陰謀論チャート単語

「悪魔崇拝者が危険な儀式を執り行っている」などという迷信は、何も魔女狩りの時代の専売特許ではない。Qアノンを中心とする陰謀論者の勢力は2020年代になってなお、悪魔崇拝者が子供達を捕らえ、若返り薬の材料にしたり (アドレノクロム) 、性虐待したり (火星児童性奴隷植民地) と非道なことを世界各地の秘密施設で行っているとする。レプティリアンであるとされたり、人肉を食べているとされることも多い (マクドナルドに関する都市伝説も参照のこと) 。

C₉H₉NO₃で表される化合物『アドレノクロム』に関する陰謀論。アドレノクロム自体は止血剤として実在する薬品であるが、陰謀論 (主にQアノン) の支持者の間では『子供を虐待することで脳から分泌される成分を抽出して作られる若返りの薬』とされている (参考)。児童性愛者・悪魔崇拝者のDSによって世界中に秘密施設が作られ、子供達が虐待されており、トランプ大統領が世界中で子供達を救出すべく逮捕作戦を実施しているとされている (日本では東京ディズニーランドや自衛隊の北富士演習場地下から子供達が救出されたのだとか) 。

2003年を境にアヴリル・ラヴィーンの容姿や筆跡が異なることから、2003年にラヴィーンが死亡し、現在のラヴィーンは影武者であるという主張がなされるようになった (参考2) 。発端となったのはブラジルのブログ記事『AVRIL ESTÁ MORTA』。名声のプレッシャーと祖父の死で深い鬱に陥った彼女は自殺し、レコード会社がそっくりさんに歌のレッスンを仕込んで替え玉にしているというのである。当のラヴィーンは「私は死んでいません」と主張している。

アブダクションとは『拉致』『誘拐』を指すが、ここでのアブダクションとは「宇宙人に拉致され、人体実験をされたり、謎の物体を埋め込まれたりする」という古典的な主張を指す (一例)。虚言である場合もあるが、自分が本当にアブダクション体験をしたと考える人も多く、心理学研究者によって研究もされている (参考) 。

イベルメクチンは疥癬の内服薬として使用されている薬品である。この用途では効果も実証されているのだが、後に2020年、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) が流行すると、試験管レベルの研究で新型コロナウイルス (SARS-CoV-2) の増殖が抑制できると報告されたことで、イベルメクチンを処方箋なしに入手しようと個人輸入したり、家畜用のイベルメクチンを服用したりする者が現れるようになった。有効性を示した研究の多くに不正や欠陥が見られるため主要保健機関はイベルメクチンをCOVID-19の予防・治療に使用しないよう勧告しているが、陰謀論者や反ワクチン派からは「安価なイベルメクチンの服用を勧めないのは製薬会社による陰謀である」などとして依然支持され続けている (参考)。

2000年代前半から度々話題になる詐欺で、「今イラクの通貨ディナールを購入しておけば、後々米軍撤退や油田発掘により数千倍に価値が上がる」との触れ込みで本来低相場のディナールを法外な値段で買わされるもの (参考) 。詐欺師たちは湾岸戦争前のディナールの価値が高かったことを理由に購入を持ちかけてくるのだが、実際のところ購入段階でそもそも代行業者に暴利を貪られる上に売る場所も少なく、またディナール自体も高騰はおろか下落の一途であるなど投資としてはかなりの欠陥を抱えている (参考) 。

イエズス会士アダム・ヴァイスハウプトによって設立された秘密結社で、もはや陰謀論といえばフリーメーソンや三百人委員会などと並びおなじみであろう。そろってシェアード・ワールド『SCP Foundation』の登場組織・世界オカルト連合の元ネタにもなっている。イルミナティ自体は1785年に既に解散しているのだが、フランス革命の首謀者とされたり、破壊活動・涜神・乱交・カニバリズム等をしているとされたり、と悪いことはなんでもイルミナティの仕業とされ陰謀論者によって絶えず警告・糾弾され続けている。2020年代でさえもロシアのウクライナ侵攻も陰謀論者の間では『プーチンがイルミナティの煽動する第三次世界大戦を未然に防ぐために果敢に立ち向かった』等と解釈されている。

ウェイフェアはアメリカの家具のEC販売を手掛ける通販企業であり、コロナ禍で急速に躍進・成長をとげた。そのウェイフェアで販売されていたキャビネットに女性の名前がつけられていたのだが、たまたまそのうちの一つが行方不明児童の名前と同じだったことをきっかけに、キャビネットに行方不明児童を隠して人身売買をしているのではないかと騒ぎになった (参考1 / 2 / 3) 。ウェイフェアは当然事実無根であるとし「当社はアルゴリズムで商品名を決めている」と説明している。なお商品名の元ネタとされている子供達は実際には行方不明でないことがSnopesの調査で明らかになっている。そもそも海外では行方不明児童はとても多いので、女性の名前で検索すれば対応する行方不明児童がひとりくらいいても不思議ではないのだが。

1972年に実際に起きた事件で、ニクソン共和党政権が設立した『大統領再選委員会』のメンバーが、野党民主党の本部ウォーターゲート・ビルに盗聴器を仕掛けようとして逮捕されたことから始まる2年2ヶ月の政治スキャンダルとそれに伴う混乱。当初はニクソン政権は関与を否定していた (後に関与を認め、米国史上初『任期中に辞任した』大統領となった) 。まさに「暴かれた陰謀」といえる。この事件の余波からスキャンダルやそれに類するとされた事件には『ゲート (Gate)』という俗称がつけられることが多い (ビリーゲート、チャイナゲート、ロシアゲート、ウェイフェアゲート、ピザゲート、朴槿恵ゲート、ゲーマーゲートなど) 。

エッセンシャルオイルは何にでも効くという、読んで字の如くの主張。それだけならただの疑似医学で済むのだが、COVID-19にも効くという主張がなされた結果、現在では反ワクチン派による政治運動と密接に関わり始めている (参考1 / 2) 。

アメリカで公民権運動を指導したキング牧師をFBIが秘密裏に監視していたという実際の出来事。キング牧師と共産主義者を結びつけようとするなどの分析が残されており、トランプ大統領時代に公開された。当時のFBI長官はコインテルプロで悪名高きエドガー・フーヴァーであり、加えてまったくケネディ大統領の暗殺とキング牧師が関わりを持たないのに、この文章がケネディ大統領の暗殺に関するファイルに秘匿されていたことが問題視されている (参考) 。

