概要
意外に思うかもしれないが、日本が米を輸入する量はかなりのもので、日本人は日常的に輸入米を口にしている。ただし、いわゆる「ご飯」の形で消費されることは少なく、主に味噌や日本酒などの原料や家畜の飼料、備蓄米として使われている。
正直な話、輸入米は食用として人気があるわけではない。では何故大量に輸入しているかというと、国家間の貿易の取り決めがあるためである。
ウルグアイ・ラウンドとミニマムアクセス
もともと日本は農業を保護するため、米の輸入を一切行っていなかった。
戦時中の1942年に食料流通を安定化されるため制定された食糧管理法(95年に廃止)が根強く残り、作られた米は国が買い上げて国民に売るという仕組みが定着した。しかし作りすぎた米が余るようになると、政府は減反政策を実施。一転して米の生産を締め付けるようになった。それに反発して農家が独自に販売するヤミ米が横行したり、農業技術の進歩で結局収穫量が変わらなかったりと、国が一括で米を管理する体制はどんどんgdgdになっていった。
1993年には冷夏によって米不足が発生し、海外から米の緊急の輸入を実施した。予てより諸外国が日本の米輸入を求めていたこともあり、ウルグアイ・ラウンド(ウルグアイで行われた関税貿易一般協定交渉)で、政府はついに海外から最低限の米を低関税で輸入すること(ミニマムアクセス)を取り決めた。これ以降、米の輸入は国際関係上欠かせないものになっている。
ちなみに、ミニマムアクセスで設定された輸入量を超えるとバカ高い関税がかかるようになっており、実質上の制限がかかっている。
主食として競合することはあまり無いが、米農家は割れた米や小粒の米などを加工用に販売することで副収入を得ているため、国内農家に打撃を与えることになる。
2008年には、ミニマムアクセスで輸入した米から生じた事故米(保管中にカビが生えるなどして食用に適さなくなった米。工業用に利用または廃棄される)を三笠フーズが不正に食用として転売した事件が話題になり、輸入米もこの槍玉に挙げられることが多かった。実際の原因はずさんな流通管理によるところが大きい。
日本で作られる米もそうだが、買ったはいいが上手く活用されず無駄に廃棄されてしまう輸入米も多い。特に近年は食生活が多様化し、食用として消費される米が減ってきているため、米の有効活用が重要となっている。
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