鈴鹿御前(すずかごぜん)とは、三重県鈴鹿山脈に住むとされる伝説の存在である。鈴鹿権現、鈴鹿姫とも。
概要
鈴鹿山脈とは、三重県北部から滋賀県南東にまたがる一連の山々の事を指す。古来よりこの一帯は山賊による略奪が横行しており、その被害の大きさから「鬼が棲んでいる」として様々な説話が誕生する土台となった。これらの説話から鈴鹿御前が生み出されたと言われている。
鈴鹿御前の正体は説話によって異なり、天女、鬼、女盗賊など設定が定まっていない。しかしいずれも美女という共通点を持つ。有名な物語の中に、坂上田村麻呂とのラブロマンスがある(田村将軍の英雄譚)。朝廷より、鈴鹿山脈で暴れる悪鬼「大嶽丸」の討伐を命じられた田村麻呂は現地に赴くが、大嶽丸の強さに歯が立たない。そこへ鈴鹿御前が現れ、三振りの宝剣を授けて助力。このため無事討伐成功、その後はめでたく結ばれた……というもの。室町時代以降の伝承は田村将軍の英雄譚を基にしている事が多い。江戸時代に入るとこの物語の続きが作られた。夫婦睦まじく過ごし、一人娘を授かった田村将軍と鈴鹿御前であったが、鈴鹿御前が夭折。今際、夫と娘に三明の剣を託した。死別を受け入れられない田村将軍は閻魔大王に直談判し、鈴鹿御前を生き返らせた。そして103歳まで生きた後は、鈴鹿山にて清瀧権現になったという。
三重県亀山市にある片山神社では信仰の対象になっており、鈴鹿権現、鈴鹿大明神、鈴鹿神女と呼称されている。東海道の守護神で、往来する旅人の安全を守り、災厄を肩代わりする御利益があるとされている。
関連項目
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