追跡者とは、
本項では2について記述する。
概要
『バイオハザード』シリーズに登場する大手製薬企業アンブレラ社が製造したB.O.W.の一種。ネメシスT-型とも言われる。
T-ウイルスを用いて製作された生物兵器には「知能低下による制御の不安定」という共通の欠点があった。数々の実験からその欠点を嫌と言うほど思い知らされたアンブレラ社は、それを克服するために寄生生物ネメシス(NE-αとも)を開発する。ネメシスは寄生した宿主を支配下に置き、その宿主の知能を向上させる特性を持っていた。アンブレラにとって会心の出来であり、ある程度の知能の獲得にも成功していた傑作タイラントにネメシスを寄生させたものが、追跡者(ネメシスT-型)である。
元々簡単な命令を実行できるタイラントの知能を更に発達させた事で、より高度な命令の遂行を可能とする。素体がタイラントなので剛腕から繰り出される純粋な殴打だけで壁を破壊し、木の幹のような両足から放たれる膂力は人間以上の疾走を見せる。特筆すべき点は他のB.O.W.では不可能だった武器の扱いをも可能としており、ロケットランチャーを携行・使用している他、さらには抹殺対象である「S.T.A.R.S.」の名前まで喋る。作戦中であっても外部からの命令入力を受け付けるため柔軟な動きも可能。ネメシスから生えた触手をも武器とするため、中距離からでも敵を攻撃できる。体に纏った黒い拘束具は防弾性に優れており、同時にタイラント特有の欠点である暴走を防いでいるが、再生能力を上回るダメージを受けるとタイラント・ネメシスともに暴走状態に陥り、拘束具を破壊して異形の姿に変貌してしまう。だが最期まで知能は失われず任務を果たそうとする。まさに最も賢いB.O.W.と言える。あまりにも賢くなったせいか、自我を持った個体が研究所からの脱走を図ったとか。
しかしネメシス寄生の副作用で皮膚がケロイド状になり醜悪な容姿となってしまっている。
体内に流れるT-ウイルスの濃度は非常に濃く、抗体を持つジルでさえ感染させ、頭部を破壊されたはずのブラッドが細胞を再構築されてゾンビ化する現象が起きている。
作中の活躍
バイオハザード3では
シリーズ初登場。『バイオハザード3』の看板クリーチャーであり、追われる恐怖を演出する第二の主人公と言える。
1998年9月28日、T-ウイルスが漏洩して死の街と化したラクーンシティを実験場に見立て、アンブレラ社ヨーロッパ支部が実戦データ獲得のため追跡者を投下。標的は初代『バイオハザード』の洋館事件でアンブレラ社に損害を与え、今なおも不都合な証拠を集め続けている小うるさいS.T.A.R.S.とその関係者に定められた。神(アンブレラ)に逆らった人間に罰を与えるという意味合いも込められている。未知の兵器である追跡者のデータを得るため、アルバート・ウェスカーも動き出している。
投下された追跡者はまず最初にS.T.A.R.S.隊員のブラッド・ヴィッカースを執拗に追跡。彼は厳密には洋館事件の関係者ではないのだが、アンブレラにとってはお構いなしのようだ。最後は警察署前でブラッドを追い詰め、ブラッドの顔面を触手で貫いて殺害した。次に同じく隊員であるジル・バレンタインを標的にして追跡を開始する(第一形態)。
彼女を抹殺するため追跡者はエリアをまたいで追いかけてくる。イベント以外の出現ポイントはランダムでもあり、周回するごとに出くわす場所が異なる上、ジルの全力疾走より速い走りで追い回し、出現中は専用BGMが流れるなど「追われる恐怖」をこれでもかというほど演出する。発売当時このような敵は少なかった。銃弾を浴びせ続けると膝を折るが、持ち前の再生能力ですぐに起き上がってしまうため一時しのぎにしかならない。故に倒す事は困難だが、倒れている追跡者の体を調べると弾薬や武器のパーツを入手出来るため、ご褒美要素はある。場面によってはロケットランチャーを担いでおり、室内だろうがジルめがけて乱射してくる。このロケットランチャーは別のクリーチャーにも命中するため、ゾンビを盾にする事も可能。
場所によっては壁に引っかかる事があり、ジルからハメ殺しを受けたりする。
標的であるS.T.A.R.S.隊員と会話する者は関係者と見なして抹殺対象にする知能があり、ジルと行動をともにするカルロスや監視者ニコライも追跡者の標的となっている(ルートによってはニコライを殺害する)。
追跡者の追跡は執拗を極め、死の街と化したラクーンシティ中を追い回す。ジルの反撃やミハイル・ヴィクトールの自爆で一時的に追跡を断念した事はあったが、すぐさま何事も無かったかのように追跡を再開。救援に来た撤収用ヘリをジルの前で撃墜し、脱出の希望を木っ端微塵に粉砕するなどやりたい放題であった。
