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陸別町（りくべつちょう）とは、北海道の十勝地方にある町（地方公共団体）である。足寄郡に属する。
概要
| 陸別町（2021年4月1日時点） | |
|---|---|
| 面積 | 608.90km2 |
| 人口 | 2,265人 |
| 町の花 | フクジュソウ |
| 町の木 | シラカバ |
| 隣接 市町村 |
十勝総合振興局 足寄郡：足寄町 オホーツク総合振興局 常呂郡：訓子府町、置戸町 網走郡：津別町 |
十勝地方の最北部にある町で、利別川に沿って中心街が形成されている。人口は村である中札内村や更別村をも下回り、十勝地方では最も少ない約2千人（2021年現在）。中心街はひなびており、コンビニはその中心街にあるセイコーマート1軒のみで、道の駅より大きい商業施設はない。はっきり言って超田舎である。
町名は「高く上がっていく川」または「危ない高い川」を意味するアイヌ語「リクンベツ」が由来。開村当時はこれにそのまま漢字をあてた「淕別村（りくんべつむら）」という名称だったが、1949年に「陸別村」に改称。1953年に町制を施行し「陸別町」になった。
町内の主な地名
- 陸別（りくべつ）
- 陸別町の中心街付近の通称。町役場や道の駅などの主要施設の他、コンビニ（セイコーマート）やスーパー（Aコープ）、小中学校、ガソリンスタンドなどがある。町はずれには「銀河の森」という公園があり、天文台やサーキット場が設けられている。
- 小利別（しょうとしべつ）
- 町の北の方にある地域。小規模の集落と、多数のソーラーパネル、日産自動車のテストコース、そして十勝オホーツク自動車道の陸別小利別ICがある。
かつては北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の小利別駅があった。駅の跡地はコミュニティセンターになっており、そのそばにデジタル温度計が設置されているが、-40.5℃というとんでもない気温が表示されたことがある。 - 関（せき）
- 国道242号で足寄方面から陸別町に入ったとき、最初に見ることになるであろう地名。これといった施設はないが、陸別しばれ技術開発研究所が設置した観測地点ではアメダス観測地点よりはるかに寒い気温を観測することもザラ。
- 下陸別（しもりくべつ）
- 陸別地区の北東にある。陸別しばれ技術開発研究所が設置した観測地点以外、これといった施設は存在しない。
- トレップシュリクンベツ、サクシュリクンベツ
- 町の北東あたりの地域。原野・農地・山林以外に特に何があるわけでもないが、名前が長いので無駄にインパクトは抜群。
日本一寒い町
陸別町は、日本一寒い町として知られている。その寒さはバナナで釘が打て、お湯を撒けば瞬時に煙となって消えるほど。冷蔵庫に凍結防止のヒーターを設置している店舗もあるという。
だが、日本一の寒さを謳う市町村は陸別以外にも存在する。たとえば旭川市は1902年、気象庁の公式記録としては最も寒い-41.0℃を記録しているし、戦後の記録に限っても同市の江丹別地区が-38.1℃の記録を保持している。非公式の記録まで含めると、枝幸郡枝幸町が戦前に-44.0℃、戦後に限定すると雨竜郡幌加内町が-41.2℃を記録しており、更に個人が記録したとされるものも含めると上川郡風連町（現・名寄市）で-45.0℃という値も出ている。このように、日本最寒記録の多くは道北地方から出ている。
一方で陸別の最寒記録は気象庁の公式記録によると2000年の-33.2℃であり、上記の数値に及ばないどころか上位20位以内にも入ってこない。だが冬期の平均最低気温に目を向けると、1991年～2020年の1月最低気温平年値が-19.6℃と、全国でもトップクラスの低さとなっている。陸別が日本一寒いと言われる所以は最寒記録ではなく、冬期の平均最低気温にあるのだ。
陸別町により設立された陸別しばれ技術開発研究所という機関の下、町内のアメダス観測地点とは別に下陸別と関に独自の観測地点が設置されている。この観測地点では気象庁の検定を通過した非常に高精度の機器が使用されているが、2019年2月9日には関の観測所で-38.4℃と、日本最寒記録に迫る数値を叩き出している。
