【ニコニコ大百科 : 医学記事】 ※ご自身の健康問題に関しては、専門の医療機関に相談してください。 |
概要
風邪(感冒)とは多様な菌やウイルス(大部分がこっち)によって引き起こされる不快な症状の総称である。原因が多岐にわたるので風邪の原因そのものを叩くことは難しく、現在は対症療法が主である。風邪の特効薬(治療薬)を開発できればノーベル賞ものだという人もいるほど。
実際のところ、風邪薬を飲もうが飲むまいが身体の免疫力で1週間もすれば治ってしまう。風邪薬はその間に体力の低下を抑えるわけである。風邪薬を3日~1週間ほど飲んでも症状が改善しない場合は別の病気の初期症状という可能性があるので、医療機関を受診したほうがよい(というか市販の風邪薬はまず1週間分も入っていない)。
高熱や体の節々の痛み、目の充血がある場合はインフルエンザである可能性が高いので、医療機関を受診しよう。風邪ではまず死なないが、インフルエンザは悪化すれば死に至る可能性がある。インフルエンザの薬は基本的に発症48時間以内に使用しなければならないので早め早めに手を打つべし。
また強い喉の痛みもアデノウイルス感染症、プール熱扁桃炎など、市販薬や免疫力では治しづらい病気の場合があるので、医療機関を受診した方がいい。血の混ざった痰や色の付いた痰にも要注意。
以下に風邪薬に含まれる主な成分を挙げる。ぶっちゃけ風邪薬の成分は似たり寄ったりなので店頭で選ぶ際は自分の症状にあったものを選ぶと良い。
くしゃみ、鼻水、鼻づまりを抑える成分
これらの症状は鼻粘膜にウイルスが付着してヒスタミンが遊離し、知覚神経や副交感神経を刺激することで生じる。ヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン薬や、副交感神経の作用を抑える抗コリン薬などがこれにあたる。
古い抗ヒスタミン薬は中枢に作用して眠気をもたらすため、服用後の車の運転などは避けなければならない。眠気の少ない抗ヒスタミン薬も開発されているが、風邪のときはよく寝て養生するのが一番である。風邪薬を飲みながらヘロヘロになって仕事するより、回復してから仕事を頑張ればいいのだが、現実って難しいね。
ちなみに抗ヒスタミン薬のジフェンヒドラミンは睡眠改善薬「ドリエル」の主成分としても用いられている。それだけ眠気が強いわけである。
抗コリン薬は閉塞隅角緑内障、前立腺肥大症、喘息などがある場合は禁忌なので、それらの持病がある場合は購入前に薬剤師と相談しよう。
眠くなりにくい成分として漢方薬の小青竜湯がある。水っぽい鼻水、くしゃみなどの症状が目立つ場合に有効とされる。
喉の痛みを抑える成分
喉の痛みは血中酵素のプラスミンが発痛物質であるブラジキニンの遊離を促進し、痛みを増強するプロスタグランジンがその作用を促進することで生じる。
プロスタグランジンの生成を抑えるイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、プラスミンの作用を抑えるトラネキサム酸(歯磨き粉などに入ってるやつ)などがこれにあたる。
解熱鎮痛成分
風邪の症状の中でもキツい部類に入るのが発熱である。実は人間の摂取するカロリーは半分以上が体温維持に使われており、体温が数度上がるとかなりのエネルギーを消耗してしまうのだ。熱が上がるのは確かに風邪を治すための正常な生体反応だが、若いときの発熱はまだしも子供や高齢者の発熱には気をつけたほうがいい。
プロスタグランジンは発熱作用もあるため、前述のNSAIDsがここにあたる。なおNSAIDsはバファリンを始め頭痛薬でも多く用いられているので、併用すると成分が被ってよろしくないことがある。
ぶっちゃけ軽い熱風邪くらいならNSAIDsの入った頭痛薬でも対応できるが、特にバファリンなどに含まれるアスピリンというNSAIDsはインフルエンザを始めとする小児のウイルス感染症に用いると、致死率の高い「ライ症候群」という副作用を起こす事があるので要注意。
アセトアミノフェンという解熱鎮痛成分は副作用が少なく小児にも使えることからアスピリン以上にメジャーだが、飲みすぎると肝臓や腎臓などに障害をもたらす。色々な薬に配合されているので飲み合わせに注意。かつて栄養剤と偽って多量の酒と一緒に長期服用させることで保険金殺人に使われたこともある。
イソプロピルアンチピリンという成分は、皮疹の副作用が出やすい「ピリン系」という分類に当てはまるので注意が必要である。有名所だと医療用の「SG配合顆粒」、市販薬の「セデス・ハイ」などに含まれる。
鎮咳去痰薬
咳を鎮めて痰を出しやすくする成分。発熱に並んでツラい症状が咳である。強い咳は一回につき2kcalほどのエネルギーを消費するとされており、一日中咳をしているとかなりのエネルギーを消耗する。また咳がひどいと睡眠を妨げたり筋肉痛、骨折を引き起こしたりもする。
風邪の時に水分を取ったほうがいいのは発熱による発汗もあるが、痰を出しやすくするためという面が大きい。特に高齢者は身体の水分量が少ないので痰がねっとりしやすく、誤嚥性肺炎などの原因になりやすい。風邪の高齢者が病院で点滴をしてもらって症状が軽くなったという場合、実はただの生理食塩水だったなんてこともある。
ジヒドロコデインやノスカピン、エフェドリン、デキストロメトルファンなどが鎮咳薬、グアイフェネシン、カルボシステイン、ブロムヘキシンなどが去痰薬にあたる。痰は異物を排除したいがための反射反応なので、痰がからむ咳の場合は鎮咳薬よりも去痰薬を重視しよう。
ブロムヘキシンはポケモンで防御のきそポイントを上げるアイテムとしても有名である。
同じくポケモンに登場するリゾチウム(リゾチーム)は抗炎症、去痰成分としてパブロンやルルなどメジャーな薬に使われてきたが、近年「他の薬との相対的な有効性が低下してきた」と厚労省の再評価でバッサリ切られたためドンドン姿を消しつつある。
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