『風雲黙示録』とは、SNKが1995年に送り出した2D対戦型格闘ゲームである。
サブタイトルを含めた正式タイトルは『風雲黙示録 格闘創世』(海外名『SAVAGE REIGN/サベージ レイン』)。
概要
風雲拳──────
それは実戦空手道と
ブーメランをくみあわせた
まったくあたらしい格闘技・・・
(OPより)
この「ブーメラン×実戦空手」という組み合わせはあまりに新しすぎて本作の設定である21世紀となった今でも「誰も真似することのできない格闘スタイル」である。
「素手の格闘技を習得し、しかし武器を用いて戦う」という格闘スタイルは当時の格闘ファンの注目を浴び…なかった。
本作品は1995年4月に稼動、後にネオジオ版、ネオジオCD版、PS2版へ移植された。
続編として1996年稼動の『風雲スーパータッグバトル』がある。
一部のキャラは、SNK時代の『KOF2000』や後のSNKプレイモア作品に背景として登場したり、ゲストキャラとして参戦したりしている。
キャラクターは、いずれも素手の格闘技と武器を組み合わせた格闘スタイルを持つ。
OPで語られていることもあってか、主人公「ショー・疾風」の「ブーメラン×空手」という格闘スタイルが有名だが、他のキャラクターも「斧+プロレス」「剣+ボクシング」などなかなか強烈である。
『龍虎の拳』のように脱衣KOが存在するものの、何故か男性限定。まさに漢ゲー。
続編では女性も破けるが、本作での紅一点は登場していない。
OPの「ショー・疾風の絶叫があまりにもうるさすぎてゲーセンという爆音が渦巻く環境でも外まで響いた」という伝説が残っている。
また男キャラのほとんどが190cm超えという巨漢ゲーでもある。
SNKの他タイトルである『龍虎の拳』や『餓狼伝説』と世界観が同じ作品であり、時系列では『餓狼伝説』の未来にあたる。(続編に『餓狼伝説』のキム・カッファンの子孫が登場している)
主なシステム
レバーで移動。Aでパンチ、Bでキック、Cで武器殴り、Dでライン移動。
また「ボタンの押す長さで強弱が変わる」という、1995年当時でも「まったく新しくない(むしろ古い)仕様」になっている。また全キャラが飛び道具を搭載、さらにBC同時押しだけで出る飛び道具「武器投げ」、武器殴りによって武器投げの飛び道具を跳ね返せる、という仕様もある。
前後の夫々に2回、素早くレバーを入力する事でステップが繰り出せる。
このステップにも独自仕様があり、夫々のステップ方向と逆の斜め下にレバーを入力した直後に繰り出すことで、ステップの距離が飛躍的に伸びるというシステムが導入されている。
この仕様を戦術に組み込む事で相対的に機動力が高くなり、知っているのと知らないのでは攻防のバリエーションに大幅な違いが出てくる。性質上、344入力は出しやすいが166入力は咄嗟に出すのが難しい。
ライン制を導入しているのだが、このラインアタックが4種類もあるのも特徴。
以上、4つのラインアタックがあるが、新しすぎて使い道が良くわからない。
『武器投げ(BC)>ラインアタック(スーパーラインアタック含む)』『大ジャンプラインアタック>武器投げ』の図式は成り立っているので、これを覚えておくとライン間攻防が熱くなる…かもしれない。
ステップラインアタックは中段性能なので、不意に仕掛けると有効。
通常ラインアタックは武器投げやスーパーラインアタックに潰されるため、ほぼ回避としての使用に留まるだろう。
