「超獣戦隊ライブマン」とは、1988年~1989年にテレビ朝日系列で放映されたスーパー戦隊シリーズ第12作目である。
2015年11月9日~26日にかけて、ニコニコ生放送で全話無料上映会(※一部はプレミアム会員のみ視聴可能)が実施された。また、12月11日には全話一挙上映も実施される。
あらすじ
科学者育成学校「科学アカデミア」に所属する天宮勇介、大原丈、岬めぐみ、矢野卓二、相川麻里は宇宙空間活動用スーツの研究中に学友の月形、仙田、尾村が正体不明の宇宙船へと消え去ろうとする場面を目撃する。
五人は月形たちを止めようとするが、卓二と麻里は月形の放った凶弾の前に倒れてしまった。
それから二年後、武装頭脳軍ボルトの尖兵となった月形たちは科学アカデミアを襲撃、これを全滅に追いやる。
生き残った3人・・・・勇介・丈・めぐみは、二年の間に卓二と麻里の仇を討つ為の強化スーツと三体のメカを開発していた。
彼らは「超獣戦隊ライブマン」となり、地球の生きとし生けるものの為、ボルトとの戦いに立ち上がった!
概要
スーパー戦隊シリーズ十周年記念作品(当時はゴレンジャーとジャッカー電撃隊がシリーズにカウントされていなかった)かつ、昭和最後のスーパー戦隊である。
記念作品として制作されたため、数々の新規要素が盛り込まれている。
- ・話題を呼んだキャスティング
- 新人俳優の起用の多いスーパー戦隊シリーズだが、今作においては天宮勇介/レッドファルコンに嶋大輔、岬めぐみ/ブルードルフィンに森恵と当時すでに実績のあった俳優が起用され話題を呼んだ(大原丈/イエローライオンは当時新人だった西村和彦)
- ただし、二人の出演料が予算を圧迫したのに加えて東映まんがまつりの特撮枠は同時期に放映されていた仮面ライダーBLACKが優先されたため、シリーズ初の劇場版が作られていない戦隊ともなってしまった。
- ・追加戦士のレギュラー化
- サンバルカン以来の三人戦隊として始まったライブマンだったが、卓二の弟、鉄矢(ブラックバイソン)と麻里の弟、純一(グリーンサイ)が中盤で参戦、五人戦隊として戦うことになる。
- 新メンバー登場はジャッカー電撃隊(ビッグワン)や前年のマスクマン(X1マスク)にもあったが、これらは司令官としての参戦や一話限定の登場であったため、純粋なメンバー追加はシリーズ初の出来事となる。
- なお、当初の予定では追加戦士の登場予定はなかったらしい。
- ・ブルーの女戦士、ブラックとグリーンの競演
- 初期メンバーのスーツカラーは赤、黄、青であり、それまで女戦士のカラーとして使わていたピンク、白が含まれていない。
- そのため、めぐみのスーツカラーに青が採用され、初のブルー女戦士(ブルードルフィン)が誕生した。
- また、本作の色にまつわるもう一つの特徴として、グリーンとブラックの初競演があげられる。
- 緑色はテレビに映ると黒に見えることがあること、さらに両色とも暗い色であり「にぎやかさ」を基本とするシリーズコンセプトにそぐわないため競演が避けられてきたが、今作において初競演を果たした(五人戦隊でブラックとグリーンが共存しているのは他にゴーオンジャーとキョウリュウジャーとリュウソウジャーのみ※2022年現在。)
- ・巨大ロボのスーパー合体
- フラッシュマン以降のお約束として、ライブマンにも一号ロボ・ライブロボと二号ロボ・ライブボクサーが出てきたが、その二体が合体し、戦隊史上初のスーパー合体を果たす(スーパーライブロボ)
- これも当初の予定にはなかったらしく、それが原因なのかライブボクサーの玩具は少し残念な出来になってしまっている。一説によると同年にライバルのタカラ社が展開していた「トランスフォーマー 超神マスターフォース」の玩具「ゴッドジンライ」に影響を受け、ライブボクサーの構造を無理やり変更したと言われている。
- ・司令官の殉職
- 基地や兵器を開発しライブマンを陰から支えてきた実質的な司令官にあたる星博士は、第2話にて妊婦を救った際に命を落とした。
