概要
インターネットの普及に伴い、YouTube、ニコニコ動画などの動画配信サービスは徐々にその勢力を拡大し、追って映画やドラマ、音楽などのメディアコンテンツの販売もその拠点をDVDなどの物理メディアからネット上に移していった。今やNetflix、Amazon Primeなどの映像サブスクリプション事業の筆頭は映画館とは別にオリジナル作品を作って配信するほどにまでなり、また音楽はApple MusicやSpotifyなどの音楽サブスクリプションが普及しDL限定配信の楽曲を見ることもしばしば。だがその一方で、YouTubeや各種サブスクリプションのような「コンテンツを自分で所有しない」方式のサービスにおいて悩みの種になるのが
「配信終了」
えっ、昨日まで見てたアレは…?
ないです。動画サイトや各種サブスクリプションサービスは基本的にオンデマンド(視聴者側が要求して初めて動画がその都度ダウンロード/ストリーミング配信される)方式のため、見たい・聴きたいコンテンツがサービス側に見れる状態で存在しないと見れないのである。至極当然ではあるが、これは則ち「サービス/提供者側の都合でこれまで見れたコンテンツが見れなくなる」という円盤をオタクたちが競って買い求めた古の前時代にはなかった問題として現代の人々の前に現れたのである。
なんでこんなことになったんですか
配信終了になる理由は山ほどあるが、権利侵害などの法的に仕方のないものを除いても
- 提供者(配信者、投稿者)の意向が変わり削除
- 提供者が不祥事を起こす
- 出演者が不祥事を起こしたり亡くなったりする
- 事務所移籍など、権利的な移動をする
- コンテンツの権利を管理する会社が倒産等で消滅する
- ポリティカル・コレクトネス
- 配信サービスが終了する
- そもそも配信期間が決められている
- サービス側の独断による整理対象
など、割と予測できないものが多い。なにせ一個目の時点でかなり条件がフレキシブルだし、提供者、サイト、世論などどれかに一つでも躓けば削除の可能性がある。
どうにかリスクを軽減できない?
たぶん無理。上記の原因に備えるなんてことは難しいし、また大抵の動画・サブスクサービスはコンテンツの複製も禁止であるので録画などもできない。勘違いしがちだが、こういったサービスはコンテンツを「見る権利」を買っているだけで「複製する」権利は買っていないのだ。サービス備え付けのダウンロード機能(オフライン視聴機能など)もコンテンツの配信停止とともに自動的に消去される場合が少なくないので、結局のところ視聴者側はいつコンテンツがなくなってもおかしくないという不安を常に心の片隅に置きながらサービスを利用しなければならない。
思い出は残せるだろうか
結局のところ、オンデマンド形式のコンテンツはいつか見れなくなるのだ。円盤になるならまだ保管の手立てがあるが、ネット上で現れて消えるYouTuberたちの動画群やネット上で終わったオリジナル動画シリーズなどは保管の手立てが少ないため熱心なファンにとっては辛いことだろう。
ただ、「配信終了」するコンテンツは円満な終焉でないことも多い。「配信を続けたかったが労力的、経済的にできなかった」という無念の理由のものもあれば「これからの関係者の人生によくない影響を与えるから」とか「別の動画配信を始めるにあたって旧動画が創作の障害になるから」という後ろ向きな理由のものもある。自分の思い出や仲間内で盛り上がった記憶の欠片を保存したいと思う気持ちの一方で、配信者側の事情も考えたうえで、ある程度までで諦めることも時には必要である。
関連動画
関連項目
- 1
- 0pt