CPU戦では1度目のボーナスステージ以降、CPUアルゴリズムにライン移動を伴ったものが増加する傾向にあり、牽制の殆どがラインアタックで回避される⇒こちらがラインアタックを仕掛けると追尾効果が付属した飛び道具で各種ラインアタックを潰されるという循環に陥りやすい。こうなってしまっては何をするでもなく打つ手が無くなり、打開策が取れずに理不尽な負けに繋がる…というパターンが非常に多くなる。
タイムオーバー寸前にラインアタックで逃げ続けるサムいプレイにペナルティが何も無い辺り、ぶっちゃけシステム的にクソゲーと呼ばれても仕方ない部分はある。
特に空中ガードが存在しない本作において追尾効果付きの飛び道具は非常に強力で、一度画面外に脱出してから攻撃を仕掛けるという、仕切り直しにもってこいな大ジャンプラインアタックすらも潰してしまう事がある(ハヤテの念動飛棍など)。
また、一部のステージには特殊なギミック(ダメージを追うものや特殊な仕掛け)がある。以下
- 複数の氷柱が落下、ピラニアの大群が襲撃/メズウステージ
- ジェットコースター上をカートが走行する(触れると撥ねられる)/キャロルステージ
- 中央上ラインの床ゲートが開く
(開く際にゲート上に立っていた場合、下ラインに落ちる)/ニコラステージ - 上ラインが存在せず、水平に設けられたロープにぶら下がっての攻防/イーグル&チュンステージ
- 上ラインが存在せず、完全に奥行きのみの移動
(移動した際はすぐさま自動的にメインラインに戻る)/獅子王ステージ
何れも非常にクセがあり、特にイーグル&チュンステージのギミックはそのまま戦略に結びついているので、この仕様を理解しておかなければいい様にやられてしまう。
ロープ上に配置されたオブジェは攻撃を当てる事で落下するのだが、これがガード不能な上に落下軌道が下ラインの相手の立ち位置へ自動修正、さらにオブジェ自体が複数配置…とどう考えてもバランスを破壊する要因となっている。大ジャンプラインアタックでの対抗も通常のラインアタックで逃げやすく、武器投げで対応しようにもオブジェへの攻撃動作が短いので競り負けしてしまうという有様。この2者のステージは前述の逃げプレイに発展しがち。
メズウステージも前者は落下位置を予測し辛く、ロック性能の技の発動中でも問答無用でヒットして
攻撃を中断させられるためにこれまた理不尽なダメージを負いやすい。
後者はピラニアが出てきた段階で行動不能となり、襲撃ダメージが確定する。
…まぁピラニア発生条件が下ライン中央の池の前で一定時間ニュートラル維持という普通にプレイしていればまずお目にかかれないものなのでお遊びに等しいが。
「全てのキャラクターがシステムレベルで飛び道具を使える」という特徴があるが、性能の差は激しい。また「仰け反りの前半は無敵」という謎の仕様がある。
この仕様のため、各キャラの火力の面で連続技を成立させるのが非常に難しい(入力タイミングがズレるため、仰け反り距離と合わさって連続技が全く安定しない)。
前述の空中ガードが無い事を踏まえ、ダメージソースは大方が対空迎撃となる。
簡単に言おうにも、新しすぎて説明が難しい。
強いて言うならば、固めを重点に置いた『餓狼伝説スペシャル』『ワールドヒーローズ2』を足して2で割ったようなゲームというのが一番近いだろうか…。
キャラ
ショー・疾風
うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!
