開平法とは、平方根の値を求める方法である。ここでは筆算について記述する。
概要
平方根は、今となっては電卓で簡単に計算できるが、電卓なんかなくても紙と鉛筆さえあれば計算できる。2種類の筆算を同時進行で行うが、実際に平方根の計算を行うのは片方で、もう片方は補助的な計算を行っている。
手順
ここでは、例をあげて説明する。√252.5を計算する。計算する上で着目する箇所を赤字、新たに書く箇所を太字で書く。
準備
まず、「√252.5」を右半分に書く。(左半分は補助的な計算のため空けておく)
√252.5 |
小数点を基準に、2桁ずつ区切る。この例では、2,52,5に区切られる。
第1ステップ
ここでは一番上の位を立てる。計算は足し算、掛け算、引き算の順に行う。
準備段階で区切ったときの先頭が2なので、2乗して2以下の最大の整数、つまり1を立てる。
1 √252.5 |
1を立てたので、左側に1を縦に2つ並べて書く。
1 1 |
1 √252.5 |
左側で、1+1を計算する。
1 1 2 |
1 √252.5 |
右側には、1×1を計算して書く。
1 1 2 |
1 √252.5 1 |
右側で、2-1を計算する。
1 1 2 |
1 √252.5 1 1 |
第2ステップ
ここでは、2番目の位を立てる。立て方が少し複雑だが、それ以降は第1ステップと同じ要領である。
右側で、次の2桁である52を降ろす。
1 1 2 |
1 √252.5 1 152 |
2□×□が152以下となるような最大の整数を立てる。すぐにわからなければ、152÷20の整数部分、つまり7から試しに計算するとよい。
27×7 = 189 > 152
26×6 = 156 > 152
25×5 = 125 ≦ 152
よって、5を立てる。
1 1 2 |
1 5 √252.5 1 152 |
左側に、5を縦に2つ並べて書く。
1 1 25 5 |
1 5 √252.5 1 152 |
左側で25+5,右側で25×5を計算する。
1 1 25 5 30 |
1 5 √252.5 1 152 125 |
右側で、152-125を計算する。
1 1 25 5 30 |
1 5 √252.5 1 152 125 27 |
第3ステップ
やり方は第2ステップと同じ。ただし、桁数が増えてゆくので計算する手間はかかる。
次の2桁、50を降ろす。ここで小数点をまたぐので、立てる位も小数部分に突入する。
1 1 25 5 30 |
1 5 √252.5 1 152 125 27 50 |
30□×□が2750以下になるような最大の整数を立てる。309×9 = 2781,308×8 = 2464なので、8を立てる。左側には8を2つ縦に並べて書く。
1 1 25 5 308 8 |
1 5 . 8 √252.5 1 152 125 27 50 |
1 1 25 5 308 8 316 |
1 5 . 8 √252.5 1 152 125 27 50 24 64 |
最後に、右側で引き算。
1 1 25 5 308 8 316 |
1 5 . 8 √252.5 1 152 125 27 50 24 64 2 86 |
第4ステップ
やってる事は今までと変わらないので、結果だけ記す。暇な人は自分で計算してみて、要領をつかめてるか確かめてみよう。
1 1 25 5 308 8 3169 9 3178 |
1 5 . 8 9 √252.5 1 152 125 27 50 24 64 2 8600 2 8521 79 |
こんな感じで気が済むまで繰り返す。
原理
平方根を求めるのは、図形的に言うと、面積のわかっている正方形から1辺の長さを求めることと同じである。開平法は、正方形の1辺の長さを求めるために、少し小さい正方形を用いて近似していくのである。ここでは、元の正方形の面積をSとする。筆算では次のように書く。
√S |
準備段階では、桁数を決めている。平方根の桁数は、元の数を2桁ずつ区切ったときの数と一致している。
第1ステップでは、最も上の位で近似する。前述の例では、10単位で近似している。ここでは、近似する正方形の1辺の長さをaとする。図に表すと次のようになる。
aの値は、赤い正方形の面積が全体の正方形を超えないような最大のものである。前述の例で言えばa = 10である。さて、筆算ではどのようになるか。aを立てて計算すると次のようになる。
a a 2a |
a √S a2 S-a2 |
左側はaを2倍しているので、赤い正方形の1辺の長さの2倍、右側では全体の正方形から赤い正方形の面積を引いているので、白い部分の面積が求められる。左側は第1ステップでは特に意味がないが、次のステップで使われることになる。
第2ステップは、単位を1桁下げて近似する。前述の例では1単位で近似している。このとき、近似する正方形の1辺の長さの、前のステップから増分をbとする。図で表すと次の通り。
bの値は、青い部分の面積が赤くない部分を超えないような最大のものである。青い部分の面積を式で表すと、2ab+b2となる。bで括ると(2a+b)×bとなり、これは前述の例で言うところの2□×□となる。結果として5が立つ。bを使って筆算を進めると、次のとおり。
a a 2a+b b 2a+2b = 2(a+b) |
a + b √S a2 S-a2 2ab+b2 S-a2-2ab-b2 = S-(a+b)2 |
まず左側では青い部分も含めた正方形の1辺の長さの2倍が出る。これは次のステップに使われる。右側では青い部分の面積を引いているので、残りの白い部分の面積が求められる。左側のおかげで青い部分の面積が容易に計算できるのがおわかりだろうか。
第3ステップ以降も第2ステップとやってる事は同じ。近似する単位を1桁下げ、左側を使って増分を計算し、右側から引くことで残りの面積を計算している。
関連動画
関連項目
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