FBIが監視していたのはキング牧師だけではない――ジョン・レノンもまたその一人だ (参考1 / 2) 。レノンは平和運動家としても活動していたが、当時そんなレノンが反政府活動をしていないか、パートナーであるオノ・ヨーコとともに監視されていた。このときレノン夫妻に神経をとがらせていたのが、コインテルプロで悪名高きエドガー・フーヴァーと、後にウォーターゲート事件で退陣するニクソンである。これに伴い、オノは「レノンは政府に殺されたのではないか」と主張している (公的には、マーク・チャップマンの単独犯とするのが定説である)。

冷戦時代に実際にあった計画で、マインドコントロールを行い、自白させたり記憶を消去するために様々な薬品や化学物質を被験者に投与し、尋問するという実験群 (参考) 。被験者の募集もしばしば非合法な方法で行われた。その常軌を逸した内容から、裏にはロックフェラーがいる、MKウルトラの成果により国民は洗脳されているといった陰謀論が今でもしばしば囁かれている。なお、カナダでもCIAの支援でMKウルトラ計画は行われ、当初の目的こそ達成できなかったが、拷問手法として『サイキック・ドライビング^[1]』が有効であるという成果が得られ、イラク戦争時にテロリストを対象に実施されている (参考) 。

エリア51はネバダ砂漠にあるアメリカ空軍の軍事基地。元々はソ連の軍事力に危機感を抱いたアメリカが、高高度偵察機の開発のために砂漠に基地を作った経緯がある。歴史上、ありとあらゆる陰謀論の舞台となってきた。ある者は「エリア51には宇宙人がいる」といった (ロズウェル事件・未確認飛行物体も参照) 。これは先述の高高度偵察機が民間のパイロットには見慣れないため、異質に見えたものと考えられる。そしてアメリカもまた秘密裏の開発計画を説明できなかったために、この陰謀論は拡大してしまった (参照) 。またある者はアポロ11号の月面着陸はここにセットを組んで撮影したと主張してきた (ムーンホークス) 。

1977年にエルヴィス・プレスリーは亡くなった。しかし大スターの早すぎる死は、生存説を喚起するものである (参考1 / 2)。相次ぐ目撃情報に加え、葬儀の棺の重さや墓石のミドルネームの違いから、今なおプレスリーは生きていると主張するのである。

バラク・オバマが本当はハワイではなくケニア生まれであり、故に合衆国憲法の定める大統領たる要件の『出生による合衆国市民』に該当しない、つまり大統領であってはならないという陰謀論 (参考) 。主に共和党支持者や保守層、黒人に反感を抱く人々により支持された。オバマ自身がハワイの公式出生証明書を公開し、ハワイ州保健局が原本に基づいて内容を確認したという声明が発表されてなおこの主張を行うもの (バーサー) はいなくなることはなかった。911陰謀論者のフィリップ・J・バーグ、ラジオホストのマイケル・サヴェジ、ジョージ・ゴードン・リディ、更にはドナルド・トランプまでもがこの国籍陰謀論を主張した。トランプはバーサーたちを味方につけて2016年に民主党から大統領の座を奪ったとも言われている (参考) 。

カイリー・ジェンナーは18歳でコスメブランドを立ち上げて成功し、21歳にして10億ドル以上のビリオネアになりあがった女性の実業家である (異父姉にキム・カーダシアンがいる)。 そんなジェンナーが実は2013年に亡くなっていて、現在はクローンに置き換えられているという説があるのだ (参考) 。発端は2013年を境にジェンナーの見た目が変わったためである。ジェンナーは後に、2013年に整形を行ったことを明かしている。

読んで字のごとく、「火星に誘拐された児童が20年掛けて送られ、性奴隷にされてしまう」という陰謀論 (参考1 / 2) 。性奉仕のほか、血液や骨髄を抜かれる者もいるという。全米で118のAM/FM局で放送される人気番組『The Alex Jones Show』で、ゲストのロバート・D・スティールが発言した。NASAの火星探索チーム担当官ガイ・ウェブスターが直々に否定の声明を発表する事態になった。そもそも2023年現在火星はテラフォーミングをどうするかで多くの研究者の頭を悩ませているというのに、そんなところに性奴隷を20年掛けて送ったところで顧客がいないと思われるのだが……。

合衆国議会議事堂襲撃事件は2021年1月6日に起きた、ドナルド・トランプの支持者が起こした暴動である。参加者は2020年の選挙に不正があったとして、バイデンの次期大統領就任の投票結認定の妨害を図ったのである。議会機能が数時間喪失、1069人が訴追された (参考) 。しかしこの事件が、実は極左集団アンティファ (ANTIFA) の仕業とする陰謀論が直後にトランプ支持者層から出たのである。他ならぬドナルド・トランプも「アンティファの仕業だ」と主張した (参考1 / 2) 。しかし共和党の下院院内総務ケビン・マッカーシーはトランプに直接「あれはアンティファではなく、あなたの支持者だ」と反駁。トランプやその支持者からしても都合が悪かったことが伺える。実際本件の事態早期収拾のために選挙不正を訴えていたトランプもバイデンが大統領に選ばれたという結果を認めざるを得なくなっている。

2017年ごろから4chanで活動し始めた「Q Clearance Patriot」というハンドルネームのユーザーと、その書き込み内容 (breadcrumbs、パンくず) をこうである、いやこうに違いないと「解読」する「ベイカー (パン屋)」、そしてそれを信じる支持者層の集団。世界規模の児童売春組織を運営している悪魔崇拝者、小児性愛者、カニバリストによる秘密結社が世界を裏で支配しており、ドナルド・トランプは彼らに立ち向かうヒーローなのだと彼らは固く信じている。本記事における陰謀論のラインナップにもQアノン由来のものが数多く存在している。

元のチャートでは「ワールド・トレード・センターの鉄骨はジェット燃料では融けない」である。ワールド・トレード・センターといえば航空機同時多発テロ事件の舞台となったビルであり、航空機がビルに突っ込んだことによって崩壊した。しかし、「鉄の融点は高い上に、外側は鋼鉄が網の目のようになっていて、複数の航空機が突入しても耐えられるように設計されていたうえ、ジェット燃料では鋼鉄を融かす温度まで上昇しない」として、「実はビルに爆弾が仕掛けられていて、衝突と同時に爆弾を起動し爆破解体したのだ」という自作自演説が持ち上がったのだ (映画『ルース・チェンジ』でも主張されている) 。ただしその後の検証により、多くの研究者は「衝突による衝撃で頼みの綱の外壁は吹き飛び、融点に達せずとも高熱で脆くなった」ために倒壊したと結論づけている (一例) 。

恐竜は2億年以上前に地球を闊歩していたが、この恐竜の存在はキリスト教の聖書の記述と齟齬をきたすことが知られている。このことから、「Christians Against Dinosaurs (CAD)」のメンバーが中心となり、恐竜は存在しなかったと主張している。実際に聖書に恐竜が登場しない問題はキリスト教の中でも議論が絶えず投げかけられているという。