このタイトルの主人公にして色物、一途な熱くるしさを放つ風雲快男児。
実戦空手道とブーメランを組み合わせた全く新しい格闘技『風雲拳』の使い手。
色物主人公にしては使いやすい性能の持ち主。
小足から始動する逆転技「奥義!無双乱舞」と、EDで父親に「何事だ、ハヤテよ」と実の身内であるにも関わらず苗字で呼ばれている事は一部で有名。
次回作の『風雲スーパータッグバトル』では辻褄合わせの為か風雲拳を極めていないことにされ、無双乱舞の演出も地味になった。
また、何故か身長が11cmも縮んでいる(他のキャラも数値がかなり変更された)。
タイトルがタイトルだけに(このゲームの全キャラが)外部出演には恵まれないままであったのが、『サムライスピリッツ零』にて千両狂死郎のEDに『謎の男』として出演(SNK格ゲーの時系列からして生まれてすらいない筈だし、そこはご愛嬌)。
長刀と歌舞伎の融合による『全く新しい歌舞伎』を完成させた狂死郎と対決する。
『天下一剣客伝』においても、同じく狂死郎のEDに登場。彼曰く、狂死郎は『らいばる』だそうな。
そして、『KOF11』にジャズゥ共々晴れてゲスト参戦。
相変わらずアツく、清々しい快男児っぷり(と、凶悪なバグ)を見せ付けてくれた。
同タイトルでは人妻ボクサーキャラのヴァネッサから上半身の胸当てについて「肝心のボディがガラ空きなんだけど」と突っ込まれているが、常に進歩し続ける風雲拳の前では些細な事である。
余談だが、KOF11のゲスト参戦キャラクターのラインナップを見るに、元々はネオジオバトルコロシアムに参戦する予定だったのではないかと憶測されている。
ネオジオポケットでのCAPCOMとのクロスライセンスタイトル『カードファイターズ』シリーズでは、ブーメラン繋がりという事でチャムチャムから、また赤いハチマキ繋がりでCAPCOMサイドのアレックスへの援護が出来る。
赤いハチマキ繋がりでもストシリーズのリュウが援護してくれないのは何故だ。
念動飛棍の追尾性能、幻影飛棍の広大な攻撃判定によるライン間攻防が強く、立ち回りの面で上位に位置する使い勝手の良いキャラ。
キャロル・スタンザック
合気道と新体操を組み合わせた「ジムナムアーツ」の使い手の女の子。
獅子王から結婚を申し込まれたが、それを断るため参戦。
続編の『スーパータッグバトル』には世界観の雰囲気にそぐわない為か、参戦していない。
ドット絵はかわいいが、勝利画面のバストアップ絵が気持ち悪い。
この顔でラインアタックがやたらと遅いヒップアタックなのだからたまったものではない。
その言動も妙に頭の悪いものが多く、ニコラと共に色んな意味で負けるとムカつくキャラである。
更に、同タイトル内で唯一脱衣KOに未対応。何かもう新し過ぎるだろ…
性能的にはぼちぼち扱いやすく、異常なめくり性能を持つJ強Bに加えて発生の早いスワンダイビング、別ラインへ強制的に吹っ飛ばす飛び道具のルードボールがメイン。
他、ボールを上空に投げる>ステップして中段と見せかけ、下段攻撃を放つというわかっていても対応が難しいクソ技スピニングトップを持つ。
困ったことにCPUはこれの使い方が非常に上手い。
逆転技はガード不能と高性能だが、コマンドが→←↓↑Aと妙に難しい。
ジャンプ頂点限定にて発動可能な必殺技ドリームアングルのポーズがスト3のエレナの勝利ポーズに酷似(むしろあちらがキャロルのこの技に似ていると言う方が正しい)しているのはあまり知られていない。
外部作では 『ネオジオバトルコロシアム』、『KOF2002UM』の背景、及びネオジオポケット&DSの『カードファイターズ』3作にもキャラカードとして出演。
カードファイター2とDSのキャロルは設定どおりの美少女として描かれているので安心(?)。
2ではボール繋がりでCAPCOMサイドからジャスティス学園シリーズの夏が援護してくれる。
マックス・イーグル
今作のライバルキャラにあたると思われる。斧とプロレスを組み合わせた全く(以下略)。
人気・実力共に高いという設定のサワヤカベビーフェイス。ザラゾフとコルトを足して2で割ってインパクトが弱いから何か殺傷力の高い武器でも持たせようか、みたいな
