車載PCとは、汎用のパーソナルコンピュータ等を自動車に自動車内で使用するために搭載することである。
概要
簡単なものでは、ノートPCやタブレット型PCをステイなどで固定する・そのまま積むなど。
モバイルPCを利用する方法があるが、本格的なものではDC-ACインバーターや車載用電源装置を用いて既存デスクトップPCや自作PCなどを車に固定するものもある。
また、最近ではiPadやAndroid・WindowsMobileタブレットなどを車に搭載するものを含めることもあるが、
基本的にはx86やx64アーキテクチャの"PC"を搭載したものを一般に車載PCと呼ぶ。
車載PCに利用されるPCは様々で、車載専用に設計されたPCを搭載する場合もあれば、汎用の比較的省電力で、熱や耐衝撃性に優れる部品を使って自作したり、ノートPCを改造して車載に向く構成にするものもいれば、普通のデスクトップPCをそのままDC-ACインバーター等で使用する大雑把なやり方もある。
メリットとデメリット
メリット
・ほぼ地球上に存在するありとあらゆるメディアやフォーマットが比較的自由に再生可能である。
・車載動画や、走行履歴。ドライブレコーダーなど、車に関するあらゆる情報が取得できる。
・俺の車他と違ってチョーかっけー という自己満足に浸れる。
・汎用品を使って構成できるので、スキルがあれば部品を組み替えて簡単に修理できる。
デメリット
・消費電力が大きいため、オルタネーターやバッテリーの寿命が短くなる
・走行中にいじると事故のリスクが高まる。
・知識の乏しい者が電気系統を無闇に変更すると、車両火災などの最悪の事態を招くことがある。
・俺超カッケーに反して「何あの人きんもー☆」になる可能性がある。
・加工技術や資金が乏しいと車内がダサくなる可能性がある。
ハードウェア
前述のとおり、車載PCに利用するハードウェアは様々であるが、ここでは自作する場合にどのような工夫をしているのかを記述する。ノートPCやタブレットデバイスを利用する場合、かなりお手軽にできるため、ここでは記述の必要がないと判断したため省略する。
ディスプレイ
車載PCに利用されるディスプレイはカーナビサイズの小型のものが多く、大きくても10インチ後半のディスプレイを利用する場合が多いようである。10インチ前後のディスプレイを車載向けに12Vで駆動するように改造したり、DC-ACインバーターを介して搭載する方法もある。また、液晶パネルやキットを購入し、自作する強者も存在するが、その場合外観などの加工技術を要求される。最近ではUSB電源で駆動するディスプレイも販売されているためそれを使うのが手軽である。日の当たる車内で使うという特性上、グレアよりもノングレアのほうが好ましく輝度の高いものが視認性の上で必要になる。タッチパネル対応のディスプレイを用いれば、簡単な操作がタッチで完結するので導入しているケースも多い。ただ、タッチパネル対応、フルHD、入力がHDMI、10インチ以内、高輝度、ディスプレイの電源を押さずに信号ONで表示されるといった条件を満たしているディスプレイは現在のところほとんどない。もちろん車載PC向けをうたったディスプレイも存在するが、高価でありながら、ほとんどがマルチタッチに非対応になっている。また、ディスプレイをデスクの上にそのまま置けばよいという一般のPCとは異なり、加速や減速を繰り返す車内ではディスプレイを車に固定する必要があり、ディスプレイの固定が車載PCを導入するにあたって大きな問題となりうる。
入力デバイス
車載PCの場合、マウスやキーボードを利用するのに難がある場合が多く、
主にタッチパネルが利用されるがトラックボール式マウスやタッチパッド、ThinkPadのような百毫付きのキーボードを使用するという方法もある。
キーボードについては、そもそも搭載せず、OS標準やサード製のスクリーンキーボードを利用する方法もあれば、
小型のキーボードを使用する場合もある。また、前途の百毫付きキーボードを利用する方法もある。
また、用途によっては複雑な操作が必要ないため、ゲームパッドで代用したり、市販ゲームコントローラをPC用に接続して使うなどの方法もある。
CPUおよびマザーボード
車載PCの場合、CPUは一般的なCoreシリーズやPentiumシリーズを搭載することもあるが、基本的に低消費電力なAtomやCeleron、VIA社製のCPUを利用する事が多い。最近ではアーキテクチャの微細化による省電力化が進んでおり、Core i3,i5,i7を車載PCに組み込んでも車のバッテリーで問題なく駆動できる。車載PCであれこれやろうとすると、ATOMでは性能不足になる場合もある。どの程度の性能が要求され、どの程度の電力なら許容できるのか、車載PCのCPU選びは自作erの力の見せ所である。