環境活動家のグレタ・トゥーンベリとそっくりな少女が120年前の写真にも写っていたことから「トゥーンベリはタイムトラベラーなのではないか」と話題になる (参考1 / 2) 。それだけならお笑いで済むのだが、次第に「トゥーンベリは未来から過去を変えに来たのだ」として彼女を支持しようという動きが盛り上がった。タイム・パトロール激怒不可避 なお、タイムスリップをした可能性はあるかもしれないが、予言を外しているので未来人ではないと思われる。

1963年11月22日、ダラスにてケネディ大統領は凶弾に貫かれ亡くなった。この犯人とされているリー・ハーヴェイ・オズワルドだが、事件からわずか2日後に警察本部の地下通路でジャック・ルビーに殺害されてしまう。また、本件における政府の内部文書は現在まで公開されておらず、ルビーがマフィアと関係があったこと、ケネディの政治における決定で亡命キューバ人や軍産複合体の怒りや不安を買っていると考えられていたこと、当時のFBI長官がコインテルプロなどで悪名高きエドガー・フーヴァーであったことなどから様々な陰謀論が持ちあがった。ケネディの遺族でさえオズワルドの単独犯を疑い、バイデンに情報公開を強く求めている (参考) 。

長期にわたり残留している飛行機雲は、高高度を飛行する飛行機から空中に散布された有害な化学物質や生物兵器であるとする陰謀論 (参考1 / 2) 。大概、政府や闇の勢力による人口削減計画の一環とされる。このアイディアは1990年代に拡散され、幾度も科学的に否定されてきた。直近では、COVID-19もケムトレイルによるものという陰謀論がある (一例) 。ケムトレイルを信じる人の多くが、飛行機雲は必ずすぐに消えるはずだ (＝すぐに消えないのは何かを撒いたからだ) と考えるが、気象条件で長く残ることはザラにある。

Counter Intelligence Programの略で、初代FBI長官エドガー・フーヴァーが国内の抗議者や反体制組織を混乱させるために行った、潜入・盗難・盗聴・家宅侵入・暴力・殺人その他あらゆる非合法な手法による極秘プログラム。ベトナム戦争に対する抗議活動への潜入やキング牧師、ジョン・レノンなどの監視など様々なものが関わってくるため、後の陰謀論に多大な影響を及ぼした。なお今でも統合失調症患者を中心にコインテルプロと類似した手法は現在でも行われていると主張されている (参考) 。

アメリカの国立公園には野生の人間がいて、訪問者や旅行者をさらっているという都市伝説。TikTokとRedditを中心に拡散した (参考) 。国立公園はいずれも広く景勝地であると同時に、事故も起きるために行方不明になりやすい場所である。しかしその多くが天候や野生動物のせいであるとみられている。

ワイオミング州北東部に存在する巨大な岩山・デビルズタワーをはじめとする台形状の岩山が、実は世界樹の切り株であったとする陰謀論 (参考1 / 2 / 3) 。確かにこうした岩山の構造はどれもハニカム構造になっており、溶岩が規則正しく固まったというのは直感的ではないかもしれない。また、上から見ると年輪に確かに見えなくはない。ここから類推して、過去には巨人がいたとか、グランドキャニオンも巨大な機械による掘削のあとにすぎないといった内容の都市伝説に通じ、実際に伐採したのは異星人アヌンナキであるといった説もある。これ自体はおもしろファンタジーとして消化しておけばいいだろうが、問題はこの都市伝説は現代科学を否定する態度を強く求めてくるところである。

子供向けの番組に性的なサブリミナルメッセージや男根のメタファーが隠されているとする陰謀論 (参考) 。サブリミナルメッセージ自体の有効性がそもそも現代では否定されており、正直性的なメッセージが隠れていたとしても気付かなければ意味がない。子供を早熟にしたいなら、『ToLOVEる』か『ぷにるはかわいいスライム』を読ませたほうが手っ取り早いと思われるのだが……。

2012年に起きたサンディフック小学校銃乱射事件はオバマ大統領 (当時) や銃規制賛成派によるでっちあげであるとし、子供達は芝居をしただけだとする陰謀論。極右陰謀論者のアレックス・ジョーンズがInfowarsなどを中心に数年にわたり主張し、同じ極右層の支持を集めてきた (参考1 / 2) 。裁判でジョーンズは遺族への賠償を命じられ、判決は偽情報を発信する者へのある種のメッセージとなったが、陰謀論者のジャック・ポソビエックは「ワクチンが有効であると主張する者を訴えたらいくらもらえるだろうか？」と発言している (参考) 。

ジェフリー・エプスタインはアメリカの実業家で、若くして富豪になったが、児童への性的暴行の容疑で逮捕され失脚した。有罪判決後、矯正施設内で死亡し、当局は自殺と報道した。しかし、

• エプスタインは多くの著名人と交友関係を持っていた。中にはビル・クリントンやビル・ゲイツ、マイケル・ジャクソン、ケネディ家、ロックフェラー家、ロスチャイルド家、英王室アンドリュー王子も含まれる
• 多くの企業・研究機関にも寄付という形で繋がりを有していた
• にもかかわらずエプスタインがどうやってその富を築いたかについては不明な点が多い (一説には、スキャンダルの口止め料として金品を差し出すよう恐喝していたとも)
• 矯正施設内で自殺警戒監視下に置かれていたため、実行は困難……のはずがなぜかいるはずだった同房者がおらず、看守の規程に基づいた30分ごとの見回りも実施されておらず、監視カメラは故障しているか使用できない状態だった

という陰謀を疑うにはあまりにお誂え向きの状況が揃っていたため、「エプスタインとの関係が露見するとまずい何者かが暗殺したのではないか」と主張されるようになった。クリントン夫妻が陰謀論者のなかでは児童売買を行う秘密組織との繋がりを疑われており、エプスタインの罪状も児童への性的暴行であるために、陰謀論者のなかではいまでも他殺説が主流である他、陰謀論者以外でもエプスタインの遺族やドナルド・トランプ、第109代ニューヨーク市長ビル・デブラシオ、女優ジーナ・カラーノもエプスタインの自殺に疑念を表明している。アメリカ人の4割もエプスタインは暗殺されたと考えている (参考) 。

1897年にシオニスト会議で発表されたシオン長老たちの決議文――という体で出版された偽書。内容はユダヤ人が世界を支配するというものであり、そのためにフランス革命を起こしたなどと言った内容が記載されている。世界中の反ユダヤ主義者に影響を与えており、そのひとりアドルフ・ヒトラーが率いたナチス政権下のドイツでホロコーストが起きたことから、史上最低の偽造文書とも呼ばれる。しかしこれが5であるのはネオナチやイスラム圏諸国、Qアノンを中心にこの本が真実であると思っている者が後をたたないからである。