しかし度重なる戦闘で拘束具が破損するとネメシスが異常成長し始める。これによりタイラントに巻きついていた触手が皮膚を突き破り、さらに醜悪な見た目となる(第二形態)。右手が触手のみになった事で武器の携行は不可能になったが、触手を自分の手のように操ってジルの命を狙う新たな凶器に仕立て上げる。時計塔での戦闘ではジルに触手を打ち込み、濃厚なTウイルスを送って遂に感染させた。
ジルの抵抗で更なるダメージを負い、廃棄物処理に巻き込まれた事によりネメシス・タイラントともに暴走状態となる。第二形態までは人型を留めていたが、この状態になると最早人の形ですら無くなり、巨大な四足歩行の肉塊と化す。廃棄物処理場でアメリカ軍特殊部隊と相討ちになったタイラントの死体を捕食し、巨大化(第三形態)。うごめく肉塊に過ぎない身体に、攻撃手段も酸を撒き散らす程度と知能を微塵も感じさせない容姿ながらジルの抹殺を完遂しようと迫り来る。この追跡者を倒すには米軍が持ち込んだレールキャノン「パラケルススの魔剣」が必要となる。通常の手段では倒す事は出来ないが、一定以上のダメージを与えると再びタイラントの死体を貪りに行こうとする。その際の追跡者の移動ルートは「パラケルススの魔剣」の射線であるため命中させやすくなる。レールキャノンをぶち込まれると黒焦げになって無様に巨体が転がるが…。
レールキャノンを撃ち込まれてもなお息絶えてはおらず、満身創痍の体を引きずりながら執念でジルに近寄る。その姿はまさにネメシス(復讐)の名に相応しい。ここで最後のライブセレクションが表示され、追跡者に「トドメを刺す」か「逃げる」かを選ぶ事になる。「トドメを刺す」を選んだ場合、追跡者の攻撃を咄嗟にかわしたジルが特殊部隊員の死体からマグナムを拾い、7発の銃弾を撃ち込んで遂に因縁を終わらせる。「逃げる」を選んだ場合はエレベーターに駆け込んで終了。時間切れの場合は追跡者の攻撃でダメージを受けるが、追跡者も息絶える。どちらにしろ街に核ミサイルを撃ち込まれるため追跡者は消し飛ぶ。命日は10月2日。
ガンサバイバー2では
『コードベロニカ』を題材にしたガンシューティングゲーム『ガンサバイバー2』にも登場。ただし名称は一貫して実験体であり、追跡者やネメシスT型とは呼ばれない。
通常プレイしているだけでは出現しない珍しい敵であり出現条件は時間切れになる事。制限時間が10秒を切ると「実験体の異常を確認……」という不穏なテロップが表示され、0秒になると画面が暗転し、「実験体の暴走を確認!!」の表示とともに倉庫のシャッターをぶち破って実験体が出現するムービーが挿入される。続いて「実験体が一般エリアに侵入!ただちに退避せよ!」と表示され、エリア内に実験体が出現。いかにもヤバそうな雰囲気を醸し出す。
どんなに銃弾を浴びせてもNO DAMAGEと表示されるだけで、絶対に倒せない。逆に追跡者の攻撃は全て即死となる。パートナーが倒されると制限時間が回復して逃げる猶予が生まれるが、たとえ攻撃を回避し続けても、一定時間以上同じ部屋にいると実験体に仕掛けられた暴走処理用の爆弾が起爆し、強制ゲームオーバーになってしまう。いわゆるペナルティキャラである。
アーケードモードにて各ステージに1個ずつ隠された宝石を5つ集め、ラスボスのタイラントを撃破すると隠しボスとして実験体が出現。今回は無敵ではなく倒す事が出来、代名詞のロケランを引っさげて最後の戦いを挑んでくる。戦闘BGMは『ベロニカ』のスーパータイラント戦のものを流用している。何故か置いてあるリニアランチャーを使わなければ倒せず、本編ラスボスのアレクシアを一撃で葬ったリニアランチャーを何発も当てなければならない所を見るに、実験体のタフネスさは異常である。撃破すると爆発する。
ガンサバイバーの世界ではロックフォード島でも追跡者の実験がなされていたようだ。作中に登場する書簡によると、非常事態を感知した際にネメシスT型が自動で起動するようにされているという。看守長の日記によると「廃棄処分された実験体の肉を盗み出して与えた」とあるが、この実験体が追跡者のものであるかは不明。
オペレーションラクーンシティでは
『3』で描かれたラクーンシティ事件を題材としているため堂々参戦。アメリカ軍特殊部隊側の「エコーシックス編」、アンブレラの掃除部隊U.S.S.側の「ウルフパック編」ともに登場。
