野尻抱介(のじり ほうすけ)とは、日本のハードSF作家。ニコニコ動画では「尻P」としてニコニコ技術部に所属。
ニコニコでの活動は「尻P」の項目を参照。本項ではSF作家「野尻抱介」について記述する。
概要
ペンネームの由来は天文学者(「天文・学者」ではなく「天・文学者」)の野尻抱影。
1992年、PBM『クレギオン』のノベライズである『クレギオン ヴェイスの盲点』(富士見ファンタジア文庫)でデビュー。富士見ファンタジア文庫で『クレギオン』シリーズ、『ロケットガール』シリーズを展開したのち、1999年「太陽の簒奪者」(短編版)で星雲賞を受賞。以後星雲賞の常連となり、国内を代表するSF作家として認知される。
作風はガチガチのハードSF。「ハードSF」って何よ?という方は、「科学的考証のしっかりしたリアリティ重視のSF」という理解をしておけばたぶんおk。そう聞くとSF初心者にはとっつき辛そうに思えるかもしれないが、元々ライトノベルレーベルで活動していたこともあって、ハードSFとしては非常に読みやすい。ある思いつきや発見から大きなプロジェクトが動き出し、底抜けに明るく宇宙を目指すという希望に溢れた宇宙開発SFが野尻節の真骨頂である。
初めて読む人は、富士見ファンタジア文庫時代の作品(『クレギオン』『ロケットガール』)や、ニコニコ動画とVOCALOIDを題材にした『南極点のピアピア動画』あたりから手を出してみるのをオススメしたい。
デビューから20年以上で著作は16冊(ノンフィクション、再刊は除く)と、わりと寡作(本格SF作家には寡作が多いが)。というか初期はライトノベルレーベルで書いていたこともあってコンスタントに作品を発表していたが、2002年に『太陽の簒奪者』(長編版)を出して以降はめっきり仕事をしなくなってしまい、以降の10年以上で『ロケットガール4 魔法使いとランデヴー』、短篇集『沈黙のフライバイ』、連作集『南極点のピアピア動画』の3冊しか新刊が出ていない。ニコニコもいいけど小説も書いてください先生。
ライトノベル時代の作品はしばらく入手困難だったが、『クレギオン』は2003年から2004年にかけてハヤカワ文庫JAから再刊された。また『ロケットガール』はシリーズ中断から8年が経過した2007年に何故かアニメ化。それに合わせて新装版と新刊の第4巻が刊行された。数年後にはそれもまた品切れになっていたが、2013年から2014年にかけてハヤカワ文庫JAからふたたび再刊されている。『ふわふわの泉』も2012年にハヤカワ文庫JA入りしたため、現在は『ピニェルの振り子 銀河博物誌1』以外の全作品が新品で入手可能である。『銀河博物誌』の再刊と2巻はいつですか?
SFファンによる読者投票である星雲賞を、『太陽の簒奪者』(短編版)、『ふわふわの泉』、『太陽の簒奪者』(長編版)、『大風呂敷と蜘蛛の糸』、『沈黙のフライバイ』、『南極点のピアピア動画』、『歌う潜水艦とピアピア動画』で計7回受賞している。受賞回数では小松左京(6回)を抜き、神林長平・筒井康隆(8回)に次ぐ歴代3位タイ。第39回では初音ミク(自由部門)との同時受賞を果たしていたりする。また『南極点のピアピア動画』は2013大学読書人大賞を受賞した。
他、アニメ『ギャラクシーエンジェル(第3期)』にて、第13話「激レアフォーチュンクッキー」と第25話「ポンコツラーメン替え玉有り」の脚本を書いている。ムックには書き下ろしの短編も書いていたりする。
2009年4月3日放送のザ☆ネットスター!(NHK-BS2)に出演。「あの楽器」をはじめ、現在のネット上での話題や議論していくべき問題点などについて専門的な立場から語った。また、初音ミクなどネットにハマってるせいで(仕事をしている暇がなかったため)貯金が後40万円くらいしかないと明らかにした。小説の新作が近いか!?仕事した結果が、「南極点のピアピア動画」第40回星雲賞日本短編部門(2009年)受賞だよ!
2010年5月、twitter上でのセカイ系批判が一部で物議を醸した。
作品リスト
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クレギオン
- ヴェイスの盲点 (1992年、富士見ファンタジア文庫→2003年、ハヤカワ文庫JA)
- フェイダーリンクの鯨 (1992年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
- アンクスの海賊 (1993年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
- サリバン家のお引越し (1993年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
- タリファの子守歌 (1994年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
- アフナスの貴石 (1996年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
- ベクフットの虜 (1998年、富士見ファンタジア文庫→2004年、ハヤカワ文庫JA)
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ロケットガール
- ロケットガール (1995年、富士見ファンタジア文庫) → 女子高生、リフトオフ! (2006年、富士見ファンタジア文庫、新装版・サブタイトル追加→2013年、ハヤカワ文庫JA)
- 天使は結果オーライ (1996年、富士見ファンタジア文庫→2006年、富士見ファンタジア文庫、新装版→2014年、ハヤカワ文庫JA)
- 私と月につきあって (1999年、富士見ファンタジア文庫→2007年、富士見ファンタジア文庫、新装版→2014年、ハヤカワ文庫JA)
- 魔法使いとランデヴー (2007年、富士見ファンタジア文庫→2014年、ハヤカワ文庫JA)
- 銀河博物誌1 ピニェルの振り子 (2000年、ソノラマ文庫)
- ふわふわの泉 (2001年、ファミ通文庫→2012年、ハヤカワ文庫JA)
- 太陽の簒奪者 (2002年、ハヤカワSFシリーズJコレクション→2005年、ハヤカワ文庫JA)
- 沈黙のフライバイ (2007年、ハヤカワ文庫JA)
- 南極点のピアピア動画 (2012年、ハヤカワ文庫JA)
関連商品
クレギオン
ロケットガール
その他
関連項目
関連リンク
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