ジミー・ホッファは米国最大の労働組合の指導者を務めた人物であり、影響力は米国政府やマフィアからも注目されていた。彼は1975年に突如失踪し、今でも行方不明となっている。ホッファは米国経済に大きく影響するトラック運転手の労働組合を指揮しており、失踪直前にはマフィアとの関係が理由で収監されるも組合活動に関わらない条件で特赦を受けていた。しかしそれを憲法違反で裁判で争う構えを見せていたことから、組合活動にブレーキを掛けたい米国政府と、ホッファより使い勝手のいい組合指導者にすげかえようとしたマフィアが利害が一致して殺害されたのではないかという都市伝説が主張されるようになった (参考) 。

人類が生きているこの世界は、すべてシミュレーテッドリアリティである――という仮説 (参考) 。『水槽の脳』で示される哲学実験、あるいは映画マトリックス、胡蝶の夢、邯鄲の枕と近い。

ジョージ・ソロスはユダヤ系の投資家であり、慈善家としても知られている。このため多くの寄付を行っているが、このことから極右には格好の陰謀論のターゲットにされてしまっている。一例に、『COVID-19を広めたのはソロスだ』(参考) というものがある。芥川賞作家の笙野頼子もLGBT法案反対の理由に「ジョージ・ソロスの支援があったため」としていたりする (参考) 。

クライシス・アクターというのは救急隊員や警察の訓練のために災害・事件の被災者・被害者役を演じる俳優やボランティアの人間である。負傷を化粧品や特殊メイクで施すなどして訓練に現実味を加えることも。

アメリカで2020年5月25日に黒人男性ジョージ・フロイドが、白人警官デレク・ショービンの過剰な拘束によって命を落とした事件は、その後のBLM運動に影響を与え、全米で暴動を起こした。しかしそんなフロイドやショービンは実際はクライシス・アクターで、この事件自体が世界各国のインテリジェンスに対するメッセージなのだとする陰謀論が唱えられている (参考1 / 2) 。

『白兎を追え (Follow the white rabbit)』とは、2つの意味が存在する。

1. 真実を追いかけていけば、やがて陰謀渦巻く世界にたどり着く。
2. (アドレノクロムの構造式がウサギに似ていることから) アドレノクロムについて調べよ (参考)。

COVID-19が生物兵器だという説は陰謀論者の間では根強い人気を誇る。ケムトレイルと結びつけてみたり、ビル・ゲイツがマイクロチップを入れたワクチンを打たせようとしていると言ってみたり、人口削減計画がどうとか、挙句の果てにディープステートがCOVID-19で民衆を騙せなくなったからロシアのウクライナ侵攻を促しただの、陰謀論のスマブラみたいな様相である (政府が病気を作っているも参照) 。

なおCOVID-19の起源は未だに解明されていないのは事実である (参考1 / 2) 。

一般に『新世界秩序』とは、冷戦後の国際秩序のことを指す。しかしこの語はしばしばアングロサクソンの政治家や財界人によってしばしば言及されてきた――チャーチル、大ブッシュ、ビル・クリントン、ブレア、ジョージ・ソロス、デイビッド・ロックフェラー、そしてジョー・バイデン。

そのため陰謀論者の間では『アングロサクソンによる帝国主義国家』こそが『新世界秩序』であり、国際通貨基金や世界銀行による金融支配、EU等による段階的な国家主権の廃止、TPP・NAFTAなどの自由貿易体制、地球温暖化などの地球規模の問題の喧伝を通じて国家廃絶の世論形成を狙っているとされる。

スティーヴィー・ワンダーは盲目の歌手であり、多くの名曲を歌い続けてきた。

そんなスティーヴィーが実は盲目ではないのではないかとする都市伝説が唱えられている (参考) 。もっとも、日本で似たようなケースの佐村河内守と異なり、スティーヴィーのケースは盲目であることはスティーヴィーの音楽には関係がない^[2]。また、実際全盲ではないことは公表されている。

ストーンヘンジはイギリスのソールズベリーより北西に位置する環状列石。このストーンヘンジの起源や目的についてはいまだに解明されていないことが多い。このため、しばしば宇宙人が建てたのではないかとされることが多い (参考1 / 2) 。

COVID-19は人為的に作られたウイルスだというのは陰謀論としてはかなり定番であるようだ (参考) 。COVID-19の流行はグローバルエリートによって計画されているという話は共和党支持者を中心に真実であると考えられている。

石油大手は気候変動に関して、会社専属研究員によって誤情報を流布したり、そうした誤情報を発信する団体に献金をしていることが明らかになっている (参考1 / 2) 。

大豆に含まれるイソフラボンは女性ホルモンとにた動きをするとされていることから、タンパク質を大豆で補っているために男が女々しくなっている――という話。陽キャの集まりであるTikTokは嫌いで、Nintendo Switchを好み、ゲームやアニメに夢中でリベラル寄り、BLM活動やLGBT運動、ANTIFAとの親和性が高く、メガネ、肥満、童顔であるとされる (参考1 / 2 / 3) 。

日本で言う『三色チーズ牛丼顔 (チー牛)』みたいな意味合いのスラングなのだが、チー牛が単に蔑称として使われるのとは対照的に、アメリカ政府によって大豆食を勧奨しているために女々しい男が増えているのだ、という陰謀論がサンディフックでっちあげ説の際も出てきたかのアレックス・ジョーンズによって唱えられている (参考) 。ジョーンズの言が正しいなら、我々日本人が食べていた三色チーズ牛丼は正しくは三色豆乳チーズソイミート丼だったのだろう。というより、醤油・味噌・豆腐・ずんだもちと大豆や枝豆ばっかり食べている日本人に普通に保守層やマッチョ男性がいることをどう説明するのだろうか……。

チャールズ王太子 (当時) の初妻であるダイアナ妃の死亡事故は、パパラッチのせいでも、運転手の飲酒運転でもなく、英王室が仕組んだものという説。ダイアナ妃の離婚後のパートナーであるドディ・アルファイドがエジプトの億万長者モハメド・アルファイドの息子であり、アルファイドと結婚した場合、ウィリアム王子・ヘンリー王子の母であるダイアナ妃がイスラームに改宗することを恐れた英王室によって殺された、というわけである。

ダイアナ妃の死に関しては、チャーミングであるために国民の支持も高かったダイアナ妃と、その死にあたり英王室が数日無視したことから英国民の批難を招いている (英王室としてはダイアナ妃は既に王室を離れているため、関係を持たないとして取り合う予定がなかった) 。

