阪急2800系とは、かつて阪急電鉄が所有していた鉄道車両である。
概要
京都線の特急車両として1964年から1965年にかけて5両編成6本、1966年に6両編成1本が製造された。その後1973年までに中間車が増備され、8両編成7本、計56両が揃った。 2300系がベースだが、2扉転換クロスシートと、特急列車に特化した構造となっている。 1960年代と言えば、競合する京阪電車の1900系導入、国鉄113系の京阪神快速への投入が行われており、これらへの対抗策として製造された背景がある。
冷房化改造
1971年から1973年にかけて競合する京阪電車が冷房搭載の3000系(初代)を投入したため、阪急も1971年から1973年にかけて2800系を優先的に冷房化改造した。なお、編成の8両化の際に製造された2880形7両(2891~2897)は製造当初から冷房を搭載している。
特急からの引退と3扉化
1975年~1978年に新型特急電車6300系が製造され、2800系は特急の運用から撤退し、一般車として運用されることになった。1976年から1979年にかけて3扉化工事が行われた。 3扉化の際には、5枚あった連窓のうちの真ん中の窓を撤去の上ドアを設置し、その窓の両側にあった連窓のドア寄りを戸袋窓とした。
廃車
3扉化後もしばらく8両編成で急行運用等についていたが、7300系の登場により、1982年から1985年にかけて2880形が抜かれ、7両化された。このとき抜かれた2880形は2881,2887が5200系、2882,2883,2886が5000系、2884,2885が2300系に組み込まれた。1987年には5000系の車体更新により組み込まれていた3両が外され、2883は1988年に廃車、2882,2886は5200系に組み込まれた。5200に組み込まれた車両は、2882が1990年の5230Fの6連化により廃車、他の3両も5200系自体の廃車により、2886が1992年、2881,2887が1997年に廃車となった。2300系に組み込まれた車両は、2884が2311Fの6連化により1995年に廃車となったが、2885は後述の単独編成消滅後も生き残ることとなる。
7両化後は京都線系統の普通・準急として運用されたが、特急専用車だったことによる老朽化の進行、更に3扉化による車体強度の低下等により、他の形式より優先的に廃車が行われることとなる。1988年には2817Fが、1989年には2816Fが廃車となった。1992年には2811F・2815Fが4連化し、嵐山線へ転属した。余剰となった車両のうち、2831,2841は先述の2885とともに2305Fに組み込まれ、他の車両は廃車となった。
1993年には2814Fが、1994年には2813Fが廃車となった。1995年には最後の7連である2812Fが廃車となった。このとき、中間車2842は同年起こった阪神淡路大震災による車両不足のため、暫定措置として半年間だけ3000系3072Fに組み込まれた後廃車となっている。 同年、嵐山線へ転属した2811F・2815Fも廃車となり、2800系の単独編成は消滅した。
最後まで残った2831,2841,2885も、組み込まれている2300系自体の廃車により2001年に廃車となり、2800系は形式消滅した。
編成表
パンタグラフを搭載した制御電動車2800形(Mc)、中間付随車2880形(T)、中間電動車2830形(M)、制御付随車2850形(Tc)が存在した。
登場時
製造当初の編成表を示す。梅田寄りのユニット(2両)と河原町寄りのユニット(3両or4両)で5両編成or6両編成を構成している。
←梅田 | 河原町→ | ||||||
Mc | Tc | Mc | M | Tc | 製造年 | ||
2801 | 2851 | 2811 | 2831 | 2861 | 1964年 | ||
2802 | 2852 | 2812 | 2832 | 2862 | 1964年 | ||
2803 | 2853 | 2813 | 2833 | 2863 | 1964年 | ||
2804 | 2854 | 2814 | 2834 | 2864 | 1965年 | ||
2805 | 2855 | 2815 | 2835 | 2865 | 1965年 | ||
2806 | 2856 | 2816 | 2836 | 2866 | 1965年 | ||
Mc | Tc | Mc | T | M | Tc | 製造年 | |
2807 | 2857 | 2817 | 2887 | 2837 | 2867 | 1966年 |
8連化~特急引退