兄が獅子王に似ていると確信し参戦。攻撃力は高めだが隙が大きい。格闘技とあるが、そもそも斧を投げたら普通の人はガードしたら死ぬとか突っ込んではならない。
隙の少ない空中突進技アメリカンスクリュー、相手の動きを制限しやすい軌道で戻りにも攻撃判定のある変則飛び道具アックスブームが強力。更にステージギミックにも助けられてウザ強いCPUが印象に残る。アックスブームとラインアタックだけで相当ウザい。
逆転技はパワーボムとバックドロップを複数回放つ『イーグルスペシャル』。ボッ!の人と違ってシステムレベルで縦横無尽な機動力が全キャラに備わっているこのゲームでは恐ろしく地味な技。
続編スーパータッグバトルではパワーボムの回数が増え、フィニッシュが高高度からのフライングパワーボムとなってしつこいなげだーっ!派手になった。
が、レスラーのくせに純粋なコマンド投げを持たないという欠陥があり、性能としては下位。
レスラーらしく空中投げを所持しているのだが、空中でも可能なラッシングコンビネーションには太刀打ち出来ず、逃げる相手に対してダメ押しで使う位のもの。
続編では目の前でジャズゥに兄を殺された(スタッフロール後に立ち上がるが)にも関わらずジャズゥ戦後にいつもの調子で勝負を望むハヤテに対して、若干空気読め的な態度で臨む。
その際の勝利メッセージは爽やかなのだが。流石にここでのハヤテはKYだと言わざるを得ない。
格闘スタイルはアレだが、このゲームのメンツの中ではマトモな常識人で、イケメンである。
イケメンなのである。イケメンじゃなかったら斧なんて許されないだろうし
ゴードン・ボウマン
全キャラ1の巨漢である鬼警官。
某ベルトスクロールアクションゲームの3面ボスとは何の関わりもない。
愛する娘の病気を治すため参戦。飛び道具のスパークボルトの威力が非常に高く、途中で3WAYに分裂するために、この技だけでライン間攻防において他キャラを一回り圧倒する性能を持つ。それ以外はと言うとトンファーを使うのでリーチは長いが隙もでかく、図体もでかいため、当たり判定が大きい。つまり全体的にデカイ。
悪を取り締まる立場にある故か何気にゲーム内ポジションに恵まれており、続編スーパータッグバトルにおいてはボーナスバトルの組み合わせが2種類も存在する。
が、扱いはと言うと敗北時の汚いケツ出し(某ムエタイチャンプと違ってモロケツは無い)に見られる様に、あまり良くは無い。
風雲黙示録の結末は公式で『全デフォルトキャラが獅子王に敗北した』とあり、彼の1人娘であるカンピーの手術代も賄えていない筈…と思いきや、続編での参戦理由はカンピーのために家を買う金の工夫の面でのアテであり、獅子王に手術代を都合して貰っている。
素行の良し悪しはともかく、なんだかんだで獅子王を納得させるだけの人望はあるらしい。
格ゲー黎明期から存在したSNKお得意の機敏に動けるデブ(同類に餓狼伝説シリーズのライデンや、龍虎の拳シリーズのジャック・ターナー等がいる)枠。
このキャラはその中でも群を抜いてキビキビしたスピードで立ち回る事が出来る上、
- 追尾性能こそ無いが、同&別ライン間問わずに制圧力に長けた強力な飛び道具
- 移動速度が速い上にガードさせて隙皆無+空中の相手も掴めると3拍子揃った移動投げ
- 数少ない空中投げ持ち
- 一見して下段に見えない所か中段と勘違いする動作(更に発生も早く2段技)の2強B
など、他の格ゲーであれば十分過ぎる程に強キャラ(ともすれば厨キャラ)と言える性能である。
単純明快に高性能・高機動で中~遠距離戦が強く、ライン間での飛び道具による攻防も他キャラを寄せ付けず、高難度のCPU戦後半に出てきた際の強さは正に暴虐そのもの。
しかし逮捕術とトンファーを組み合わせた格闘スタイルは別に新しくは無いと言わざるを得ない。
ジョーカー
「マジカルヒポポ」という犯罪組織のリーダー。獅子王より目立ちたいため参戦。
ピエロ姿という典型的な色物だが、そもそも色物が跳梁跋扈している今作では普通に見える。
ゴズウ&メズウ兄弟がサイコ、ソシオの類ならば、ジョーカーはさしずめ『キ××イ』の類だろうか。
それでもこのゲームにおいてはインパクトは大きくなかった様である。