映画にもなった豪華客船タイタニック号は実は沈んでいないとする説 (参考1 / 2 / 3) 。実際に沈んだのは同型のオリンピック号で、それをタイタニック号とすりかえ事故で沈めることで所有していたホワイト・スター・ライン社は保険金で経営危機を回避しようとした、というもの。タイタニック号とオリンピック号の窓の数、構造の違いから、海中に沈むタイタニック号が実際にはオリンピック号なのではないかと考えられるというものである (オリンピック号はタイタニック号沈没の前年に英海軍の巡洋艦と接触事故を起こし、このとき海難保険は降りなかった)。

ただし、もともとタイタニック号の写真としてオリンピック号の画像が使われることもよくあったといい、オリンピック号自体はタイタニック号と異なり長く就航しているため造船所の工員にも露見してしまうためにすりかえは難しい。オリンピック号は2月24日に座礁しており、そこからタイタニック号の4月10日の処女航海までにこのすりかえ工事が終わるのかという現実論もある。

白人至上主義観点から語られている、エリートたちによって白人系の出生率が減少し、非白人 (イスラームや黒人、ヒスパニックなど) に置換されるという陰謀論。これを恐れる者による銃乱射事件も起きている (参考) 。かつては反ユダヤ的側面を有していたが、2020年代では反イスラーム的側面が強い。白人大虐殺も参照。

1932年から約40年に渡り、アラバマ州タスキギーで600人の黒人を対象に、梅毒を治療せず放置したらどうなるかを調査するために行われた実験 (参考) 。この間にペニシリンが梅毒に有効であると判明した後も治療が行われなかったことが問題視されている。

たばこ産業は常々、たばこが健康に及ぼす影響を軽く見積もらせるために不備のある研究データを提供するという指摘がなされている (参考1 / 2) 。JTも「喫煙率が下がっているのに肺がんが減っていないから、肺がんとたばこは無関係だ」と主張したことがある。そりゃたばこ喫んだって即肺がんになるわけないでしょと日本禁煙学会からはツッコミを受けているが…… (参考) 。

13-19世紀に存在したとされるタルタリア帝国と、それを滅ぼしたマッドフラッド( 泥の洪水 ) についての陰謀論 (参考) 。現代より遥かに優れた科学力を有しており、巨人とも共存していたという。しかし、ディープステートとの戦争で核爆弾を大量に打ち込まれる。その後マッドフラッドが発生したが頑丈なタルタリアの建物は埋まるだけですみ、それをディープステートは掘り起こしてそのまま移住し、歴史を改竄したという。

地球温暖化は起きていない、あるいは気候変動は人為的なものではないという論 (参考)。かつては日本ではそれなりに広まっていたが、欧米諸国ではほとんど問題になっていなかった (参考)。しかしドナルド・トランプが地球温暖化は中国による米国産業弱体化のための嘘だと主張するなど、むしろ今やアメリカこそが地球温暖化の懐疑論の中心のようだ。

地球は実は中が空洞であるとする説。エドモンド・ハレーが北極と北磁極がなぜずれるのかということのアイデアとして考案した (参考) 。なかで磁極が動いていれば北極と北磁極がずれるのは説明できるからである。現代の我々はこれを間違いであると知っているが、内核・外核が存在し、このうち液状の外核に含まれるニッケルと鉄の動きが磁場に影響を引き起こしているということがわかっており、当時としてはハレーはいい線を行っていた。

また、ナチスドイツは逆に、「我々の生きているこの大地こそ内側で、天文学者はすべてを裏返しに取っている」とする説を採用していた (参考) 。

いずれにしても現代では地底に空洞があれば重力で潰れてしまうとして否定されているのだが、その後も地底人がいるとか宇宙人が住み着いているとか巨人がいるとかシャンバラやアガルタという地底世界があるとか、その手の陰謀論には事欠かない (参考1 / 2) 。

地球は丸くて太陽のまわりをまわってるってこと。これはいまではだれでも知ってることだよね。のび太でさえ。

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藤子・F・不二雄『ドラえもん』23巻『異説クラブメンバーズバッジ』

仮にも親友になんてこと言うんだこのポンコツ青狸という気持ちがわくが、恐ろしいことに21世紀でもなお地球は平面であり、宇宙の存在は嘘であると主張する者たち『フラットアーサー』と呼ばれるものがいる。

詳細はこちらを参照のこと。

読んで字のごとく、英国王チャールズ3世が実は吸血鬼であるとする説 (参考) 。一応、チャールズ3世は家系図をたどるとワラキア公国ヴラド公と血の繋がりはある。だがヴラド公が吸血鬼とされたのは後世の創作が起源であり、チャールズ3世が吸血鬼である根拠はない。

とはいえ意外と本人もノリノリで王太子時代に「私はドラキュラの子孫です」と自己紹介して英国からルーマニアへの観光客を呼び込むキャンペーンを2012年に行っていたりする。

チャールズ・マンソンはヒッピームーブメントの中で『マンソン・ファミリー』というコミューンを率いたカルトリーダーである。女優シャロン・テートの殺害により死刑 (後に終身刑に減刑) となる。

そんなチャールズ・マンソンが実はMKウルトラ計画の実験体だったという都市伝説がある (参考)。自分で手を汚さず、殺し屋でもなく、全く無関係の人間に殺しをさせるように洗脳する実験だったというわけである。実際チャールズ・マンソンも後にカルトを率いたことから、洗脳の連鎖を疑うものがいてもおかしくはないのだろう。

日本語でいうと『闇の政府』。米国政府、財界の有力者たちが秘密のネットワークを組織し、選挙で選ばれていないにも関わらず権力を行使しているという陰謀論である (参考1 / 2) 。度々陰謀論者の間ではこの手の陰謀論は人気を博してきたが、ドナルド・トランプの大統領在任中に彼や政府高官が頻繁に言及したことでQアノンを中心に広まった。民主党にさえディープステートの存在を支持するものがいる (参考) 。とにかく陰謀論者が何かを語るとき、恐ろしいことの背後にはゴルゴムの如く登場する。COVID-19もロシアのウクライナ侵攻もディープステートの仕業なのだとか (参考) 。

テッド・クルーズは米国共和党の上院議員であり、反トランプ票を集めて当選しながらその後トランプ派に鞍替えしたという人物である。彼が連続殺人・ゾディアック事件の犯人の肖像のスケッチとそっくりだったことから、テッド・クルーズこそがゾディアックなのではないかと疑われた (参考) 。なおゾディアックが活動した頃、クルーズはそもそも産まれていないため、クルーズがゾディアックであることはありえないのだが、フロリダの有権者は実に38%がテッド・クルーズはゾディアックだ、あるいはゾディアックかもしれないと回答している。