- 戦隊メンバーが何らかの理由により死亡・殉職することはゴレンジャーの頃からあったが、司令官クラスの人物が死亡するケースは戦隊シリーズでは初である。
- ・男子が敵の子供を出産
- 31話にて、グリーンサイが敵の怪人の光線を受け怪物の子供に寄生されてしまう。しかも寄生された本人が自ら出産を希望しめでたく誕生した。
- 「男子高校生」である「戦隊メンバー」が「敵の怪人の子供を産む」というのは、おそらくまったく例として存在しない。色んな意味で斬新初である。
この中でもメンバーの追加要素は目論見通り好評で、年末商戦におけるライブボクサーの売り上げの好調につながったとされる。
視聴率も、昭和末期の戦隊シリーズの中では特に最盛期を迎えていた前作や前々作「フラッシュマン」「マスクマン」と比べれば低下したが、それでも平均視聴率(関東地区/ビデオリサーチ調べ)は10.5%と「バイオマン」等、それ以外の過去のシリーズと比べても遜色のないものだった。
但し、本作と同時期に発生した東京・埼玉連続幼女誘拐殺人事件によって、暴力的な演出や特撮作品への風当たりが親世代を中心に強くなり始めていたことや、番組後半の好評も考慮して、次回作「高速戦隊ターボレンジャー」においては、シリアス路線ではなくキャラクターモチーフの重視や低年齢向けの路線をより強化することとなった。
なお、それまでブルーバックが基本だった提供画面が、本作の番組後半よりメンバーの集合写真を使用した背景に変更された。これが後のシリーズでも定番となり、1999年の「救急戦隊ゴーゴーファイブ」まで続いた(「未来戦隊タイムレンジャー」以降は写真ではなく映像を背景に表示されるようになった)。ただし、遅れネットだった朝日放送では提供差し替えの関係で別の写真が使われたほか(スポンサーが「後楽園グループ」の所が同じ後楽園グループの「大阪後楽園ホテル」になっていた他は同一だが、BGMがインストになっていた)、系列外のネット局ではローカルスポンサーを組み込む関係でブルーバックが引き続き使われた所もあった。
登場人物
超獣戦隊ライブマン
天宮勇介/レッドファルコン
ライブマンのリーダー。一般人に比べ頭脳は優秀であるが、アカデミア内部では常に丈と成績の最下位争いしていた。
剣術の使い手。丈、めぐみの他にも卓二、真理、悪魔に魂を売る前の剣史、ルイ、豪とは親友だったが・・・
「百獣戦隊ガオレンジャーvsスーパー戦隊」にも登場。豪以外4人の墓参りに来ていたが・・・
大原丈/イエローライオン
猪突猛進型の熱血漢。勇介と同じく、一般人に比べ頭脳は優秀であるが、やはりアカデミアでは勇介と常に最下位争いしていた。
スケボーが得意。後編になるとサブリーダーとして勇介を支えた。
後述の「海賊戦隊ゴーカイジャー」にも登場。
岬めぐみ/ブルードルフィン
三人のまとめ役。頭脳は真の意味で優秀で、アカデミア内でも常に上位であった。ルイとは親友でライバルであった。ルイが悪魔に魂を売り、マゼンダとなった後は友情のないライバル関係にあった。
矢野鉄也/ブラックバイソン
勇介達を庇って死亡した卓二の弟。登場したての頃は言葉遣いが粗暴で初期の3人とソリが合わないことが多かった。ボクシングが得意。
相川純一/グリーンサイ
勇介達を庇って死亡した麻里の弟。鉄也を兄貴分として慕っている。
ラグビーが得意。
科学アカデミア
矢野卓二
科学アカデミアでは勇介たちの一番の親友。ライブスーツの原型とも言える宇宙空間活動用強化スーツは彼が開発した。1話で剣史たちがボルトの元へ行くのを目撃、命を狙われた勇介達をかばい凶弾に倒れた。
相川麻里
第一話冒頭で卓二とともに勇介達を庇って死亡した親友。サイファイアーの設計図を遺している。
星博士
アカデミアの校長。アカデミアが襲撃を受けた時瀕死の重傷を負った。勇介、めぐみ、丈に超獣の力を教えた後
息を引き取った。戦隊シリーズでは物語途中で殉職した数少ない人物。
コロン
星博士が遺したロボット。中国娘をイメージさせる容姿が特徴で、実質的な司令官となる。
ムーンウォークが得意なんだコロン。フゥーッ!!
