本記事は、銃器関連の用語をまとめた記事である。
この記事は第766回の今週のオススメ記事に選ばれました! よりニコニコできるような記事に編集していきましょう。 |
目次
銃身~機関部
- 銃身/バレル(Barrel)
装薬の燃焼により銃弾を加速させる為の筒。発射後は必ずこの筒を通って発射される。
動作機構にも因るが、発射される銃弾の精度(集弾率)とは、ほぼこの部品の精度によると言ってもよい。
- 銃口/マズル(Muzzle)
- 銃弾が飛び出す場所。
先端に発射炎や反動抑制用、消音装置などのマズルアタッチメント(後述)をつける場合もある。現用の軍用銃ではそうしたアタッチメントを手早く脱着できるよう、何らかの機構を仕込んでいることが多い。 - 軍隊や警察、狩猟免許では銃口の向きに注意するよう厳しく指導される。これを読んでいるあなたも海外の射撃場では銃口を的以外に向けて遊ばないように。即時拘束の上、通報されます(ガチで)。
- ライフリング(Rifling)
銃身内にらせん状に切られた溝。弾丸はこれに軽く食い込みながら飛ぶことで横回転運動を付与され、弾道が安定することで「どこへ飛んでいくか分からない」時代よりも命中精度・射程距離が一気に向上する事となったすごい発明(→ライフリングの項を参照)。
現在はほとんどの銃に刻まれているが、散弾銃など一部の銃にはライフリングは無いなど例外もある。
「ライフル」の語源はこのライフリングだが、「ライフリングがある銃=ライフル」ではない。拳銃の銃身にもライフリングは刻まれているためだ。 - ヘビーバレル(Heavy barrel)
通常よりも肉厚に作られた銃身。頑丈になり、過熱や歪みによる影響を遅らせる。
連続射撃でどんどん過熱していく機関銃や、精度が求められる狙撃銃に使用される。特に狙撃はごくわずかな歪みでも弾着がズレる。
- フリーフローティングバレル(Free floating barrel)
根本のみでフレームに繋がってる(根本以外は他の部品と接していない)銃身。
銃身と他の部位が接していると、射手の手の握りこみなどの加重が銃身に伝達してしまい、延長線上の点が目に見えないほど「ごくごくごく僅か」にズレる。これが着弾地点では数センチ~数十センチのズレになるので、その対策のための構造である。
狙撃銃などで始まった構造だが、2000年代以降は現用軍用銃のほとんどで採用されている。 - ポーテッドバレル(Ported barrel)
先端部(銃口側)の上部に小さな穴(Port)を開けた(Ported)銃身。
この穴から発射時に生じるガスを逃がし、反動を抑制する。後述するマズルブレーキ/コンペンセイターの機能を持たせた銃身であり、そんなものを後付けしてこれ以上長くなりたくない拳銃で使われる。見た目がちょっとワイルドだが、ちゃんと構えないと銃の上側に吹き出たガスで火傷する。コストもかかるし異物が入りやすくなるので軍用として使われるのは稀。
「マグナポート」と呼ばれることもあるが、これはこの手の銃身を製造するマグナポート社から取られた通称である。 - 被筒/ハンドガード(Hand guard)
銃身外側に被せられたもの。握り手(引き金を引く手)とは逆の手で支える際に持つ場所。機関部~銃口の間にある。
銃身は持つには細すぎるし、発砲すると一瞬で激アツになるので素手では持てない。そもそもピストンやガスチューブといった動作に必要な部品がむき出しだと問題がある。これを解決するためのもの。
現在ではマウントレール(後述)を搭載し、アクセサリーを接続できるようにしたものも多い。 - ガス筒/ガスチューブ(Gastube)
ライフル等に多く見られるもの(ガス圧作動方式/ガスオペレーション方式)。
銃身の一部に小さな穴をあけ、発射のガス圧(発射エネルギー)の一部を拝借して次弾装填に使うもの。拳銃や手動で操作するショットガンや猟銃、狙撃銃には無い(必要がない、もしくはスペースがない)。
後述のピストンを動かすか、直接遊底に吹き付けて後退させる。
散弾銃を除き、銃身の上また下に並んで見えるものは大抵これやピストン、コッキングハンドル等が内蔵されている事が多い(被筒で隠れている場合もある)。- 【作動方式】ガス直噴方式/Direct Impingement
後述のピストンを利用せず、発射ガスを直接遊底部に吹き付けて動かす方式。DI式とも呼ばれる。最初に開発した会社の名称から「リュングマン方式」と呼ばれることもあるが、現在ではオリジナルのリュングマン社式はほぼ廃れているため、単にDI式と言う場合はAR-15(M16)系に用いられている改良型のストーナー方式を指す場合が多い(なのでリュングマン方式という呼び名も廃れ気味)。
ピストンが前後しないため、めっちゃ反動少なくて撃ちやすい! ……ただし高温高圧の汚れたガスを遠慮なしに機関部にガンガン流し込むため内部が汚れまくり、清掃の手間は一気に増える。
「M16がちゃんとメンテしてあげないと動かなくなる」のはだいたいこいつのせい。でも撃ちやすいし、ちゃんと銃を手入れしとけよ!ってのはどの国の軍隊でも徹底して叩きこまれる常識なので、あまり問題にされていない。
- 【作動方式】ガス直噴方式/Direct Impingement
- ピストン(Piston)
ガスチューブから受け取った発射エネルギーで機関部側(射手側)に前進し、遊底部を後退させるもの。ピストンの移動距離には長いものと短いものがあり、それぞれ長所短所がある。- 【作動方式】ロングストロークピストン式 …信頼性!
メチャクチャ長いピストンが前後して、遊底を後退させるもの。
部品数が少なくて信頼性高いぜ!でも重いのがメッチャ前後するから反動増えるよ!
でも別に死ぬほど反動増えるわけじゃないよ!慣れだね!
(AK-47系、89式小銃、FN-FNC、K2小銃、SG550、FN-MAG機関銃、MINIMI機関銃など) - 【作動方式】ショートストロークピストン式 …撃ちやすさ!
短いピストンが少しだけ後退し、玉突きの要領で遊底を後退させるもの。
あまり重いものが前後しないので反動がマイルドになって撃ちやすい!ストレス減少!
でも部品数増えてちょっと整備しやすさと信頼性が悪くなるぜ!
…でも別に死ぬほど反動や信頼性が無くなるわけじゃないよ!ものは考えよう!
もちろん、ピストンが前後するぶん反動の少なさはDI式には負ける。
(64式小銃、20式小銃、AR-18、F2000、FN-FAL、M14、AUG、G36、L85、AUG、HK416、SCAR、M60機関銃、MP7など)
- 【作動方式】ロングストロークピストン式 …信頼性!