デンバー国際空港はアメリカはおろか世界でも有数の大空港で、制限区画や地下トンネル、数多くのアート作品の存在からフリーメイソンやイルミナティの会議場という説、あるいはレプティリアンのコロニー説など多種多様な陰謀論の舞台となってきた (参考1 / 2) 。デンバー国際空港サイドも陰謀論の舞台になっていることを楽しんでいるという。なかでも大きな謎とされるのが以下に挙げるものである (参考) 。

1. 建設費の大幅な増大と迷宮じみた地下トンネル
   北アメリカ航空宇宙防衛司令部につながる地下シェルターではないかと疑われている。
2. 目から赤いレーザーを放つ青白い馬の像
   制作者が建設中に像の下敷きになり亡くなったとも言われている。
3. 不気味な壁画
   世界の終末を表現したような壁画が多く、新世界秩序を示していると疑われている。これがイルミナティとの繋がりを疑われる理由でもある。
4. 上空から見た形がハーケンクロイツ
   ナチスが建造に関わったのではないかと噂されている。
5. フリーメイソンの石板
   イルミナティ、ナチスときて三大陰謀論フリー素材といえばフリーメイソンだが、壁画や形状と異なりフリーメイソンのマークが描かれた石板は実際に存在するため、フリーメイソンの集会所になっているのではないかと噂されている。

2パックは1996年に銃撃され25歳という若さでこの世を去った伝説のラッパー。しかしその若さゆえに幾度となく生存説が持ち上がる (参考1 / 2 / 3) 。

イラクによるクウェート侵攻の際に、ナイラを名乗る少女が『イラク軍兵士がクウェートで新生児を殺している』と涙ながらに訴え、後の湾岸戦争の引き金になった嘘の証言。

実際には『ナイラ』はクウェート駐米大使 (当時) サウード・アン＝ナーセル・アッ＝サバーハの娘であり、イラク軍による新生児殺害はなかったことが判明している。「女性や子供による涙ながらの訴え」、そして「現地の被害者」による証言は疑う余地がないという思い込みを利用したプロパガンダであったわけである (参考) 。似た事例に『石油まみれの鳥』がある。

この『ナイラ証言』が理由で、その後のマララ・ユスフザイやウクライナの人々の訴えが情報戦のための偽情報でないかと主張する者もいる (参考1 / 2) 。もっとも、戦争においては情報もまた武器であり、優勢・劣勢問わずキャンペーンを行うことはおかしい話ではない (実際、タリバンやロシアも偽情報を流していたりする) 。

ナチスは地底基地を作ったり月面基地を作ったり、陰謀論者の頭の中では忙しいことになっている (参考) 。そんなことできるなら連合国に負けてないだろ 日本でも有名で、漫画『ムダヅモ無き改革』では小泉ジュンイチローが月面のヒトラーと麻雀で勝負するシーンも (参考) 。

アメリカの在野コンサルタントが提唱した経済改革案。所得税廃止とローンの複利廃止、金本位制に基づく新通貨制度の導入を提案している。

しかし提唱者とは別の人間が「このNESARAは上院・下院を通過しビル・クリントンの署名もされたが箝口令が敷かれており、続くジョージ・ブッシュも同時多発テロとイラク戦争を演出して誤魔化している」と主張。やがて「世界緊急放送とともに金本位制デジタル通貨に切り替わり、それまでの借金はチャラになる」という陰謀論に発展する (参考) 。

千年の間　何も変われずに
時だけがすぎて　この場所に独り
他の恐竜は　翼を持ったのに

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槇タケポン＠デＰ『多分、ネッシー』

ネス湖にいるとされる未確認動物。プレシオサウルスや竜脚類の生き残りであるなどと噂され、ロマンを掻き立ててきた。一方で自然現象や既知動物の見間違いではないかとも言われている (参考) 。

2020年の大統領選挙でトランプとバイデンの戦いは、バイデンが勝利して終了した。しかし敗北したトランプをはじめ、支持者の多くはバイデン陣営が選挙不正をしたとしてバイデンを糾弾する (参考1 / 2) 。

そんな不正選挙を疑われ、Qアノンからディープステートの手先とみなされているバイデンだが、なんと実はロボットやクローン、という陰謀論がある (参考) 。他にもアドレノクロムで若返っている悪魔崇拝者の小児性愛者である (参考) とか、レプティリアンだ (参考1 / 2) とか、そのへんにあった陰謀論片っ端から投げつけているとしか思えない珍説が繰り出されている。

ホワイトジェノサイド陰謀論は白人至上主義の間でよく語られる陰謀論 (参考1 / 2) 。虐げられる白人の被害は無視され、有色人種ばかりが悲劇の主人公になることへの恐怖と怨嗟からくる陰謀論である。大置換理論やジョージ・フロイドクライシス・アクター説と根底は同じである。

ハリウッドは同性愛を促進するために作品設定中にゲイを取り入れているとする主張 (参考1 / 2) 。サブリミナルメッセージ説の亜種。

ここでいう反ジェンダーとは、「『ジェンダー』という概念自体に反対する」運動である。欧州諸国で右派やキリスト教原理主義者、トランス排除的ラディカルフェミニストといった勢力が、ロシアやアメリカの活動家から資金提供を受けてトランスジェンダーやその権利の拡張に反対している (参考1 / 2) 。

彼らはジェンダーという考え方 (しばしば『ジェンダー・イデオロギー』と表現される) が既存の秩序を壊し、家庭や子供、あるいはシス女性を危険に晒すと信じている。日本でもトランスジェンダーとフェミニストの対立はしばしば見かけられる (一例) 。

ここでいう反ワクチンは『ワクチンの安全性は担保されていない』のような穏やかで理性的なタイプのものではなく、『ワクチンを打つと5Gに接続されて身体が磁力を帯びてスプーンがくっつくんだ』とか、『ビル・ゲイツによってマイクロチップを入れたワクチンの接種勧奨がなされている』とか『ワクチンによる人口削減計画に引っかかるな』みたいな安全性うんぬん以前のタイプの方である。COVID-19を壮大なヤラセであると主張してみたり、COVID-19をあるとしていても「イベルメクチンをこそ勧奨しろ」と主張してみたりする。注射針で入れられるマイクロチップなど2023年現在でさえ作ることはできないし、ワクチンが人をただ殺すだけなら先進国でもワクチン接種率の高い日本でばたばた人死が出ていないとおかしいはずであるが……。

ビートルズは実は役者による演技である、あるいはクローンや替え玉だ、諜報機関が企図したスパイだ、社会的騒乱を起こすために仕組まれたものだなどという説。本当に存在しないというよりは、「ロックバンド『ビートルズ』はやらせである」という感じの説である (参考1 / 2) 。