むしろポートレートのアヘ顔のインパクトの凄まじさに全てを持っていかれており、一部では「汚いドナルド」と不名誉(むしろ名誉?)な呼び方をされる事も。
上記のゴードンを踏まえてもモチーフは同名のアメコミキャラなのだが、あまり突っ込まれない。
CPUアルゴリズムがラインアタックを多様する作りとなっており、すぐに逃げるので纏まったダメージを与え難い。3回分の攻撃判定を持つ飛び道具強度最強のマーダーハット(ご丁寧に追尾性能付き)と、別ラインに瞬間移動するトランスポーターを組み合わせた逃げ戦法がお手軽で強力。
逆転技のグッドフェイスによる対空能力も非常に高く、火力は無いものの立ち回りでのポテンシャルは最上位に位置する。
あろうことかキャロルにベタ惚れしており、キャロルのEDでは人によっては変な想像をしてしまうラストで終わっている。
中白虎
「ちゅん・ぱい・ふー」と読む。
82歳だが、獅子王以外には無敗という、地味にとんでもない記録を持つ。
彼のバックストーリーにはテリー・ボガードに帽子をもらったような描写があるが、詳しいことは不明。この設定のおかげで、チュン=餓狼MOWのロックというトンデモ説まである。
かつて獅子王に負けた屈辱を晴らすため参戦。杖を持っているためにリーチが長く、また体力が半分になると初代『餓狼伝説』の「タン・フー・ルー」のようにパワーアップする。
ヴァンパイアのアナカリスよろしく、相手をニワトリの姿に変える裁き技を持つ。
まぁ一撃当てるだけで元に戻るので趣味の技に等しいが…とは言え、タイムオーバーが迫ると攻撃手段の無い相手をそのまま放置する事によってその真価を発揮する。サムい。
勝利ポーズで地面にタンを吐き捨てたり、獅子王をニワトリの姿のまま放置して去ったり、続編スーパータッグバトルでは待機勝利ポーズがKOFの京のマネだったりと、
コミカルな描写が目立つハッスルおじいちゃん。断じて亀仙人のじっちゃんではない。
ニコラ・ザザ
ロシア人の天才児。現在の格ゲー界隈でも数少ないショタ枠。……だが顔面・性格共に可愛らしいショタキャラとは言えず、むしろクソガキ枠と言う全く新しい誰得キャラ。一人称が「おいら」というのが致命的であった。
他のキャラクターが格闘技と武器の融合という(組み合わせはどうあれ)現代的な世界において、SFチックな設定でパワーが700倍にアップする自分で作ったパワースーツを試すため参戦。(一応独学でサンボを習得している)格ゲー界広しと言えど、流石にその数値は触れただけで肉片が散乱しそうな気がする。
昨今は格闘ゲームのキャラクターの平均年齢も下がる傾向にあり、均等を取るには過剰過ぎである。増強するにしてもせいぜい3倍程度でも十分ではなかろうか。幼さ故の残酷さか、それとも普段の身体能力が異常な虚弱体質で700倍にしてやっと対等に立ち回れるのか、はたまたわかっていてガチで殺しにきているのか、何れにせよやっている事は洒落にならない。
その設定は後年のストEXシリーズに登場した天才メカニカル眼鏡少女、エリアに影響を与えたかどうかは定かではない。
リーチは短いが、性能の良い飛び道具で十分補える。
必殺技構成も対空技の「ガルバニックプレイ」、隙の少ない突進技「フリスビードライブ」、3発分の弾強度を誇る飛び道具「スプリットフォー」、追尾性能付属の「フライングソーサー」とオールマイティーにどの間合いでも戦えるので扱いやすい。逆転技「ヘルレイザー」は対空能力は高いものの攻撃判定の出現時間が短く、コマンドも212369と変に出し難い(フリスビードライブが暴発しやすい)ために実戦には組み込み難い。
キャラクターセレクト時の決定時&1本目勝利時のボイスがチャー研臭がする程にウザい。
各種技名ボイスも子供特有の棒読み感と言うべきか、あざとさ全開で聞く人によっては非常にムカついてくるであろうキャラ。KOボイスはナヨナヨした情けなさバリバリで不快指数MAX。
通常投げのホットストンピングの長い演出時間、子供のわがままに見える地団駄動作も拍車を掛ける。暗い世界観に似つかわしくないと判断されたためか、続編では削除された。
その割にステージBGMはこのキャラに似つかわしくない哀愁が漂うミスマッチぶりである。
ゴズウ
オッス!オラゴズウ!