マザーボードは、拡張性に富むATXよりもMicro-ATXやMini-ITXなどの小型のマザーボードを使用することが多い。これは拡張性よりも設置場所の問題である。電源をバッテリーに依存しているという制限のため、消費電力の大きなグラフィックボードをつけることは現実的ではなく、CPU内蔵のグラフィックを利用するか、マザーに内蔵したグラフィックを利用することになる。
また、ジャンクノートから取り出したシステムボードを使用する方法もある。ネットオークションで画面なしの下半身のみのものやシステムボードのみの出品もあり、格安でシステムを構築できる。元々ノートPCのため省電力性に関しても使いやすいという利点もある(ものによるが、アイドル10W以下のシステムを簡単に実現できる)。選び方としては、D-sub15ピンやHDMI、USB3.0コネクタ、HDDコネクタ、電源スイッチが直接システムボードに付いているもので、ディスプレイをつなげなくてもBIOS表示できるものが使いやすい。USB端子やHDMI、オーディオ関係の基板などが何枚もの基板に分かれているものは少し使いづらいので避けた方が無難である(すべての基板とコネクタ、フレキシブルケーブルがそろっているものなら利用可能)。ものによってはノートの液晶が接続されていないと起動できないものも存在するため、試行錯誤が必要になる。
電源・バッテリー
車載PCの場合、非常に限られた電力で起動する必要があるため、DC-12Vで駆動するATX規格の電源ボードを使用することが多いが、200W程度の電源でDC-ACインバーターを利用しても結構行けるものである。車のイグニションとのPCの連動やバッテリー上がりなどのリスクを考えると、少し高価であるが車載PC用をうたう電源の利用が無難である。車のアクセサリ電源を落とした瞬間にPCの電源が落ちるとHDDやSSDのシステムファイルが破損する可能性があるため、バッテリーの常時+、アース、アクセサリ電源の3種類を引き出し、アクセサリ電源がOFFでPCが休止状態に移行が完了するまで電力を維持されるシステムを構築しなければならない。車載PC用をうたう電源を利用すれば簡単にこの機能が実現できる。この機能を自作する場合は、リレーや抵抗、コンデンサ、トランジスタを組み合わせて、オフディレイ回路を作ってやればよい。機能としては、アクセサリ電源OFFから休止状態に移行するだけの時間電力をPCに送り続ける機能とアクセサリON/OFFでマザーボードのスイッチが押された状態にする機能が最低限必要になる。経験上多くのノートPCの電源ボタンは片方がGNDにつながっており、もう一方はプルアップされている構造になっており、プルアップされている端子をGNDに落とせばスイッチが押された状態をシミュレートできる。オフディレイ回路とArduino(AVRマイコン)を併用し上記の機構を構築するのが電源自作の最も簡単な方法である。バッテリ上がりを防ぐために、この部分の機構には十分に注力する必要がある。
また、車載をする自動車のバッテリーについては、標準のバッテリーよりも大きなサイズのバッテリーを搭載することが多い。もちろん、標準型のバッテリーでも問題ないこともあるのだが、オルタネータやエンジンに負担がかかったり、予期せぬバッテリー上がりで遠征先から帰れなくなるなどの自体を防ぐためにも大きめのサイズを搭載しておくと良い。
比較的大きな自動車の場合、セカンドバッテリーを搭載するという方法を用いる場合もあるが、この場合バッテリーを1サイズ大きくするよりも維持費が高価になる場合もあるので、某社の青色バッテリーなどの高性能なバッテリーを積むほうがよい。
ストレージ
基本的には省電力で比較的耐衝撃性に優れるノートPC用の2.5インチHDDを使用する場合が多い。
また、大容量のCFカードも利用されるが、最近ではSSDが比較的安価になってきており、起動の速いSSDの利用が推奨される。
また、システムディスクにSSDやCFなどの衝撃に強いメディアを利用して、音楽データや動画データを保存するために、3.5インチHDDや2.5インチHDDを別途搭載する方法もある。自宅のPCからのデータ移行を考えると大容量のUSBフラッシュメモリの利用も有効である。
ケース
車載PCの場合、Mini-ITXが1DINサイズとジャストな大きさなので自分で自作する場合や、小さめの既製ケースを利用したり、ダッシュボードやシート下に直においたり、100円均一のカゴなどに入れるなど。方法は様々である。
もちろん。車載PC用のケースも存在する。
夏の車内や、空気の循環が制限される狭い空間などへの設置を考えると一般の自作PCよりもエアフローの確保が重要になる。走行する車内では、地面からのロードノイズやエンジン音などがあるため、ある程度の騒音は許容される。無理に静音にこだわるよりは、安定性を重視して冷却にマージンを取ったほうがよいであろう。
OS
OSは主にMicrosoft Windowsが使用されている。理由はソフトウェアの豊富さ、開発しやすさ。そしてなにより使い慣れているからえある。
中には、LinuxなどのOSをカスタマイズし、完全に車載向けにカスタマイズしている猛者もいる。
