遺言状とは、遊戯王OCGのカードである。
2015年7月現在、禁止カード。
概要
通常魔法
※「EX-R」収録のカード(EX-39)による
このターンに自分フィールド上のモンスターが自分の墓地へ送られた時、
デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚する事ができる。
自分のモンスターが墓地へ送られた場合、モンスターを特殊召喚できる。
最後の収録が第2期ということもあり、テキストが曖昧、というより、今なら作らないような複雑な処理を行うカード。
- 発動条件は特にない。通常魔法が発動可能なタイミングであればいつでも発動可能。
- 効果適用の条件は、このカードを発動する前に行われても後に行われても構わない。
効果適用条件をすでに満たしているならば、このカードを発動した効果処理時に特殊召喚することも可能。 - 条件を満たしていれば、そのターン中の任意のタイミングで特殊召喚できる(いわゆる残存効果)。メインフェイズ1にモンスターを墓地へ送り、バトルフェイズで特殊召喚することも可能。ただし、ダメージステップは不可。
バトルフェイズやエンドフェイズなど、通常魔法が本来発動できないタイミングでも可能。この処理はチェーンブロックを作らない(発動しない)。テキストから時の任意効果を想像するが、ここでは関係ない。
ただし、さすがに、スペルスピード2以上の効果しか発動できないタイミングでこのカードによる特殊召喚を行うことはできない。
無理やり今風(第9期仕様)のテキストにするなら以下のようなものか。
(1):このカードを発動するターン、自分フィールドのモンスターが墓地へ送られている場合、
このカードの発動後、ターン終了時まで
自分は1度だけデッキから攻撃力1500以下のモンスター1体を特殊召喚できる。
タイミングを逃すなどの心配も必要なく、非常に幅広いモンスターを特殊召喚可能。戦闘破壊を介する必要もなく、非常に簡単に条件を満たせる。
低攻撃かつ優秀な効果を持つモンスターと相性がよく、【サイエンカタパ】、【デビル・フランケン】等のデッキではキーカードを特殊召喚するために使われた。シンクロ召喚などはなかった時代だが、効果の適用条件を満たすためには、「キャノン・ソルジャー」、「カタパルト・タートル」などのモンスターを射出するカードが用いられた(「キャノン・ソルジャー」、「カタパルト・タートル」自体もこのカードで特殊召喚可能)。
強烈な破壊効果に比べると地味に見えるが、緩すぎる条件で幅広いモンスターを出せるため、1ターンキルのパーツ集めなどで重宝された。複数枚のこのカードを発動していた場合、適用条件を満たせば、発動枚数分出すことができる。それ以外でも、「クリッター」等の汎用性の高いカードを出すこともできる。
いまいちピンと来ないかも知れないが、要するに、デッキの中の任意の攻撃力1500以下のモンスター1体として扱えるカードである。「クリッター」等の類似カードと比べても適用条件、対象範囲ともに緩く、それらのカードの中で最強と言っても過言ではない。
そんなためか、2000年4月1日の改訂で登場早々制限カードとなった。
2001年1月15日に準制限カードとなり、同年5月28日にはなぜか制限解除されている。その後は当然と言うべきか、1ターンキルのパーツ集めなどに使われていたが、規制が入るのは遅く、2006年3月1日に制限カードに指定されている。その後、「デビル・フランケン」ともども2007年3月1日に禁止指定を受け、今に至る。
現在であればシンクロ召喚で効果を発動することも可能。モンスターを墓地へ送るという適用条件をかなり容易に満たせるようになっている。このカードでチューナーを出せばさらなるシンクロ召喚につなげられるほか、このカードで出せるモンスター自体も当然どんどん増えており、昔より強くなることはあっても弱くなっているとは言い難い。
エラッタによる復帰を別にすれば、制限復帰の非常に難しいカードの1枚。
裁定について
このカードを「神の警告」で無効にしようとする場合について。
そのターン中、すでに自分フィールドのモンスターが墓地へ送られている状態(特殊召喚の条件を満たした状態)で発動した場合は、無効にできる。しかし、まだ自分フィールドのモンスターが墓地へ送られていない状態(特殊召喚の条件を満たしていない状態)で発動した場合は無効にできない。
また、どちらの場合も、カードの発動時ではなく、特殊召喚の処理の際にそれを無効にすることはできない。
この場合は「神の宣告」を発動できない。
どちらの場合も、3に対して「神の宣告」を発動することは不可能。
モンスターの召喚成功時や攻撃宣言時などに、このカードによる特殊召喚と、そのタイミングを指定するカード(「奈落の落とし穴」や「次元幽閉」など)の発動をどちらも行いたいという状況になった場合、先に後者を行い、お互いにそれらの処理が終わった後に、デッキからの特殊召喚を行える。
残念ながら、このカードの特殊召喚を間に挟むことで無理やりタイミングを逃させることはできない。
- 「遺言状」を発動。効果解決時には特殊召喚しない
- モンスターをリリースしてアドバンス召喚(条件を満たす)
- アドバンス召喚成功時に自分は「遺言状」による特殊召喚を行いたい、相手は「奈落の落とし穴」を発動したい
この場合、先に相手が「奈落の落とし穴」を発動し、その処理が終わった後に改めて特殊召喚できるようになる。
上記の裁定は、かつては長らく調整中とされていた。禁止カードだったのであまり問題ないといえばなかったが。現在はしっかり裁定が出ているが、少々複雑なので、ノーリミットデュエルなどでこのカードを使う場合は裁定を確認して頭に入れておくとよい。
旧テキストについて
初出時のテキストは以下のようなもの。
このターンに墓地へ送られたモンスター1体の代わりに、
※「EX」収録のカードによる
デッキから攻撃力1500以下のモンスター1体をフィールド上に出すことができる。
「特殊召喚」ではなく「出す」、ひらがな表記だった「こと」など、初期らしい曖昧なテキストや不統一な表現もあるが、最も違うのは、「モンスター1体の代わりに(中略)モンスター1体を」出せた、つまり、1枚発動しておくだけでモンスターが墓地へ送られるたびに何度も特殊召喚できたこと。
そのため、「キャノン・ソルジャー」と任意のモンスター1体をフィールドに出し、デッキにこのカードで特殊召喚できるモンスターを14体用意しておけば1ターンキルが成立した。メタカードも少ない時代なので防ぐのも容易ではない。
「EX-R」での再録時にエラッタされたことで、その使用法は不可能になったのだが、そのテキストを読んでも、2回使えないということははっきり読み取れず、裁定で確認するしかない。
ちなみに、海外版テキストでは1回しか使えないことが明記されている。
初出時のテキストに忠実に従えば、手札からモンスターが墓地に送られても成立するように読み取れるが、実際に公式がどういう裁定を出していたのかは不明(「代わりに」という表現から、墓地へ送られるモンスターもフィールドにいなければならないと解釈されたかもしれないが)。今となっては公式に聞くこともできず、ルール整備が不十分でローカルルールも多い時代だったろうことを考えると、もはや知るよしもないのかもしれない。
その他
禁止指定を受けるのは登場から6年ほど後であり、いわゆる現役期間はそれなりに長いのだが、2000年の「EX-R」を最後に一度も再録されていない。そのため、今でも第2期のものが最新である。
英語版では、イラストの遺言状の文字がWill(英語で「遺言状」の意)に差し替えられている。
ゲーム「WCS2009」では、ライディングデュエルで使用可能なこのカードのスピードスペル版の「Sp-遺言状」がオリジナルカードとして登場している。
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関連項目
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