『轟世剣ダイ・ソード』とは、長谷川裕一による漫画作品である。
概要
1993年3月より『ダイ・ソード』のタイトルで月刊コミックコンプにて連載が開始される。翌年10月に同誌が休刊し打ち切りとなるも、月刊少年キャプテンで1995年1月からタイトルを『轟世剣ダイ・ソード』と改め連載再開。その後単行本6巻相当で雑誌連載は打ち切られ、その後の展開が描かれた最終7巻は書き下ろしで刊行された。
シチュエーションは「現代人が剣と魔法の世界へ飛ばされてしまう」というよくあるパターンだが、飛ばされる人数が中学校の全校生徒550名であるという点で他作品と大きく異なっている。
単行本はいずれも絶版だが、マンガ図書館Zにて文庫版(全4巻)を無料で読むことができる。
あらすじ
某年1月25日午前8時36分、九江州中学校は全校生徒550名を乗せたまま、一陣の雷鳴と共に異世界「泡の中央界」へ飛ばされてしまう。
生徒達は怪物に襲われるも、生徒会長・千導今夜の機転で反撃を開始。そして謎の少女の導きで百地王太が封印を解いた剣の巨人"ダイ・ソード"の活躍で危機を脱した。
少女の名はユーリナ・タ・カラ。"北国"の侵略に対抗すべく"神の武器"ダイ・ソードの場所へ向かっていたが、敵の罠で九江州中ごと中央界に引き戻されたのだという。
一同は今夜の指揮の下、元いた世界に帰るため"白き常魔の国"テルテ・ウイタスを目指し旅をすることになった。
登場人物
九江州中学校
異世界「泡の中央界」へ飛ばされた中学校。全校生徒550名が共に飛ばされたが教師は一人もいなかった。
校舎と周囲の地盤は地面から浮いており、これに帆を張ったり気球を付けるなどして移動要塞として用いられた。中央界の者からは「四角い城」と呼ばれている。
生徒達の順応性は高く、異世界の暮らしにもあっという間に馴染んでしまった。中には元の世界に帰りたくないと思う者もいる。
- 百地 王太
- 本作の主人公。1年B組。ユーリナの心の声が聞こえた者の中で一番近くにいたために、ダイソードの封印を解くことになった。ダイソードのソウルマスターとなってから数々の戦いを切り抜け、次第に成長していく。
- 千導 今夜
- 九江州中の生徒会長。自身を除く全校生徒549名をまとめ上げるリーダーシップを持っており、九江州中のリーダーとして生徒達を引っ張っていく。旅を続ける中で、徐々に王太に惹かれていく。
- 一峰 ゆうじ
- 剣道部部長。今夜に片思いをしており、常に気に懸けているも当の本人には全く気づいてもらえない。
- 金子 良雄
- 王太の友人で、1年生と思われる。狩りをして女子に注目されるなど、異世界も悪くないと思っている。後に同著者の『クロノアイズ』にも登場し、『マップス ネクストシート』では苗字と外見が同じキャラが登場している。
- 二葉 春夏
- 2年D組。校内で一番魔法の飲み込みが早かった。ヨゴが仲間になってからは、ユーリナと共に召喚者となる。当初は気が弱かったが、徐々に気が強くなっていった。
- 十勝 力
- 3年E組。実戦格闘技部キャプテン(自称)。番長的存在の不良で、海辺国では反乱を起こした。その後王太達と和解し、頼れる兄貴分となる。
- 七瀬 咲笑
- 今夜の友人。王太のことで悩む彼女の相談を受けていた。非常に楽観的な性格をしている。
- 仲島 英児
- 商い部に所属する仲島ストアーが一子。自分に不利な取引はしたことがないらしく、その手腕と今夜の秘策で海辺国の兵士に協力を取り付けた。中央界で売られている商品にバーコードが付いていないため、バーコードバトラーで遊べずに苦しんでいる。
- 岩田
- 3年生。ボディービルダーで筋肉マニア(本人曰く「ノーマル」)ということで、今夜によって無理エッチの防止役(犯人の男子に個人的制裁を加えるとのこと)にされてしまう。
- 尾沢 真一郎
谷山 美香子 - 共に1年C組の男女。校内初めての結婚者(公認カップル)となった。
泡の中央界
九江州中が飛ばされた世界。"初めに立ちし者"の呪詛の言葉により形造られ、未来永劫そこに住む者は争い続けると言われている。様々な亜人種が住んでおり、数多くの怪物も生息している。
王太達の世界の物質は地面に反発するらしく、人間だと身が軽くなる程度だが大きな物体(九江州中校舎)は地面から浮かび上がっている。
作中にはその名の通り球の内側に描かれた地図が出てきている。
- ユーリナ・タ・カラ
- "白き常魔の国"テルテ・ウイタスに生まれた少女。ダイソードの場所へ異界(王太達の世界)を通って移動していたが、敵の罠にかかり九江州中ごと泡の中央界へと戻ってしまう。傷つき倒れた彼女が心の声を飛ばした結果、たまたま近くにいた王太がダイソードを目覚めさせた。
