赤ピクミンとは、任天堂から発売されているゲームシリーズ『ピクミン』に登場する、赤色の体と尖った鼻が特徴のピクミンの一種である。
概要
シリーズの顔役ともいえる存在であり、全作品で主人公が最初に出会う、あるいは序盤に仲間になるピクミンとして登場する。その象徴的な姿から、ピクミンと聞いて真っ先にこの赤ピクミンを思い浮かべるプレイヤーも多い。
和名は「アカネピクミン」、学名は「Pikminidae rubrus」。分類上は植物の根が進化して歩けるようになった「歩根類・ピクミン科」に属する、半動半植物の生物である。その中でも特に動物的な闘争心や好奇心が強く、好戦的と評されることもある。
最大の特徴は「火への耐性」と「高い攻撃力」であり、主に原生生物との戦闘や炎が絡むギミックの攻略で活躍する。この優れた環境適応能力と戦闘能力から、熱帯から寒冷地まで幅広い地域に分布しており、ピクミンの中では最も繁栄している種の一つとされる。
繁殖は主に「赤オニヨン」と呼ばれる母体を通じて行われるが、他の色のピクミンを「赤ポンガシグサ」という植物に投げ入れることでも赤ピクミンに変化させることができる。
シリーズ内での登場
赤ピクミンは、シリーズを通してプレイヤーの冒険の始まりを告げる存在として描かれている。
- ピクミン
- 宇宙船の墜落により未知の惑星に不時着したキャプテン・オリマーが、「遭難地点」で初めて出会うピクミンである。オリマーの目の前で赤オニヨンからタネが芽吹き、彼とピクミンの記念すべき最初の出会いを果たす。このステージでは、宇宙船の重要パーツ「メインエンジン」を回収するために、赤ピクミンを25匹まで増やす必要がある。
- ピクミン2
- 借金返済のために再び惑星を訪れたオリマーと新入社員ルーイが、「ねむりの谷」で最初に出会う。オリマーはコチャッピーと戦う5匹の赤ピクミンと合流し、ルーイは赤オニヨンを発見する。
- ピクミン3
- 食糧危機に瀕したコッパイ星の調査員の一人、アルフが「始まりの森」で最初に出会うピクミンである。
- ピクミン4
- 新人レスキュー隊員である主人公が、救助活動の拠点周辺で最初に出会う。今作では、後述する「種火」を扱える唯一のピクミンとして、新たに固有の役割が与えられている。
赤ピクミンは溺れない?
「種のうた」では「青ピクミンは溺れない」と歌われているが、ファンの間ではしばしば「赤ピクミンは溺れない」というフレーズがネタとして語られる。
これは初代『ピクミン』のRTA(リアルタイムアタック)やTAS(ツールアシステッドスピードラン)で用いられる高等テクニックに由来する。2番目のステージ「希望の森」には、水場を越えなければ回収できないパーツ「サジタリウス」が存在する。正規ルートでは、3番目のステージで水に強い青ピクミンを仲間にしてから戻ってくる必要がある。しかし、低日数クリアを目指す猛者たちは、水に弱いはずの赤ピクミンを水場に投げ込み、溺死するまでのわずかな時間(約2秒)の間に笛で呼び寄せて対岸に渡らせるという荒業を編み出した。このテクニックにより、青ピクミン不在でも「希望の森」のパーツを1日でコンプリートすることが可能となる。
このプレイングがニコニコ動画などで広まり、「(RTAでは)赤ピクミンは溺れない」というミームが定着した。
能力
赤ピクミンは、その赤い体色が示す通り、炎と戦闘に特化した能力を持っている。
火への耐性
赤ピクミンの最も顕著な能力は、炎や高熱に対する完全な耐性である。この耐性は、皮膚や筋繊維が極めて燃えにくい特殊なセルロースで構成されているためとされる。
この能力により、以下のような状況で絶大なアドバンテージを発揮する。
- 火を吹く原生生物との戦闘
- ヒノデメマダラやブタドックリといった火炎放射攻撃を行う敵に対して、一切臆することなく攻撃を仕掛けることができる。
- 炎を纏う敵への攻撃
- 全身が燃えているフタクチドックリやファイアチャッピーなど、他のピクミンでは触れることすら危険な敵にも直接攻撃が可能である。
- 火のギミックの無効化
- 地面から炎が噴き出す間欠炎や、燃え盛る床などのトラップをものともせずに進軍・運搬できる。特に初代『ピクミン』では間欠炎が破壊不可能だったため、この耐性は極めて重要であった。
- 種火の運搬
- 『ピクミン4』では、藁の障害物を燃やしたり、カマドに点火したりするための「種火」というアイテムが登場した。この種火を扱えるのは赤ピクミンのみであり、他のピクミンでは代替不可能な新たな役割を獲得した。
高い攻撃力
尖った鼻は見掛け倒しではなく、これを武器にすることで他の多くのピクミンよりも高い攻撃力を誇る。その威力は標準的なピクミン(黄、青など)の約1.5倍に達し、戦闘における主力アタッカーとなる。
シリーズが進むにつれて、赤ピクミン以外にも戦闘を得意とするピクミンが登場した。
特徴の違いは以下の通り。
| 種類 | 特徴 | 長所 | 短所 |
|---|---|---|---|
| 赤ピクミン | バランス型アタッカー | ・火に強い ・攻撃力が高い (1.5倍) ・数を揃えやすい ・扱いやすい |
・火以外への耐性はない |
| 紫ピクミン | 重量級アタッカー | ・投げつけた際の衝撃波が強力 ・攻撃力が高い ・1匹で10匹分の運搬力 |
・足が遅い ・数を増やしにくい ・投げた時の軌道が低い |
| 岩ピクミン | 突撃型アタッカー | ・投げつけると大ダメージ ・潰されない ・硬い壁を破壊できる |
・敵に張り付いての継続攻撃ができない ・打撃以外の攻撃力は標準 |
『ピクミン2』で紫ピクミンが登場した際は、その圧倒的な攻撃力と衝撃波により、赤ピクミンの戦闘における優位性が揺らいでしまい、影の薄い存在として扱われた。
ただし、紫ピクミンは足が遅く、繁殖手段も限られるため、数を揃えて運用するには手間がかかる。その一方、赤ピクミンは序盤から安定して数を増やすことができ、機動力と攻撃力のバランスに優れるため、総合的な扱いやすさでは赤ピクミンが上回る。
『ピクミン3』では、紫ピクミンがミニゲームのみの登場となり、いよいよ活躍か……と思われたが、それに代わって岩ピクミンが登場したのもあり、相変わらず個性に乏しい存在だった。
『ピクミン4』では、一度に連れ歩けるピクミンの種類が3種類に制限されたほか、火に関するギミックの増加、種火の登場などによって、個性がより強まるように調整されている。
関連動画
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関連項目
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