- 銃弾が飛び出す場所。
弾薬
いわゆる弾(たま)。これがないと銃器はただの棒になり、観賞用かこけおどしに成り果てる。銃剣で突くか銃床で殴るといった攻撃もできなくはないが、銃撃戦においては99.99%くらい戦闘力を喪失する。
飛んでいく弾頭、発射薬、発射薬を密封し保護する薬莢(やっきょう)が主な構成となる。昔の火縄銃などは弾丸も火薬も別々で密閉されていなかったため、湿気ると撃てなかった。
- 弾薬(Ammunition/Ammo)
銃弾として特に弾頭と薬莢がセットになったもの。単純に「弾」とも呼ばれる。広義にはミサイルやロケット弾、手榴弾、砲弾、機関砲弾といった消耗弾薬も含まれる。英語では簡易的にはAmmo(アモ、アンモ)とも呼ばれる。
戦場で友軍間で弾の融通ができないと困るため、5.56×45mmNATO弾、7.62×51mmNATO弾、12.7×99mmNATO弾のようにある程度規格化されている場合が多い。…競技用の弾薬は誤差が少なく精度が高いため狙撃などにも用いられる。
同じ銃の弾薬であってもメーカーによって精度や重量等、火薬の配合が微妙に異なるので注意。(特に毎回・全弾バラバラのメーカーで作った弾薬を狙撃銃で使うと弾道が変わってしまう)
大は小を兼ねないし、小も大は兼ねないため、銃は使用弾薬が異なれば発射できない。厳密には薬莢・弾頭サイズが極めて近い場合は装填できてしまう場合もあるが、非常に危険。
(→ 弾薬 の該当記事を参照) - 口径(Caliber)
弾頭の直径を示すもの。100分の1インチが基準。(1インチ=2.54cm=25.4mm) - 弾頭(Warhead)
発射時に銃口から前方に飛んでいく部分。いわゆる弾丸と呼ばれる意外と小さい。
弾頭が大きく重く、発射時初速があるほど威力が高く遠くまで飛翔する。
大口径のものは榴弾(炸裂弾)や発煙弾、照明弾など多くの機能を持たせることも可能だが、個人が携行する銃弾では弾頭のサイズ的に詰められる量が少ないので現代科学ではほぼ無理。ホローポイント弾や徹甲弾、空砲、曳光弾、ダムダム弾といった弾種は可能。火薬の入った薬莢の栓も兼ねている。
- 空砲(Blank)
前方へ飛翔する弾頭部のない弾薬だが、音がリアルなので訓練や演習、撮影にピッタリ。
「じゃあ撃たれても安全だね♪」と思ったあなた、超至近距離では普通に死にます。
(超至近距離では雑誌が抉れ、ジュース缶を無残に穴ボコにする威力がある)
…本来飛翔するはずの弾頭が栓になって発射ガスを排莢&次弾装填に有効活用するのだが、弾頭がないためガス圧が不足し(栓がないため前方に抜けてしまう)初弾以外は動作不良を起こす…では困るため、先を意図的にすぼめた「ブランクアダプター」を装着することでいつも通り発射できる。(勿論これをつけたまま実弾を発射すると大事故になる)
バードストライク対策で空港近辺の鳥を追い払ったり、航空機のエンジン始動に使われることもある。
コフマン・エンジンスターター - Wikipedia - 曳光弾/トレーサー(Tracer)
発光性物質などが燃焼させながら(光りながら)飛翔する弾丸。弾道がよく見える。(通常弾は発光しないため見えない)昼間でもまぁまぁ見える。綺麗。
味方への目標指示、4~5発おきに混ぜて弾道修正、弾切れの合図(3発目に入れておけば弾倉は残り3発という意味)威嚇(心理的効果)など多彩な用途がある。湾岸戦争などで自走高射砲等が空に向けて光る弾丸が飛びまくってるのがそれ。(実際はあの間にも通常弾が4~5発程度飛んでいる)
ただし発射位置や弾切れが敵にバレる、燃焼させながら(中身を減らしながら)飛翔するため通常弾と弾道が異なる点を頭に入れておく必要がある。 - ホローポイント弾(Hollow-point bullet)
先端がへこんだ形状になっている銃弾。(→ホローポイント)
着弾時に大きく変形して威力を増大させる
ただし空気抵抗が増えるため長距離狙撃などは不可能。
- 空砲(Blank)
- 薬莢(やっきょう)(Cartridge)
使用する弾薬のうち、火薬(発射薬)が密封されて入っている容器。
未使用か使用済みかを問わず空の状態の物は「空(殻)薬莢」とも言い、使用済みの(撃発して空になった)物のみを区別して言う場合は「撃ち殻薬莢」と呼ぶ。射撃後は不要なので排莢(後述)される。- 映画等での射撃時に、銃側面から勢いよくポンポン飛んでいく金色のアレである。
- 欠点として…
真鍮などの金属資源を(再利用しなければ)大量浪費し、射撃を続けていると足元が薬莢だらけになり、転倒する、後片付けが大変。このため「ケースレス」とも呼ばれる薬莢の無い弾と対応する銃も開発されたが各種問題から信頼性が低く普及しなかった。(→G11) - 雷管(らいかん)/プライマー(Primer)
銃弾のケツ(薬莢の後端中央)にあり、薬莢内部の火薬を起爆するもの。
引き金を引き、薬室内で最終的に撃針がここを叩くことによって発射される。
余談だがミサイルや爆弾、ロケット弾の先端にある起爆用のものは「信管」と呼ぶ。(発射用とは別)
- 発射薬/装薬(Gunpowder/powder)
薬莢の中に入っている火薬。単純にパウダーとも呼ぶ。
(実はpowder自体に火薬という意味があるし、Gunpowderにも火薬という意味がある)
実は短い銃身でしっかり加速させなくてはいけない拳銃弾のほうが燃焼速度が速い。薬莢で密閉されているため、水に沈めても湿気って撃てなくなることはない。使用期限が過ぎると不発率が上がっていくが、すごい昔の銃弾でも撃てることはある。
…余談だが、火薬の代わりに爆薬を入れると銃が爆発するので危険。(→爆薬)- 弱装弾/減装弾
「いくら強くて遠くまで飛んでも当たらなきゃ意味が無いよね!」ということで文字通り薬莢に詰める装薬を通常より減らした弾薬のこと。
火薬が減れば弾頭を飛ばす力は弱まるので、威力と射程距離は低下してしまうが、反動が弱まるので、命中精度や扱いやすさの向上が期待できる。自衛隊の64式小銃はこれを使う。 - 強装弾
「精度と扱いやすさ?そんなもん俺の腕さえあれば十分補えるさ!」
弱装弾とは逆に通常より装薬を増やした弾薬。利点と欠点もそのまま真逆になっただけ。
下記のマグナム弾と異なり、形状は同じなので物理的には撃てる銃も同じなのだが、一部の物は対応している銃が限られているので良く調べてから扱わないと危険。
- 弱装弾/減装弾
- ショットシェル(Shot shell)
散弾銃(ショットガン)に使用される弾薬。円筒形の細長い形をしている。銃身と平行に並んだ弾倉(チューブマガジン)に装填するが、先端が尖っていると前の弾薬の雷管を突いてしまうためこの形になっている。細かい散弾が詰められており発射後ゆっくり放射状に拡散しながら飛ぶ(スラグ弾を除く)。基本的に殺傷力が大きい弾種が多いが、欠点として弾薬自体がでかく携行弾数が劣るうえ、再装填が1発ずつで面倒。いろんなサイズがある。箱型弾倉に詰められる銃もある。(AA-12、サイガ12など)
- 弾倉(だんそう)/マガジン(Magazine)
弾薬を収め、薬室に供給する為のケース。Kar98K等の様な固定式、AK-47やM16のような脱着式が存在するほか、ベルト連結された弾薬を収めるケースを指して呼ばれる場合もある。箱型弾倉が普及しているが、収納される弾数には物理的に限りがあるため、機関銃など多弾数が必要なものは後述のベルトリンクが用いられる事が多い。ちなみに雑誌(マガジン)もスペルが同じ。
※ベルトリンク・箱型弾倉の双方を使えるMINIMI軽機関銃のような例もある。
- 固定式弾倉
その名の通り、銃本体に備え付けられた弾の装填スペース。
銃の外側に突き出している箱型弾倉に比べるとスマートで取りまわしやすく、また比較的頑丈でトラブルが少ない。代償として弾を一発一発込めないといけないのでめんどいし、片付けの際の抜弾もこれまためんどい。更に装弾数を多くとれないという弱点がある。
装填に関しては挿弾子(クリップ Clip)と呼ばれる補助金具を使えば楽になるが、クリップ自体が携帯に不向きという弱点がある。 - 箱型弾倉/ボックスマガジン(Box magazine)
特に断りがない限り、「弾倉」「マガジン」といえばこれになる。
M16やAK-47、89式小銃、M1911やグロック拳銃など、銃器全般で幅広く使われている箱型の弾倉。着脱式で、弾が切れたら新たな弾倉を差し込めばすぐ補充でき、片付ける際の抜弾もらくちん。
当然、多くの弾を収納しようとすればどんどん長く邪魔になるため限度がある。機関銃などの弾倉がバナナのように曲がっているのは長さを抑えて内部スペースを稼いでいるため。弾を一直線に並べる単列式(シングルカラム)を経て、現在はジグザグの互い違いに並べてスペースを稼ぐ複列式(ダブルカラム)が主流。
一般的には自動拳銃では7発~20発、ライフルや短機関銃では15~40発ほど内部に装填できるものが多い。残弾が確認できるようの数字付きの穴が開いていたり、半透明になっているものもある。
比較的構造は単純だが、銃への固定部分や弾を抑えるリップ部分はデリケート。雑に扱うと給弾不良の原因になり、粗雑な製法の物は装填すら苦労する。 - 弾帯(だんたい)/ベルトリンク(Belt link)
機関銃の横から弾薬がジャラジャラとベルトのように連結されているアレ。
「リンクベルト」「ベルト給弾方式」とも呼ばれ多弾数・長時間の連射を目的としたもの。 - ドラムマガジン(Drum magazine)
箱型弾倉の上位互換。分厚い円盤のような大容量の弾倉。 - チューブマガジン(Tube magazine)
多くの散弾銃(ショットガン)で採用されている弾倉方式。
銃身と平行に並んだ筒の中に縦列駐車の要領で弾薬が装填される。
- 固定式弾倉
- シリンダー(Silinder)
