頰(頬)とは、ほっぺ、顔を意味する字である。ふにふにしたい。また以下のことを意味する。
概要
頰は食べるときに口からものがこぼれ落ちないようにする役割がある。また、母乳を吸うときに必要となる。
人間の頰は頰筋が発達しており、さまざまな表情を作ることができる。笑むと頰に現れるえくぼなんてすばらしい。また、頰は充血しやすく、感情によって赤く染まりやすい。恥ずかしいときに頰が赤らむのは、えもいわれぬ可愛さがあるだろう。
頰の内側は間違えて嚙んでしまうことがある。とても痛い。
サルやリスなどは頰に食物を一時的にためておく「ほおぶくろ(頰袋・頰嚢)」 を持っている。
頰に関する表現
頰に関する動作
頰を名に含む生物
- ホオジロザメ - ネズミザメ目ネズミザメ科の魚。
- ホオジロ - スズメ目ホオジロ科の鳥。
- ホオアカ - スズメ目ホオジロ科の鳥。
- ホオジロガモ - カモ目カモ科の鳥。
- ホオズキ(ホオヅキ) - ナス科の多年草。一説に「ホオ」の部分は「頰」が語源だとするが、定かではない。
漢字として
- 意味
- ほお、顔という意味がある。
〔説文解字・巻九〕に「面の旁(かたわら)なり」とある。 - 字形
- 会意兼形声で声符は夾。頁は頭の意で、夾ははさむ意。すなわち顔を両側から挟むように位置するほお。
- 音訓
- 音読みはキョウ(ケフ)、訓読みは、ほお、ほほ、つら、など。
- 規格・区分
- 頰は常用漢字である。JIS X 0213第三水準。当用漢字、1981年の常用漢字にはなく、2010年の改定で新しく常用漢字に追加された。
- 頬は常用漢字表で「情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で,(中略)使用することは差し支えない。」などとされている字体である。JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 頰輔、頰筋、頰骨、頰桁、頰紅、頰杖
異体字
- 脥は〔玉篇〕に「俗頰字」、〔集韻〕に「頰、――或(ある)ひは脥と作(な)す」ある異体字。腹の下という意味もある。胠の異体字である。
- 𩠣は、〔広韻〕に「籀文」、〔説文(段注本)〕に「籀文の頰」とある異体字。
- 𩔯は、〔説文(大徐本)〕に「籀文の頰」、〔正字通〕に「籀文、𩔯と作す」とある異体字。
- 𩠗は〔字彙補〕に「頰と同じ」とある字。
- 簡体字では颊。
常用漢字の字体
常用漢字表には、以下の記述がある。([ ]内は付け足した)
情報機器に搭載されている印刷文字字体の関係で,本表の通用字体とは異なる字体(通用字体の「頰・賭[点付き]・剝」に対する「頬・賭[点無し]・剥」など)を使用することは差し支えない。
また、「頰」と「頬」の差は「印刷文字と手書き文字におけるそれぞれの習慣の相違に基づく表現の差」としており、「筆写の楷書字形と印刷文字字形の違いが,字体の違いに及ぶもの」として挙げている。以下の記述がある。
括弧内は印刷文字である明朝体の字形に倣って書いたものであるが,筆写の楷書ではどちらの字形で書いても差し支えない。なお,括弧内の字形の方が,筆写字形としても一般的な場合がある。
頰 - 頬(頰)
つまり、手書きでは「峡・挟・狭(旧字:峽・挾・狹)」などと同じ形の「頬」が一般的だが「頰」でもよいということ。
JIS規格について
頬・頰は、JIS規格で例示字体の入れ替えや包摂基準の変更が行われていて、ややこしい。
- JIS C 6226-1978で、区点43-43に頰が採用される。例示字体は夾に従うもの。
- JIS X 0208-1983で、区点43-43の例示字体が頬(夹に従うもの)に変更される。頰は頬に包摂されることになった。なお峡・峽や挟・挾などは包摂関係になっていない。
- JIS X 0213で、面区点1-43-43に頬が、面区点1-93-90に頰が登録され、頬・頰は包摂されないことになった。
関連項目
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