どれもこれも荒唐無稽であるが、様々な陰謀論が巻き起こる事自体がビートルズが世界の文化に与えた影響が大きいことの証左であるとも言える。

アメリカ・ワシントンのピザ店『コメット・ピンポン』の地下は有力な政治家や財界人の集う小児性愛グループの拠点であるとする説。 (参考1 / 2) 。子供を救おうといきり立った陰謀論者が銃撃事件を起こすなど大きな騒ぎにまで発展した。

別名サスカッチ。ロッキー山脈を中心に米加両国で目撃されている未確認生物であり、ギガントピテクスや猿人の生き残り、灰色熊の見間違いなどの説がある。「パターソン・ギムリン・フィルム」などでも有名であろう。

ジョージ・ソロスと並び陰謀論では引っ張りだこのビル・ゲイツ (参考1 / 2) 。ゲイツが登場する陰謀論はだいたいその後人口削減計画に通じる。反ワクチン派と5G有害論者からはCOVID-19のワクチンを広めた黒幕のひとりにされることも。

第5世代通信システム (5G) で使われるミリ波が人体に悪影響を与えるのではないかという懸念から発生した有害論。ただし研究では「ミリ波が人体に有害な影響を与えることを示す明確な証拠はない」ということが判明している (参考) 。

――この程度ならまだ陰謀論というには程遠いが、ここから派生して、「ワクチンで体内にマイクロチップを入れられ、5Gで操作される (参考) 」とか、「5Gの電波がCOVID-19を拡散させている (参考) 」といった陰謀論が巻き起こるようになっていたりする。後者のケースでは電波塔への放火が相次ぐほど。

独小説家ヘリベルト・イリグによる「神聖ローマ皇帝オットー3世、ローマ教皇シルウェステル2世、東ローマ皇帝コンスタンティヌス7世が共謀して年代記述を偽造し、自分たちが西暦1000年という特別な年に君臨したということで権力の正当化を図った」という陰謀論。これによりカロリング朝はまるまる偽史となり、西暦614年から911年は『ファントムタイム』となる (参考) 。

このヘリベルト・イリグの陰謀の最大の問題点は「『ファントムタイム』である期間のアジアの記録はどう説明をつけるのか」である。他の点でも計算間違いだったりといくつか問題が指摘されている。

フィンランドは日露両国がでっちあげたものであり、「国土」とされている場所は実際には海で、「フィンランド人」はそう思い込まされているだけでその「隣国」に住んでいるのだという陰謀論。

発端となった者は信じてさえおらず、ジョークとして広まったのだが、いつの間にか真実であると思うものが現れるようになってしまった。提示された証拠を「これは改竄されたものだ」と主張する傾向があるためか、チャートにおける危険度も高く見積もられている。

詳細はこちらを参照のこと。

ヴィクトリアズ・シークレットのブラジャーのタグに追跡装置 (トラッキング)がはいって購入者が監視されているという陰謀論。よりによって女性用下着であるブラジャーのタグという位置にチップが入っていたということでTikTokを中心に騒ぎになる (参考) 。

結論を言えばこれは小売店で購入済み製品かをチェックするRFIDタグ。トラッキングなんて当然していない。ユニクロなんかでも使われている (と同時に、これによって素早いセルフレジ会計が可能となっている) 。

COVID-19は仕組まれたものだ (Planned) という前提で、「存在しないパンデミック」であるとする陰謀論。FacebookやYouTubeで『Plandemic』という26分の動画が公開され、この陰謀論が拡散した (参考1 / 2 / 3) 。

FacebookやYouTubeはこれらの動画を削除したが、陰謀論者たちは検閲だと訴えている。支持者たちは総じて反ワクチン派で、ワクチンがビル・ゲイツによる人口削減計画の一環だったり、COVID-19初期の患者には死刑執行薬ミダゾラムが処方されたり、人工呼吸器が肺を潰して患者を殺していると信じている。

アメリカ国家安全保障局 (NSA) が運営している極秘の監視プログラムである。So.cl・Google・Yahoo!・Facebook・Apple・AOL・Skype・YouTube・Paltalkが監視されており、後にはDropboxも監視対象に追加しようとしていた (参考) 。また、日本やドイツなどの35人の首相が電話盗聴の対象になっていたとも報じられている (参考) 。

NSAに勤務していたエドワード・スノーデンによって暴露され、ブラジルのルセフ大統領 (当時) は不快感を示している (ルセフも電子メールの監視対象) 。オバマ大統領 (当時) は合衆国国民を標的にしたわけではないと説明している。

精神が不安定になったとしてメンタルケア施設に入所していたブリトニー・スピアーズだが、実は入所は本人の意志ではないのではとして、彼女を解放せよと訴えたファンたちの行動 (参考1 / 2) 。

スピアーズが精神に異常をきたしたとして、その成年後見人になったのが彼女の父だが、当の本人は娘の浪費を心配する素振りを見せつつ、過去に破産経験を持ち、アルコール依存症で入院したいわくつきの人物である。12年間も成年後見人となった父に、毎週1億円ともいわれるギャランティを取られることに。

当初彼女の家族は疑惑を否定していたこともあり、2020年の陰謀論チャートでは「2」だが、2021年にスピアーズが裁判で父の後見人資格を停止させることに成功。よって「1 (＝実際にあったこと)」に移動した。

西側諸国とされてきた世界において、マルクス主義・フランクフルト学派が西洋文化を転覆させようとしているとして主張される陰謀論 (参考) 。アイデンティティ政治やポリティカル・コレクトネスの考え方は彼らにもたらされていると極右を中心に広まり、その後メインストリームの場でも議論されるようになった。

日本でも世界平和統一家庭連合( 旧統一教会 ) の関連団体である国際勝共連合が文化共産主義という似たような意味合いの単語を唱えており、ジェンダーフリーや男女共同参画社会、同性婚、夫婦別姓に反対している。

正式名称はEGFフェイシャルといい、上皮成長因子 (EGF) から作られるコスメを使用した美顔トリートメント (参考1 / 2 / 3)。ケイト・ブランシェットとサンドラ・ブロックが受けたEGFフェイシャルは、このEGFを抽出するために韓国の新生児の陰茎の包皮が使われている (割礼の際に廃棄される部分であり、別に赤ちゃんを虐待しているわけではない) 。

しかしこのブランシェットとブロックの発言が話題となると、「やはり児童売買のシンジケートが」と陰謀論者の間で話題になった。「赤ちゃんのペニスの成分で劇的若返り」なんて言われたらぎょっとするのはわかるが、ぎょっとしてそこで終わってしまうのが陰謀論者の陰謀論者たる所以なのかもしれない。