コンパチ兄弟の1人。テロリスト集団『邪呀(ジャガ)』の構成員である、カギ爪と忍術を組み合わせた『邪呀殺法』を扱う忍者。ガスマスクに赤い装束、炎の忍術を操る方が兄のゴズウ。次男メズウと共に、獅子王に殺された(という設定。後述)末弟カズウの敵を取るために参戦。テロリストの割には、設定で『邪呀全員が家族』という詳細があったりする、見掛けとは裏腹な親族思いの出来た兄である。よく出来た兄貴~!
飛び道具を撃つ際に姿を消して無敵状態になる等、忍者らしいトリッキーな動きが特徴。
術が術(炎)だけに派手なエフェクトで全く忍ぶ気配は無いが、まぁ格闘ゲームの忍者なんて得てしてそういうものである。爪を使った武器攻撃のリーチは長いが、弟のメズウに比べると火力は抑え気味。武器投げの発生が非常に遅いため、ラインアタックを迎撃し難いのが痛い。
他の必殺技に関しても、どれもが隙が大きいため立ち回りは慎重に、確実に行う必要がある。
4発の飛び道具を緩やかな軌道で放物線上に撃ち出し、着弾後に火柱を発生させる「豪炎弾」は、着弾すれば強力だが発生が非常に遅く、ライン逃げで対策されやすい。
どちらかと言うと先読み対空向けだが、「豪天」の性能がより対空向けなのであまり出番が無い。
「無道牛炎波」は近距離でガードさせると2回分の判定が出現するが、技前後の硬直が長く、反撃を貰いやすいという欠点を持ち合わせる。飛び道具部分の判定は広いので、こちらも主に対空に使っていくのがメイン。
逆転技の「邪呀乱撃掌」はコマンドが1タメ6+A連打(ここ重要。テストに出るよ!)という絶妙な出し難さ。出る時は出るのだが、出ない時は必殺技の「陽炎拳」が確実に暴発する諸刃の剣。体力ゲージが点滅しないと発動出来ないにも関わらず、出そうとすると攻撃を貰う可能性が高くなる、極めて博打性が高い困った技である。
こちらも対空性能は最上級。ノックバックが発生しないので、見た目とは裏腹にカス辺りにならず前半部分が当たれば間合いに関係無く一定ダメージを奪える優秀な性能。
安定して出てくれさえすれば厨キャラ入りは間違いないだろう。家庭用ではオプションでスピードを120%に出来るのだが、その場合、逆転技は確実に出ないと思って構わない。
何か立ち回りは下位だが、対空はすこぶる強いという尖った性能。
続編スーパータッグバトルでは必殺技に飛び道具が多量に追加され、よりいっそう立ち回りで圧倒する遠距離キャラとなった。
メズウ
オッス!オラメズウ!
コンパチ兄弟の1人。テロリスト集団『邪呀(ジャガ)』の構成員である、カギ爪と忍術を組み合わせた『邪呀殺法』を扱う忍者。下方向に細長い仮面に青い装束、水と氷の忍術を操る方が弟のメズウ。長男ゴズウと共に、獅子王に殺された(同文)末弟カズウの敵をとるために参戦。情緒不安定で若干頭の弱い部分が目立つものの、その実は純粋で裏の無い性格と捉える事も出来る。EDでは兄のゴズウと共に、カズウを弔う。
本作でのイーグルとの掛け合い、続編スーパータッグバトルでのボーナスバトルにおける獅子王への専用勝利メッセージは彼の性格を良く現したものと言えるだろう。
必殺技のエフェクトから来る『冷酷』なイメージと残忍さは闘い方にも直接現れており、「轟天」の性能などを見てもわかる様に、直線的に相手を攻撃するスタイルが目立つ。
『闇討ちならもっと楽』とは本人談だが、そんな器用な手段を講じる事が出来るのだろうか…
「流氷弾」は兄の「豪炎弾」に、「邪呀乱撃脚」は「邪呀乱撃掌」に倣う形なので割愛。
「豪天」は一定時間地面に留まり、そのまま前方に移動する軌道となる。
「無道水流波」は攻撃判定を纏った水流を盾に、一定時間前後にレバー制御出来る移動攻撃。
防御性能が高く、飛び道具も相殺可能。攻撃に使えない事もないが、ガードされた際や飛び道具と相殺した際のフォロースルーの隙が若干大きいので、遠距離対空や突進技への迎撃など、前述の防御用に使用する頻度が高い。
続編スーパータッグバトルでは攻守のバランスが良く整った穴の無い必殺技構成となり、「氷衣」「流氷弾」の各種飛び道具の対空・防御性能が非常に高い事に加え、「轟天」「無道水流波」、更に逆転技の「邪呀乱撃脚」が安定して連続技に組み込める等、元々のリーチの長さとの相乗効果で全体的に高性能である。よく出来た弟~!