武装頭脳軍ボルト
大教授ビアス
優れた頭脳のみが意義あるものであり、人類の大部分は下等な存在であり、世界は優秀な天才こそが支配すべきだと考える天才による支配を理想とする首領。地球侵略と共に「千点頭脳」と呼ばれる最優秀の頭脳を求めている。
月型剣史/ドクターケンプ
アカデミアで最も優秀な成績を収めた学生で、かつて勇介、丈、めぐみの友人だったが、物語冒頭で他人を見下し始めていた。そして3人と袂を分かち、ルイ、豪と共に悪魔に魂を売った。
非常にエリート意識が高く、プライドが高い。一方で失敗をしたことがなかったためか、失敗をした時には焦りや他人のせいにすることもあり、心は子供のままであった。(奇しくも、3年後に同じ広瀬匠氏が演じたトランザに性格が似ている。)
仙田ルイ/ドクター・マゼンダ
アカデミアでケンプに次いで優秀な成績を収めた学生で、かつてめぐみとはルームメイトであった。しかし、性格は残忍で、友情や愛は学問の研鑽には邪魔であると言い放つほどであった。そして剣史、豪と共に悪魔に魂を売った。
変装の達人であり、サイボーグ化しているとはいえ人間に化けることも少なくなかった。
尾村豪/ドクター・オブラー
アカデミアではどちらかというと勇介、丈に似たような境遇であった。生まれつき天才だったわけではなく、母親に強要されてアカデミアに入り、剣史、ルイが受けたボルトへの関門を懇願して受けてボルトに入った経緯を持つ。
毒島嵐/ドクター・アシュラ
アカデミアの関係者ではなく、腕っ節の強さで反社組織のボスになった男。縄張りを荒らした頭脳獣を腕っ節で服従させたことでビアスに目を付けられて教育+改造により幹部となる。ビアスの下に来るまでは指を使っても1桁以上の計算ができない頭だったため学者など学歴の高い人間を憎んでいる。
ガードノイド・ガッシュ
ビアスの護衛と頭脳獣製造・巨大化を担当するロボット。それまでの巨大化担当敵キャラクターが巨大化に特化していたのに対して戦闘も長けておりライブマンを苦しめた。最終回でのビアスへの忠義は必見である。
35周年記念「海賊戦隊ゴーカイジャー」では
第30話で元イエローライオンであった大原丈(西村和彦)に出合い、ゴーカイブルー=ジョー・ギブケンは敵に改造されたシド・バミック(バリゾーグの正体)を助けるべく戦いで手に入れた設計図を元に調べるが、それは「人間の良い部分だけ残して、他はすべて機械で埋め尽くす」という非道きまわりないものだった。
つまりジョーの先輩、シドはもう人間ではなく完全なる改造ロボット。もう、元には戻らないのである。
絶望するジョーに対し丈は「かつてライブマンだったとき、悪魔に魂を売った友」のことを話し始めたのである。
丈は「結局助けられなかった友」、そして「今生きる若者達に自分達と同じ過ちを犯してほしくない」気持ちを語った。そしてバリゾーグのような改造ロボットを作ろうとしていた敵に対し、ジョーの「先輩の同じようなことはさせない!」と言い、敵を倒すことに成功する。このように、かつて悪魔に魂を売った友と対峙、苦悩の上でこれを打ち破った丈の意思をジョーに伝えていくと言う胸アツなストーリーとなっている。
ちなみにこのエピソードではライブマンへの変身に専用のシーンが追加。ブラックバイソン、グリーンサイも加えた5人での変身は当時一度も実現しておらず、23年越しの5人変身が行われる事となった。ワイヤーフレームも大幅に進化しているので、DVDにて是非ご視聴あれ。
関連生放送
関連動画
公式配信以外の動画は悪魔に魂を売り渡したため、権利者の下へ降っている事が多い。ここでは科学アカデミアの元で保管されている数少ない動画の一例を紹介。
MMDモデル
関連コミュニティ
関連項目
超獣戦隊ライブマン
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