ボヘミアン・クラブは世界にいくつかある紳士社交クラブのことであり、中でも有名なのはボヘミアン・クラブ・オブ・サンフランシスコ (参考1 / 2) 。文芸系の社交クラブだが、ボヘミアン・グローブと呼ばれる森で、おどろおどろしい儀式をすることや、共和党大統領候補の推挙がされることなどから陰謀論の格好の舞台となってきた。

そのとおり、「ホロコーストなんてなかった」とする主張。戦後すぐに欧州ではこの手の議論が始まり、連合国側でも「ドイツと日本を攻める正当性を主張したいだけの捏造なのでは」と議論が起こった。しかし膨大な物証と文献から裏付けられており、歴史学者は否定の余地はないことを示している。

現在欧州の半数の国家ではではホロコースト否認の主張をすることは刑事罰となる上、国連もホロコースト否認をしないよう全加盟国に要求している^[3]。

ホロコースト否認は多くの場合反ユダヤ的な論と結びつくことが多く、ネオナチやイスラーム諸国などではかなりポピュラーな意見である。

2009年6月25日、マイケル・ジャクソンはデメロールの過剰摂取により、50歳という若さでこの世を去った。このキング・オブ・ポップの死に方は、多くの陰謀論と都市伝説を生み出した。その中にはエルヴィス・プレスリーや2パックのように生存説もある (参考) 。

遺族が笑っていたことや棺が開かなかったことなどを理由にしていることがある。ただし、死生観は結構異なるものであり、葬儀で遺族が笑っているだけで生存説を唱えるのは無理があろう。

アメリカのマットレス販売店『マットレスファーム』が隣の店舗にもできていたり、交差点の4つ角全部にできていたりするにも関わらず、客入りはほぼないことから、「実はマットレスファームは資金洗浄の隠れ蓑なのではないか」と噂された (参考) 。

実際のところ、マットレスファームは単にライバル会社を積極的に買収し、店舗と土地賃借権を承継した結果、そうなってしまったとのこと。なおマットレスはたまに売れる商材であるぶん、利益率は割と高いらしい。またリアル店舗を配送在庫の倉庫代わりに使うというアイディアは世界中でおなじみであり、「店内に客がいない＝大問題」とは必ずしもならないことにも留意したい。

36歳の若さでこの世を去ったマリリン・モンロー。その死が薬物摂取による自殺とされたこと、しかしコップが見つかっていなかったりいくつか不審な点があることから、実は謀殺されたのではないかとする説が巻き起こる。

関係を持っていたロバート・ケネディが自身の政治生命に傷がつくのを恐れて、といった説やUFO・ロズウェル事件について知りすぎたことから、FBI長官にしてコインテルプロで悪名高きエドガー・フーヴァーが殺害を命じたという説、ジミー・ホッファがケネディにマフィアから手を引かせるために、マフィアに殺害を命じたという説などが提唱されてきた (参考1 / 2) 。

ネッシーやビッグフット、イエティ、オゴポゴ、モスマン、ツチノコ、人狼といったいると噂されているが実在の確証がとれていない生物。なかには「政府が隠している」といった陰謀論と結びつくものもある。

UFOの目撃証言は多く、中にはジミー・ヘンドリックス、ジョン・レノン、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、デヴィッド・ボウイ、エルヴィス・プレスリーといったアーティストでさえ見たと主張するものがいる (参照) 。

大概は鳥などの見間違いだったり、エリア51で極秘研究されていた高高度航空機がUFOとされてしまったケースである。

穀物の一部が円形に倒される現象。宇宙人の仕業だとか、プラズマが原因だとかいわれていたが、ダグ・バウワーとデイブ・チョーリーが1991年に自分たちが作ったと告白した。あまりに幾何学的な模様であり、倒れ方が人為説としては信じがたいことからミステリーサークル愛好家はこれを信じなかったが、バウワーとチョーリーはCADを使って設計しているために高度なデザインになっていたのである (参考) 。

他にもフォロワーが多かったことも知られている。つまりやらせが確定しているのだが、未だに「やらせではありえない」ミステリーサークルがあると主張するものもいる。

なお日本ではある意味では人為的でない (自然現象によるもの) ミステリーサークルも存在する。

僕らの生まれてくる ずっとずっと前にはもう
アポロ11号は月に行ったっていうのに

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ポルノグラフィティ『アポロ』

「アポロ11号は月になんて言っていない」という説。「月面とされる場所は実際にはエリア51にハリウッドが建てた撮影スタジオだ」とか「月の石は砂漠の石だ」とか「アポロのコンピュータはファミコンにも劣る」とか様々な説が唱えられたが、すべて丁寧に反証されている。しかしそれでも「アポロ11号は月に行ってないっていうのに」という者はいなくならない。

根気よく偽情報を流し続ければ、大衆を洗脳できる――として、CIAがメディアを通じ偽情報を流し続けた作戦 (参考1 / 2) 。むろん現在では行われていないが、陰謀論者のなかでは今でもなお続いているとか、オウム真理教はモッキンバード作戦と関連があるとかそういう陰謀論が語られることも (参考) 。

2020年9月のオレゴン州の山火事はアンティファによるものだという陰謀論 (参考) 。

山火事を起こすことの何がアンチファシズムと関わりがあるんだという話だが、アナーキストや反体制である傾向が多くかつ組織的でない (だれでも自称すればその日からアンティファになれる) 点から政治的に対立するグループ (保守派) からはゴルゴムみたいな扱いを受けている様子。

カリフォルニアの山火事はロスチャイルド家が持っているユダヤのスペースレーザーが原因だとする説。主にQアノン信者が唱えており、共和党の議員マージョリー・テイラー・グリーンが発端である (参考1 / 2) 。グリーンはトランプ支持者で、Qアノン支持者でもある。

有名人や政治家、財界人は爬虫類人がゴムスーツを着用した存在で、我々は爬虫類人に支配されているのだというもの。

詳細はこちらを参照のこと。

1947年にアメリカ合衆国ニューメキシコ州ロズウェルで、UFOが墜落したが米軍に回収されたという騒ぎ (参考1 / 2) 。最初は「空飛ぶ円盤」だったのに、翌日「観測気球でした」と訂正されたことが原因でオカルティストたちにいまだに語られる事件となっている。

フランクフルトに由来するユダヤ人富豪。ロスチャイルドは英語読みで、独語読みは「ロートシルト」。ロックフェラー、モルガンと並び世界三大財閥と呼ばれ、そして三大財閥すべてが陰謀論において重要な役割を果たす。とりわけ反ユダヤ的側面を持つ事が多い陰謀論において、世界的な金融財閥ロスチャイルドはしばしば「あの事件の背後には」と結び付けられやすい (参考) 。