軍艦島とは、以下の島の通称である。
- 見附島 - みつけじま。石川県珠洲市にある無人島。
- 神集島 - かしわじま。佐賀県唐津市にある離島。
- マニャガハ島 - 北マリアナ諸島・サイパン付近にある無人島。
- 端島 - はしま。長崎県長崎市にある離島。
本項では、一般的に「軍艦島」として広く知られている、4.について説明する。
軍艦島 (端島)
正式名称は端島(はしま)、北緯 32.627792 東経 129.738257 ぐらいに位置する、200メートルx500メートルぐらいの小さな島。島の外見が軍艦に似ていることから、大正時代より軍艦島の愛称で親しまれている。
全盛期には人口密度と生活水準が東京を超えており、日本一どころか世界一の町であったが、現在では住む者もなく廃墟となっている。
江戸時代より石炭が採れることが知られており、1869年(明治2年)より炭鉱が作られていた。当初は強風が絶えないという立地条件の悪さからうまく稼働していなかったが、1890年(明治23年)に三菱が私有地としてから、島の周囲を埋め立てるなどの努力の末に、炭鉱として機能するようになる。
この島では「黒いダイヤ」と呼ばれる石炭の中でも良質の強粘炭(きょうねんたん)が大量に採れ、日本を代表する炭鉱町となった。その莫大な利益が、小さな島を世界一の街へと変えていく。全盛期の1960年(昭和35年)には5000人ぐらいの住人がみっちりと暮らしていた。
文字通りの「孤島」であり、本土との足は長崎と島を結ぶ野母商船の船便に依存していた。
閉山末期の時点では、長崎から島へは朝7時より夜21時まで、端島から長崎へは朝8時より夜20時まで、それぞれ概ね1時間半おきで、墓地や公園などを有した隣の高島経由で運航されていた。運賃は200円だった(『国鉄監修 交通公社の時刻表』1973年7月号 P417より)。
炭鉱により得られる莫大な利益から都市としての水準は極めて高く、明治時代に日本初の鉄筋コンクリート住宅を備えていたほか、屋上庭園、水洗トイレなどの世界の最先端技術がこの小さな島にあった。住民の家賃・電気・ガス・水道がすべて無料ということからも、どれだけ潤っていたかが想像できる。
5000人の生活を支えるすべてのものを三菱がこの小さな島に提供した:マーケット、郵便、警察、役場、病院。
もちろん娯楽も三菱がすべて提供した:映画、パチンコ、スナック、マージャン、遊園地、プール、旅館、娼婦。
ただし、その繁栄の裏には、地下600メートルにある炭鉱での危険で過酷な労働により、多数の犠牲者が出ている現場であることを忘れてはならない。また、遺族に対する謝罪等を三菱が一切行わないことも問題視されている。
やがて時代が変わり、エネルギー源が石炭から石油に移り変わって行くあおりを受けて昭和30年代後半から衰退が始まり、1974年(昭和49年)に閉山、翌1975年(昭和50年)に無人島となり、廃墟になった。このとき船便も廃止されたが、漁船をチャーターするなどして無断で島の探索を試みた廃墟マニアも少なくなかったようである(正式に許可を取って閉山後上陸した元島民などもいる)。
なお「三菱が閉山時に島民を騙して追い出した」とする悪質なデマも散見されるが、島には鉱山と住宅しかなく、正式な閉山式典も行われたことからこれは非常に疑わしい。「島に思い出を残したい」と当時の生活用品を残していった元島民が少なくなかったことから、後年の探索者により生じた誤解によるものとみられる。
その後、廃墟となったこの島を題材とした公共広告機構(当時・現ACジャパン)のCMが放映されたこともあった。
2001年(平成13年)に所有権が三菱から高島町(現:長崎市)に移る。建物の老朽化などの危険性の問題から長い間、原則として立ち入り禁止であったが、現在では近代化遺産としての見直しが始まっており、2009年(平成21年)から長崎市側の定めた観光ルートに限り、上陸することができるようになった。
GoogleMapにきれいな航空写真がある。ストリートビューで風景を楽しむこともできる。
2015年7月に「明治日本の産業革命遺産」として世界遺産に登録された。
アクセスに関する注意点
かつては特別な許可がなければ上陸禁止であったが、2009年より観光船を利用しての上陸が可能となった。
しかし、軍艦島には簡易的なドルフィン桟橋しか整備されておらず、そのため少し風が強い・波が高いで船が桟橋に着岸出来ず上陸不可になる事がかなり多いので注意が必要。季節によっては欠航の日の方が多いという事もある。
所要時間は長崎港大波止ターミナルから約30分ほどで到着する。途中、伊王島を経由して行く船もあり、伊王島までは橋で繋がっているので陸路で行く事も可能。
船で向かう際は三菱重工長崎造船所の香焼工場・深堀工場の目の前を通過するため、こちらも長崎観光の見どころの一つである。
関連動画
歴史的な映像
関連静画
関連項目
- 岡崎律子 - 軍艦島出身のアーティスト
- SIREN2
- 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業
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