陸別の寒さについては、日本気象学会の学術誌「天気」2016年11月号に専門家による論文が掲載された。それによると、過去10年間の観測データを分析した結果、一日の平均気温など4つの項目で陸別がトップであることが明らかにされており、日本一の寒さが改めて裏付けされる形となった。
この論文の執筆者の一人が、陸別しばれ技術開発研究所監修の下、自身の運営するウェブサイト上で寒さ日本一ランキングを独自に集計しているのだが、その集計結果からは陸別は日本一の寒さを観測した日数が非常に多いことが読み取れる。
陸別が非常に寒くなる原因についてだが、盆地にある町であるため冷気がたまりやすいことに加えて、「十勝晴れ」という言葉があるように晴れる日が多く、放射冷却の影響を受けやすいことが挙げられる。一方で最寒記録を保持する旭川市を筆頭とした道北地方は、陸別のある十勝地方と比較して多雪の傾向があり、放射冷却の影響を受けにくいため日常的な寒さは陸別には及ばないのであろうと推測される。
この、通常であればマイナスに捉えられがちな寒さという要素を観光資源として活かすべく、毎年2月上旬に「しばれフェスティバル」なるイベントが開催され、普段は人気まばらな陸別もこの時ばかりは寒さを体感しに集まってきた人々で賑わう。縁日や花火など普通の祭りらしいこともやるのだが、このイベントの最大の目玉は「人間耐寒テスト」。その内容は厳寒の中、かまくら（火気使用禁止）で一晩を過ごすという聞いただけで身震いがしそうなものだが、リタイアせずに見事朝を迎えることができれば認定証を受け取ることができる（ついでに朝食とお風呂がついてくる）。我こそはというチャレンジャーは挑戦してみてはいかがだろうか。
寒冷な気候がもたらす澄んだ空気が星空の観測に適していることから、星空のまちとしても知られており、「星空にやさしい街10選」に認定されている。町のはずれには、一般公開されている天文台としては日本最大級の反射望遠鏡を備えた「銀河の森天文台」があり、天体観測やプラネタリウムなどを楽しむことができる。
また、陸別町では稀にオーロラが観測されることがある。
今や立派な観光資源となった陸別の寒さに関しては、地元民も煩わしいを通り越して誇りを感じているようである。陸別町の公式twitterを覗いてみると「今日は-○○℃でした」といった内容のツイートが頻繁に見られることからも、それが窺える。
観光以外での寒さの利用例としては、日産自動車が小利別地区付近に設けている日本最大級のテストコースがある。ここで寒冷地における耐久性等のテストを実施して、これを通過したモデルが実際に製品として市場に出回るのである。
ちなみに冬の寒さばかりが話題に上りがちだが夏は逆にかなり暑くなり、2019年5月26日には37.8℃を記録している。最寒記録との差は約70℃にも及ぶ。
交通
道路
高速道路
陸別小利別ICから、足寄郡足寄町にある足寄ICまでが開通に向けて事業中である。
国道
道の駅
鉄道
| ▲北海道ちほく高原鉄道廃止後、道の駅が併設された陸別駅 |
かつて、池田駅と北見駅を結ぶ国鉄池北線が町内を通っており、薫別駅-陸別駅-分線駅-川上駅-小利別駅が設置されていた。しかし人口希薄地帯を通っていた池北線は自動車の普及に伴って利用者が減少し、1980年の国鉄再建法施行時に廃止対象に挙げられることになった。
民営化後の1989年、池北線は第三セクター北海道ちほく高原鉄道に移管され、路線名もふるさと銀河線と改められた。こうして一度は廃止を免れた本路線であったが、利用者の減少はさらに深刻になり、結局2006年に旅客輸送が廃止された。陸別駅と小利別駅を除いた駅はいわゆる秘境駅と呼ばれる駅であり、末期はほとんど利用者がいなかったようだ。その後は十勝バスがふるさと銀河線沿いの輸送を引き継いでいる。
2008年、ふるさと銀河線の陸別駅-分線駅間の設備と気動車6両を陸別町商工会が引き継ぎ、観光用に動態保存することになった。これらの車両は、申し込めば運転を体験することが可能である。
その他
陸別町は十勝管内の町だが、十勝の中心である帯広市からは距離が離れており、むしろオホーツク管内にある北見市や網走市のほうが近い。最寄りの空港も、とかち帯広空港（帯広市）ではなく女満別空港（大空町）である。
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