跡部のぬら岩伝説
その昔、信濃国跡部郷(今の長野県と山梨県の県境付近)のある村には、名を濡良(ぬら)と言う若い娘が一人で暮らしていました。
濡良はそれはそれは美しく、気立ての良い娘でした。そんな濡良に、村の男たちはこぞって婚姻を申し込みましたが、濡良は決して首を縦に振りませんでいた。
そんなある年、村の近くで大きな戦がありました。三日三晩続いた後、戦に破れた一人の侍が村に流れてきました。その侍は深い傷を負っており、今にも息絶えそうでしたが、村人はよそ者である侍に手を差し伸べようとはしませんでした。
そんな村人の中で、濡良だけは侍をたいそう不憫に思い看病することにしました。
来る日も来る日も濡良は看病を続けましたが、不思議と苦痛ではありませんでした。そして何時しか、濡良は侍に恋心を抱くようになりました。また侍も、自分を甲斐甲斐しく看病してくれる濡良に心を惹かれていくのでした。
やがて歩けるまでに傷の癒えた侍は、自分の故郷に戻ることを決意しました。侍と別れたくない濡良は必死に引き止めましたが、侍の決意は変わりません。
侍の出発の日、濡良は村の峠まで侍を見送りをしました。侍は別れの際、いつか必ずこの峠を越えて濡良の元に戻ってくることを誓いました。
それからというもの、濡良は雨に日も風の日も、侍の帰りを待ちわびて峠に行きましたが、いっこうに侍は戻って来ません。村の者もそんな濡良を心配しましたが、濡良は峠に行くことを止めようとはしません。
やがて雪の降る寒い日、村人が心配して峠に行ったところ、そこに濡良の姿は無く、濡良に良く似た形の岩があるのみでした。
村人たちは、その岩を濡良の化身と考え、末永く供養したということです。
・・・ということは編集者の妄想であり、実際はWOW石の滑舌の悪さに起因する空耳です。
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