OPで初っ端からロサに斬り捨てられてる?うるせえピラニアぶつけんぞ
好物が「サルノコシカケ」とやたら渋かったり、対人戦限定での影・獅子王への勝利メッセージは『形あるものはいつか崩れるぜぇ てめえはたった今終わったのよ』と弱い頭のクセに人生を悟っていたりと、キャライメージがどことなくアヤフヤである。
これも情緒不安定さの現れだろうか。ポートレートでは何かヤバいクスリでもキメているかの様に危ない目付きで、ジョーカーのアヘ顔に負けず劣らずのインパクトを誇る。
獅子王
ボクシングと長剣ソード・オブ・レオを使う全く新しい格闘技の使い手。本名は「ジェイク・アボット」。
筋骨隆々の巨体に甲冑を身に纏い、余りにもミスマッチなボクシンググローブを身につけている。
ボクシンググローブじゃ剣握れないだろと思いきや、密かに内側がくり抜かれたオープンフィンガーグローブだったりする。
ボスキャラであるにも関わらずデフォルトで使用可能だが、実は影武者である。
プレイヤーが使用した際は自己の存在とプライドに賭けて反旗を翻す。
続編ではキャラ名が『影獅子王』となり、本物に戦いを挑んで敗北後ソード・オブ・レオを奪われたためレプリカを使用している。
設定だけ見れば野心家でカッコいいのだが、続編スーパータッグバトルのEDといい、不憫さが付き纏う損なお方。
特技は声帯模写とあるが、少なくとも真・獅子王とはまるっきり別のボイスである。本当に特技か?
巨体の持ち主で動きは遅めだが、通常技と必殺技が高性能。
空中の相手もロックして安定したダメージを与えられる「ビーストブロー」をメインに、中間距離からの奇襲戦法を駆使して戦うのが基本。ダイナマイ!
ゴズウとのCPU戦での掛け合いを見るに、カズウを殺した…と言うか倒したのはこちらの影武者の方である可能性が濃厚。その後、続編スーパータッグバトルでの展開は
といった様な予想が付くのだが、真相はゲーム内では語られていない。
家族を殺された兄弟の心境とすれば、「情報が確かなら、ニセモノでも本物でも葬れば同じ」という考えなのかもしれない。
後に『KOF2000』でキングのアナザーストライカーとして登場し、更には『ネオジオバトルコロシアム』にプレイヤーキャラとして参戦。
こちらでの性能は原作とまるで異なり、(サイレントストーム、ビーストブロー等は技のモーションからして別物)、動きが非常に遅いために使いこなすのは難しい。
何故か髪型もよくあるザンバラオールバックヘアーになり、威厳が減ってしまっている。
イラストでは原作に忠実な後ろ髪の長い変形モヒカンヘアーなのに…
また、勝利ポーズで「身の程を知れ!」という台詞があるが、王者の貫禄がまるでないハイトーンボイスでユーザーからは不評である。
好きなもののオートミールは同社のチームバトル格ゲーのグラサン軍人も挙げている。
薬物で肉体増強しまくりな真の方と違って、これだけの肉体を維持しながら実に質素で健康な事である。
CPU戦では統合性を図るため、10人目には影でも真でも無い「ニセモノの影・獅子王」という設定での同キャラ戦となる。獅子王大人気だな
EDでは真・獅子王を打ち倒し、影武者から真の獅子王へと成り代わる。
影に甘んじていた己の立場を実力で捻じ伏せる事で、念願を果たしたその結末は本人の展開としてはハッピーエンドなのであろうが、端から見れば変な人が更に変な方向に極まった風にしか見えず、色々とアレなEDであった。
真・獅子王
ボクシングと長剣ゴッド・オブ・レオを使う最強の格闘技『獅子王道』唯一の使い手。
本物だけあって影武者とは性能が違う。色が違う。そして何よりも声が違う。
アメリカ出身のナレーター、ジョン・フラトン氏(マリオカート64のアナウンス等)を起用しており、流暢で威厳たっぷりの英語ボイスを披露してくれる。
本名は「アックス・イーグル」でイーグルの兄。斧を使うのが「マックス」で剣を使うのが「アックス」。とてもややこしい。
「巨大な銅像から出てくる」という新鮮すぎて訳のわからない演出、異様に強いCPUなど、いろんな意味で印象に残るキャラ。HAHAHAHAHAHA!