デスクトップ用のOSを搭載する場合、EWFなどを利用してリードオンリー化し、エンジン停止と共に電断に対応させるものから、自作や既製の電源管理ハードウェアによって終了またはハイバネートに移行させる方法がある。
前者のメリットとして、エンジンが切れる時に確実に電断されるのでバッテリー上がりの心配がない(少ない) リードオンリーなのでインターネットに接続する際にウイルスなどの心配をする必要がない。また、デメリットは変更が保存されない、曲などを途中から再生させることができないor難しいという点である。
後者のメリットとしては前者と真逆でほぼ普通のPCと同じように使用できるという点である。ハイバネートにしていればエンジン始動時に前回の状態に復元されるので便利である。デメリットとしては、急な電断などによりシステムが破壊されたり、終了に失敗してそのままバッテリーが昇天するなどのデメリットがある。
通信・ネットワーク・同期
インターネット環境が必要になるケースは少ないが、駐車時にインターネットに接続して情報収集ができれば便利である。iPadなどのタブレットや出先でノートPCなどを利用する頻度が高い人であればモバイルルーターを契約すれば、車載PCもインターネットに接続できるが、月額料金のことを考えると敷居が高い。一方で、スマートフォンが普及している現在では、スマートフォンのテザリング機能を使うのが手軽で利用者も多いものと思われる。
音楽データなどの同期をするためには、USBフラッシュメモリを利用するケースが多いと思うが、フラッシュメモリの持ち運びや抜き差しなどの手間を考えると、無線LANの子機を車載PCにインストールしておくのが好ましいだろう。ローカルネットワークを構築しておけば、自宅のPCとのファイルのコピーの手間がかなり省ける。出先の車載PCから自宅のPCにアクセスするにはVPNを構築する必要があるが、やや敷居が高い。Logmein hamachiなどVPNの構築ソフトを使えば導入の敷居はかなり下げられる。VPNを構築できれば、リモートデスクトップなどにより自宅の作業環境を車載PC上で利用できるため活用の幅が広がる。ローカルネットワークからは離れるが、Dropboxなどのクラウドストレージの利用も有効であろう。
使用用途
車載PCの使用用途はユーザーによって様々で、ミュージックやDVDプレイヤー、カーナビなど。
他には出先での情報収集やエロゲーなど、専用機ではなくPCを使用するのでありとあらゆる事が可能である。
中には、車載PCを搭載して車載動画を撮影、ニコニコ動画などにアップロードする人もいるが、
この場合はここで記したものよりノートPCを搭載するといったライトな方法を選択する事が多い。
ただし、単にミュージックプレイヤーやDVD・カーナビの場合、専用機のほうが性能が良かったり、正確だったりする。
もちろん。基本的に地球上に存在するファイルフォーマットが再生可能・管理方法が自由など制約が無いという利点もある。
車種
車載する元となる車の車種は様々であるが、基本的には4輪車である。
理想としては5ナンバーや3ナンバー車が比較的自由な構成で車載することができる。
軽自動車でも十分可能であるが、スペースや搭載可能なバッテリーなどの都合上、普通車以上の工夫が必要である。逆にミニバンや1BOXなどの大型車の場合、かなり大型なPCを設置することも可能である。
安全性など
車載PCは、自動車に搭載し自動車で使用するPCであるが、
自動車は高速で走行する危険なものであるため、走行中に操作する事は絶対にしてはならない。
また当然ながら、走行中に画面を凝視することもNGである。
停車中に使用するか、同乗者に利用させることが望ましい。
また、窓などから画面が覗けるため、あまり如何わしい内容の再生や、エロゲーなどは注意が必要である。
決して他車や外部に迷惑のかかる行為、及び法に触れる行為を行ってはならない。
また、車の電気系統を、知識の無い者が無暗に弄る場合は
火災や故障、事故などが発生する場合があるので十分注意が必要である。
関連動画
車載PCはマイナーな存在ではあるが、ニコニコ動画にも幾つかの動画が存在する。
どの車載PCも個性的且つ独創的であるので、参考するのも良いであろう。
自作系車載PC
車載PCの作成のポイントや手順など、動画を見て参考にしてみるとよいだろう。
上の2つは製作工程まで紹介されていて資料として十分な動画。
左の動画は続き物である。
お手軽系
あまり長くなっても仕方ないので、2件だけ紹介。お手軽系は簡単にでき、自作としての手応えは薄いが、
取付方法を工夫されている方が多い様である。
以上紹介した動画はタグ内に存在する動画の極一部である。
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もしご存じの方が居ましたら追加願います。
関連項目
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