回転式拳銃(リボルバー)のレンコンのような部分。引き金を引く力で回転機構が働く。6発装填がスタンダードだが、小型なものや大型弾を使用するものは5発、小型弾を使用するものは7~8発装填する。
弾倉と薬室の機能を兼ねているのが特徴。基本的に銃本体に固定されているため、再装填が大変。ものによってはシリンダー自体を脱着できるものもある。 - マガジンキャッチレバー (Magazine catch lever)
弾倉を差し込んだ際、抜けないようにロックするもの。弾倉の固定を開放するボタンや出っ張りがあり、再装填時に押すと自重で弾倉が落下するものが多い。…単純に「マグキャッチ」とも呼ぶ。 - 再装填/リロード(Reload)
読んで字のごとく、再(Re)装填(Load)すること。箱型弾倉は「弾倉交換/マグチェンジ」とも呼ばれる。
敵地への突撃・突入前は残弾数に関わらず満タンな物を差しておく。
実戦・FPS問わず大きな隙ができるのは変わらない。ベルトリンクや回転式拳銃は面倒。 - STANAGマガジン
戦争中に異国の友軍間でも容易に融通できるようにした弾倉の規格。「弾くれ!」「Here, take this!」な胸熱展開が可能。 - ジャングルスタイル(Jungle style)
弾倉を左右に2~3本、ダクトテープ(現地改造可)や連結用のクリップで連結するもの。
再装填時に弾倉ポーチから取り出す必要がないため楽で素早いが、刺さってない弾倉は弾薬がむき出しなので、作動不良の原因(ゴミや異物が入りやすい、ぶつけて変形しはまらない)や、連結状態では弾倉ポーチに入らないといった欠点がある。もちろん全部の国の兵士がこれをやるわけではないし、「ジャングル」はただの名称なため、ジャングルでしか使えない訳ではない。
撃発装置・機関部・作動方式
- 薬室(やくしつ)/チャンバー(Chamber)
弾薬を発射する部屋。残弾数に関わらず、薬室に装填されるのは1発のみである。
遊底によって弾倉から抜き出された弾薬が差し込まれ、撃発されるのを待つ。射撃後は自動(ガス圧等)または手動によって遊底が動き、薬莢が排出され次弾が装填される。
発射時は発射エネルギーが逃げないよう、遊底が後部に蓋をする。(薬室を閉鎖される)
理論上は薬室に弾薬を装填しなければ絶対安全なのだが、オープンボルトを除き薬室に弾薬が残っていても(射撃可能状態)閉鎖されて見えない場合が多く非常に危険。弾が残っていると気付かずに暴発させてしまう事故は珍しくない。逆に薬室に1発装填した状態で弾倉を差し込めば装弾数+1発になる裏ワザがある。
…回転式拳銃はシリンダーが薬室と弾倉を兼ねている。 - 遊底(ゆうてい)/ボルト(Bolt)
前後に動く事で装填、薬室閉鎖、排莢、次弾装填を繰り返す部品。弾薬の運び屋さん。
発射自体は薬室で行うが、発射時に薬室後部を閉鎖する役割も担っている。極端にまとめると…
・遊底が後退する(薬室の薬莢を抜き出して外へ捨てる)
・遊底が前進する(弾倉から次の弾を抜き出して薬室に装填する)+薬室を閉鎖する
大概の形式の銃器では撃針を保持している為、撃発の役割を持つともいえる。
…回転式拳銃に遊底はない。
なお、大雑把に言うと上述のように弾薬の供給から発射サイクルが始まるのがオープンボルト、撃発から始まるのがクローズドボルト形式である。
- 排莢口/エジェクションポート(Ejection port)
遊底の前後によって薬莢が排出(Eject)される部分。
薬莢を速やかに捨てられるよう、薬室位置に付属している事が多い。
射撃時に開いたり閉じたりしながら、薬莢が勢いよく飛び出してる部分がそれ。 - 排出された薬莢が射手の集中力を削いだり味方に当たらないよう真下や前方についている場合もある。
- コッキングレバーやスライドを少し引くことで、弾薬が装填されているか確認する事が可能。(映画や動画などでプロがやっている安全確認動作)
- 弾切れになると分かりやすいよう開放される機能(ホールドオープン)をつけた物が多いが、AK47など生産性を上げるための単純化として閉じたままの物もある。
- 排莢(動作)
エジェクションポートから使用済みの薬莢(火薬が入っていた部分)を外へ排出すること。別に発射しなくとも、弾薬が装填された状態でコッキングハンドルやスライドを引くとその時に装填されていた弾が排出され次弾が装填される。※ボルトアクションなど手動で排莢/次弾装填するものもある。 - 薬室閉鎖(動作)
発射時に発射ガスが駄々漏れの無駄遣いでは初速や次弾装填のガス圧に困るため、遊底で薬室を閉鎖する必要がある。 - 【薬室開放方式】オープンボルト(Open bolt)
遊底「おっしゃ!今から弾をマガジンから抜きつつ薬室にぶち込みつつ発砲してやんよ!」
- 遊底のスタート地点は弾倉より後方。ゴールの薬室(発射室)までは距離がある。
- 部品点数が少なく構造が単純で安価。大量生産しやすいので戦時中も安心。
- 発射時以外は薬室が開いたままなので過熱しづらい。
- 薬室の中に弾薬の有無が見えるため、うっかりミスを防ぎやすい。
- ×引き金を引く→発砲までのタイムラグが少しある。じれったい。
- ×ド派手に薬室に飛び込みつつ発砲するので、射撃の反動以前にめっちゃブレる。
- ×薬室が開いたままなのでゴミや異物が入りやすい。
- ×銃を落とすなど、大きな衝撃で遊底くんが勝手にフライングスタートしてしまい暴発する事がある
→薬室が過熱しづらいため、とにかく大量の弾丸をばらまくのが仕事の短機関銃、機関銃に向いている。現在でも主に(全部ではないが)機関銃に使用されている。(M60、FN-MAG、MINIMIなど)
…「とにかく安くて弾をばらまきたい」人には向いているかも。
- 【薬室閉鎖方式】クローズドボルト(Closed bolt)
遊底「まぁ落ち着いて、まずは薬室に弾を込めておいて、発砲すればいいじゃないですか」
- 遊底は既にゴールの薬室(発射室)から開始。既に弾薬も装填済み。あとは撃つだけ。
- 引き金を引く→即発射!タイムラグなし。
- オープンボルトのように発射直前にブレず、命中精度が高い。
- 発射時以外は薬室は閉じたままなので、ゴミや異物が入りにくい。
- ×排莢時以外は閉鎖されたままなので、薬室が過熱しやすく、とにかく弾数を撃ちまくる機関銃には向かない。(熱はこもるが即座に致命的な状況になるわけではない)
- ×部品点数が増え、構造が複雑化、値段が上がる。
- ×薬室が閉じたままなので、弾倉を抜いても薬室内に弾薬が残っているか見えない。安全確認動作が必要。
→精度が必要な小銃、短機関銃、狙撃銃など、数多くの銃で用いられている。
短機関銃もかつては「弾丸バラまき機」だったが、最近はそうでもない。
…「しっかり狙って当てたいよね」な人向け。…大抵の銃は普通はそう使うものだが。
- 排莢(動作)
- 槓桿(こうかん) / コッキングハンドル(Cocking handle)
- コッキングレバー(Cocking lever) / チャージングハンドル(Charging handle)
遊底に付属し、前後させることで初弾を薬室に装填(Charge)するもの。銃によってはエジェクションポートに付属して部品を兼ねている場合もある。大きく出っ張る事が多く拳銃の場合は後述のスライドが使われる。 - スライド(Slide)
自動式拳銃で発射時に激しく前後している部分。
ショートリコイル形式等の拳銃では、アッパーレシーバーに相当する部分と役割を兼ねスライドと呼ばれる。コッキングレバーと同様に前後する/させることで薬莢を排出、初弾・次弾を薬室に装填する。拳銃以外のライフルや短機関銃でも大抵は排莢口(エジェクションポート)を閉じるのに使われる。
- 【作動方式】ブローバック方式
射撃時に銃身内の発射ガスが銃弾(前方)と薬莢(後方)の双方に作用するので、その後方へ押し戻そうとするエネルギーを使用するもの。吹き戻し式とも。自動拳銃にも採用される。
※厳密にはさらに枝分かれしていく
構造が比較的単純にでき、銃身が固定できる。
(拳銃:H&K P7、マカロフPM、Five-SeveNなど)
(その他:FA-MAS、MP5、G3、Vz61、MAC11、UZI、P90、M3A1サブマシンガンなど) - 【作動方式】ショートリコイル方式
射撃時に反動で後ろに戻ろうとする力を利用して遊底部を後退させ、排莢&次弾装填を行う方式。
※厳密にはさらに枝分かれしていく。自動拳銃にも採用される。
構造が比較的単純にでき、銃の小型化が可能。
(拳銃:モーゼルC96、M1911、グロック17、トカレフ拳銃、P220、M92などほか多数)
(その他:TMP、ブローニングM2重機関銃、バレットM82、MG42など)
- 【作動方式】ブローバック方式
- ホールドオープン(Hold open)
前述のスライドやエジェクションポートは弾切れになると開いたままになる機能がついている事が多い。
弾が入ってない状態で引き金を引いても即ホールドオープンする。(弾倉の押し上げ部分が干渉する)
AK-47など省コスト・単純化を優先したものにはついていないため閉じたまま。
安全のため、使わない銃をホールドオープンして保管している機関や射撃場もある。(弾が入っていない事が明白になるため、100点満点の模範的回答である) - ボルトリリースレバー(Bolt release lever)
ホールドオープンしたエジェクションポートを閉じるレバーやボタン。こちらも省コスト・単純化を優先してつけられていない場合もある。
閉じる際に弾倉から弾薬を拾ってくる(次弾装填動作)を行うため、いちいちコッキングハンドルを引く必要がなく便利である。 - 【作動方式】ボルトアクション方式(Bolt action)
