概要
前方のキャビンと後方の荷台、それを支えるシャシーで構成される。
多くはFR駆動方式を採用し、軽量であることもあり走行性能は高い。はず。
軽トラックが支持される理由
軽トラックは軽自動車と言う事から維持費の低廉さもさることながら、貨物車であっても初年度の車検こそ2年であるが継続車検も2年であり、普通車のトラックと比べても車検が1年多い分手間が省けるメリットがある。
農機具の積載やちょっとしたお使いに使う下駄代わり、農協へ収穫品の搬入と言う具合に一台何役もこなせるオールマイティーカーであり、田舎における点描の代名詞として描かれる事が多いが、道の狭い都心においてもそのコンパクトさが重宝され、宅急便や赤帽でその姿を見る事が多い。
既に乗用車用としては旧態化したラダーフレームやパートタイム4WDを未だに採用、これが図らずも耐久性や走破性の高さに一役買っている。また、積載量こそ350キロとなっているが、実際にはその倍以上の積載にも耐えうる設計となっているという説がまことしやかに流れている。
特に田舎においては10年以上乗り続けるケースが多く、中古車でもなかなか値落ちしない車種の一つに数えられる。また中には30年以上前の360ccを乗り続ける人もいる。これにはかつて存在した実技不要・16歳から取得できる軽免許制度が関係しており、360cc以上の車が運転できない為である。余談であるが軽免許の人間が660ccの車を運転した場合、無免許運転ではなく免許条件違反に当たる。無論、どちらにしろれっきとした違反であるが無免許運転で摘発される事が少なくなく、本来より重い罰則が誤って適用されるケースがある(無免許運転は25点で一発免取り・3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金・免許条件違反は2点・7000円の罰金)。
特別仕様
販売促進の手段として特別仕様が乗用車では販売される事が多いが、一般的に商用車ではほとんど見られない。しかし軽トラックは例外的に多く見られ、地方限定仕様が見られるのが特徴である。例えば、JAによる地域限定仕様がある。かつては農協専用車種として営農サンバー(JAサンバーとも)が設定されていた。
近年の潮流
この数年で軽トラを自主設計・製造していたメーカーが、他社の軽トラのOEM供給を受けるケースが増えている。これは少子高齢化に伴い、販売台数が減っている為である。また乗用車と比べても乗り替えのスパンが長い事や排ガス規制・安全対策などで設計の費用がかさむ事もあげられる。
長年、無二の個性を誇ったスバル・サンバーはダイハツ・ハイゼットのOEMとなったのは記憶に新しいが、三菱・ミニキャブもスズキ・キャリイのOEM供給を受ける事となった(電気自動車を除く)それに伴い、三菱が供給していた日産・NT100クリッパーもスズキ・キャリイへと変更となり、軽トラはキャリイとハイゼットがほとんどとなった。その中でもホンダ・アクティは今なお独自の個性を出しているが、2021年6月をもって、生産終了のアナウンスがされている。
また、一時期安全対策として軽トラックのメインとなったセミキャブ方式はミニキャブMiEVを除き全て廃されている。足元のスペースもさることながら、絶対的な小回りが利かず、セミキャブでボンネットやホイールベースを伸ばした分、荷台が小さくなったことがこれまでウィークポイントに上がっていた。
また、これまで軽トラックはまさに質実剛健であったが、全体的な販売台数が少なくなる中で付加価値をつけて少しでもユーザーの取り込みを図る為、ハイゼットに代表されるような女性向けの快適装備やボディカラーの多色化を図っている。またキャリイはセミATやHIDヘッドランプの設定などを行い、従来にはない装備設定を図っている。
下記の通り、荷台部分を趣味や住居など多様にカスタムする用途も多く見られるようになった。
海外における軽トラック
軽規格は日本独自のものなので海外では通常のトラックと同系列であるが、そのコンパクトさから世界各地でその姿を見る事が出来る。特にスズキやダイハツはこのジャンルが強い。
北米においては小さすぎる事による安全性確保の困難さから、ナンバーを付けての公道での走行は出来ないが農場での作業用機械やゴルフカート代わりとして個人レベルではあるが輸出をされている。なお、かつてはダイハツはハイゼットを正規輸出していたが、日本のモデルと比べると一部モデルでドアがパイプとなっているなどの違いがある (つべ参照(リンク切れ))
ヨーロッパではダイハツ・ハイゼットがイタリアのピアジオ社にOEM供給をしており、ポーターの名称で販売されている。また、スズキ・キャリイも販売されており、イギリスでは当時のパートナーであったGM系列のベッドフォード社からラスカルの名称で販売されていた。
