軽装甲機動車単語

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ケイソウコウキドウシャ
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軽装甲機動車とは、陸上自衛隊に配備されている車輌である。

概要

陸上自衛隊普通化(歩兵部隊向けに開発された小松製作所製装輪装甲車で、称は「ライトアーマー」。

軽装甲機動車(陸上自衛隊・第33普通科連隊。2010年の明野航空祭にて)

ただし他の装備同様、恥ずかしいとか仰々しいとかアニメじゃあるまいしとか、色々な理由からあまりそう呼ばれない。もっぱら英訳のLight Armoured Vehicleの頭文字をとってLAVラブ)と呼ばれている。

イラク派遣にも持ち込まれ、有名になった。当時のTVニュースで見た人も多いだろう。

自衛隊の規格によるところの「軽装甲」。すなわち小銃弾程度の防弾機を備えており、固有武器は持たないものの、天井オープンハッチにつきの5.56mm機関銃、あるいは12.7mm機関銃を据え付けるか、各種携行ミサイル兵器を持った隊員が身を乗り出して発射することが可

乗員4名(前2名、後方2名)が基本。天井ハッチを開けて射手を設けた場合はさらに1名を追加することができる。

CH-47J チヌーク&軽装甲機動車本格的戦闘に使用することは軽装甲のため難しい面もあるが、パトロール任務、偵察任務などの普通部隊・師団偵察隊がこなさなければいけない任務の多くは、この車輌でまかなうことができる。また、ヘリり下げての移動もできるなど機動性に富むことも確か。総火演ではCH-47輸送ヘリ輸される姿が見られる。

この種の車輌の少なさが陸自の泣き所だったためか、軽装甲とはいえ重宝がられ、他の装甲車輌等が年間数両などお寒い配備が続く陸自にしてはしく、この軽装甲機動車のみ平成13年の配備当初から毎年100両をえる数で配備がつづけられている。また航空自衛隊の基地警備用にも若干数配備がつづけられている。 (他に高機動車があるものの、あれは小トラックのようなもので非装甲のために戦場で使うことが厳しいという面があることから、軽装甲機動車は現場にも好評だとか。但し海外派遣に備え、高機動車や大トラックにも増設防弾開発されている)

ただし、欠点として高機動車して搭乗者数が少ないため戦展開の面では劣ること、高機動車より騒音が大きく被発見率や乗り心地が悪いこと、視界が悪いこと、重く重心が高いため不整地走行に劣ることが摘されており、高機動車が防弾性を持ちうる今、正直ビミョーなところという評価もあるらしい。

陸上自衛隊の制式配備ではなく、部隊使用承認扱いで採用年度(○○式)は付いていない。制式化されてないことで色々と改造良したりすることが容易いのでこちらの方がいいという話も。(なまじ制式化していると財務省との改造良に必要な予算折衝で「良が必要な機材を制式化したのか?」など突っ込みが入るなど色々厄介ごとが生じる…らしい。泣ける話ではある。ただ航空自衛隊戦闘機や、海上自衛隊の艦艇は定期整備の名で結構電子機器など中身がアップデートされる場合がある。ここは外面が変わると面倒だということかもしれない)

発煙弾発射機ともかく現にイラク派遣では追加装甲が付け加えられ、天井の機360度全周の装甲付きにかわったほか、トラップ防止用のワイヤーカッターも据え付けられた。初期べると現行の車輌は防弾ガラスが一枚増えたり、煙幕発射装置があるタイプなどバリエーションに富む。

形状はフランスのパナール社製VBL装甲車とそっくりで、イラク派遣ではオランダ兵士からVBLだと信じられてしまったらしい。(まぁここはパクリというか、運用コンセプトが同じなので同じ形になった…と好意的に解釈した方がいいかもしれない)

小銃弾に耐えられる程度の装甲を持ち、歩兵の足代わりに色々な用途に使える車輌というコンセプトは悪いものではない。なお、第6師団広報幹部の言葉によると「正面でガラスを含め12.7mm機関銃弾に。側面で7.62mm機関銃弾に耐えられる」とのこと。

