野村萬斎とは、日本の狂言師の名跡のひとつである。
本記事では、当代の野村萬斎二世について解説する。
概要
1966年4月5日生まれ、東京都出身。本名は野村武司。大河ドラマの芸能考証を務めた故・野村万之丞五世は従兄にあたる。東京藝術大学出身。
端正な顔立ちから「狂言界のプリンス」と呼ばれる、日本を代表する狂言役者の一人。活動の大半は狂言であるため、後述の知名度を高めるきっかけとなったテレビや映画の出演数はさほど多くないが、そのいずれも彼の当たり役となっている。
幼少期に、大河ドラマ「国盗り物語」で猿楽一座の踊り手役でテレビに初出演。その後、大河ドラマ「花の乱」で細川勝元を演じる。放送当時28歳の若さながら、山名宗全役の萬屋錦之介と対等に渡り合うこの役で全国区にその名が知られるようになる。
彼の人気を決定づけたのは、連続テレビ小説「あぐり」の望月エイスケ役である。作家の吉行淳之介や女優の吉行和子の父・吉行エイスケをモデルにしたこの役柄で、飄々としたキャラクターを好演して、多くの女性ファンのハートをわしづかみにした。吉行エイスケ同様望月エイスケも若くして亡くなるのだが、あまりの人気のためNHKには延命嘆願の手紙が大量に届き、結果幽霊(朝ドラでは定番の演出)として最終話近くまで何度か出演することになるほどであった。
その後も、映画「陰陽師」の安倍晴明役で晴明と陰陽道のブームを作った他、近年では映画「のぼうの城」の成田長親役で主演している。「のぼうの城」で長親が田楽の舞を踊る場面では、自ら振り付けも手掛けている(長親の舞につられて踊り出す敵兵の踊りも指導している)。また、Eテレで放送中の「にほんごであそぼ」にも出演中。「ややこしや~」のフレーズは一時期日本中の子どもたちの間で爆発的ヒットを飛ばした。
2016年には、怪獣映画「シン・ゴジラ」ではタイトルロールであるゴジラを演じた。同作ではゴジラはCGで描かれており、モーションキャプチャーによってゴジラの動きを担当した。
世田谷パブリックシアターの芸術監督も努めており、「ハムレット」や「オイディプス王」など西洋演劇作品の主演歴も多い。
エピソード
- 非常に低く色気のある声をしているが、元々は高い声だったらしい。10代の頃、変声期と狂言の稽古を重ねた結果現在のような特徴的な声に変わったという
- 今でこそ狂言界のプリンスとして狂言や伝統芸能を代表する立場であるが、狂言の名家に生まれたことに思春期はかなり反抗している。防音設備のない自宅でエレキギターを引き父親(人間国宝の野村万作)に怒鳴り込まれギターを床に叩きつけたり、バンド活動に精を出し狂言の稽古はすべてサボるような少年時代を過ごした。後に本人は「反抗期にきちんと反抗したことで心の整理も付き、自我も芽生えたので必要な時間だった」と語っている。
- バラエティ番組に滅多に出なかったり伝統芸能の世界の人間であることから真面目な人と思われがちであるが、実際はノリがよく陽気で少々天然なおじさんである。ドッキリの仕掛け人を大喜びで引き受けるタイプだし、マツコ・デラックスの服装が気になるからマツコの番組に出演しちゃう(そしてマツコから「事務所に電話いただけたらこんなのすぐお答えしますから、こんな場末の番組に出ちゃ駄目ですよ」と言われる)
- 息子の野村裕基は現役大学生かつ狂言師。父と異なり自分が狂言の家に生まれたことを諦め半分で受け入れて生きてきたため、中学の頃から部活に身を入れるでもなく狂言の稽古をきちんとしてきたことから「反抗されたかったな…」と萬斎から嘆かれている。
- 長女の野村彩也子はTBSアナウンサー。雑誌モデルもしていた。大食い新人アナウンサーとしてバラエティ枠の出演が多い。
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関連項目
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