概要
むかし、むかし、北国のあるお城の殿様は鍋物の味が混ざることに疑問を持っておったそうな。秋から冬になり鍋物が美味しい季節になると憂鬱で仕方なかったそうな。そんなある日、鍋物を美味しく食べたいと思っておった殿様はあることを老中に聞いたのでした
『爺、鍋の味が単調で我慢の限界じゃ、何とかならんか…』
「はぁ、それには家来が毎度いろんな物を次々入れるのがよろしくないかと思われます…」
『わしの発言で家来が嫌な思いをしては士気に関わるしのう…ふむ』
「殿!そういえば城下町の外れにある家屋をご存じですか…何でも町の住民が冬場に集まるという場所なのですが…」
『その家屋がどうかしたのか?』
「その家屋の住民が鍋に関してはひと味違うと言う事を聞いておりまする」
『むっそれではその者をここへ呼べ、本日の飯の際に立ち会わせて見せようではないか』
「はっ、早速手配を」
(中略)
「皆の者、今日はこの者の指導に従って鍋を作ってもらう…異論は無いな」
《お…おら…何をすれば良いんじゃろうか…》
「何、気にすることは無い…普段通りで居てくだされ。ささ、この席へ…」
《はぁ…》
クワッ!
「と…殿!」
『じ…爺!この者目つきが変わったぞ!』
【よーし、実家でいただいた鹿肉を入れるぞ~!】
《貴様ァ!鹿肉をこんにゃくの横に入れるとは何事だ!、鎌で叩っ斬るぞ!》
【何を!農民の分際で!】
《ワシが斬られるのはかまわん、が!こんにゃくで鹿の肉が固くなるのはゆるせんと言っておるのじゃ!》
【ぬぅ!一理あるな…】
《良いか、野菜はここ、肉はここ、豆腐は野菜に近く、こんにゃくは肉から離す、堅くなってしまうからな、そして蓋をして約10分待つ》
(中略)
《頃合いじゃな…殿、お召し上がりください》
『う…うむ。むっ!』
「と!どうされました!」
『今までとは比べものにならん美味さじゃ!その者!鍋奉行を命ずる』
《はっ…ありがたき幸せ》
上のように、鍋料理に対して出汁の量、具材を入れる順序や位置、火加減などに対して事細かく指示をする人のこと。 実際の所、主に家庭料理をする人が多く、他人の味付けに対して気に入らなかったり順序を守らずに味が崩れるのを防止するために言っていることが多いが、複数人でわいわい楽しむ鍋の席では単なる口うるさい人にしかなっていないケースが大半、というのが実情である。
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