超者ライディーンとは、1996年10月2日から1997年6月25日までテレビ東京系にて放送されたテレビアニメである。
概要
1975年4月4日から1976年3月26日まで放映された『勇者ライディーン』を原案としたテレビアニメ。全38話。旧作同様サンライズの制作で、スポンサーはバンダイ。制作スタジオは「サンライズ第8スタジオ」で、同スタジオ初の仕事はこの作品だと言われている。
正義のライディーンたちと、ルーシュ・デ・モン率いる悪魔の軍団「超魔」との戦いを描く。
ただし今作はロボットものではなく、「聖闘士星矢」などの流れを組む"美少年変身ヒーローもの"である。
本作の一番の特徴は、男性陣の全裸になる変身シーンであろう。ライディーン戦士達は変身時に全裸になる(OP映像でもおなじみ)事は勿論、変身が解けた後も全裸のままである。しかも服は破けてしまう為一々新しい服を用意しなければならなかったりする。
そして当時としてはかなり珍しい「劇中で主人公が男性アイドルグループをやりながら戦いに身を投じていく」という、良くも悪くも視聴層をかなり割り切った作風であった。
このような要素はアニメや様々な媒体でバーチャルアイドルブームが到来した2000年代後半以降に注目を集める要素であり、近年では時代を先取りしすぎ、出るのが10年早かったと言われることも多い。実際女性向けの美少年媒体自体がこの時期はまだ黎明期であり、乙女ゲーの元祖「アンジェリーク」シリーズの第一作も1994年発売であるなど、今作が放送された1990年代はまだまだ"美少年人気は少年漫画の付属物"という、旧来のアニメ路線に基づいた認識が多く、実験的な本作にSF路線が加わったのも、(テレビアニメであるのなら尚更)そういった背景があるのではとも言われている。
ただしシリーズ構成を「超音戦士ボーグマン」で変身ヒーローに既に実績がある園田英樹が担当していることもあってか、内容自体は戦闘パートにもしっかり見所があるものであり、露骨に女性向けの内容という訳ではない。実際表向きの対象年齢層は販促展開も含めて男子児童層であり、エピソードの中には子供のゲストキャラクターを超魔から守るといった話もある。
そしてゴッドライディーンが登場して以降の第3クール以降は、人類存亡の危機に立ち向かうシリアスでディストピアなさがらの舞台が描かれる。しかも主人公の鷲崎飛翔がとある理由から廃人同然と化し、その状態が6週分も続くという、前代未聞の重苦しいアニメに変貌していくなど、最早男性アイドル的要素を忘れさせるほどの熱い展開に軌道修正されていく事でも知られる。
男が裸になる軟派なアニメかよとタカをくくっている未見のアニメファンは一見の価値有りと言ってもよく、永井豪漫画ばりの陰鬱さと終盤の熱さには男性視聴者からも定評がある。もっとも本作の年代は「新世紀エヴァンゲリオン」の放送直後ということもあって、所謂ポストエヴァアニメと呼ばれる陰鬱な展開を良しとする風潮が蔓延っていた事もあながち無関係ではないだろう(そもそもこの作品の放送枠自体がエヴァの前々番組である)。
また最終回は何気に大張正己も原画に参加しており、同時期の「超人学園ゴウカイザー」「魔法騎士レイアース」を彷彿とさせる、バリバリな作画が見られることでも知られる。
ちなみにコロコロコミックにて漫画版も連載されていた。全2巻。ただしその内容は後に平成仮面ライダーシリーズのコミカライズも手掛けた坂井孝行が描いている為、その例に漏れず、漫画版は純粋なヒーローものとして描かれており、アイドル路線を含んだ原作とは異なり典型的なヒーロー漫画になっている。
他方、BLやショタ好きのお姉さま方により同人活動が盛んだったためアンソロコミックなども発売された。こちらは当然と言うべきだがアニメ同様キャラクターに焦点を絞った作品である。