現在防衛省技術研究本部TRDI)において発表された2009年10月分随意契約内容から、現在「軽装甲機動車()」およびファミリー車両と思われる「軽偵察警」なる車両研究開発)がスタートされたことが明らかになっている。詳しくは、TRDI契約調達情報ページを参照のこと。

仕様[1]

※軽装甲機動車はコスト低減のために較的短い周期でモデルチェンジされる民生部品が高い割合で使用されており、制式の対としてなじまないことから制式化せず部隊使用承認が適当とされた。

軽装甲機動車のバリエーション

軽装甲機動車にも(非公式では)あるがいくつかのバリエーションが存在する。

通常型

冒頭の画像にもある軽装甲機動車の基本。後述の各はこの基本を各部隊改造して生み出されている。固有の火器はないものの、全周旋回可ターレットに防を取りつければミニミを据え付けることが可。また、ターレットからは01式軽対戦車誘導弾87式対戦車誘導弾、84式無反動砲を発射することもできる。

オプションとして後部側面に発煙弾発射機を取り付けることができる。この車両は偵察隊や普通科連隊の情報小隊に配備されている模様。

国際派遣仕様

2003年自衛隊イラク派遣の際に修された車両
96式装輪装甲車高機動車派遣仕様は後に制式化されたが、こちらは制式化されていない模様。

修内容は

など。これらの修は設計から取り付けまで僅か3ヵで行われたんだとか…

現在、これら全ての修がなされた車両際活動協隊にのみ配備されているが、防弾ガラス強化や後部ラック追加などが施された車両は全に配備されている。また、2010年自衛隊ハイチPKO派遣の際は体色は2色迷彩のままで側面に「UN」とペイントされた車両が使用された。

このほか、現在ジブチ派遣されている第一空挺団車両には現地修で天井を付けた車両があるようだ。

航空自衛隊仕様

航空自衛隊の基地警備隊に配備されている車両
体色が陸自の色よりっぽいオリーブドラブ1色になり、体前部にが組み合さった航空自衛隊マークペイントされている。この他の仕様陸自と同じだとみられる。

指揮車型

各種指揮官用に体後部に線機を搭載したタイプ線機用のアンテナが1~3ほど装備されている。

また、第7師団所属の第72戦車連隊で運用されている車両には所属する戦車と通信できるようにしたものがあり、体上部に戦車用の通信アンテナが増設されている。

12.7mm重機関銃M2 搭載型

第一空挺団中部方面隊の一部部隊で運用されている車両名前の通り体上部に西側ベストセラー重機関銃である「12.7mm機関銃 M2」を搭載したもの。これにより、ミニミべて大幅に火力を強化することが出来た。出来たのではあるが…

まず、こちらの画像exitをご覧頂きたい。実は、軽装甲機動車の架はこのイラストにもある通り「5.56mmMG用」つまりミニミ専用のであり、62式やM2や96式自動てき弾は据え付けることが出来ない。なんでや!なら、どうやってM2を据え付けているのか?では、こちらの画像exitをご覧下さい…

なんということでしょう!ターレット前に自作した架をボルトオン!そこにM2を据え付けました!
が、しかし。ターレットに据え付けていないので旋回は不可。前方の極限られた範囲にしか向できない。
それでも22口径の豆よりはマシである……たぶん。

但し昨今開発に成功した産RWSは5.56ミリ機関銃MINIMIから12.7mm機関銃M2まで対応した上で、軽装甲機動車への搭載が前提とのことなので、本装備の配備普及が進めば火力大分善されると思われる。

装甲救護車型

第4師団隷下の第44普通科連隊での運用が確認された車両

体後部のスペースに木製の台を搭載しており、ここに負傷者を載せて後送するようだ。


このほか、地上レーダーらしきものを搭載した車両や、内に針を巡らせてターレットに乗る手が各ドアロックを解除できるようにした車両などがあるようだ。
また、某普通科連隊では善要(現場部隊から装備品の善点をめ、報告する制度)の際にLAVに「96式自動てき弾載っけれるようにしてよ!」と要望したところ、「それなら1度お前らで試してみろ!」と言われたので、木製の架を自作してターレットに固定し、96式てき弾を据え付けれるようにした車両もあったとかなかったとか…