需要の増大に伴い、6両編成となり、7両編成となり、最終的には8両編成となった。1966年の6両化の際に、梅田寄りのユニットと河原町寄りのユニットを入れ替え、梅田寄りの先頭車に2810番台車、河原町寄りの先頭車に2850番台車が配置された。以後、7両化・8両化の際には河原町寄りのユニットに中間車が組み込まれてゆき、1973年までに4両+4両の8両編成となった。特急運用引退後は1976年~1979年にかけて3扉化改造が行われたが、しばらく8連のまま急行運用等に入った。
←梅田 | 河原町→ | ||||||||
Mc | T | M | Tc | Mc | T | M | Tc | ||
2811 | 2881 | 2831 | 2861 | 2801 | 2891 | 2841 | 2851 | ||
2812 | 2882 | 2832 | 2862 | 2802 | 2892 | 2842 | 2852 | ||
2813 | 2883 | 2833 | 2863 | 2803 | 2893 | 2843 | 2853 | ||
2814 | 2884 | 2834 | 2864 | 2804 | 2894 | 2844 | 2854 | ||
2815 | 2885 | 2835 | 2865 | 2805 | 2895 | 2845 | 2855 | ||
2816 | 2886 | 2836 | 2866 | 2806 | 2896 | 2846 | 2856 | ||
2817 | 2887 | 2837 | 2867 | 2807 | 2897 | 2847 | 2857 |
7連化~廃車前
特急引退後、3扉となった2800系はしばらく8両編成の急行運用に就いていたが、1982年から1985年にかけて7連化された。2811Fと2815Fは4連化され、それぞれ中間車が抜かれ2811-2861+2801-2851、2815-2865+2805-2855となった。1988年から1995年にかけて全編成が廃車された(一部車両は2300系へ組み込み)。
←梅田 | 河原町→ | ||||||||
Mc | M | Tc | Mc | T | M | Tc | 廃車年 | 備考 | |
2811 | 2831 | 2861 | 2801 | 2891 | 2841 | 2851 | 1995年 | 1992年4連化(嵐山線転属) | |
2812 | 2832 | 2862 | 2802 | 2892 | 2842 | 2852 | 1995年 | ||
2813 | 2833 | 2863 | 2803 | 2893 | 2843 | 2853 | 1994年 | ||
2814 | 2834 | 2864 | 2804 | 2894 | 2844 | 2854 | 1993年 | ||
2815 | 2835 | 2865 | 2805 | 2895 | 2845 | 2855 | 1995年 | 1992年4連化(嵐山線転属) | |
2816 | 2836 | 2866 | 2806 | 2896 | 2846 | 2856 | 1989年 | ||
2817 | 2837 | 2867 | 2807 | 2897 | 2847 | 2857 | 1988年 |
保存車両
引退後は富山地方鉄道へ2扉クロスシート車に復元した上で譲渡する計画が持ち上がっていたが、クロスシートを調達する過程で京阪3000系(初代)のものが見つかり、そのままそちらが車両ごと導入されたため計画は頓挫した。
- 2861 - 2801Fの京都側先頭車(初代)。京都府福知山市の国道176号線沿いに個人が所有・設置している。かつては車両を飲食店として使用されていたが、現在は閉店して民家になっている模様。
- (先頭車 - 車番不明) - 阪急宝塚本線・平井車庫の高架下で1000系(初代)のカットモデルなどと一緒にブルーシートで包まれて保存されている。車庫のイベント等で展示・紹介されることはなく、長らく放置状態となっている。
関連動画
関連商品
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関連コミュニティ
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関連項目
阪急電鉄の電車(2000系列以降) | ||
神宝線 | 3000系・3100系 - 5000系 - 5100系 - 6000系 - 7000系 - 8000系・8200系 - 9000系 - 1000系 | |
京都線 | 3300系 - 5300系 - 6300系 - 7300系 - 8300系 - 9300系 - 1300系 | |
引退車 | 神宝線 | 2000系・2021系・2100系 - 5200系 - 2200系 |
京都線 | 2800系 - 2300系 |
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