迫撃砲とは、火砲の一種である。
概要
20世紀の塹壕戦において迅速に展開できるよう出来る限り簡素な構造=軽量で運搬しやすい大砲の需要に応えるために開発された。
構造
大まかな要素としては『二脚(支持架)がついた短い砲身』、『砲身の底に付いた板(底盤)』、『砲弾は砲口から装填する(前装式)』、『砲身が上を向いている』の4つが挙げられるがいずれにしてもは前述の軽量を求められたが故であるがそれぞれ別の理由がある。
まず、最初の『短い砲身』は3番目の『前装式』に直結=運用する兵士が砲弾を装填しやすくすると共に遮蔽物や塹壕に隠匿しやすくするためである。
2番目の『底盤』は発射時に砲身にかかる反動を一度受け止めて地面に逃がす役目を担う。これは通常の大砲では反動を抑え、正確な射撃に必要な『姿勢維持』を担う『駐退機』が迫撃砲では基本的にないためである。4番目の理由にもこれは繋がっている。
また、4番目のもう一つの理由は『塹壕や遮蔽物の陰に潜む敵を真上から砲撃で撃破する』事である。
基本的に敵は正面の敵を警戒して壁の後ろや塹壕に潜むが真上は家屋でもない限り遮蔽物がないため上方から砲弾を撃ち込めば撃破は容易い上に正面から砲撃するより真上から撃ち込んだ方が危害範囲は広い。
そして前述の『軽量で運搬しやすい』は『(複数の)兵士が人力でも容易く運搬できる』事を指す。
100㎜クラスの重迫撃砲となると人力運搬は分解しても困難だがそれ以下のサイズならば10人以下の人数で運搬が可能なため隠密行動や車両が使えない山岳地帯でも容易に展開が可能な利点がある。
なお、通常の大砲と同様に砲身後方から装填する迫撃砲も存在するがこちらは車両に搭載される型が大半を占め、正面射撃可能になっている物もある。
但し、通常の大砲と比べて着弾の精度や砲弾の射程で劣り、有効な攻撃のためには大量の砲弾を必要とする為兵站側に多大な負担をかける事や構造が簡素なことから極端な例として日曜大工レベルの工作技術で充分な殺傷力を持つ兵器が容易く作れる=テロリストが利用しやすいというデメリットも持つ。
なお、先に述べた4つの特徴を持つ方式の迫撃砲は『ストークス・モーター(ストークス式迫撃砲)』と呼ばれる型となるが世界的に普及することになった第1次世界大戦では以下の形式が登場していた。
呼称 | 特徴 | デメリット |
ミーネンヴェルファー (爆薬投射機) |
独・墺の主力迫撃砲で命中精度 は高い。 砲兵との管轄の兼ね合いから この呼称となった。 |
重量があり複雑な機構 だったことから戦後消滅。 |
スピガッド・モーター (差込式迫撃砲) |
砲身に対して砲弾が大きく ストークス式より口径当たりの 威力で勝る。 後に小銃擲弾や携帯式対戦車火器 対潜兵器に発射方式が受け継がれた |
射程距離と速射性で劣って おり、迫撃砲としては廃れて いった。 |
これらの事から現在の迫撃砲はストークス式が主流になっている。
運用
基本的には歩兵を中心とする軟目標への攻撃が主とされる。
これは使用する砲弾が基本的に榴弾を用いるからであり戦車やトーチカといった直撃+装甲を貫徹しなければ無力化できない硬目標には有効でないためである。
ただし周囲を絶え間なく砲撃して敵の連携を妨げている隙に死角に回り込み撃破に繋げる事は出来るため、榴弾だけでなく視界を遮る煙幕弾や夜間で視界を確保する照明弾も用いられる。
また、迫撃砲を車載する車両には本来兵士を輸送するAPCが用いられることが多いが普段は兵員室に収納し、射撃時に屋根を兼ねたハッチを開ける型が多い。この事から砲塔式の自走砲より隠密性が高い。
その反面、着弾の精度が悪い=命中率が低い事がジレンマだが運用が始められた第1次世界大戦においては広範囲に効果が見込まれる毒ガスの散布に用いられ戦間期に開発された迫撃砲の中にはその用途で開発されたものが多く冷戦期は核兵器の運用も想定されたが幸いなことにその用途では使われることはなかった。
なお、着弾の精度に関しては21世紀に入ってレーザーやGPS、赤外線画像による誘導砲弾が開発された事で改善されている。
作品
動画
MMDモデル
記事の一覧
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関連項目
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