初弾以外もすべて手動で次弾を装填する方式。単発装填前提の時代に登場した革新的機構であり、現在に至るまで使用され続けている近代銃器の装填方式。
映画など、よくスナイパーが一発撃つごとに忙しそうにカチャカチャ前後させてるアレである。
知らない人が見れば、一発ずつ人力で装填するのは古臭く思えるかもしれないが、構造が単純で精度や信頼性などを高めやすく、なにより安価に作れるため、現在でも連射性能がさほど重視されない狙撃銃や猟銃では第一線の機構である。
(→ボルトアクション)
- 排莢口/エジェクションポート(Ejection port)
- 撃鉄(げきてつ)/ハンマー(Hammer)
ばねの力で弾薬の雷管(プライマー)に衝撃を与え、撃発する為の部品。
この部品で直接叩かず、撃針(ファイアリングピン)を介する場合が多い。
シングルアクション方式の自動拳銃(初弾のみ)/回転式拳銃では起こす必要がある。 - 撃針(げきしん)/ファイアリングピン(Firing pin)
撃鉄の衝撃によって弾薬底部の雷管(プライマー)を突き、撃発する為の部品。その名の通り針、または棒のような形をしている物が多いが、ボール状の部品を使う場合もある。遊底に内蔵されてる場合が多い。
この部品を直接ばねで動作させて撃発する形式をストライカー方式と呼ぶ。
勝手に弾薬を叩いて発射されては困るため、後述のシアー(逆鉤)が抑えている。 - 引き金(ひきがね)/トリガー(Trigger)
引くことで前述の撃鉄や撃針の固定を開放し射撃を行うもの。不用意に発砲しないよう引き金には一定の重さ(トリガープル)が掛けられている。一部の重機関銃では押し下げて撃発するものもある。
大抵は安全装置を掛けるとロックされて動かなくなる。民間人などが射撃時以外に指をかけていて、何かの拍子に引いてしまい事故になる事も多い。
実は引き金の引き方も射撃に重要な要素であり、力んだり適当に引くと弾着もズレる。(→射撃)
- トリガープル(Trigger pull)
引き金の重さ。裏を返せば「引き金を引くために必要な力」とも言える。
うっかり触れて発射しないよう、大抵の銃は一定の重さが掛けられている。引き金が重いと引いた際にブレて発射より前に銃が上を向いてしまい命中精度がガタ落ちになるため、狙撃銃などのトリガーは非常に軽い力で引けるようになっている。 - 用心金(ようじんがね)/トリガーガード(Trigger guard)
引き金部分を守るように囲んである枠の名前。引き金や引き金に掛けている指に物にぶつけて発砲しないための安全策。拳銃は指掛けできるようギザギザが付いている場合もある。 - 逆鉤(ぎゃっこう)/シアー(Sear)
引き金とハンマー/撃針といった撃発部位の間にあるパーツ。 - 撃発部位と噛みあい、それが前進しないようずっと抑えている。
- 引き金を引くとこれが動き、撃発部位を解放することで前進、弾薬のケツを叩いて発射する。
- 「ハンマーを解放する部品」と呼ばれることも。
- トリガープルの重さは大抵これで決まる。
- これが大きく摩耗すると、暴発の危険が高まり危険。
引き金を過度に弱い力で引けてしまったり、落とした際に噛みあいが外れやすくなるため。
- トリガープル(Trigger pull)
- 握把(あくは)/グリップ(Grip)
引き金を引く際、人差し指以外の掌が握る場所。狙撃銃や散弾銃はストックと一体化したものもある。
銃口部
「銃口」に関しては前述。
- マズルフラッシュ(Muzzle flash)
銃を発射した際に銃口から出る炎。
火薬はその成分に酸素を含んでおり、本来なら銃身の中で燃焼して水蒸気と二酸化炭素になるはずだが、実は少し酸素が足りないので、一酸化炭素になる。この高温の一酸化炭素が銃口から出て大気中の酸素と反応して燃焼し、銃口炎(マズルフラッシュ)となる。[1]
マズルフラッシュが出ると、敵に発見されやすい、射手の目がくらんでしまうといった危険がある。 - 消炎器/消炎制退器
フラッシュハイダー(Flash hider)/ フラッシュサプレッサー(Flash suppressor)
銃口炎(マズルフラッシュ)を抑制(hide)するために銃口部に取り付ける、細い穴や溝が刻まれた筒。
銃口から出る高温のガスを急速に拡散させて冷却し、燃えないようにすることでマズルフラッシュの発生を防ぐ(映画でよく見えるのは演出のため/撮影用の銃を使っているから)。 - 制退器/反動制退器
マズルブレーキ(Muzzle Brake)/コンペンセイター(compensator)
フラッシュハイダーよりも大きめの穴を左右や上面に開けた筒やブロック。こちらは反動の抑制を目的としている。マズルブレーキとコンペンセイターの呼称は表記ブレの範疇であり、どっちで呼んでも構わない(気持ち、左右にデカい穴を開けたのがマズルブレーキ、上側にも穴を開けたのがコンペンセイターと呼ばれている……感じがするが、ぶっちゃけ同じ見た目の製品でもメーカーによって呼称が違ったりするので、あてにならない)。
フラッシュハイダーと混同されやすく、実際に両者の機能をある程度兼ね備えた製品もあるが、本来は明確に別物である。フラッシュハイダーよりも炎の指向性が強く、密集隊形を取るCQBでは隣の味方を焼いてしまうため、現在では対物ライフルや競技用ピストルなどの単体で使う銃や、機関砲、火砲、戦車砲などの大型火器で使用されている。- 反動/リコイル(Recoil)
銃を発射した時の反動のこと。上方向への跳ね上がり、後方(射手側)への後退が発生する。強力な弾薬ほど反動が大きい。フルオート(連射)をした場合は特に跳ね上がりが大きくなる。銃自体が重いとそれ自体が反動を抑制してくれるメリットがある(当然、運搬には不向きになる)。
- 反動が大きいと次弾の照準のために構えなおすタイムロスが大きくなり、僅かな隙や射手のストレスになる。銃の反動を受け止めて上手く制御する技術は「リコイルコントロール」とも呼ばれる。
- 射手自体の技量もあり、素人などがいい加減に握って構えていると銃口が一気に横や上を向いて危険。銃が顔面に当たったり、フルオートで銃が暴れ、隣の人を射殺してしまった事例もある。射撃場の人も意外と大変なのである。
- 先述のマズルブレーキ/コンペンセイターは、穴の開け方によって反動の減衰効果が異なる。左右に穴をあけた場合と、上側に穴をあけた場合では後者の方が跳ね上がりを抑制しやすい。「なら全部上に開ければ跳ね上がりが一番小さくなるじゃん!」と思えるが、ライフルなど上方向に反動が強力な銃でやってしまうと、跳ね上がりによって打ち消されるはずの反作用が全部後方に向かってくる。なので対物ライフルなどは左右の穴を大きく開けている場合が多い。
- 反動/リコイル(Recoil)
- 減音器/消音機
サイレンサー(Silencer)/サプレッサー(suppressor)
銃口部に取り付けられ、発射ガスを吸収・減衰して発砲音・発射炎を大幅に軽減する筒。特殊部隊の隠密作戦などに用いられるほか、室内戦での反響防止、射手の聴力保護を目的に搭載される。
照準
正確に素早く命中させるために必要なもの。
長距離はもちろん、夜間・暗所においても相手を視認できなければ窮地に陥る。
電池・バッテリーを使用する光学機器もある。暗視スコープなどのハイテクなものも。
- 照準器/サイト(Sight)
狙いを定める為の器具。
スコープ・ドットサイトは「光学照準器」(オプティカルサイト)とも呼ばれる。
発射された弾丸は一直線ではなく緩やかな非対称の弾道を描くため、特に長距離射撃においては照準の延長線上=着弾点とは限らない。そのため距離に応じてゼロイン調整(後述)を行う。- アイアンサイト(Iron Sight)
銃器の銃口側に取り付けられた凸型や山型、△型の突起(照星/フロントサイト)と、銃器の後ろ側に取り付けられた凹型や○型の部品(照門/リアサイト)を一直線にする事で狙いをつけるタイプ。ほぼ全ての小火器に部品の一部として標準装備されている。 - ★零点規正/ゼロイン調整
銃器より発射された弾丸は重力影響により徐々に落下するし、銃にはそれぞれ微妙に癖がある。
※発射された銃弾は放物線弾道を描くが、真横から見れば左右対称ではない。
また、照準器は基本的に覗き込んで使う為に銃身と同一線上に配置する事はできないので、仮に銃身に平行に狙いを定められたとしても、銃身と照準器の位置分のズレが生まれてしまう。
それらを考慮して狙った位置を弾が通るように調整する作業がゼロイン調整である。 - スコープ(Scope)
望遠スコープを利用したタイプ。主に狙撃銃に用いられる。一部は照準線を発光させられる。
覗いた際に見えるものはクロスヘア(十字型)、広義にはレティクル/レチクルとも呼ばれる。(後述)
…倍率が高ければ有利な訳ではなく、高倍率ほど手ブレは大きくなり遠距離以外は拡大されすぎ、汎用性がなくなるといったデメリットも考慮する必要がある(可変倍率のスコープもある)- 副次的に偵察用の望遠鏡代わりにもなり、必要あらばそこに銃弾を撃ち込める。
- ちなみにスコープは"真後ろ"から覗かないと弾着はズレる。(覗いた際に偏った影ができる)
…ブルパップ方式の銃は前後の照準線が短いため、1.5倍などの低倍率のスコープが載せられている事例も多い。(AUG、F2000など)のちにピカティニーレール化(後述)され自由な照準器を載せられるようになった。 - 近距離における不意の戦闘に備えて、小型のアイアンサイトやドットサイトが付属するものもある。
- それ自体に暗視(ナイトビジョン)装置や熱線映像(サーマル)装置の機能があったり、外付けで前後に装着することでその機能を付与する大型のものもあるが、高価格やサイズ、バッテリーの持続時間といったデメリットもある。ただゴツゴツしてカッコ良い。
