「陽気なアイドルが地球と踊る」とは、レストＰによるNovelsm@ster作品である。
概要
「陽気なアイドルが地球を回す」の続編だが、時間軸が１年ほど戻り「回す」事件の前日談を描く。
前作に比べ超能力者の活躍シーンが多く、バトル漫画にも似た緊張感の漂う作風となっているが、
伊坂幸太郎リスペクトは健在。伊坂ファンには嬉しい小ネタが最新作までカバーされているのも大きな魅力である。
登場人物
Ｐ（プロデューサー）
引き籠りになってしまった人たちの話し相手をボランティア的に務める。
その一環で、引き籠り時代の水谷絵理と対話した事がある。
事件の渦中でかつて救えなかった舞の遺児である愛と出会い、
彼女を救おうと行動を始める。
突如現れては悪人を打ち倒し、あらゆる悪事を粉砕する謎の女性。
何がしたいのかさっぱり分からないため、業界では恐れられている。
モチーフは「フィッシュストーリー」より瀬川。
泥棒を生業とする少女。
盗んでいったものを書き置きにして残すなど、盗みに対して独特の美学を持っている。
周囲の動物から感覚をジャックする「森の声を聞く」能力を持つ。
モチーフの数は作中随一。
行動は「ラッシュライフ」より黒澤だが、動物至上の思想は「陽気なギャングが地球を回す」より久遠。
能力は「フィッシュストーリー」より動物園のエンジンこと永沢だが、名称は「ゴールデンスランバー」より森田森吾の特技から。
Ｐが過去に出会った豪放な女性。
自ら「誰かの役に立ちたい病」であると豪語しており、
ありとあらゆる人達の危機を救う事を生き甲斐としている。
どうやら「他者の能力を奪う」能力があったらしく、
Ｐの「ＳＯＳ」を半分奪い、彼の負担を背負い込んだ。
その後しばらく、彼を世話し自分の生き様を伝えていった。
そんなある日忽然と姿を消し、やがて変わり果てた姿で発見された。
モチーフは「首折り男の周辺」「Waltz」より首折り男こと大藪亮。
また、彼女の店「ドゥーチェ」は「魔王」に登場するバー（漫画版では喫茶店）と同名。
【劇団】
簡単に言えば、大掛かりなサクラの集団。
依頼に応じてメンバーが「役」を演じ、事件の被害者や目撃者などあらゆる役割をこなす。
モチーフ（というか、ほぼそのまま）は「グラスホッパー」「魔王-JUVENILE REMIXｰ」より「劇団」。
【劇団】のリーダー。
能力は人の姿を別人に見せる「ペルソナ」。自分と同様（特殊能力のせいで社会を追われた）な人たちの居場所を作りたい思いから【劇団】を創設した。
武田を仲間に引き入れ、愛たちを救おうと行動している。
また【帽子卿】と呼ばれる「逃がし屋」としても知られており、
彼の手が入ると誰も後を追う事が出来なくなる。
モチーフは「Waltz」より帽子卿（ただし、こちらの帽子卿は通り魔的な連続殺人犯である）もとい、
「機関車トーマス」※よりハット卿。
【劇団】のNo.2。
表ではポルノショップや「たるき亭」を経営しているが、情報屋という裏の顔も持つ。
放浪していた涼を拾い、世話をしていた時期がある。
能力は相手の思考が直前にだけ分かる「一行予知」。
武田に裏社会の構造や現況を教え込む。
モチーフは「グラスホッパー」より桃と、「モダンタイムス」より愛原キラリ。
元は有望なバンド「オールドホイッスル」のメンバーだったが、様々な不運に合ったため、今ではすっかり落ちぶれている。痴漢の嫌疑を掛けられた所を涼に救われ、【劇団】にスカウトされる。
【安藤商会】
【令嬢】【マリアビートル】と業界を三分する勢力のひとつ。
現在の所詳細不明だが、【劇団】は【安藤商会】の下部組織であるらしい。
シンボルマークは鷹 ※ 。
※「呼吸」に登場。夭折した潤也の兄（安藤）を象徴しているように描かれている。
【安藤商会】のメンバー。
「人の死に方が書いてある本」※ を読んだ事があるらしい。
※「魔王」より潤也の夢の中に現れた不思議な本。
本作においては「死神の精度」より千葉（死神）から受け取ったものと設定されている。
また、それとは別に「標識が見える」特殊能力も併せ持っている。
フリーの殺し屋。
本人は熱心に仕事をしているのだが、どういう訳か運が悪く失敗を繰り返している。
モチーフは「マリアビートル」より天道虫こと七尾。
元殺し屋。毒を使うのは専門じゃないらしい。
現在は情報屋として活動しており、尾崎には時々仕事を斡旋するなどしている。
ちなみに、拠点としている喫茶店は日高舞から買い取ったもの。
逃走経路として有効な下水路に詳しく、使用箇所のマンホール蓋を軽量(本物は60Kgくらいあるため)の模造品に取り換えている。
モチーフは「ゴールデンスランバー」より保土ヶ谷康志。
【令嬢】 フロイライン
広告業をはじめとした幅広い事業展開をしている巨大企業。
しかし、その実態は政界や裏社会に強い影響力を持つ非合法集団であり、
乱暴に言えば超強力なマフィアと変わりない。
モチーフ（だいたいそのまんま）は「グラスホッパー」「魔王-JUVENILE REMIX-」より≪令嬢≫。
【令嬢】でも上位の地位にあると思しき女性。
