飛行艇とは、水上機の一種である。
概要
水上にて離着陸が可能な飛行機(水上機)のうち、胴体下部が船体となっているものを指す。
- 飛行艇は、機体底部が 船舶 のように舟型である。大抵は離着陸時の安定性のため、主翼にフロートを吊り下げている場合も多い。
- 機体そのものを水面・海面に浮かべ、離着陸を行う。
- 機体が着水しているため、水面や桟橋にそのまま近い高さで乗り降りできるメリットもある。
速度としてはヘリコプターより高速。ただしジェット機の速度には及ばない。
昔は水上でしか離着陸できないタイプがほとんどだったが、現在では陸上でも離着陸できる水陸両用タイプもあるし、陸上離着陸はできないがタイヤがついており、陸上で保管格納・整備する場合もある。[2]
その他の視点
広大な滑走路・空港施設は上空・長距離からでも丸見えで
滑走路に砲撃・爆撃等でボッコリ穴が開いたり、ガッタガタになれば離着陸不能になる
…といった欠点もあるため、広大な水面を利用できる利点はここにもある。
海(水面)は元々あるため、新規に滑走路を作るコストや手間も省ける。
ちなみに地球全体の71%は海洋であるため、裏を返せば地球全体の最大71%は滑走路になりうるし
諸事情を考慮し、沿岸部を除いても50%以上は滑走路となりうる。
水上飛行機(広義)との違い
※もちろん、どんな飛行機でもフロートを取り付ければ水上飛行機になるわけではない。
また、水上飛行機とは僅かに異なるが
ヘリコプター機体が飛行艇同様に舟型形状なものもあったり、脚部をフロートに換装できるものもある。
(滑走する訳ではないため、通常の陸上離着陸も可能である)
活躍
通常の飛行機に比べて海や湖での離着陸が可能であること、更に万が一、故障や燃料切れなどの緊急時にもとりあえず水上に降りることができること(紅の豚でも燃料切れ・故障で着水するシーンが出てくる)から第二次世界大戦までの航空業界で重宝された。
しかし、皮肉なことに荒天時などは水上に着陸できずにかえって事故が起きてしまうことや、飛行艇より場所を取らずに尚且つ安全に離着陸ができるヘリコプターが本格的に航空業界に導入されたことなどと相まって、現在では過去の隆盛は見る影もない。
現在
戦時中はその他水上機とともに使われていたが、現在はほぼ消えてしまった。
- 滑走路を使用する通常飛行機の性能が大きく向上した。
- ヘリコプターも本格的に運用され、どこでも離着陸できる利点へ進出してきた
- 海上から出撃したければ、艦船から離着陸・格納・整備可能な機体もある。(→艦載機)
- 荒天や波の状況によっては離着陸が不可能。
- フロート式の水上機であっても、飛行中は余計な重量(デッドウェイト)と空気抵抗になる。
「もう軍用では使われていないのか…」(´・ω・`)
…とガッカリした方は、次述をお読みいただきたい。
海上自衛隊
海上自衛隊においては救難捜索活動においてUS-1の改良版、US-2が使用されている。ヘリコプターより高速であり、長大な滑走路を持たない離島への救急搬送などに便利。脚部にタイヤもついており、海上からスロープで機体を揚げ、陸上格納も可能である。ちなみに、滑走距離が300m未満と非常に短い。(重量によって若干変動するが)→ US-2
登場作品
多く登場する作品としては、ジブリ映画「紅の豚」など。
(ちなみに紅の豚の舞台は第一次世界大戦後から第二次世界大戦前の数年間のイタリア)
その他、滑走路の場所・幅・長さに縛られない広大な海面を利用できることから
ありえない大きさの架空機体を登場させる事も可能といった利点もある。
また、フロート式の水上飛行機人比較し
機体を水面に密着させ、どっしりとした安定感・重量感・迫力を出すことも可能。
隠れ家のある島の洞窟の入り江にこっそり駐機する…
といった意味では、決してロマンは消えてはいない。
ジェット機・ヘリコプターの登場しない舞台設定では良い勝負となるかもしれない。
関連動画
関連項目
脚注
- *ただし大型の機体など、飛行艇の接岸によって衝突・座礁したり干潮によって取り残されてしまわないよう、桟橋につけたり小舟を出して島や施設へ向かう。
- *飛行艇の水上保管ではフジツボの付着や潮風といった問題があり、波の動揺で整備しづらい。
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