釣瓶落としとは、
である。
概要
主に近畿地方、特に京都周辺に出現するという妖怪。東海、四国、九州、東北の各地方でもみられる(なお「釣瓶落とし」の名称が見られるのは近畿、東海のみ)。「釣瓶おろし」ともいう。
大木の梢などに潜み、人が下を通りかかると勢いよく落ちてきて、人を驚かせたり喰ってしまったりする。一度落ちてきた後は何度も上下して、人を釣り上げることもある。
京都の曾我部村字法貴(現在の亀岡市曾我部町法貴)に現れた釣瓶落としは、カヤの木の上から突然落ちてきてゲラゲラ笑い出し、「夜なべ済んだか、釣瓶下ろそか、ぎいぎい」と喋り、道行く人を取って喰うこともあったという。
生首の姿のもの、そのまま釣瓶の形をしたもの、鞠のような形のものなどがある。この釣瓶が落ちてくるパターンは「釣瓶落とし」の名が実際に見られる近畿、東海地方のみで見られ、そのほかの地方では火の玉や焼けた鍋などが落ちてくるものが見られる。
釣瓶火
大木の枝からぶらさがる青白い火の玉の妖怪で、年経て気が満ちた大木の精。江戸時代の怪談本『今昔百物語評判』に書かれた「西の岡の釣瓶おろし」が鳥山石燕『画図百鬼夜行』に「釣瓶火」として紹介されたものとされる。
このことから「釣瓶落とし」とは別の妖怪として紹介されることが多いが、前述の通り全国に伝わる「釣瓶落とし」の中には火の玉の形態をとるものもあり、元は同じものであった可能性がある。
創作作品における釣瓶落とし
- ゲゲゲの鬼太郎
妖怪アパートの住人で、原作では鬼太郎とともに戦ったことも。禿頭、ギョロ目、太い眉毛に髭面をもつ巨大な頭部に、足だけが生えた姿で描かれた(ただし足はあまり見えない)。アニメでは第3期(1985)でEDにカメオ出演。第5期(2007)では妖怪横丁で雑貨屋を営んでおり、第40話「あずき洗いVSつるべ落とし」などで活躍した。 - 平成狸合戦ぽんぽこ
狸たちが化けた妖怪の一つとして登場。姿かたちはほぼゲゲゲの鬼太郎に登場したものと同じ。 - 千と千尋の神隠し
湯婆婆の部屋に小さな3匹の釣瓶落としが飼われて(?)いた。ゲゲゲの鬼太郎に登場したものに似ており、それを肌を緑色にして髭などを少しあっさりめにした容姿。 - 東方地霊殿
釣瓶落としをモデルにした妖怪「キスメ」が登場する。詳しくは当該記事参照。類似の妖怪「釣瓶火」の要素も見られる。 - 地獄先生ぬ~べ~ 第89話 「死の森の釣瓶落とし」(単行本では11巻)に登場。木の根元に遺体を埋められた人間や動物の霊が、根から木に取り込まれ枝からぶら下がるものとされる。釣瓶落としに触れると生気を吸われて、触れた部分は干からびてミイラ化してしまう。頭部の両側に手がついていて、比較的小型。
慣用句としての「釣瓶落とし」
井戸に釣瓶を落とすと急速に落ちていくことから、秋に日があっという間に暮れることを「秋の日は釣瓶落とし」という。また、近年では株価や勝率などが急速に下落していくさまを「釣瓶落とし」と表現することもある。
関連項目
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