高い魔力を持ち、当初は彼女がダイソードの封印を解く予定だった。また隠してはいるが背中に羽があり、光のようになって飛ぶことも出来るなど、謎も多い。 - コボス
- "北国"の王。ガバリオーグの封印を解き隣国制圧に乗り出すも、その強大な力を制御できずに死亡。亡骸はガバリオーグの頭部にあり、国民はその死を知らずにいる。
- ジオナス
- 北国を構成する小国の一つ"海辺国ジト"の王。九江州中一行が物資補給のために自国に寄った際、その旅の目的と力を見て北国へ反旗を翻す。
- ガブ・マオリ
- ペンギンのような姿をしたボビー族の名機械工。ボビー族の工作機械を作るかわりに、武器を作る手伝いをしてもらっている。ボビー族の島、アナ島が北国に襲われた後は九江州中に同行する。
- ウ・ツボカ・ズラ
- ガブ・マオリの孫娘。周りからはツボカと呼ばれている。ボビー族の血を4分の1引いているクォーターで、普段は人間と変わらない姿をしているがペンギンのような姿にもなれる。落ち着きのない性格で、周りを引っかき回すこともしばしば。
- シズク
- "聖杯の滴"と謳われた美貌の神官。褐色の身体には"初めに立ちし者"と八つの神の武器の戦いの記録である紋様が刻まれており、自身はその"語部"である。
- クルリ
- カラの神殿の巫女見習い。シズクを慕っている。
- デクショ
- 北方の大賢人。北国の城の地下深くに幽閉されている。
神の武器(ゴッド・フォース)
初めに立ちし者が作った武器。自我を持ち、武器の姿の他に人型と攻撃型のビースト・モードに変形する。人型の頭部には各々と同じ形の武器(召喚アイテム)がはめ込まれており、魔力を持つ者がこれを持つことで神の武器を操ることが出来る。召喚者は「ソウルマスター」と呼ばれ、頭部のコクピットに収容される。
- 神の剣 ダイ・ソード
- 本作のもう一人の主人公とも言える存在。名前は「ダ・イスォウド(主たる者の力)」、「ダイ・ソード」、「ダイソード」などと表記される。かつて初めに立ちし者に戦いを挑み敗北し、「三百年に一度目覚め、七たび人の下僕として仕える」ようにされた。両腕の鎖はその際埋め込まれたもの。以降度々目覚めてはその力で世界を混乱させた。
最初に目覚めさせた次から数えて7回召喚者に力を貸す。召喚アイテムである剣を持ち、呪文を唱えることで召喚することが出来る。"心で剣を掴む"ことで本体との距離は関係なく召喚が可能。7つの魔法と強大な力を持つが、普段は寝てばかりいる。召喚直後は寝ぼけながら戦うことも。
変形機構はかなり複雑であり、長らく商品化されていなかったが、スタジオ・ハーフ・アイより完全変形するフィギュアが発売された。詳しくは外部リンクの紹介ページを参照のこと。 - 神の斧 ガバリオーグ
- 「ガ・バリュオーグ」とも呼ばれ、その名は"狩り取る者"を意味する。ビースト・モードは四足獣型。魔法は持たないが、力は神の武器の中で最強である。北国のコボス王によって目覚めさせられたが、自身の欲望に目覚めた。
- 神の三叉矛 ド・ライアム
- 汚い手を好む卑怯者で、ヨゴと組んで王太達に襲いかかった。ビースト・モードは海竜型。神の武器の中で真っ先に倒されてしまう。
- 神の盾 ヨゴ
- 回復・防御系の魔法を使い、神の武器で最も高い防御力を誇る。ビースト・モードは蟹に変形する。ド・ライアムと組んでダイ・ソードと戦うも敗北。その後は盾を託し、九江州中の強い味方となる。校舎の牽引や防御、さらには洗濯物干しまで器用にこなす。その上使用回数に制限がないので大変重宝された。
- 神の刀 サン・ジュオウ
- 神の武器の中でもっとも遅く作られた。"剣"であるダイ・ソードと対となる存在。その実力はダイ・ソードに勝るとも劣らない。
- 神の篭手 コ・ズー
- 46種類もの魔法を使う神の武器。反面力は弱い。体を左右(右手と左手)に分け、二匹の虫へ変形する。体を片方(片手)失っても生きていられるが、その場合呪文を半分しか思い出せず使うことが出来ない。
- 神の星型鉄球 ブロンブル
- 遮光器土偶のような姿をした神の武器。武器形態は鉄球と柄付き鉄球の二通りあり、ビースト・モード時には鉄球のトゲを触手として伸ばす。パッと見分からないが女性であり、コ・ズーを好いている。
- 神の聖杯 タ・カラ
- 治癒と再生の魔法を持ち、傷ついた他の神の武器を癒すことが出来る。
関連商品
関連項目
外部リンク
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