風見鶏(英語:weathercock)とは、装飾付き風向計の一種である。
身もふたもなく言えば、風向きを示す器具。
概要
最も一般的なタイプは水平にした矢とその上に鶏を象ったプレートを載せたもので、風向きに合わせて向きを回転させることで風向きがひと目で分かるようになっている。回転部の下に東西南北を示すプレートを設置することで方角も同時に確認出来る用になっているタイプも多い。家屋の屋根など風通しのよい場所に取り付けて使用する。
鶏以外の鳥類やプロペラ式航空機などを模した形の風向計(weathervane)も、風見鶏(weathercock)と呼ばれることがある。weathercockのcockは雄鶏を意味しているので鶏を模したものに使用されることが多い呼称で、weathervaneは鶏に限定しない呼称である。
実用性の他にもデザインとなった雄鶏は警戒心が強いことから、魔除けとして考えられていた部分もある。
用途
風向きが分かることによる利点は、昔の船舶などで多かった。
船舶・陸上(港)の双方においては、運行状況を判断のする重要の要素ひとつ。
帆船は風を利用しているため、効率的に風を受けて適切に操作する必要がある。
帆船は追い風/向かい風など風向きによって速度が大きく変わる。もちろん風速の問題もあるが。
※船は積載量が多い反面、現在においても乗り物の速度としては低速な分類。(→船舶)
風向きによって港への到着時間が変わってくるため、陸上から船が見えてもすぐに到着するとは限らない。陸側/港側においては、船から港に対して追い風か向かい風かといった情報を判断するのにも用いられる。
これが暇人ならば「気長にずっと港で船が待っている」手もあるが、天気の悪い日に港で待っているのも嫌だし、商人は他にもやる事がある、到着を待つタイムロスが減らせるなど時間の有効活用にも繋がる。
船を用いた物流・船舶外来品が頻繁な港町など、丘の上の屋敷に設置されていたり、室内からでも風向きが判断できるよう、内側と繋がっている構造もある。遠くの船が見えるよう望遠鏡なども用いられた。
とんがり屋根の異人館 風見鶏の大切な役割とは? | ライフスタイル|屋根と暮らしのスタイルマガジンRoofstyle(ルーフスタイル) (nipponsteel.com)
航空機
その他、航空機(飛行機)の離着陸においては
揚力を得られる向かい風が望ましいなど、風向きが重要になるケースはある。
※逆に横風+強風は最悪。
変わり種ではあるが、AV-8ハリアー垂直離着陸機のコクピット正面にも
離着陸用に棒のような小型の風見鶏が取り付けられている。ただし鶏はついていない。
現在
ただし現代では風向きを知るために風見鶏を用いる必要性はほぼないため、主にデザイン的なアクセント、装飾目的として用いられる。鶏ではなくシンボルやキャラクター等が取り付けられているデザインもあるなど、製作者や設置場所のセンスが取り入れられている場合もある。
回転する可動部の制作やメンテナンスにはやや手間がかかるため、装飾として割り切った風見鶏の場合は最初から可動部が付いていない(回らない)ようなものもある。
現在の代替品
現在では電子的な風向計や、こいのぼりのような吹き流しが用いられる。こちらも風見鶏同様にアナログであるが、電気を使用せず風速・風向きを同時に知ることができる。空港や高速道路、工事現場などに設置される場合が多い。
簡易なものでは軽量な布や紐などを吊るしたり竿先に結んでおく、立ち上る煙を見ることで大まかな風速・風向きは分かる。
比喩として
「風向きに合わせて自分の向きを変える」ところから
- 自分の確固たる立場を持たずに時流に乗るだけの者
- 周囲の情勢や権力者の意向などによってくるくると方向や立場を変える者
- その他、利益によって方向性・思想・選択を手のひら返しのように容易に変えてしまうもの
…をイメージさせることから、そういった日和見主義的な人物を表現する言葉として「風見鶏」が使用されることもある。
環境や他人の意見に流されたり妄信せず、自分で判断する事も重要である。
(同調圧力なども良い例)
関連項目
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