超学歴社会とは、学歴を非常に重要視するシステムを採用している国や組織(企業など)の総称のことである。
概要
よく「学歴社会は日本国や韓国(大韓民国)などの東アジア圏特有のシステムであり、欧米では学歴は全く関係なく完全な実力主義の社会だ」と誤解されることがあるが、実際には先進国(欧米に多い)の多くはむしろ日本以上に学歴を重要視していることが多い。国によっては学歴でほぼ身分(社会階級)が決まる、事実上の階級社会になっている場合すらある。そもそも学歴社会じゃない国というのは「そもそもマトモな教育制度自体が存在しない国」(失敗国家)くらいである。
また、一部の企業や職業でも学歴を重要視することが多く、表向きは実力主義とされていても実際には最終学歴(出身大学など)で待遇が決まってしまうことも少なくない。特に多くの大企業や公務員は学歴によって職種が明確に分けられていたり、出世のしやすさも大きく変わってくる。一方で中小企業の場合は大企業ほど学歴を重要視しておらず、高卒や専門学校卒業でも幹部候補になれることも多い。逆に言えば中小企業の多くは人手不足であり、そもそも出世しないとあまり良い待遇が期待できないという厳しい現実もあるわけだが…。
超学歴社会とされている主な国
信じる信じないはあなた次第です。
アジア
日本や台湾(中華民国)と並ぶアジアの先進国で、かつ中華人民共和国(中国)と並び東アジアでもトップクラスの超学歴社会の国として有名。日本と違って中小企業がほとんど存在しないため、マトモな就職先はほぼ大企業ばかりという感じになっている。また、大企業はほぼ大卒以上しか採用しない(ちなみに日本は工業高校などの出身者であれば高卒でも大企業を狙いやすい)ため、必然的に受験勉強は日本以上に過酷になりがちである(しばしば「韓国の高校生は遊ぶ暇が無い」とか「高卒だとチキン屋(韓国チキン)か軍人か芸能人になるしか無い」などと揶揄される)。
さらに日本以上の学閥社会でもあり、大卒の中でも卒業した大学の名前がより重要視される。
東南アジアで唯一の先進国、かつ東南アジアトップクラスの超学歴社会の国である。
ドイツと同様に中学校からコース別に分かれ、小学校の成績上位者は快速コースに、下位者は普通コースに進学する。快速コースではエリート教育が行われ、多くの卒業生は大学に進学する(快速コースの成績不振者は日本でいう高等専門学校に進学することが多い)。普通コースから大学に行くのはきわめて困難で、多くは専門学校に進学する。
また、シンガポール国立大学という、アジアトップクラスの名門大学も存在する。
ヨーロッパ
イギリスと並ぶ、ヨーロッパではトップクラスの超学歴社会。基本的に大学で学んだことがそのまま仕事に直結するという感じであり、日本でいう「文系の大卒が理系の仕事をする」という事例はほぼあり得ないらしい。
また、グランゼコールと呼ばれる大学よりも格上のエリート養成機関が存在し、「役人になりたければ(または良いところに就職したければ)グランゼコールに行きなさい」と言われるほどである。
流石にイギリスやフランスほどではないが、ドイツも日本以上の学歴社会である。
ドイツの教育制度の最大の特徴としては、進路の決定が早いことがあげられる。中学校から学科別に分かれるため、小学生のうちに普通科(大学進学を希望する人向け)か実業系の学科(日本でいう工業高校や農業高校など)かを選択する必要がある。多くの場合、勉強が苦手な子は実業系の学校に行く。ただし、「普通科に行けなければ人生終了」というわけではなく、実業系の学校に行ったとしても優秀な職人になれれば公的に高い評価を得られるマイスター制度が存在する。
北米
「実力で評価される国」として有名な米国だが、実際には大学を卒業するのが日本より遥かに難しい(実力が無いと卒業できない)ため、事実上の超学歴社会となっている。また、米国は多民族国家かつ多様性を尊重する素晴らしい国であるため、表向きは生まれつきの要素による差別(人種差別、障害者差別など)は禁止されているが、学歴は努力によって手に入れるものであるため学歴差別はむしろ日本以上に横行している(もっとも、戦前の日本やイギリスなどと異なり、米国には生まれた家で身分が決まる階級社会だった時代が一度も無い、という事情もあるが)。
基本的に米国でサラリーマンとして働く場合は日本以上に学歴が重要視されると思って良い。大企業はおろか中小企業ですら「幹部候補は大卒以上じゃないとダメ」としているところがほとんどである。特に大企業ならなおさらシビアで、「大学院まで行っていないなら一流大卒(ハーバード大学など)ですら話にならない」と言われてしまうほど。そのため、米国では一旦高卒で社会人になってから、働きながら大学や大学院に通う人も多い(もっとも、米国の奨学金制度が日本以上に充実しているという羨ましい点も考慮する必要があるが…)。
もっとも、ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズのような起業家や、大谷翔平やイチローなどの飛び抜けた才能を持っている人であれば学歴を度外視できることもあるが、これは非常に稀なレアケースである。
ただし日本や韓国などの東アジア圏と異なり、米国では卒業した大学の名前はそこまで重要ではなく、むしろ大学や大学院で何を学んだかの方が重要視されるという違いもある。
ちなみに米国では学歴による平均寿命の格差が激しいらしく、大卒以上と高卒以下では日本以上に大きな差がある。また、人種別の平均寿命だと高学歴が多い白人やアジア系アメリカ人(日系アメリカ人など)の平均寿命は先進国並みだが、低学歴が多い黒人やインディアンの平均寿命は発展途上国並みに短いという統計データも存在する。「人種差別はダメだが学歴差別は仕方ない」とは一体…?
また、米国では奨学金を得るために軍隊(米軍)に入隊する若者も多いのだとか。
超学歴社会とされる主な職業
時々「医者(医師)の世界は実力主義だから、医師免許さえ持っていれば出身大学(何処の医学部医学科か)は関係ない」と言われることがあるが(開業医ならそうだが)、実際には勤務医の場合は出身大学によって出世のしやすさや待遇などが大きく異なる。
「飛び抜けて手先が器用で手術が得意」とか「人望がありコミュニケーション能力に優れる」などの長所がある場合はともかく、基本的には国公立大学や有名私立大学(慶應義塾大学医学部、東京慈恵会医科大学、日本医科大学など)出身の医者の方が、三流私立大学出身の医者よりも高く評価されることが多いという厳しい現実がある。医者の世界って意外と保守的なのね…。
ちなみに医学部医学科は偏差値が低いところほど卒業するのが難しいという傾向があると言われている。これは「難関国家資格である医師国家試験の合格率を下げないため」と言う理由があるからだと言われている。特に上位校以外の私立医科大学は学費が尋常じゃなく高いのもあってか留年・中退する人も少なくないので入学する場合は注意が必要である。
関連項目
親記事
子記事
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兄弟記事
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