「隣組」とは、
- 隣組とは、第二次世界大戦の戦時体制の中で制度化された互助組織のこと。
- 1.を宣伝する為に作られた戦時歌謡のこと。
この稿では両方について解説する。
1.について
詳しく書くと物凄く難解な文章になってしまうので、簡単にまとめると、今で言う「町内会」のようなものである。
正確には町内会よりも更に細分化された、数軒のご近所が集まって出来た「班」に等しい。
配給物資の受給・物資の供出・空襲による避難などを一つの隣組が一体となって行うための組織である。
というのは表向き(実際そうだが)で、本音は「相互監視」の意味合いが強かった。
例えば、戦争に否定的な家族が居たとしたら、それを密告して思想統制を計る等。
「結びつきと親睦を深めてお互いを監視する」ということである。悲しいけれど、戦時中はそんなもんです。
戦後は相互監視など軍国主義的な物は消滅し、単なる「親しいお隣さん」的な意味で隣組は残った。
今でも一部地域では隣組っぽいものがあったりする。もちろん監視・密告などそういった意味合いの物ではない。
2.について
1の互助組織としての隣組を広める為に作られた戦時歌謡である。
戦時歌謡というと軍歌としての意味合いが強くなり場合によっては国民に嫌われてしまう可能性もあるが、「隣組」はユーモアのある歌詞とリズミカルな曲が大衆に受け、半ば愛唱歌のような形で長く愛されたという。
(ちなみに作詞者・岡本一平は小説家。甲子園球場のアルプススタンドの命名者でもある。息子は画家・岡本太郎)
隣組は戦後も大衆の間で歌い継がれ、ついには替え歌となって、戦時歌謡としては異例のテレビ進出を果たす。
それが、「ドリフ大爆笑 オープニングテーマ」と「メガネドラッグ CMソング」である。
この2つの名曲は、ドリフとCMという武器を使って、隣組という元ネタすら知らない世代にも広く親しまれた。
今ではこのメロディを聴けば、隣組よりもドリフの名前の方が先に出てくるという人も多いはずである。
このうち大変なインパクトを残したドリフ大爆笑のオープニングテーマは、放送開始から20年以上の時を経て、プロ野球・東北楽天ゴールデンイーグルスに所属したルイス・ロペス選手の応援歌として球場で歌われたり、サントリー「トリス・ハイボール」のCMソングに使われるに至った。
ハイボールのCMはアレンジがあからさまにドリフ大爆笑のそれであり、原曲のカバーのカバーという孫引きにあたる。
メガネドラッグのCMソングは隣組を意識して作られているが、実際は微妙に変えて作られており、全く同一のものではない。このアレンジを行ったのは小林亜星である。
なお、メガネドラッグ自体が関東のみに出店するチェーン店であるため、この曲が使用されたテレビCMも関東ローカルである。 そのため、関東地区以外での知名度はほぼ皆無と言って差し支えない。
隣組は、発表から60年が過ぎた今も替え歌の替え歌として細々と、しかし着実に生き続けている。
現在でも大衆に歌い継がれている戦時歌謡・軍歌は、軍艦行進曲(軍艦マーチ)と隣組の他に殆ど類を見ない。
アニソンもJ-POPもいいけれど、たまには隣組のことも、思い出してあげて下さいね。
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※ドリフ大爆笑OPそのものの動画はは削除対象になってしまうため、記載しません。ご了承ください。
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