「エコーシックス編」では原作通りジルを追跡している。そこへエコーシックスが通りがかり、ジルと協力して追跡者を撃退する事になる。無事ジルを逃す事には成功したが、ジルを助けたせいで追跡者に敵認定され、今後も干戈を交える羽目になる。
一方、「ウルフパック編」では度重なるダメージで暴走した追跡者が登場。S.T.A.R.S.抹殺の任を忘れ、アメリカ軍特殊部隊やU.S.S.に見境無く襲い掛かっている。外部からの命令を受け付けない追跡者を再度制御下に置くべく、ウルフパックは市内の研究所からパラサイトを調達し、注射の隙を作るため自社製品と戦う羽目になる。一定以上のダメージを与えると膝を折って無防備な状態となり、すかさずパラサイトを注入すると任務達成。しばらく地面に横たわって悶絶していた追跡者だったが、パラサイトの力でアンブレラの制御下に戻り、再度送られたS.T.A.R.S.抹殺の任務を受領。近くの補給用ボックスからロケランを片手で拾い上げて悠々と去っていった。
原作の第三形態をアレンジした専用のテーマ曲持ち。本作ではロケラン以外にもガトリング砲を使用するが、これは後述の映画版の設定を取り入れているため。とにかくタフネスで戦闘が長期化しかねない。
実写映画では
前作『バイオハザード』終盤にて、主要人物の一人マット・アディソンはリッカーの鉤爪に切り裂かれて左腕を負傷し、T-ウイルスに感染。何とか地下研究所ハイブからの脱出には成功したものの、感染に対して特異な反応を見せたため待ち伏せていたアンブレラ社によって拘束され、ネメシス計画の実験体にされる。
ラクーンシティ内の病院に搬送されたマットは様々な手術と薬物投与を受け、追跡者へと改造されてしまう。その後、『バイオハザードⅡ』にてラクーンシティにT-ウイルスが漏洩。アンブレラ社のティモシー・ケイン少佐はデモンストレーションの好機と見て追跡者を起動させ、武器となるロケランと攻撃ヘリ用のガトリング砲を空中投下した。手始めにS.T.A.R.S.抹殺の指令が送り込まれ、彼らが立てこもるガンショップに赴く。屋上に潜む狙撃手をロケランで景気良く吹っ飛ばした後、屋内の隊員から一斉射撃を受けるが軽く小突かれた程度にしか感じず、ガトリング砲で易々とS.T.A.R.S.隊員を全滅させた。この時、登場人物のL.JがS.T.A.R.S隊員と一緒にいたが、彼は一般人だったため攻撃せず立ち去った。
そして追跡者はアリスと相対する。元々ネメシス計画とはT-ウイルスと共存し驚異的な身体能力と回復力を得たアリスを倒すためのものだった。早速ケインからアリス抹殺の指令が送り込まれ、追跡者はアリスと戦闘する。しかしこの時は決着が付かなかった。2度目の対峙はラクーン市庁舎前で行われた。互いに素手の激しい肉弾戦を繰り広げた。アリスの巧みな戦い方により、曲がった鉄の棒に身を貫かれた追跡者は身動きが取れなくなった。ここぞとばかりに攻撃を加えたが、追跡者の瞳にマットの面影を見たアリスは途中で攻撃が出来なくなってしまう。トドメを刺せと言うケインの命令を聞かなかったアリスは、追跡者のガトリング砲で処刑された・・・・・と思いきや追跡者はアリスではなく脇を抱えていたアンブレラの兵士を撃ち、アリス側へと寝返った。ガトリング砲の威力に物を言わせ、次々に兵士を撃ったが最期が火達磨と化したヘリからアリスをかばって下敷きとなり死亡した。
ちなみに小説版によると、ネメシスに改造された後もマットの意志は存在しており、勝手に動く自分の体を止めようとしたが努力の甲斐なく無駄に終わっている。
バイオハザードRE:3では
『バイオハザード3』のリメイク版にあたる『バイオハザードRE:3』が2020年4月3日に発売。パワーアップした追跡者が新たな恐怖を引き連れ、プレイヤーの前に降り立った。
オープニングムービーにて製造過程の一部が描写され、完成した追跡者は鉄の棺に入れられて空輸ヘリに積載。ニコライが残した調査書によると9月28日18時にラクーンシティヘ投下された模様。原作同様、S.T.A.R.S.の抹殺を掲げ、ゾンビと遭遇するより前にジルの自宅アパートを急襲するという衝撃的な登場を果たす。訳も分からぬままジルはアパートからの逃走を強いられる。その際、逃走に失敗すると容赦なくゲームオーバーにされる。
スティンガーを喰らっても一時活動不能になる程度で済むタイラント以上の驚異的な防御力を持ち、ロケラン以外にも本作では火炎放射器を使いこなす。またゾンビにNE-αの一部を寄生させて触手による攻撃手段を付与する能力も追加された。製造元のヨーロッパ支社によると、『RE:3』に登場する追跡者は「よく訓練された性能が高い個体」とされ、それを裏付けるように街の構造を完全に把握。何度ジルに撒かれても先回りして執拗に追跡する。しかし主任研究員ナサニエル・バード博士は寄生生物NE-αに対する制御の不安定さを指摘し、「ブレーキが無い車」「アメリカでは買い手がつかない」と酷評している。
