超先生とは、元Leafのシナリオライターの故 竹林明秀氏の通称である 。
ペンネームは青村早紀・青紫(共にあおむらさきと読む)、BluePurple。
概要
Leaf黄金期のシナリオライターの一員として、『痕』『To Heart』『WHITE ALBUM』などの一部のシナリオを「青紫」などのペンネームで担当していた。特に「To Heart」ではヒロイン8人のうち3人(志保、琴音、レミィ)を任されていた。しかし、社内評価では文才よりも事務員としての才能があったと評されている。ミニゲームを単独で作るなどプログラミングもある程度こなし、裏方として才能を発揮する人物であった。
超先生を一躍有名にしたのは、2ch旧ゲーム板「痕」スレで発生したおまけシナリオ盗作騒動であろう。
商業出版された小説をおまけシナリオ内で盗作したとされるこの騒動は、やがてLeafの企業体質を問う一大祭りに発展し、当時のゲーム板をアーケード板、PCゲーム板、家庭用ゲーム板、エロゲー板に分割させ、さらにエロゲー板を炎上させたことにより、隔離板「葉鍵板」(葉=Leaf・鍵=Key)が誕生するまでに至った。
「超先生」という名称は、盗作騒動に沸き返っていた一時期、『青紫大先生』が事態の拡大により『青紫超先生』に変化し、それが短縮したものである。盗作騒動が落ち着いてくると、氏の憎めないキャラクターから葉鍵板の生みの親、マスコットとして扱われるようになった。また、氏専用AAもあり、葉鍵板を代表するAAキャラとして認知されている。
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/旦/三/ /|
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| 誰彼百円 |/
見ての通り、ニダーの改変であり「超先生」も元は盗作⇒朝鮮製⇒ちょうせんせい⇒超先生というもじりであったと考えられるが、2chに与えた影響が大きすぎたため「大先生」では収まらない人物として素直に捉えられた。AA内の「誰彼百円」は、シナリオ全編を担当した『誰彼』が某ゲームショップにて100円で売り出されていたという画像が貼られたことが元になっている。そのことを皮肉として「100円ライター」というあだ名が付けられた。後に手がけたゲーム「アビスボート」ではLeafFC会員限定で無料配布され、無料ライターという蔑称までついた。
ただ、超先生自身は『WHITE ALBUM』を最後にライターとしては引退していたつもりであり、『誰彼』を執筆する羽目になったのは本来担当するはずのライターが設定だけ作って退社したためである。その時点でLeaf大阪本社にはシナリオ担当業務の経験者が彼しか残っていなかったため引っ張り出されたのだった。敢えて本名で勝負した超先生であるが、轟沈。もちろん盗作など全くしていないが、当時業界のトップを走っていたLeafのライターとしては力不足だったのである。結局、「アビスボート」の無料配布と前後してアクアプラスから退社する。
その後、スタジオメビウスの『SNOW』にて「あおむらさき」なる人物がスタッフロールにスペシャルサンクスとしてクレジットされ、葉鍵板で小さな祭りになったが、この青紫が青村早紀(竹林明秀)を指しているのか別人なのかは長い間謎に包まれていたが、2010年9月7日にビジュアルアーツの馬場社長がtwitter上で竹林明秀本人であった事を公に認めている。
2003年、大阪市内をバイクで走行中にトラックと追突、交通事故により逝去。32歳だった。
盗作騒動
この盗作騒動、元々は『痕』におけるおまけシナリオが原因だった。その内容に、星新一"大先生"らが講談社の雑誌から発行したショートショート(超短編小説)からの剽窃が認められ、講談社が抗議を行ったのが発端である。
元々のおまけシナリオが脈絡のない単発シナリオだっただけに、この盗作騒動は悪い方向にヒートアップしていき、盗作者としての悪名が広まることとなった。Leafとしては単なるパロディのつもりであったのだが、文章丸写しであったことが良くなかった。今の基準で考えると完全にアウトだが、それはそもそもこの件があって基準が厳しくなったためであり、当時としてはギリギリアウト(所詮エロゲーだし、といった理由)程度であり騒動の激化に拍車をかけた。なあなあですまされてきたグレーな業界の遵法精神はこの事件を期に高まることとなった。
表現技法
氏の文章の使い回しには特徴があり、特に有名なのが「反復表現(トートロジー)」と「リアルリアリティ」である。
琴音が起こす超常現象も私なりの”現実感”で描写されています。
黒く光るのは慣性力を奪われた光子――。
白く光るのは放射線状に揃えられた光の三原色――。
私は琴音のために””リアルリアリティ””なる言葉を捧げたいと思います。
このような独特の表現をリアルリアリティ(通称RR)という。もちろん「現実よりも現実らしい」とは言えない。
また反復表現の代名詞として、「誰彼」における以下のフレーズが挙げられる。
「お前がいま感じている感情は精神的疾患の一種だ。しずめる方法は俺が知っている。俺に任せろ。」
通称、感感俺俺。こうした言語センスもまたリアルリアリティの一部とみなされている。
2chなどの掲示板における「複数行の文章による『縦読み』の技法」も、元々はLeaf公式掲示板での青紫関連のレスを片っ端から削除する方針に反逆して広まった、とされている(それ以前から縦読み技法は存在していた)。
このように、多少日本語のおぼつかないのが超先生の特徴であるが、同時に創作に対する熱意もびんびん伝わってくる。超先生が逝去した2003年は、ギャルゲーのシナリオボリュームが肥大化の一途をたどっていた時期であり、ライターには質よりも熱意よりも量と速さが求められ、2010年代におけるエロゲー・ギャルゲー衰退の芽が既に撒かれていた。そのため、超先生の死後には彼の上手いとはとても言えないが味のあるシナリオは再評価され、「リアルリアリティ」も必ずしも否定的な言葉ではなくなった。生前にもとんちんかんな言動が愛されてはいた。
超先生は古い世代の、1980年代の感性を引き継ぐ素朴かつ奔放なオタクであった。親友で元同僚の高橋龍也(To Heartメインライター、現在アニメ脚本家)が21世紀へと繋がる新たな時代を切り開いた一方で、超先生自身は古い時代のままにいた。古いからと言って悪いわけではないのだが、皮肉にも親友が作り出した時代の変換点において悪い面ばかりが際立って人身御供となってしまったのである。
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