関門トンネルとは、福岡県と山口県の境目、関門海峡を結ぶトンネルである。複数存在するため項目を分けているが、本項では主に『関門鉄道トンネル』を解説する。
関門国道トンネル
関門人道用トンネル |
1958年3月に開業した、有料の自動車用トンネルである。国道2号線の区間の一部。
2層構造で上層が自動車用トンネルだが、下層は人道と呼ばれ、歩行者及び自転車・原動機付き自転車(原付)専用トンネルである。 車道の通行料金は普通車160円。四国本州連絡橋群の1/30以下。 自転車と原付は乗車しての通行は不可。手押しで通行する。歩行者は無料だが、自転車・原付は別途料金が必要。
人道トンネルの門司側の入り口は和布刈にあり、門司港レトロ観光線の関門海峡めかり駅が最寄りとなっている。
近年、関門橋含めて老朽化が進んでいることや、異常気象などで壇ノ浦付近が通行不能となると本州と九州の道路での行き来が不可能になることから、第3の道路として「下関北九州道路」の建設が検討されている。
新関門トンネル
戦後に開業した山陽新幹線の小倉駅から新下関駅までを結ぶトンネルだが、陸地の下をくぐる距離がきわめて長く、反対に海底の下をくぐる距離は880mと短く設計されている。東海道・山陽新幹線のトンネルでは18,713mと最も長い。
ルート選定に関しては複数案あったが、既存の関門鉄道トンネルに沿うルートでは地質に難があったことと急勾配を要することとなったため、関門海峡で最も幅の狭い早鞆の瀬戸を経由するルートを選択した。
関門鉄道トンネル
旧鉄道省(のちの国鉄)時代の1936年に工事を開始し第二次世界大戦中の1942年に開通した山陽本線のトンネルで、下関駅と門司駅を結んでいる。国鉄民営化後はJR九州が管理している。
距離が長いことから(蒸気機関車による)煙の害を起こさないために、開業当初からこの区間だけが直流電化された(この頃は山陽本線・鹿児島本線ともに非電化であった)。その後門司駅から西は交流電化されたため、門司駅方に交直転換のポイントが設けられている。この区間は比較的急な勾配になっており、トンネルの天井からは海水が落ちてくる。そのためレールがぬれて車輪が空転しやすいだけでなく、車体や屋根上の機械が塩の害を受けやすいことから、電化された車両が通行するには対応策が欠かせない。この中には銀色(無塗装ステンレス車体)の機関車も配備され存在感を誇っていた。
このトンネルは戦時中の軍需輸送を支えることを求められた戦時設計となっており、その名残りが単線並列方式である。2本の線路のうち1本が通行不能になっても全線不通にならないように、どちらの線路も上り線・下り線の両方を選択できる。現在も片方を保線作業する間にもう片方で列車を通行させている。
かつてはJR西日本・JR九州の双方が山陰本線経由のキハ40系、筑豊本線・鹿児島本線経由のキハ66系など複数種類の列車を通していたのだが、現在この区間を通る旅客車両は下関を終点とする、JR九州の415系だけになった。このほかにJR貨物の貨物列車が通行しており、近年は貨物輸送の需要の高まりから運行頻度も上がっている。
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