させられたりする」といった部分に感化され、安易に強制全滅エンドや後味の悪い結末を取り入れた模造品が乱造されてしまった面もある。カタルシスを得られない作品ばかりプレイする羽目になったユーザーが意欲を無くし、CardWirthコミュニティの衰退を招いたと指摘する意見もある。
関連動画
関連項目
関連リンク
- グループASKホームページ
(更新自体は停止)
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