ライン移動→投げのパターンが一番無難にダメージが通るので対策そのものは全キャラ共通。
前述の様に意味不明なインパクトはあるが、影武者と違って威風堂々とした理解を超えたカリスマが漂うすごい漢である。
他キャラのEDでは王者としての潔さや人格者ぶりも多く見せており、まさにボスの風格と貫禄を見せてくれる。
だからお前らスタッフロールでボコるのをやめてさしあげろ。
負けた相手に対して集団リンチとか割とガチでイジメだし
続編では影獅子王から取り上げたソード・オブ・レオをあてつけがましく使用しており、そのためか流派が『獅子王道』ではなくなっている。バチが当たったのか腹に剣を刺されているが、それでも生き延びている。
後に『ネオジオバトルコロシアム』にも隠しボスとして出演。4人のボスの中でかなり強い。
原作では隙だらけのキングアッパーは、こちらでは超高性能である。
好きな物は「プロテイン」とあるが、設定と相まってジャンキー臭がする。
その他
意外にもゲームバランスは比較的まともだと思われる。
システムバランスがまともなだけで、システムへの対策の噛み合わなさが度々発生して一方的になる事も多いのだが
というのも、上記に挙げた複雑な仕様や濃すぎるキャラによりコアなファンはゲットできたものの、同時期に稼働した『KOF95』、『リアルバウト餓狼伝説』といった人気作に客を取られてしまったため、攻略はさほどされなかった。
明確なダイヤグラムというものは見当たらないものの、システム面を除いた各キャラの性能差で判別すると
強(ラインにも対応出来る強力な飛び道具+αの壁):ジョーカー/ハヤテ/ニコラ
強-(ライン間ではムラがあるが、基本は強い飛び道具の壁):イーグル/キャロル/ゴードン
並(バランスの取れた技構成だが決め手が無い):チュン/獅子王
弱(各技の穴が多過ぎる上に飛び道具・逆転技も弱い):ゴズウ/メズウ
…といった判断で相性の傾きが決まる事だろう。哀れ忍者兄弟…
とは言え、ラインアタックを駆使してとにかく捕まらない様に立ち回り、逆にこちらは相手を固める事を意識すれば一方的にやられる展開にはなり難い。
良くも悪くもそういった点は練られたシステムバランスと言える。
欠点が目立つ忍者兄弟だが、攻め手の穴が大きいだけで防御性能や立ち回り自体は決して悪い性能というわけではない。むしろ「陽炎拳&脚」の固め能力は高い方である。
家庭用もSSやPSといった当時のメジャーなハードに移植されておらず、幻の作品になりかけていたが、下に挙げている『風雲スーパーコンボ』として続編の『風雲スーパータッグバトル』と共にPS2に移植され、さらにはWiiのバーチャルコンソールでも配信されている。近年ではアケアカNEOGEOのラインナップの一つにもなっている。
『KOFXIV』のプロデューサーである小田泰之(当時『餓狼』開発チーム)は当時のスタッフを「当時のSNKの要素を全部入れようとがんばっていた」「みんな気が狂っていた」と評している。
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