軽装甲機動車の評価についてなど

アメリカ軍には、イラクにも持ち込んだ陸上自衛隊高機動車のお手本になったハンヴィー(HMMWV)(SUVハマー軍事仕様)があるものの、所謂ジープと同様に耐弾性のある装甲がいため、簡単に小銃弾が貫通し中の兵士が傷を負う事態が続出。慌てて装甲を貼り付けると今度は重が増えて、サスペンションなどあちらこちらが故障する…という事態になった。

軽装甲でも軽装甲機動車の設計思想は紛争地域の警察活動、戦場では歩兵の損失を防ぐのに十分に有効と言えるだろう。また、敵襲撃武装歩兵にとっても軽量の小銃機関銃ではなく、かさばる対戦車ミサイルが必要となれば機動性が落ち、「嫌がらせ」効果を期待できる。

イラク派遣でも使い勝手の良さから各兵士から羨望ので見られたと言われるが、果たして軽装甲機動車の故か、クーラーありの快適装備故だったのかは定かではない。

イラク派遣時のTV露出が多かったこともあり、ミニカーやRCカーが出たりと中々人気は高いようだ。

ただし、この手の装甲装輪車両は乗戦闘ができない上に、その軽装甲ゆえに無反動砲などの対戦車兵器カモにもなりうるため、イラクのようなゲリラがうようよする地域での非対称戦は別として通常の戦闘では結局最前線到着前に降するのがセオリーであり、日本が想定するような正規戦における本カテゴリーそのものの有効性に疑問があるという意見もあることにはあるのを覚えておくと良いかもしれない。

関連動画

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関連項目

脚注

  1. *国立国会図書館デジタルコレクション 防衛庁技術研究本部五十年史exit P.49

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軽装甲機動車

83 ななしのよっしん
2020/04/12(日) 10:30:29 ID: kDDIKp+Y3D
コマツが撤退した訳だけど今後どうすんのかね
予備部品の在庫が切れたら整備もできなくなるよ
後継っつっても1000両以上も何処が作るんだ?
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84 ななしのよっしん
2020/04/18(土) 03:47:13 ID: RzLePoPm5D
本命三菱
対抗ライセンス生産を含む海外
トヨタ自動車メーカートラックなども含む)
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85 ななしのよっしん
2021/03/10(水) 13:14:04 ID: B6aeSuMOKF
いつの間にかwikiで「7.62mmNATO弾に耐えられない」ことになってるんだけど、今時そんな設計ありえるか?
例のKYの妄言の他に根拠あるの?
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86 ななしのよっしん
2021/03/10(水) 13:22:26 ID: 7O1kfi33NE
7.62mm普通弾と5.56mm徹甲弾なら、5.56mm徹甲弾の方が貫高い
ってのなんかで見たけどどこだっけ?

正直口径だけ見て弾丸の性質丸無視した論評って意味だと思うんだ
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87 ななしのよっしん
2022/01/03(月) 21:35:23 ID: VuZe68ggZT
1台3000万円ならまずまずのお値段。
防護性中露の制式小銃弾防げる程度なら、
もうちょっとだけ大きくして4人乗れるだけで
それ以外のアップデートはいらないんじゃないかなぁ
もちろん、他にもほしい仕様はあるだろうが、値段があがって調達数が減るのが一番最悪なので
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88 ななしのよっしん
2022/09/30(金) 04:14:00 ID: RzLePoPm5D
小松が撤退しちゃったと言うのが最大の欠点だから。
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89 ななしのよっしん
2023/01/29(日) 15:08:09 ID: YkV5zHPOc1
後方支援はもちろん、迫撃砲や誘導弾の運用には不可欠だけれども、いくらなんでも非装甲のこれを前線銃撃戦に出すのは謀だとおもう。
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90 ななしのよっしん
2023/01/29(日) 15:09:30 ID: YkV5zHPOc1
うわ、高機動車掲示板に書き込んだつもりなのに間違えた。
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91 ななしのよっしん
2023/06/15(木) 21:51:30 ID: w/iH2Lr/t6
最近の歩兵機動MRAP仕様を満たしてるが基本だしLAVでは防御面がね…修にも限度があるし
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92 ななしのよっしん
2023/11/13(月) 22:26:11 ID: 9ADdorkZaI
>>85
現場で聞いたことあるでしょ
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