【蝉】【山猫】【押し屋】らに命令を下し、邪魔な人間を抹殺させている。
【令嬢】の殺し屋。みんみんとよく喋る。
業界でも「最強」とされるナイフ使い。
「播磨崎の四女」と呼ばれ、目を合わせた相手の恐怖心を増幅する能力を持つ。
モチーフは「グラスホッパー」「魔王-JUVENILE REMIX-」「Waltz」より蝉。
能力は「空気の手」。離れた相手を抑え付けたり、窒息させたり、壁の向こうとでも会話が出来たりと、バリエーションに富んだ行動ができるため、仲間のサポートに回る事が多い。
モチーフは「魔王」「モダンタイムス」よりマスター（緒方）。
通り名の由来は宮沢賢治「注文の多い料理店」※ の舞台「山猫軒」。
※「魔王」に犬養の愛読書として登場し、ファシズムを思わせる不気味な印象を読者に与えている。
三条ともみ／【押し屋】
【令嬢】の殺し屋。寡黙。
依頼成功率の高さから業界で「最優」とされる。
駅のホームや横断歩道、ビルの屋上などから人を「押し」殺す。
「播磨崎の五女」とも呼ばれており、能力は「存在感を消す」。
モチーフは「グラスホッパー」「魔王-JUVENILE REMIX-」より槿。
歌田・軽口・山崎
簡単に言えば小悪党３人組。
【令嬢】から依頼を受け、武田を陥れるなどの細々とした仕事を請け負っている。
"播磨崎"
【令嬢】の部署のひとつ。
どうやら超能力者の開発・研究を行っていたらしい。
なお、「モダンタイムス」では「播磨崎中学校」を検索すると大変な事になる。
播磨崎の管理を任された【令嬢】の社員。
三女の能力が【令嬢】に利用される事に危機を感じ、彼女を連れて逃亡を始める。
音無の部下。
超能力者を恐れており、関与を逃れるため別会社を立ち上げ、転職した。
どこか茫洋とした雰囲気を持つ、不思議な少女。
「予言の案山子（優午）」とアクセスする事ができ、予知能力者として【令嬢】に軟禁されていた。
【マリアビートル】
【聖母】と彼女を崇拝する信者たちによる新興宗教団体。
ネーミングは「マリアビートル」、実態は「ラッシュライフ」より高橋の宗教団体がモチーフ。
能力は触れた相手の記憶を読み取る「サイコメトリー」。
【マリアビートル】の教祖的存在だが、本人は崇められる事を好ましく思っていない。
他人の悩みを共有し、すべてを「許す」寛大で純朴な人柄から、純粋に彼女を慕う信者も多い。
しかし、あまりに多数の記憶を読み取ったため、その精神は一個人を越え、
ひとつの「社会」とも言えるモノへと変化しつつある。
能力はオリジナルだが、立場のモチーフは「ラッシュライフ」より高橋。
【マリアビートル】の幹部にして、実質的な組織のトップ。
愛の能力によって信者を増やして来たが、その結束をより強固にするため【聖母】の解体（＝殺害）を【天道虫】に依頼する。
行動のモチーフは「ラッシュライフ」より塚本。
【マリアビートル】の信者。
愛の送り迎えなどを担当している。
その正体は【劇団】から【令嬢】に送り込まれ、
さらに【令嬢】から【マリアビートル】へと潜入している二重スパイ。
いずれの集団に精通しながら、どれにも属することなく
事態を外側から傍観しようと考えている。
愛を本心から尊崇する【マリアビートル】の信者。
普段はアイドルとして活動している。
偶然、五十嵐の「【聖母】の解体」を聞いた事から、愛と共に逃走を開始する。
能力は近くの相手一人を強制的に喋らせる「腹話術」。
モチーフは「魔王」より安藤と、「モダンタイムス」より渡辺拓海。
その他
「1/10までなら当てる事が出来る」能力を使い、地下カジノで資金を増やし続けている。
ついたアダ名は「カジノの女王」「ギャンブルクイーン」。
響の友人。
演説の才能に自信を持つが、周囲になかなか認めてもらえず苦悩している。
バスに乗っていた所、偶然事件に巻き込まれてしまう。
Ｐの行動に勝手に付きまとっている。
最悪の７人
この世界ではある程度名の通った人物には「通り名」が付けられる。
その中でも特に「関わってはいけない」危険人物の事。
すなわち【山猫】【押し屋】【蝉】【聖母】【帽子卿】【天道虫】【正義の味方】。
一年後
前作「回す」事件が終結した後の時間軸。
前作で悪徳に飼われていた超能力少女。
今では765プロに身を寄せている。
765プロの女性職員。
20代後半の外見をしているが、美希の見立てでは「もっと若い」らしい？
「回す」事件の罪を背負わされ、投獄された。
美希らと面会後、突如現れた【蝉】に襲撃される。
歌田・軽口・山崎
「回す」事件の後、逮捕は免れたが計画の失敗のために【令嬢】の信頼を失う。
石川との交渉が不調に終わった後、山崎と軽口は【蝉】に、歌田は【押し屋】によって殺害される。
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関連項目
- Novelsm@ster
- レストP
- 伊坂幸太郎
- 陽気なギャングが地球を回す
- 陽気なアイドルが地球を回す
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