輸送機とは、人や物を運ぶための飛行機である。
本稿では貨物機についても取り扱うものとする。
概要
広義での「輸送機」は、とりあえずなんでもいいから「人や荷物を運ぶための飛行機」である。
要するに軍用輸送機も貨物機も旅客機も「輸送機」である。
…が、単に「輸送機」といった場合、軍用輸送機のことを指すことがほとんどである。「民間向けの荷物運びに特化した飛行機」は貨物機といわれることが多い。
輸送機の特徴を一言でいうと、「荷物をいっぱい積めそうな太くてでかい胴体の飛行機」である。
軍用輸送機
先述の通り、単に「輸送機」と言った場合は軍用輸送機を指すことがほとんどである。
軍事目的で使う飛行機といえば、戦場の空の花型・戦闘機、敵基地や戦車をアヴェンジャーや爆弾やミサイルでドッカンドッカンする攻撃機、敵陣に大量の爆弾を落とす味方にとっては心強く敵に回すと恐怖の象徴の爆撃機、機動力を武器に局地戦や戦車相手に大活躍の攻撃ヘリといった「戦う飛行機」が真っ先に出てきたり、高空から敵陣の様子を探る偵察機や潜水艦退治のスペシャリスト・対潜哨戒機などが挙げられるが、そんな彼ら、そして兵士たちを文字通り後ろから支えるのが軍用輸送機。
「腹が減っては戦はできぬ」という言葉がある通り、戦争に於いて物資補給は重要である。大規模な戦いともなれば人員・弾薬・車両なども大量に必要とする。
そりゃ近場や陸続きの場所でドンパチするならトラックや鉄道で運んだほうが墜落の心配なんて無いし燃費も桁違いだし停める場所さえあればなんとかなるから圧倒的に効率がいいのだが、戦場は大洋の反対側やヘタすれば地球の裏側ということだってある。そんな距離を車でかっ飛ばすわけにはいかないし、ましてや海の向こう側だったら車じゃお手上げである。鉄道に至ってはレールを敷いてないと行くことすらできない。
海を越えて大量の物資を輸送するとなれば船の方が安上がりなのも確かだけど、とにかく速度が遅い。そして意外と手間がかかる。「高速船」と呼ばれるような船だって一般道の自動車と大して変わらないような速度の場合が多いし、荷物を陸揚げするには特殊な船でも無い限り大規模な港湾施設が必要となる。そして大型船の場合、動かすだけでもとんでもない数の乗組員を必要とする。
何より機動性は劣悪。敵軍の飛行機に対艦ミサイルやら爆弾やらで狙われても「ヤバい」とばかりに緊急回避をするのは至難の業と言っていい。
飛行機であれば極端な話、1~2km平らな所があればそこを滑走路にして離発着できるし、機動性も自動車と同等、あるいはそれ以上のものがあるので敵軍に狙われても逃げ切れる可能性は高い。何より地形を無視して飛んでいけるし(戦略SLGが好きな人ならこの辺わかるよね)、速度も速い。
輸送においても飛行機の速度と機動性は強力な武器となる。
軍用輸送機の特徴を簡単にまとめると、
- 太くてでかい胴体→荷物をたくさん積めるようにするため
- 機内の床面はフラットでバリアフリー→荷物を効率よく積み下ろしできるようにするため
- 機体のどこかに大きく開くドアがある→これも荷物の積み下ろしを楽にするため
- 主翼は高翼式が多い→安定性がいいし不整地に着陸したときでも(地面から高いところにあるため)大事なエンジンに傷を付けにくいし輸送機にとってはいいこと尽くめ
- 車輪がいっぱい付いている→車輪が多いと重い荷物を積んだ時にも地面にめり込みにくい・不整地への着陸に強くなる
- 武装?なにそれ美味しいの?→機関銃とかミサイルとかを積むくらいならその分の積載量を荷物を1gでも多く積む方に回します。ただし一部の機体の場合は自衛用に機銃を搭載している場合もあり。AC-130?そんな機体は知らないぞ。大体あいつは「A」ナンバーで攻撃機だし…
だいたいこんなところである。
民間機とは色々と違う使い方が要求される軍用輸送機であるが、一部には民間機の設計を転用したものも存在する(逆の場合もまた然り)。
実はボーイング747のライバルであったC-5「ギャラクシー」。でかい機体は男のロマン。
みんな大好きMe323「ギガント」。宮崎作品に登場する様々な大型機のモデルとしても有名。
- C-47(ミスター輸送機)
- C-5
- C-130(軍用輸送機のベストセラー。マッコイ爺さんの愛機)
- C-1(お前の飛び方はおかしい)
- Me323「ギガント」(科学力は世界一ィィィなドイツが作った巨大輸送機。実は今時の輸送機の当たり前をいくつも確立した)
貨物機
「民間用途で荷物を運ぶのに特化した飛行機」は、貨物機と呼ばれることが多い。
大体の特徴は軍用輸送機と同じであるが、こちらは旅客機をベースにしたり、あるいは旅客機そのものを改造したという場合がかなり多い。というかほとんど。
航空輸送には、
といった特徴があり、多少輸送費が高くついてもその分を相殺できるような高付加価値且つデリケートな貨物の輸送に多く使われる。
また航空機やロケットの部品を運ぶことに特化し、特殊な胴体を持つ機体も製造されているが、こういう場合は「軽いけどとにかくサイズが大きい」ものを運ぶために巨大な容積の機体を必要とするため、割ととんでもない外見に仕上がる機体が多い。(エアロスペース スーパーグッピーがいい例)
ギネス認定・世界最大の飛行機、アントノフAn-225「ムリーヤ」。
サイズはでかいが質量は軽い、飛行機の胴体を輸送するためにブサイk…ゲフンゲフン、とんでもない姿になった貨物機達。
- MD-11(貨物機界のエースの一つ)
- ボーイング747(元々は軍用輸送機として計画されており、またSST普及後は貨物機に改造する予定であった)
- スーパーグッピー(世界一不細工な輸送機)
- ボーイング747-400 LCF「ドリームリフター」(不定期的に中部国際空港(セントレア)に飛来する)
- エアバス A300-600ST「ベルーガ」(現在は後継のベルーガ XLへの置き換えが進んでいる)
- An-225「ムリーヤ」(でかい!絶対にでかい!ちょっとコンビニ積んでくる!世界最大の飛行機)
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