赤兎(せきと)とは、その字の通り「赤いウサギ」を意味する言葉である。
- 赤兎(赤兎馬) - 『三国志』に登場する馬。
- 赤兎(酒)- 焼酎。柚子風味や芋焼酎など様々なものがある。
- 赤兎暴走 - ゲーム『三国志大戦』プレイヤーの一人。誘導先で解説。
- 赤兎(生放送主) - ニコニコ生放送主の一人。誘導先で解説。
本記事は1.について説明する。
概要
『三国志演義』においては西方との交易で得た「汗血馬」であり、名の由来は血のような汗を流したからとも、赤い毛色と兎のように良く走る事から名づけられたともされる。
よく勘違いされるが演義における創作の存在ではなく、実在した事が複数の文献から判明している。
『後漢書』の呂布列傳において
と記述があり、また『三国志』の呂布伝においても「布有良馬曰赤兔」と名が上がっている。更に
と賞されたと伝えられる。
『三国志演義』においては、最初は董卓が持っていた馬だった。後に李粛の策により呂布に贈られ、これにより呂布は養父である丁原を殺害して董卓に仕えた。
その後呂布が曹操に討たれ、赤兎も曹操の手に渡るが、気性が荒く誰も背に乗せようとはしなかった。その後曹操が自分の配下に加えたいと考えて軟禁していた関羽に赤兎を引き合わせると、関羽は見事乗りこなす事に成功。以後彼の愛馬となる。
後に樊城の戦いにて関羽を討った褒賞として馬忠に与えられたが、赤兎は自ら食を断って死んだと伝えられる。ただし馬の寿命の事を考えると長期間に渡り生存、かつ戦場の前線で活躍したというのは不自然で、演義における関羽以降の赤兎については創作であるとも考えられる。
余談 三国志演義では、
なぜか南蛮編の孟獲と祝融も赤兎馬に乗って登場する。
何を言ってるかわからねーと思うが、原文にはっきりそう書いてある。嘘だと思った人は読んでみよう。
しかし特に活躍するわけでもなく、何よりつっこみどころが多すぎる設定のため、ほとんどの三国志作品ではスルーされる事が多い。
補遺
- 三国志人気の高い日本では、この馬の名前からとったと思われるお店やお酒がある。
- トルクメニスタン原産の馬種・アハルテケの先祖は汗血馬だったという説があり、過酷な環境下での適応力と優れた脚力、更に「黄金の馬」と評される美しさで知られている。
後世の創作
漫画『横山光輝三国志』
演義準拠。素早い馬としても知られ、董卓や呂布が窮地に陥った際、赤兎馬のおかげで敵の攻勢から逃げのびている。
漫画『覇-LOAD-』
呂布の愛馬。しかし、赤い馬ではなく額に赤い兎のような火傷を負ったことから赤兎と名づけられた。
人形劇 三国志
演義準拠。呂布がほれ込み、全幅の信頼を置く愛馬だった。その後曹操の手を介して関羽に贈られる。
(度を越した改悪で知られる)卑怯な手段で関羽を殺した呂蒙のようなものの手に渡り、無理矢理乗りこなそうとする呂蒙のようなものに虐待される。最後は呂蒙のようなものを乗せたまま崖に身を投じ、自らの命と引き換えに関羽の仇を取った。
ゲーム『コーエー三国志シリーズ』
所持していると何かしらの効果がある作品が多い(部隊が壊滅or戦場から退却しても捕縛されない等)。
この馬を獲得するには、剛勇の呂布や関羽から奪い取らなければならず楽ではない。また、打開して馬をゲットできたとしても、その時にはすでに自軍が最大勢力だったりするため、真に赤兎馬の効果を発揮できる機会は少なく、実感が沸かなかったりするのは戦略シミュレーションゲームゆえの不幸か。
ゲーム『真・三國無双』シリーズ
呂布の愛馬として登場。
初出は2。荒ぶる呂布を背に乗せて登場、恐怖を更に加速させた。りょりょりょりょりょ呂布だ―!
プレイキャラの階級が低いと乗っても振り落とされてしまうが、レアアイテム『赤兎鐙』を装備することで最初から使う事が可能。でも陸遜だと徒歩のが早くなるんだよね……
その後も強化と弱体化を繰り返し、仕様を変えながらシリーズに参戦している。
小説『三国志』(北方謙三)
長い旅だったな。赤兎に語りかけた。二人で思うさま原野を駈けた。おまえと、俺の戦だった。ほかの誰のものでもなく、おまえと俺の闘いだった。
俺は、老いはじめたのかもしれない。そして、おまえはもう老いている。それで若いものに負けはしなかった。どんな馬より、速く駈けた。おまえを見ると、ほかの馬はみんな道をあけた。(三の巻「海鳴りの日」)
戦場を共にして駆け抜けた無二の友として、たびたび登場。北方氏のロマンチシズムをふんだんに盛り込んで描かれる。
下邳の戦いで浅からぬ矢傷を負い、劉備の旧知でもある馬商人・成玄固の手当てを受ける。この時成玄固を城内に呼び入れる為、呂布が曹操に剛弓の腕前を披露し、その成功を持って要求を通した。
治療は成功して命はとりとめたが、既に戦場を駆ける事が出来ない赤兎は呂布に別れを告げられ、世話役の少年・胡朗と共に成玄固に預けられる。成玄固の営む牧場がある白狼山へと向かうが、道中で呂布の死を悟り、不意に制止を振り切って駆け出すなど、最後まで呂布とは強い絆で結ばれていた。
その後は牧場で心身の傷を癒し、雌馬との間に何頭かの子を設けた。そのうちの一頭が関羽に贈られており、これにより上記の寿命の矛盾を解消している。赤兎自身は老後を穏やかに過ごし、天寿を全うした。
「そうか。呂布様が死なれたか」
赤兎は動かない。溢れてきた涙を、成玄固はまた失った左手で拭おうとした。
「英雄だった。おまえが馬の中の英雄であるように、呂布様は人の中の英雄だった」
赤兎の首を、右手で抱いた。赤兎はじっとしていた。成玄固は、波の音と自分の嗚咽を、一緒に聞いていた。(三の巻「海鳴りの日」)
Fate/Grand Order
第2部第3章『人智統合真国シン』に登場するサーヴァント。クラスはライダー。通称「グリリ馬」。
詳細は赤兎馬(Fate)を参照。
BB戦士三国伝
呂布トールギスの愛馬。本作の馬は例外なくメカニカルなデザインをしているが、赤兎馬だけはなぜか馬イクバイクに変形することができる。カッコいいからだ!呂布トールギスとセットでプラモデル化されている。
SDガンダムワールド 三国創傑伝
呂布シナンジュの愛用するバイク。ついに馬ですらなくなった。性能が高すぎるため呂布ほどの実力者でなければ乗りこなせない。呂布シナンジュとセットでこちらもプラモデル化されている。
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関連項目
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