ジルを殺害しようと何度も立ちふさがり、彼女が選択を誤った時は赤子の手を捻るように殺害する。そのバリエーションは実に豊富。追跡中はアンブレラから度々補給を受けていたらしく、火炎放射器やロケットランチャーを装備した事もあったが、原作と違って最後までロケランを使わず徒手空拳(+触手)で戦う事の方が多かった。
ジルを追いかけて地下鉄へ乗り込んだ際にミハイル・ヴィクトールの自爆に巻き込まれてリミッターが外れ、巨大化するとともに四足歩行の怪物となる(第二形態)。相変わらず再生能力は凄まじく、ジルの機転で左腕を切断されても何事も無かったかのように再生している。NEST2の処理施設まで追い回す執念を見せたが、カルロスによって実験体の処理に使われる溶解液の海に沈められ、呻き声を上げながら水没。これで終わったかと思いきや更なる変異を促してラスボスの第三形態となる。第二形態より更に肥大化し、原型を留めているのは顔のみと醜悪な怪物を想起させる生命体に身を落としてまで、ジルの抹殺を遂行しようとする。ラスボスだけあって攻撃力が非常に高く、最高難易度のインフェルノでは一撃一撃が即死級の威力を誇る上、あろう事かフェイントまでしてくる知能の高さまである。倒すには「FINGER」と呼ばれるレールガンが必要。
余談だがムービー等では容易に殺害できた状況にも関わらず、回りくどいやり方をして逃げられるという失態も演じている。頭を掴んだのにそのまま砕かなかったり、不意打ちで殺害できたのに何故か隣のタイレルを狙ったり、触手で刺し貫けば良かったのにわざわざ首を絞めたり…。ゲームの都合とはいえ殺害の機会が沢山あったにも関わらずジルを始末できない彼(?)の動きは舐めプと形容される。
外部出演
バイオハザード本家では3とオペラクのみの登場だが、その人気の高さから外部作品への出演機会に恵まれている。
PROJECT X ZONE、PROJECT X ZONE 2 : BRAVE NEW WORLD
カプコン、セガ、バンダイナムコゲームスの3社による共同プロジェクト作品である本作にカプコン悪役側として出演。同じバイオタイトルからの参戦であるクリス、ジルらのライバル枠である。
この作品での初登場時は「ジルの記憶の中のトラウマから再構築された」という形で出現し、主人公陣営に立ちはだかる。敵陣営側ではザベルやVAVAに気に入られたり、セスから高評価を受けたりとなかなかの好待遇。そして…
なんと「ジルからの突っ込みを受けて言い直す」という、ある意味で知能の高さを見せつけるボケ(?)をかましたのである。これで不覚にもネメシスに萌えた人がいるとかいないとか・・・
ULTIMATE MARVEL VS. CAPCOM 3
カプコンキャラとマーベルコミックキャラが戦う格闘ゲームである本作にULTIMATEからの追加キャラクターとして参戦。とうとうプレイヤー操作できるようになっちゃった。
この作品ではカプコン側のデカキャラ枠のような形。マーベル側最大体格であるセンチネルとどっこい位の巨体である。基本の姿は第1形態であり、アレンジコスチュームで第2形態(なのにロケラン持ちなのは突っ込んじゃいけない)、レベル3ハイパーコンボでちょっとだけ第3形態(なぜか元に戻れるのも突っ込んじゃry)になることができる。
キャラクター性能としては先鋒起用特化になっており、素の攻撃力の高さとコンボの簡単さ、ロケランや触手を利用した中~やや遠距離にも対応可能な攻撃手段が売り。やや離れた相手を捕獲できるコマンド投げやスーパーアーマー技も相まってガンガン攻めるのが得意。
反面図体のデカさが仇となって一度相手にコンボを決められてしまうと抜け出す手段がほぼなく、大半の攻撃がガードされると反確になってしまうためアシストで隙を潰したりするなどの工夫が必要となる。
なお、2017年9月21日発売予定のMARVEL VS. CAPCOM: INFINITEにも続投が決定したことが判明した。
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関連項目
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