電撃小説大賞とは、アスキー・メディアワークスが主催するライトノベルの公募新人賞。
概要
電撃文庫の創刊とともに、1994年から開始した新人賞。
当初は「電撃ゲーム小説大賞」という名称で、「電撃ゲーム3大賞」の1部門という扱いだった。ちなみに他の2部門は「電撃ゲームイラスト大賞」、「電撃ゲームデザイン大賞」(第3回からは「電撃ゲームデザイン大賞」から「電撃ゲームコミック大賞」に変更された)。
2004年の第11回から「ゲーム」が取れた現在の名称に改称。コミック部門が第12回から「電撃コミックグランプリ」として独立したため、その後は「電撃イラスト大賞」とあわせて「電撃大賞」と呼ばれた。
第30回を最後に「電撃イラスト大賞」が休止となり、現在は「電撃小説大賞」のみの募集となっている。
第1回から長編だけでなく短編も同時に受け付けているのが特徴で、短編が何らかの賞を受賞することもある。
一時は応募総数が6000を超え、現在も4000~5000と、国内のライトノベル新人賞では最大の応募総数を誇る。
第31回現在、賞の区分は「大賞」「金賞」「銀賞」「選考委員奨励賞」のほか、第16回から始まったメディアワークス文庫向けの作品を選出する「メディアワークス文庫賞」と、第31回から始まった電撃の新文芸向けの作品を選出する「電撃の新文芸賞」とがあり、全部合わせると毎回8作品ほど受賞作が出る。
過去には短編を対象とした「電撃文庫MAGAZINE賞」(第15回~第22回まで)もあった。
選考委員は第30回までは電撃文庫・メディアワークス文庫の編集長や電撃出身の人気作家などが務めていたが、第31回からは電撃文庫・メディアワークス文庫・電撃の新文芸の各編集部による審査となっている。
初期こそ銀賞あたりを受賞しても出版されない作品があったが、出版予定のなかった第5回選考委員特別賞受賞作の志村一矢『月と貴女に花束を』が電撃hp掲載から好評を博してヒット作になり、続いて第6回最終選考で落選した時雨沢恵一『キノの旅』が大ヒットした。
こうした経緯から、受賞せずにデビューした作家も多数おり、前述の時雨沢のほか、鷹見一幸、甲田学人、藤原祐、入間人間などが最終選考で落選しながらもデビューしている。
さらに最終選考に残らなくても編集者の目に留まれば応募作の改稿や別作品の書き下ろしでデビューすることもあり(通称「拾い上げ」)、『ビブリア古書堂の事件手帖』の三上延、『護くんに女神の祝福を!』の岩田洋季、『しにがみのバラッド』のハセガワケイスケ、『とある魔術の禁書目録』の鎌池和馬、『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』の伏見つかさ、『さくら荘のペットな彼女』の鴨志田一などがそれにあたる。
このため受賞者と合わせると毎年10数人以上がデビューするということになっており、賞の規模に比例してデビュー者が非常に多くなっている。
ちなみにラジオ番組「電撃大賞」はそもそもはこの賞の広報のために始まった番組である。
なお受賞作が出版される際、同じ回の「電撃イラスト大賞」で賞を取ったイラストレーターが挿絵担当となり、新人同士でタッグを組んでのデビューとなる例がある。最初の例は第5回で、金賞『学園武芸帳』にイラスト賞大賞の小笠原宇記が、選考委員特別賞『月と貴女に花束を』にイラスト賞金賞の椎名優が起用された。以後第9回、第14~16回、第20回でも同様の事例がある。
大百科に記事のある受賞作家・受賞作
- 第1回 金賞: 高畑京一郎 『クリス・クロス 混沌の魔王』
- 第2回 大賞: 古橋秀之 『ブラックロッド』
- 第3回 金賞: 川上稔 『パンツァーポリス1935』
- 第3回 金賞: 栗府二郎『NANIWA捜神記』
- 第4回 大賞: 上遠野浩平 『ブギーポップは笑わない』
- 第4回 金賞: 橋本紡 『猫目狩り』
- 第5回 銀賞: 三雲岳斗 『コールド・ゲヘナ』
- 第5回 選考委員特別賞: 志村一矢 『月と貴女に花束を』
- 第6回 金賞: 中村恵里加 『ダブルブリッド』
- 第7回 金賞: 佐藤ケイ 『天国に涙はいらない』
- 第7回 金賞: 渡瀬草一郎 『陰陽ノ京』
- 第7回 銀賞: 三枝零一 『ウィザーズ・ブレイン』
- 第8回 選考委員奨励賞: 高橋弥七郎 『A/Bエクストリーム』
- 第9回 金賞: 成田良悟 『バッカーノ!』
- 第10回 大賞: 有川浩 『塩の街』
- 第10回 金賞: 柴村仁 『我が家のお稲荷さま。』
- 第10回 選考委員奨励賞: 水瀬葉月『結界師のフーガ』
- 第12回 金賞: 来楽零 『哀しみキメラ』
- 第12回 銀賞: 支倉凍砂 『狼と香辛料』
- 第12回 銀賞: 杉井光 『火目の巫女』
- 第14回 選考委員奨励賞: 夏海公司 『葉桜が来た夏』
- 第15回 大賞: 川原礫 『アクセル・ワールド』
- 第15回 銀賞: 真藤順丈 『東京ヴァンパイア・ファイナンス』
- 第15回 銀賞: 蒼山サグ 『ロウきゅーぶ!』
- 第16回 メディアワークス文庫賞: 野崎まど 『[映]アムリタ』
- 第17回 銀賞: 和ヶ原聡司 『はたらく魔王さま!』
- 第17回 銀賞: 兎月山羊 『アンチリテラルの数秘術師』
- 第18回 大賞: 九岡望 『エスケヱプ・スピヰド』
- 第20回 大賞: 虎走かける 『ゼロから始める魔法の書』
- 第20回 大賞: 木崎ちあき 『博多豚骨ラーメンズ』
- 第22回 金賞: 駱駝『俺を好きなのはお前だけかよ』
- 第23回 大賞: 安里アサト 『86―エイティシックス―』
- 第23回 メディアワークス文庫賞: 斜線堂有紀 『キネマ探偵カレイドミステリー』
- 第24回 銀賞: 瘤久保慎司 『錆喰いビスコ』
- 第26回 大賞: 二月公『声優ラジオのウラオモテ』
- 第26回 金賞: 逆井卓馬 『豚のレバーは加熱しろ』
関連項目
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