(→暗視装置) - AN/PVS-10 - Google 検索…のような、昼夜兼用の狙撃用スコープもある。
- 自衛隊・日本軍では眼鏡(がんきょう)と呼ばれるが、一般人には通じないかもしれない。
- 低倍率スコープ
近年は各個人の精度向上のため低倍率(2~4倍程度)のスコープを突撃銃や機関銃に搭載して運用される例も多い。ACOG、ELCANなどが有名。射撃の反動で照準が狂わないよう機関銃用のものはゴツい。 - ★長距離狙撃におけるゼロイン調整
- 観測手/スポッター(spotter)
- レティクル/レチクル(Reticle)
狙撃銃や各種照準装置、望遠鏡、双眼鏡のスコープを覗いた際に見える線や目盛りのパターン。
Reticle Rifle - Google 検索
- 大雑把に言えば照準のデザインパターン形状と言ってもだいたいあってる。
- ミルスケール(ミル角/次述)や簡易計測用の目印基準など。民間用の望遠鏡・双眼鏡等には無いものが多いが、軍事用にはよく刻まれている。
- ちなみに戦車や対戦車ミサイル・迫撃砲の照準装置を覗いたときに見えるパターンもレティクル。カッコイイ。ちなみに双眼鏡の場合は片側だけに入っている。
- 暗所や薄暮時でも照準できるよう、バッテリーによって発光させられる物もある。戦車や対戦車ミサイルのモニターに表示されるものは見やすいようパターンの変更や輝度やコントラストも調整できる物もある。
- 長距離に限らず近~中距離の素早い射撃を補佐するデザインもある。Reticle CQB - Google 検索
- クロスヘア (Cross hair)
狙撃銃のスコープによくあるあの十字のこと。由来は交差(Cross)した髪の毛(Hair)から。
レティクルパターンの一種。ミルスケール(次述)の目盛りが刻まれているものもある。
- アイアンサイト(Iron Sight)
- ミルスケール(Mill scale) / [独語]シュトリヒ (Strich)
「ミル角」という軍用の角度を使用して対象との距離を測るもの。
端的に言えば「大きさが分かっていれば距離が分かる」もの。逆算も可能。
レティクルまたはクロスヘアの中に定規のように等間隔で書かれている基本的にそれ。
「1ミル=1000m先で1mの大きさ」が基準。
身長m×1000÷ミル(目盛り)で距離mが算出できる。(身長mm÷ミルのほうが簡単)
1目盛り1ミルだが、双眼鏡などは1目盛り5ミルのものもある(どちらも数字が併記される事もある)
画像検索すると分かりやすい。
…欠点として正確に対象の身長や大きさを見積もらなければ長距離では誤差が大きい。
- ドットサイト/ダットサイト(Dot sight)
倍率の無い照準装置。覗き込むと赤い点(ドット)などが見える物が多い。
光の点やクロスヘアを半透明スクリーンに描写し、弾道上に浮かんでいるように見えるその点に目標を合わせる事で狙いをつける。光点のため夜間でも照準が可能。(一部のソーラー駆動を除けばバッテリーが必要)
目標が透けて見える為狙いを定め易く、ある程度真っ直ぐ覗いている限り光の点は正しく表示される為、アイアンサイトやスコープより素早く、正確に銃を構える事ができる。レティクルや発光色を変更できるものもある。- ブースター(booster)
ドットサイトの手前に搭載し、倍率を付与する望遠鏡。倍率は3倍程度。
邪魔な時は横に倒したり外すことができる。※これ自体に照準線などはない。 - レーザーサイト(Laser sight)
レーザーポインターと同じ要領で着弾点を示すもの。照準器を覗いていなくとも視認でき映像的にも映えやすいといったメリットもあるが、昼夜問わず向けた相手の方向からは丸見えであり、霧や煙、砂塵、粉塵があると途中のレーザーが浮かび上がってしまい位置が特定される、明るい日中では見づらいデメリットがある。
夜戦においては頭に装着するタイプの暗視装置では通常の照準器が覗けない/覗くのが困難となるため、肉眼では視認できない赤外線レーザーサイト(IRレーザー)等と併用される。[2]
- ブースター(booster)
- フラッシュライト(Flashlight)
端的に言えば懐中電灯。ただし軍用の光量が強力なものが多い。
厳密には照準装置ではないが、暗所での視野を確保するもの。
当たり前だが隠密性は皆無なため、夜間にこれを付けっぱなしで行動することはない。夜間においては発射炎など敵は光を目印にして発砲してくる。また灯火管制によって軍用の車両・航空機・船舶といった乗り物はすべての灯火・照明類を意図的にOFFにできる。(→灯火管制)
レーザーサイト、フラッシュライトは構えたまま任意でon/offできるよう、手元に伸びたスイッチを取り付ける場合もある。またライトは銃ではなくヘルメットや衣服に取り付ける場合もある。
安全装置
意図しない発砲、暴発。これは字面以上に問題となる行為である。
自分が負傷するのはまだマシな方で、味方、第三者、民間人を誤射しては目も当てられない。
(→フレンドリーファイア)
戦場なら暴発によって敵に存在がバレてしまうし、民間でもよくて近所迷惑、悪くて脅迫と誤認され訴訟、最悪の場合は民族・国際問題、暴動のきっかけに……あぁ恐ろしい。
射撃前であっても、薬室に弾丸を装填したままでは常に発砲の危険が付きまとう。どうにかして発砲を停止しておかないと、携帯時に不安である。
- 安全装置/セフティ、セイフティ、セーフティ(Safety)
撃発を不能にする仕組み。薬室に装填したまま不用意な発砲を防ぎ、安全な運搬携行が可能となる。
使用者が操作するスイッチ式の物、正しい使い方以外では動かないようにするもの、銃を落としたなどの不意の事故に対応したものなど、様々な形式がある。構造面でも、引き金が固定されて動かなくなる物、撃針をロックするものなど、やっぱりさまざまな形式がある。
トカレフ拳銃(輸出型を除く)には無い事で有名。
- マニュアルセフティ
使用者が操作する手動式の安全装置。セーフティレバーとかセイフティボタンとか呼ばれるもの。
ONにすると引き金と撃鉄・撃針の連動を解除/停止するものが多い。ベレッタ92のようにデコッキング機能を兼ねたり、M16やAK-47のようにセレクター(後述)と兼用されている物もある。
特に握り手を握った手の親指(サム)で操作する、最も操作しやすい位置にあるセフティは「サムセフティ」と呼ばれる。
回転式拳銃にはだいたいついていないが、撃鉄を起こさない限りは引き金が重いのでそれがセフティ代わり。 - トリガーセフティ
正しく指をかけて、正しい方向に引かないと、最後まで動かないように作られた引き金。収納・取り出す際の暴発の危険を大きく減らせる。
グロック社の拳銃や、S&W社のM&P自動拳銃などでの採用が有名。 - グリップセフティ
握り手に仕込まれたボタンで、正しく握ったときだけ押し込まれ、引き金のロックを解除する。
M1911や、H&K社のP7、スプリングフィールド社のXDシリーズなどが有名。 - AFPB(Automatic firing pin block)/ファイアリングピン・ブロック/撃針前進防止装置
引き金が引かれていない場合、撃針を常に固定しておく機構。たとえ銃を落としてしまっても撃針が動かず、撃発しない(まったくしないわけではない)。
コルト社が保有していた特許が失効してから業界中に広まり、現在ではほとんどの拳銃に搭載されている。元々搭載されていなかった機種にも搭載するマイナーチェンジ版も多いが、そうした後付け版は引き金の感触が変化することが多く、ヘビーユーザーにはやや不評なこともある。 - ドロップセイフティ
引き金を正しく最後まで引く以外の操作(落下衝撃など)で撃鉄/ストライカーが動かないようにロックする機構。
グロック社の自動拳銃での採用が有名。グロック拳銃が世界トップシェアになった理由の一つが、トリガーセイフティ・AFPB・ドロップセイフティのトリニティによるマニュアルセフティ要らずの安全性能である(引き金に指をかけて暴発させるバカタレは後を絶たないが……)。 - ハンマーブロック
回転式拳銃で使用される、撃鉄と撃針の間に挟まって撃発を阻止するパーツ。引き金の動きに連動してひっこみ、撃発させる。 - トランスファー・バー
回転式拳銃で使用される機構。ハンマーブロックとは逆に、引き金が引かれると連動して突き出るパーツ。この機構を導入した銃では、撃鉄と撃針が絶対に接触しないようになっているが、突き出たトランスファー・バーがこの間に入り、衝撃を伝えて撃発させる。
- マニュアルセフティ
携帯・収納・取付
銃という重たい長い棒を、常に両手で持ち続けるのは重労働である。
銃以外にも装具や大型のリュックサックなど様々な物品を運搬しなくてはならない。道は平坦ではないし、山道、崖、ロープによる懸垂降下(ラペリング)する場合もある。服のポケットでは大量の弾倉入りきらないし、蓋が無く落ちたり面や角が当たって痛く動きづらい。
- キャリングハンドル(Carrying handle)
機関銃や対物ライフル(対物狙撃銃)といった大型火器の移動運搬を容易にするもの。
片手が塞がるため、長距離運搬や両手が自由になる点では後述の負い紐のほうが有利。
M16など一部の小銃にもついているが外せるものは外して光学機器と載せ替える場合も多い。 - 負い紐/スリングベルト(Sling belt)
単純に「スリング」とも呼ばれる。銃を背負ったり、カバンのように肩から吊り下げて携行する際に用いられる幅広の紐。これが無いと戦闘時以外の安全地帯や作業中、昇り降りの最中でも常に重い銃を手で持ち続ける必要があり面倒(両手・片手が塞がってしまう)。
銃をよく見るとベルトを取り付ける部分、リング、金具などがついているが、小型の短機関銃では一つしかないものもある。射撃時は紐を掴み引き寄せるようにして銃を安定させる方法もある。 - ランヤード(Lanyard)