担当声優は豪華であり、デビュー間もない伊藤健太郎の初主演作品で彼の出世作の一つでもある。この作品以降から暫く同氏は「小さな巨人ミクロマン」のアーサーや「スーパードールリカちゃん」のイサム、「地球防衛企業ダイ・ガード」の赤木駿介など、今作の飛翔を彷彿とさせる熱血美形キャラを多数演じている。
玩具はバンダイからバードチェンジシリーズというライディーン戦士の変形フィギュアや、DX超合金からゴッドライディーンが発売された。しかし売り上げが振るわなかったのか、後半のザ・ハーツが変身するライディーン戦士は発売されなかった。バードチェンジシリーズは玩具の出来自体はかなりよく、ワンタッチで展開する翼やメッキを使用した出来自体はかなり良いものである。
当時の人気は高く放送期間が1クール延長されるほどだった。これは前述の通り、本作の放送していた水曜18時半という放送枠が「新世紀エヴァンゲリオン」「VS騎士ラムネ&40炎」といった前番組によってアニメファンの知名度が元々高かった事も大きかった。しかしヒーローものという枠組みにしては視聴層を割り切り過ぎてしまった作風故なのか、放送後は再評価の機会に恵まれなかった。
そのせいかサンライズ・バンダイ制作の作品の中では珍しく、VHSやLDの発売以後は長らく映像化に恵まれない作品のひとつであったが、2020年に初のDVD化、8月28日に全38話をディスク5枚組で発売。
また有料配信は長らくバンダイチャンネルのみとなっていたが、2022年4月よりニコニコ動画内でもDアニメストアでの配信が開始されている。
ストーリー
(1話~28話)
かつてライディーン一族が使用した超兵器ゴッドライディーンの封印を解くための鍵となるゾディアックオーブをめぐって現代に復活したライディーンと超魔が戦いを繰り広げる。
(29話~38話)
運命を受け入れようとするライディーン戦士と運命にあらがうライディーン戦士が二手に分かれて戦わなければいけなくなる。
登場人物ら
- ANGEL
- ライディーンの理解者であり支援者でもある天賀井玲子の意向により結成されたアイドルグループ。前大戦の記憶継承が不完全なライディーン戦士5人で構成され主人公である鷲崎飛翔を中心としている。無名の素人集団でありしかも彼らしか所属する人間がいないという超零細事務所であるため芸能の仕事は全くなくせせこましい活動ばかりしていた。
ちなみに声優の多くは後に中堅となるが当時は新人クラス。 - ザ・ハーツ
- 新進気鋭の若手バンド。前大戦の記憶がほぼ完全に継承されたライディーン戦士で構成されている。リーダーである南条一夜が非情な決断をとりがちであり彼を慕うメンバーもそれに従うことが多い。
ちなみに声優は当時の有名どころが担当している。 - ゴッドライディーン
- 前大戦でライディーン達が作り上げて一族を勝利に導いたという強大すぎる兵器。
白と金を基調とし光沢のあるボディは美しいとも言える神がかった姿をしている。
当初は絶大な力をもった兵器でしかないと思われたがやがて自らの意思により超魔を滅ぼしライディーンと人類にも向かってきた。
謎
ゴッドライディーンが今のライディーンや人類に対して牙をむいた理由は最後まで明らかにされていない。
伝承や記憶やキーとなる人物の台詞に嘘があったのか、ゴッドライディーンに芽生えた意思がそうさせたのか、何者かの意思により何かがねじ曲げられたのか、昔のライディーン達に何かの思惑があったのか。これといった材料はなく疑えばきりはないだろう。
考察する価値があると思われる情報といえば28話のルーシュと38話のゴッドライディーンの次元と世界に関する台詞くらいであろうか。
これが衒学的というやつか。
パロパロらいでぃーん
ビデオに一本ずつ収録されたおまけ。本編のシーンに声優が声をかぶせて作られたパロディ。まさに公式MAD。
Dアニメストアの配信でも各話に収録されており視聴が可能である。
関連動画
関連商品
関連リンク
関連項目
- 5
- 0pt