郵便ポストとは、はがき・封書など、宛て先が記された郵便物を簡便に差し出すために差し入れ口があり、そして内容品を容易に盗まれないように鍵が付けられ、それ自体も窃取・持ち去りができないよう、地中に土台を堅牢に埋め込んだり、壁面に差し込んだり(「2号」など)、埋め込んであったり(都心部オフィスビル内などの私設のものなど)、スペーサーなどで物理的に床面・壁面と密着させる(コンビニ店内の薄型ポストなど)、それぞれ取り集め(内部用語で「取集」【しゅしゅう】という)時刻までの間、上述した窃取はもちろん、風雨や雪などに晒されないよう、安全に保管する目的で設置されたものである。
一般的に「ポスト」と言えば、この郵便ポストのことを表す事が多い(「役職」の意味もある)。この記事でも「郵便ポスト」を意味する言葉としてポストを用いる。
なお、個人宅の玄関や出入り口付近に設置(あるいは玄関扉付近そのものにハメ込み)されていたり、集合住宅の最下層階や事業所に設置された「郵便受け」の事も「郵便ポスト」、あるいは単にポストと呼称する事もあるので、文脈から読み分けが必要である。日本語は難しい。
近年「日本郵便が取り扱う次のもののみ投かんしてください(略)」というステッカーが貼られている郵便ポストが多い。これは、他社が扱ったメール便商品(主に誤配など)を投函されても、日本郵便では直接対応できない(他責のものを速やかに該当事業者に引き渡さねばならず、事務上においても煩雑となっていた。事実、他社メール便を誤配先受取人が郵便局へ持参する事例は、都市部においては珍しくない)ため、端的には郵便ポスト利用者へ「あなたが入れようとしているソレ、ひょっとして、郵便じゃなくね?」と、今一度の喚起を行うために貼付されているものである。
概要
正式名称は「郵便差出箱」。日本(日本郵便)における一般的な色は赤色であり、「古今東西」のお題では赤いものの代表例でもある。しかし「赤い郵便ポスト」は世界共通というわけではなく、日本が郵便制度の規範としたイギリス(Royal Mail)などは同じく赤色であるが、アメリカ合衆国(USPS)などは青、ヨーロッパなどは黄色(例:フランスのLa Poste、スイス連邦のSwiss Post)、中国は緑(中国郵政、香港郵政)など、世界各国、郵便ポストの色(≒郵便事業体のコーポレートカラー)はさまざまである。
日本では、かつて円筒形の丸ポスト(丸型1号)と呼ばれるものが使われていたが、今では多くの場所で見られる四角い箱状のポストが広まっており、丸ポストが残っているところは少ない(老朽化などはもとより、仕様上「レターパック」が投函できないため)。
通常、郵便ポストは郵便局の前や道端・鉄道駅前・スーパー・ショッピングセンターの敷地内・総合病院の内外・住宅団地の出入り口・村落の中心部などの公共性が高い場所および、郵便切手類販売所などの近くに設置されているが、最近ではコンビニ(日本郵便と業務提携を締結している「ローソン(派生業態含む)」・「ミニストップ」は店内レジ付近など、完全に「店舗内」。およびそれ以外の一部コンビニは敷地内など)、加えて山の頂上、ロープウェイ駅や海の底(和歌山県西牟婁郡すさみ町)など、ごく限られた人間しか使わないのでは…と思われるような場所に置かれているものも存在する。いずれも原則、1日1回以上の開函(かいかん/開箱・かいばこ ともいう)が定められている。
余談であるが、日本郵便は「デイリーヤマザキ」・「サークルKサンクス」と結んでいた業務提携を破棄している。そのため、店内に設置されていた郵便ポストは2012年夏までに撤去された。
なお、日本国内に設けられた郵便ポストは、原則赤色および青色(速達専用・めっきり数を減らしている)であるが、例えばJR品川駅構内コンコースに設けられている、往年活躍していた郵便電車を模した特別仕様のもの、アニメ「TARI TARI」第1話で背景にチラリと映る江ノ島郵便局前の黒色のものなどをはじめ、いくつか存在するので、ウェブでの検索はもちろん、出会うための旅に出てみるのも良いだろう。
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