カールコード(Curl code)
拳銃の落失・紛失防止のためにベルトや弾帯と繋いでおく、コイル状の伸縮自在の紐。
拳銃を携帯する兵士はもちろん、日本の警察官なども装備している(細い針金が入っておりナイフ等で切断して強奪できないようになっている)。 - ホルスター(Holster)
拳銃を携行・収納するための入れ物。警察官などが装備しているのを見たことがあるはず。
脇の下、胸、腰、太腿など様々な位置に装着できるタイプがある。 - マガジンポーチ(Magazine pouch)
予備の弾倉を入れておくための入れ物。兵士の胸や腰回りについている。
「マグポーチ」「弾薬ポーチ」「弾丸ポーチ」「弾倉ポーチ」とも呼ばれることも。- 近年は自在な位置にポーチを取り付けられる「モールシステム」などがあり便利。
- ちなみにサバイバルゲームなど、金欠でマグポーチ類がないからと予備弾倉をポケットに入れておくと角ばっていて痛かったり、痛くないゆるゆるな物は落失するデメリットがあるため、マグポーチをひとつ持っておくだけでもだいぶ楽になる。(私物や小物入れとしても使える)
- 携行弾数(一例)
一般兵士の即応弾としては(大まかに)6本分の弾倉を所持している場合が多い。7.62mmNATO弾20発×6本=120発、5.56mmNATO弾30発×6本=180発。(リュック等に予備弾倉が入っている場合もあり、状況によって絶対とはいえないため目安) - 敵地で行動し、長期的に補給の受けられない特殊部隊などは現場へさらに大量に持って行く場合がある。
- ダンプポーチ(Dump pouch)
使用済みの空っぽの弾倉を入れる大きな袋。
よく腰の側面後方につけてる姿が見られる。(Dump:捨てる・投棄する)
ポーチ類をたくさん取り付けるもの
マガジンポーチその他を多数取り付け、胴体に着用するもの。
必要な時にさっと着用し、休憩時はそのまま脱げる。映画等で見たことがあるはず。
イラストやコスプレでも着せておけば結構それっぽくなる。
これがないと「どこにそんな沢山弾入れて持ち運んでるんだ?」という不思議な状態になる。
私服の上に着ると民間軍事会社(PMC)や極秘ミッション、テロリスト風にもなる。
- チェストリグ(Chest rig)
兵隊さんがよくつけているもので、サスペンダーでポーチ類を腰に吊り下げる構造。 - プレートキャリア(Plate carrier)
特殊部隊の方がよく着用しているもの。最近は一般の軍人さんの一部も着用している。
- タクティカルベスト(Tactical vest)
プレートキャリアと似ているが、元祖はこちら。
元祖なのでポーチ位置が固定で自由に変更できなかったり、変更できても自由度が低かったり
中に防弾プレートを差し込めないものも含めるためかなり広義である。 - 呼称等は現在でも使われていないわけではない。
- ポーチがたくさんあって便利なため、キャンプや釣りなどアウトドア・屋外作業で便利。
- 「ベスト」なので、知らない人に説明しても多少は形を理解されやすい。
タクティカルベスト - Google 検索
- 「ベスト」なので、知らない人に説明しても多少は形を理解されやすい。
- MOLLE(取り付け規格)
ポーチを衣類等の好きな位置に取り付けられるように作られた規格。「モールシステム」とも。
銃自体に取り付ける汎用システム
マウントレール(マウントレイル)(Mount rail)
各種照準装置やフォアグリップ、フラッシュライト、暗視装置、グレネードランチャーといったオプションパーツの着脱を容易にする機構。銃の上や被筒(ハンドガード)の側面・下についてるギザギザっぽい部分や、同じ形の穴が等間隔に空いている部分。
- 様々な規格が存在し、対応したオプションなら国や銃、東側西側を問わず簡単に着脱可能となる。基本的に射手の体に合わせて取り付け位置を調整可能。
- レールで取り付けたパーツにもレールがついており、理論上は無限に好きなパーツが取り付け組み合わせられる場合もある。
- これが開発される以前は、銃に穴を開けてネジ止めしたり、ビニルテープやタイラップでぐるぐる巻きにしたりと様々な工夫が凝らされてきた。
- ピカティニーレール(Picatinny rail)
『銃の上や被筒(ハンドガード)の側面・下についてるギザギザっぽい部分』。米軍のピカティニー造兵廠によって開発されたが、構造が単純で便利なため中国やロシアでも普通に採用されている。
各自バラバラであった装備品の取り付け規格を標準化するもので、1990年代から普及し始めた。
縦幅5.2mmの溝が10mm間隔で刻まれた横幅21.2mmのレールに、オプションの取り付け基部を左右から挟み込み、ネジで締めこんで固定する。
ゴツゴツギザギザの金属なので、素手では持ちづらく、そしてレール自体が重いのが難点。 - モジュラーレール(Modular rail)
頑丈で手軽なのはよいが持ち運びに難があるピカティニー規格の発展形として、必要なところにだけレールを取り付けるという発想で作られたマウントレール。『同じ形の穴が等間隔に空いている部分』がそれで、穴にレールやオプションパーツのボルトを差し込んで締め込み固定する。
射撃安定
照準の動揺を軽減する。携帯性重視の拳銃には一部を除き付いていない。
立ったままの射撃から遠距離の狙撃まで、安定した照準を維持するためのもの。
また、長時間の待ち伏せでも体力消費が少ないのも魅力。
- 銃床(じゅうしょう)/ストック(Stock)
銃の最後端の部位で、頬付け+肩付けすることによって射撃姿勢の安定度を大幅に安定させるもの。- 現在の軍用銃では、射手の体格に合わせてストレスなく使用できるよう、頬付けや肩付け部分を微調整できる機能を備えたものが主流。
- 極論で言えば無くても撃てるし、射撃時以外は嵩張るため、伸縮させたり折り畳んでコンパクトにできるものも多い(戦車やヘリコプターの搭乗員、パラシュート降下を行う空挺隊員用の銃など)。ブルパップ方式の銃は銃床内部に機関部・弾倉・銃身基部を備えて全長を短縮しているが、その分射手に合わせた調整機構を仕込むのが困難という弱点がある。
- 携帯性を重視した拳銃などは元から銃床はついていないが、後付けで取り付けられるものもある。
- 映画とかでよくやってるように、緊急時の白兵戦や言うことを聞かない反抗的な捕虜を動かす(捕虜虐待は国際法違反です。念のため)時には「銃で相手を殴る」用途にも使われる。銃身側で殴ると照準が狂う可能性があるためである。
- 固定式銃床:微調整できないが、ガタつきがなく剛性が高い。素材によっては安価に作れる。中が空洞になっており、整備用のクリーニングキットや小物を収納できるものもある(M16やAK-47ほか)。
- 伸縮式銃床:M4カービンやMP5A5短機関銃の銃床(前者はテレスコピックストック、後者はスライドストック)。
- 折畳式銃床:UZI、Vz61、SG550、FN-FNC、89式小銃(折曲銃床型)など真横や上、下に折り畳むもの。(フォールディングストック)
伸縮+折り畳み:SCAR、ACR、MAC11など。
ほとんどの銃では排莢口を避けて畳むようにして、折り畳んでも射撃できるように作られている。 - 曲銃床/直銃床:銃床が、銃身(撃発位置)から下に曲がるように/ほぼ水平になるようにした構造。前者はAK47やM14、後者はM16を想像してほしい。
曲銃床は弾道との視差を減らせる利点がある一方、直銃床は大型の照準装置を頬付けして扱いやすくなる利点がある。また、直銃床の方が連射時の反動を抑え込みやすい……とされるが、銃床形状による反動制御については明確な定義がない。結局は銃の設計次第かもしれない。
- 二脚/バイポッド(Bipod)
銃の先端付近に付属し、ハの字に開くことで伏せ撃ちや依託射撃時に支える重量負担を軽減し、精度を大幅に上昇させるもの。機関銃や狙撃銃のほとんどに装備されている。国の運用思想によっては小銃に装備される場合もあるが重量やコスト増になるため取り付けられないか、必要時のみ後付けされるものも多い。良いものでは地形に合わせ、左右で独立して脚の長さを変えられるものもある。 - 三脚/トライポッド(Trypod)
機関銃などの大型火器に付属し、二脚以上に重量負担を軽減し精度を上昇させるもの。 - 前方握把/フォアグリップ(Foregrip)
銃の前方、被筒(ハンドガード)等の下面に装備されるグリップ。射撃安定・反動軽減・取り回しの上昇に効果がある。銃によっては最初から固定式で付いているものもある。
依託射撃(後述)によっても飛躍的に照準の動揺を抑えられる。
オプション(武器)
- 銃剣/バヨネット(Bayonet)
銃口先端に取り付けるナイフ。長い銃と組み合わせ槍のように扱う事も可能。
突撃、夜間、至近距離、死んだふり対策、銃弾が尽きた際に戦闘力を失わないなどの理由から現在も使用されている。近年は多機能ナイフのような機能を持っているため戦闘以外でも使える。
良く見ると銃の先端付近に銃剣と噛み合う突起がついており、カチッとはまり固定でき、外す際はボタンを押すと固定が解除されて外れるものが多い。
(→銃剣) - 擲弾(てきだん)発射機/グレネードランチャー(Grenade Launcher)
小型の爆弾(グレネード)を発射する装置。口径が大きく様々な弾種(榴弾(炸裂弾)、煙幕弾、照明弾、焼夷弾、非殺傷弾など)を装填でき、戦術の幅が大きく広がる。
初速は遅く、弾道はきつい放物線を描く。銃弾ほどの射程距離はない。
基本的に軍用だが、民間でもしかるべき免許の取得と納税を行えば所持可能。花火くらいの爆発をする模擬弾が市販されている。
- マスターキーショットガン(Masterkey Shotgun)
軍用の突撃銃下部に切り詰めたショットガンを装着したものの俗称。