アジアにおいてはダイハツやスズキのモデルが存在するが、名称こそ日本と一緒であっても、実態はほぼ別物である事が多い。韓国においては軽自動車の規格に極めて近い軽車(読みは「キョンチャ」)と言う物があり、スズキ・キャリイが大宇自動車にOEM供給をされ、ダマスという名称で販売されている。排気量が日本の軽自動車よりやや大きい事やLPG車がメインに据えられている事などが異なる。タイにおいてはプーケット市内のタクシーとしてトゥクトゥク(バンコクのそれとは別物)の名称で多数走行している。タイではミゼットの頃からのブランド力か慣習かは定かではないが、こうした車の8割はダイハツ製である。現在、ダイハツはタイにおける正規販売をしていない(現地法人はすでに解散している)
これらのモデルは軽規格に縛られない為、排気量がアップしてる物やリアオーバーハングが延長されているなど、国内仕様とは一線を画したものとなっている。
北米における受容
前記のとおり、アメリカにおいてはその小ささゆえに個人輸入での導入が中心であるが、ここ数年は非常に注目を集める存在となっている。これは北米においていわゆる25年ルールの適用がなされるからである。海外の車に対して、製造から25年経過した車は輸入しても特段の改造なしでもアメリカ国内を走行できるルールによるものであり、割合にアメリカ国内での使用に耐えうる基準である660ccの車がこぞって北米にわたっている。
当地においてはこれに相当する車として。ATV(All Terrain Vehicle)の存在があるが、それと同等以上の性能を持ち、割合に安価で、走行距離もそこまで多くない軽トラは注目されているのである。日本に駐留する軍人経由での軽トラの評判もあり、かなり多くの軽トラが輸出されているといわれている。
25年ルールを我慢できない人(最新の軽トラがほしい人)はオフロード車としての登録をする事がある。北米における「オフロード」とは泥ねい路と言うわけではなく、インターステートハイウェイと言った州をまたがるハイウェイを除いたものとされている。この場合、25マイル(時速40キロ程度)速度制限を課せられたりなどがある。
田ンボルギーニに農道のポルシェ
いつからか軽トラックに対して、こうしたあだ名が付けられるようになった。
軽トラックのエンジン配置は名だたるスポーツカーと同じエンジン配置となっている事や軽量な車体と相まって、機敏な動きを見せる。
特に有名なのはスバル・サンバーであり、エンジン配置がRRであり、乾いた排気音から農道のポルシェと言うあだ名がつけられた。余談としてスバルとポルシェは自動車の設計などで浅からぬ縁もある。この他、ホンダ・アクティは農道のNSX、三菱・ミニキャブは農道のランエボなどと呼ばれている。なお、キャリイにターボを載せた車があり、キャリイワークスと言われているとかないとか。
田ンボルギーニの元ネタ、スーパーカーブランドの「ランボルギーニ」は農業用トラクターのブランドにも使われているという非常に高度な駄洒落でもある。
こんな状態だから軽トラックによるカーレースも開催されている。
カスタマイズの対象としての軽トラ
近年では軽トラックをカスタマイズのベースとする動きが散見される。軽自動車と言う部類の軽さと走破性、オープンな荷台と言う改造余地のあるところにより、走りから生活趣味・仕事まで用途別のカスタムが可能となっている。
元よりトラックと言う事でデコトラと言った装飾が従来から存在したが、近年ではドリフトのベース車に使用される事がある。近年ではこのクラスでは希少になった後輪駆動を採用している事や部品流用の融通が効く事、安価である事、ドリフトと軽トラックの意外すぎる組み合わせなどからアフターパーツも数を増やしている。
一方でオフロードで活躍する姿も散見される。元より田畑を走る用途もあり、悪路走破性は下手なSUVは相手にならないのだが最軽量の場合、700キロを切る重量であり、また最近の車両はショートホイールベースと言う事、デフロックやローレンジなどの設定があり、格上のRV車をカモにする本格的な装備である。
走りの他にも架装性の高さや軽規格と言うコンパクトさや税金などの安さより、メーカー製もしくはDIYで自作する「キャンピングカー」、「キッチンカー(屋台)」などのベース車になる事もある。
主な軽トラック(現行車種)
スズキ・キャリイ系統
- 日産・クリッパー(従来は三菱・ミニキャブのOEM車であったが、2013年12月からスズキ・キャリイのOEM車)
- 三菱・ミニキャブ(ガソリン車版は2014年2月以後からスズキ・キャリイのOEM車、電気自動車版は継続生産中)
- マツダ・スクラム(スズキ・キャリイのOEM車)
ダイハツ・ハイゼット系統
OEM車でダイハツ・ハイゼットを採用している車種
過去に生産していた軽トラック
関連動画
軽トラックの走行性能の高さを示す例。
関連商品
関連項目
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