阿部隆(あべ たかし)とは、棋界随一のツッコミ役将棋棋士である。棋士番号171。田中魁秀九段門下。大阪府出身。
順位戦A級通算1期、竜王戦1組通算7期。タイトル戦登場1回。棋戦優勝は2回。
概要
母子家庭で育ったという叩き上げの苦労人であるが、17歳でプロ入りを遂げる。それも生活費を養うためにプロ入りしたのではなく、花形棋士だった中原誠や米長邦雄、そして当時大阪で期待の若手だった福崎文吾や、中原誠、谷川浩司らに憧れて棋界を目指したという、ミーハーな理由である。デビュー当時は羽生善治のライバルと目され、将棋雑誌で“天才少年激突三番勝負”という企画が行なわれたくらいである(結果は羽生の2連勝)。
そして、棋界でも色々持ってない人といわれる。2002年の竜王戦では羽生善治竜王に挑み、先に3勝をあげて奪取まであと一歩となりながら敗れただけでなく、順位戦でも色々苦戦を強いられ、C級2組では強敵ばかりと当たり、C級1組昇級まで5年、B級2組昇級に6年、B級1組昇級に4年かかった。苦労して上がったA級もわずか1期で陥落している。
何より、勝率が高く、竜王戦やランキング戦等で好成績を収めているのに巡り合わせや昇段規定に翻弄され、560勝して勝数規定による昇段のみで八段まで這い上がっていることが、彼の運の無さを物語っている。しかも、通算750勝以上しているのに未だに八段のままであったが、2020年7月16日、ついに史上初の、勝数規定のみの昇段による、九段昇段を達成してしまった。
また、加藤一二三が「待った」の反則をしたが対局は続行し、阿部が敗退するという珍しい記録を残したことがある。一方、2016年には秒読みに追われて打った駒を弾き飛ばしてしまい、時間内に盤上に置くことができず、自ら投了したこともある。
棋風はあまり語られることがないが、筋が良いらしく、格調高い手を好む。そんなわけで芹沢博文らを初め、棋士連中にも彼の棋風のファンが多いことで知られる。
人物
持ってない人といわれる部分とともに、喜怒哀楽の激しい人物として知られる。人はそれを「仏の阿部」または「鬼の阿部」と呼び、ジキルとハイドのような人物である。勝負に勝って機嫌がいいときは終始ニコニコで感想戦を遠慮深そうに語るのに対し、負けたときは「こんなんこっちの勝ちや」とひたすら毒を吐いて、あまりに不甲斐ない時は感想戦もボイコットしたりするほど。それでもファンは大切にしており、ファンサービスは旺盛なことでも知られ、関西では根強いファンも多いなど浪花節的な一面も持つ。
そして、関西人ならではの切れ味鋭いツッコミ役として本領を発揮することでも知られる(ボケ役の福崎文吾との相性は抜群で、二人が解説すると完全に漫才になってしまうらしい)。逆に自らボケるのは苦手なようで、例の佐藤紳哉の真似をNHK杯でやって大やけどを負ったことも。
埼玉西武ライオンズファンであり、渡辺美里の大ファンとしても知られる。一方で東北楽天ゴールデンイーグルスのファンでもあるなど、ミーハーな部分は相変わらず。まあ、基本的に野球好きのようで、少年時代から野球少年でもあったことが本人の口から語られている。
関連動画
関連項目
外部リンク
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