ドアの蝶番や錠前・固定部分を破壊して開錠する。ジョークの利いた名前である。
通常のショットガンとしても使用できる。(→ショットガン)
銃自体で殴る手もあるが、固定銃床以外は照準が狂ったり負担が大きいなどデメリットが多い。
指標・機能
- 銃口初速(Muzzle velocity)
発射された瞬間の銃弾の速度。メートル毎秒(m/s)で表される。
単純に「初速」と呼ばれる事も多い。銃、銃身長や弾頭重量、弾種、装薬によっても異なる。
速度は飛翔中に徐々に低下していく。ライフル弾、トカレフ拳銃やPDWに使用する弾薬のように弾頭重量に対して発射薬の比率が多いものは特に高初速になりがちだが、必ずしも大口径・弾頭重量が重いほど高初速とは限らない。
(一例)9x19mm:350m/s、 5.56x45mm:940m/s、 7.62x51mm:833m/s。
12.7x99mm:895~928m/s、 20x102mm[3]:1035m/s、 7.62x39mm:720m/s。 - 初活力/マズルエナジー(Muzzle Energy)
弾丸が銃器から発射された瞬間に持っているエネルギー量。銃弾の威力、射程の指標の一つである。
しかし、エネルギーだけが人体に及ぼす力の指標ではなく、更にそこに弾丸の形状や重量バランスなども関わってくる為、この数値が絶対的な射程やパワーだとは言い切れない面もある。
主な銃器、弾薬では、ベレッタM92:9mmパラベラム弾で約500J、M16:5.56mmNATO弾で約2000J、M14:7.62mmNATO弾で約3500J程。 - ストッピングパワー(Stopping power)
マズルエナジーと似ているが、こちらは「相手に一撃で与えるダメージ=相手を一撃で黙らせる能力」の基準。
人間は急所を直撃されない限り、被弾しても即死せず、当たり所や興奮状態によっては動くことも出来る。ストッピングパワーがあるほど、被弾一発当たりの相手の肉体の損傷は大きくなり、反撃に移る余裕を大きく減らせる。
ただし、肉体を原形をとどめないほど破壊する対物火器クラスの大口径弾でもない限り、結局は「当たり所による」としか言えないため、ストッピングパワーのみを基準に弾薬の優劣を語ることはできない。
(→ストッピングパワー) - 連発/連射/全自動射撃/フルオート(Full auto / Full automatic)
引き金を引いている間、自動で連射を継続するもの。単純に略して「フル」とも呼ばれる。
弾幕によって近距離・多数の敵を制圧する事が容易で、フィクションでも映える映像になる反面、弾薬の浪費や銃の跳ね上がり(リコイル/反動)が激しく命中精度はガタ落ちするため、基本的に近距離や制圧射撃以外は行わない。(→銃撃戦)連射が可能な拳銃も存在する。(→マシンピストル)
機関銃ではこれがメインだが、弾薬を節約し無駄遣いを防ぐため一定弾数ごとに一度引き金を離すバースト射撃のような撃ち方をする場合もある。
…現代の銃器については上記の通りだが、近世や近代初頭周辺の歴史、またそれらの時代の銃器について語る文脈の場合マスケット銃等の単発装填式の銃と対比する意味合いで、弾倉を備えコッキングのみでの次弾装填が可能な銃を「連発銃」と言う場合がある。
- 単発/単射/半自動射撃/セミオート(Semi auto / Semi automatic)
単純に略して「セミ」とも呼ばれる。
引き金を引くたびに弾を発射するもの。元より連射機能のない自動式の銃はこれがメイン。
アメリカの民間市場では犯罪に悪用されると危険なため、フルオートは表記だけで機能はセミオートのみに限定される場合が多い。(フルオートが可能な州もある) - 制限点射/3(2)点射/バースト射撃(Burst)
2~3発連射するたびに一旦射撃が停止する制限付きの連射機構。
- 銃によって発射弾数は異なるが、3連射される物が多いため単純に「3連射」と呼ばれる事も。
ベトナム戦争時、新兵がパニックになってあっという間に弾薬を撃ち尽くすことから開発された。
セレクターは「セミ・バースト」になっているもの、「セミ・バースト・フル」と全部ついているものもある。 - バースト射撃は精度を維持しつつ打撃力があり、弾薬の節約になる…ものの余計な構造が増える(信頼性の低下・コスト増)、特殊部隊員など慣れた兵士には邪魔、フルオートが必要な状況においては打撃力に劣るといったデメリットもある。
…極論「フルオートで3発撃つたびに指を離せば良いのでは?」という話である。
※機関銃・機関砲などで節約のため短連射を繰り返す射撃方法を指す場合もある。
※全弾撃ち尽くす事を「フルバースト」と呼ぶ人も居るが、そのような呼称・用語はない。(全弾連射するのは機能的に考えてもただのフルオートである)
- 銃によって発射弾数は異なるが、3連射される物が多いため単純に「3連射」と呼ばれる事も。
- セレクター(Selecter)・セレクターレバー(Selecter lever)
銃の射撃モードを切り替える部品。自衛隊では「切り替え軸」と呼ばれる。
安全装置と兼用されている場合も多い。 - 最大射程(Maximum range)
「当たるかどうか関係なく、弾丸が最も飛ぶ」距離。拳銃弾でも1km以上は飛ぶ。
「適当に撃ったら滅茶苦茶遠くの人に当たって死んだ」事例もあるため甘く見ることなかれ。
(それで犯人を見つけてきた捜査関係者もすごい) - 有効射程(Effective range)
「狙って当たる」距離のこと。最大射程を超えることはない。
※命中させられるか否かは射手の技量と銃の性能、的の大きさにも左右される。
パンチ<拳銃<短機関銃<カービン<突撃銃<狙撃銃<対物狙撃銃<戦車砲<=迫撃砲<榴弾砲
「拳銃で50m先に命中させました!」:まぐれでもすごいやん!
「狙撃銃で50m先に命中させました!」:ワロタ …同じ距離でもこの差である。
ただし肉眼で見えるのは300~500m程度、(個人の視力・相手の投影面積にもよる)
相手が伏せていたり、迷彩服等で偽装していた場合は100m先でも怪しい。
…肉眼では200m先の人間は立っていても米粒以下にしか見えない。
…ちなみに300m先の敵兵をスコープ無しでヘッドショットを決めまくるチートな人が実在した。
- 投影面積
相手に対して姿を晒している面積。(見える大きさ)もちろん遠近法で遠くにいるほど小さくなる。
同じ距離・同じ人間・同じ物体でも棒立ち・しゃがむ・伏せる、物陰に体の一部が隠れる、体の大部分が隠れることで晒す面積が小さくなり発見が困難になる、命中する範囲が小さくなるメリットがある。(速度は大幅に遅くなるが、匍匐前進がまさにそれ) - MOA(Minute Of Arc)
銃の命中精度を測る指標。射手の技量に依存しないもの。
銃を装置にガチガチに固定して複数発を撃ち、弾丸のまとまりを数値で示すもの。
100ヤード(91.44m)で1インチ(2.54cm)の円内に収まれば1MOAの成績である。
…狙撃銃は1MOA未満、一般的な突撃銃で3MOA、AK47で6MOAくらい。(数値が小さいほど当たる)もちろん同じ銃・口径でも銃・弾薬メーカーによって異なるし、摩耗すれば僅かに広がっていく。スコープ等をよく見るとダイヤルに1click=1/8MOA(8カチカチで1MOA分移動)のような基準が書かれており照準調整時の指標となる。もちろん射手の技量に左右される。 - アンビ(Ambi)
アンビデクストラス(ambidextrous)の略。「両側」の意。左右どちらからでも安全装置(セフティ)やセレクター、コッキングハンドル、マガジンキャッチレバー等を操作できるようにしたもの。左利きの人や左右に持ち替えた際でも違和感なく使用できる。「アンビセフティ」「アンビ仕様」「アンビ○○」などと呼ばれる。
トラブル
- 作動不良/ジャム(Jam)
作動不良、動作不良、回転不良、装填不良、弾詰まり、発火不良、排莢不良……呼び方・原因はいろいろ。難しい事は割愛するが、どのみち原因は何であれ戦闘中に起きれば一大事、パニックになる。冷静に原因を取り除かなければ射撃を再開できない(→ジャムるの項目も参照)。 - 不発(Unexploded)
雷管(プライマー)を叩いたが点火しなかったもの。不発弾。ごく稀にある。 - 遅発(ちはつ)(Hang Fire)
一見不発に思えるが、実は炸薬が点火(引火)しており、時間差で弾丸が発射されること。不発よりたちが悪く恐ろしいこと。 - 暴発
使用者の意図しない形で発砲すること。主に3パターンある。 - コックオフ(Cook off)
- 誤射(Friendly fire)
撃ってはいけないもの(民間人、味方、友軍など)を撃ってしまうこと。
緊張状態・視界不良・夜戦などで射線をうっかり横切る・目の前に飛び出してくると起きやすい。
かといって相手を悠長に確認していれば、敵だった場合に撃たれてしまうジレンマがある。
(→フレンドリーファイア)(→誤射) - 跳弾(Ricochet)
命中した弾丸が着弾時に貫通したり砕けたりせず、危険な威力を保ったまま跳ね返るもの。
硬いものを撃った際や、命中した角度によって起こりうる。室内など特に危険。
エアソフトガンで使用するBB弾などでは日常茶飯事である。曳光弾だとよく見える。
(→跳弾) - 聴覚障害・難聴
銃の機関部は火薬を目の前or耳の真横に存在する。そこで弾丸を撃発するため、一瞬でも非常に大きな音が耳に入る。サイレンサーや専用の弱装弾を使用した場合はある程度軽減できるが、長く射撃音に晒されていると一時的・継続的に難聴になる場合がある。敵の存在(足音や物音・エンジン音)や味方の肉声や無線通話が聞こえない・聞こえづらいのは困るし、それ以前に日常生活に戻った後に大変苦労する。
おまけ
- 銃を撃つのって難しいの?
- 射撃 の百科項目を参照。
- 引き金を引くだけなら幼稚園児の力でも可能であるが、邪魔をする要素が沢山ある。(→狙撃手)
- 引き金はその引き方ひとつでも弾着がズレるなど、割と重要な要素である。
- 超超超至近距離のでかい的を狙う場合を除き、「言うは易く行うは難し」である。
- 趣味における射撃、競技射撃・実戦における射撃といった種類がある。サバゲは割愛。
- 当然ながら、実戦における射撃のほうが過酷。
- 意外と防弾になるもの
※ただし、重機関銃弾などはさらに厚みが必要になる。- 地面(土砂)。土嚢ほどの厚みであっても効率的に弾丸を停止してくれる。
- 水。水の抵抗で数mもしないうちに停止する。
- 車のエンジン。内部の燃焼爆発に耐えられるよう特に頑丈。
- 【余談】
- 弾はどれぐらいの物を貫通できる? (hb-plaza.com)
- 銃のお手入れ
- 「分解清掃」「分解組立」「分解整備」「メンテナンス」「クリーニング」とも呼ばれる。
(※銃によって異なるので大雑把に説明する) - 通常分解と完全分解があり、通常は前者のみ(通常動作する上では問題ない)。
- 特に清掃道具は「クリーニングキット」と呼ばれ一緒に持ち歩く。
- 完全分解部分を除き、簡単に着脱できるようネジが使われていない銃も多い。
- 「元に戻せない!」「部品がどっか行った!」「部品が余った!」という事がないように、分解した順番に部品を並べていくといったルールもある。
- 試射などの再調整が必要となるため、基本的に照準器類は外さない。
- サボると動作不良を起こし撃てない。最悪目の前で銃身や機関部が爆発することもある。
- 顔面をズタズタにされればもはや戦闘どころではない。
- ベトナム戦争で皆がM16の整備をサボって動作不良が起きまくったのは黒歴史有名。
- サボってもちゃんと動くのはAK-47くらい。(いつもの)
- 夜間の整備を想定して、目隠しをした状態で分解組み立てを行う訓練もある。
- 手慣れた様子で銃を手入れしている様子はプロっぽくてカッコイイのだが、映画などでは尺の都合からあまり描写されない。分解組立する動画はニコ動やYoutubeなどにもうpされていので、「プロっぽく描きたい!」という方は挑戦してみてはいかがだろうか。
- フィールドストリップ(Fieldstrip)
フィールドストリッピング(Fieldstriping)
通常分解の別の呼び方。室内で行われるものも指せるが
屋外や戦場におけるお手入れは大抵これ。もちろん机や椅子などはない。
- 「分解清掃」「分解組立」「分解整備」「メンテナンス」「クリーニング」とも呼ばれる。
- 銃器の安全な取り扱い
簡易的に。だいたいエアソフトガンの説明書と同じ。
- 回転式拳銃/リボルバー(Revolver)
- 猟銃(Hunting gun / Hunting rifle / Shotgun)
- 射撃姿勢
- 依託射撃
- スプリング(広義)
ばね。かなり大雑把な言い方で申し訳ないが、銃のあちこちに使われている。
大抵は「~スプリング」のような名前が付いているが割愛。
- ターゲット(Target)
- ペーパーターゲット(Paper target)
- マンターゲット(Man target)
- ラバーガン(Rubber gun)
- プロップガン(Prop gun)
- 無可動実銃
- レーザー交戦装置
バトラー(自衛隊での呼称)- 軍隊の演習で使われる模擬的な交戦装置。(米軍や他国でも使用されている)
- リアルな訓練がしたいからと実弾を撃ち合えば死人が出るため、皆で体中にセンサーを取り付けレーザー光線を撃ち合うリアルサバイバルゲーム。もちろん夜戦も可能。やりたい。
- 生死や個人の位置状況、射撃の有無や射線は本部の人間がコンピュータで見ている。
- 小銃、機関銃、無反動砲、対戦車ミサイル、迫撃砲、車両、戦車、ヘリコプターまで幅広く対応している(全種類ではない)。乗り物は破壊されるとでかいランプが点滅する。
- 撃たれて「負傷」すると音と負傷状況が、「死亡」すると音が鳴り響くため本人でも容易に判別できるようになっている。(一緒に頭部のランプが点滅するものもある)
- 死亡すると同時に発射判定はロックされ、本部にも死亡状況が表示される。
- ※死亡時は退場するか、死んだふりするのか、復活できるのか…という事は先に取り決めておく。
(※駐屯地祭で確認済み…記事編集者より)
- 銃眼/ガンポート(Gunport)
銃の部位ではないが、建物や装甲車といった内部から外部を銃で射撃する小さな穴。
割と歴史があり、城壁から鉄砲や弓矢で敵を狙い撃つのにも用いられた。
意外と購入できるもの
実物であっても、銃刀法に引っかからない部分は購入できる場合もある。
(それだけあっても悪用できないといった脅威とならないもの)
- 空っぽの弾倉だけあっても仕方がないため、銃の弾倉自体は購入できる場合もある。
- 銃器のアクセサリー類、実物の照準器などはガンショップや通販などでも購入が可能である。暗視装置(武器輸出規制外品)・サーマルサイト(熱線暗視装置)なども購入できるが高価。またエアガンに搭載するにはオーバースペックな場合もある。
- 実物の弾薬箱などは金属の箱+元々が数量的に多いためか割と実物も売られあまり高価ではない。
- 「米軍放出品」などと検索すると割と出る。銃器関係以外も含める。
- 中古品などは細かい傷まで味がある。
本物っぽいもの
- 本物ではないが、そっくりなレプリカが売っている場合も多い。照準器・迷彩服等も含む。
- 銃弾を模したダミーカートリッジなど並べたるとやたらに雰囲気が出る。
ダミーカート - Google 検索 …ガンショップでも売ってたりする。
身近(?)なもの
- エアソフトガン(Airsoft Gun) / エアガン
わざわざ書く必要はないかもしれないが一応。空気圧を利用して発射するおもちゃの銃。 - サバイバルゲーム(Survival Game) / サバゲー
エアガンを撃ち合って遊ぶゲーム。やたらに衣装にこだわる人もいるが(特殊ルールでなければ)私服でも参加可能。ゴーグルだけは必須。割とノーマルマガジンだけでもいける。
ここでサバゲーを語っても仕方ないため サバイバルゲーム の項目を参照。 - ガンショップ(Gunshop)
- 基地・駐屯地(自衛隊および在日米軍施設)
本物の銃を撃ってみたい
本物を撃つなら海外の射撃場へ行くか、警察や自衛隊に入るという手もある。
というより、自衛隊など滅茶苦茶フレンドリーに絶賛募集中である。 → 自衛隊
「体力が無い人(運動部以外)は自衛隊に入れないだろ!」
…という質問に対しては、文化部・帰宅部でも体力は新隊員教育でつくとのこと(一応聞いてきた)[5]
+(公式)令和元年度 自衛官広報動画「自衛隊の ソレ、誤解ですから!」篇 Vol.1 - YouTube
当たり前だが猟銃を持っている親戚などに「ちょっと撃たせて」…は銃刀法違反になるのでダメです。
※猟銃免許を持っていない人に持たせるだけでも違反である
他
軍事関連項目一覧 においても様々な兵器・用語が羅列されている。
ミリタリーとか詳しくないけど、記事を読んでたら気分が乗ってきた方は
兵站(後方支援)・諸兵科連合などの百科項目も面白い。
…というより兵站は軽視するとそのままリアル死亡フラグ立つなど非常に重要どころではない。
非常に多くの物資や人手が必要となるなど奥が深いが、ここに書くとパンクする程の量がある。
前述の基地・駐屯地イベントなどもオススメである。
関連項目
脚注
- *「銃の科学 知られざるファイア・アームズの秘密」かのよしのり SBクリエイティブ 2012 p.146
- *IR:InfraRed=赤外線
- *戦闘機に搭載される20mmバルカン砲弾の初速。
- *ただし爆音のせいで鼓膜が破れたり、強烈すぎる衝撃などの理由から生きていても精神をやられる可能性も高いため、心身ともに無傷とは限らない。
- *ただし前期教育(3か月間)は割と自由が少ないので耐えて欲しいとのことのこと。
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