食蜂操祈(しょくほう みさき)とは、『とある魔術の禁書目録』及び『とある科学の超電磁砲』に登場する、超能力者(レベル5)である。
『とある科学の超電磁砲』では第41話「派閥②」、『とある魔術の禁書目録』では新約第6巻にて初登場。
概要
学園都市のお嬢様学校、常盤台中学での最大派閥の女王様。
学園都市に7人しかいない超能力者(レベル5)の序列第五位。年の割に巨乳で長い金髪の美少女である。
その片鱗は日常生活でも表れており、 食蜂がエクレアを食べていた際、帆風潤子に一日一個までと止められた不満と、十五分ほど席を外させる用が出来たついでに、潤子に能力を使用しエクレア二〇個の早食いを命じた。潤子は最近食事は節制していたはずなのに体重は増える一方であったという。とはいえ大きくなったのは胸だけのようだが。
何らかの強さや勢いを表現するときに「○○力」という言葉を多用する(例:愉快力、天才力)。
気ままな性格ではあるが、簡単に他人を信用する事は決して無い面もある。食材マニア。
食蜂の初登場(『超電磁砲』)の際には、御坂が転校生の婚后らと交友を結んだ折に警告と牽制を行い、その際、図書室にいた周囲の常盤台生数十人を無差別に洗脳及び、直前の記憶の消去をした。
超電磁砲8巻ではカイツ=ノックレーベンと行動を共にしており、学園都市暗部「メンバー」にオリジナルと間違えられた御坂妹を保護した。その際、目的を遂行するための駒としては、御坂妹を搬送した救急隊員や常盤台中学校の綿辺先生を洗脳・利用し、また、白井・初春・佐天らの記憶から御坂との思い出を一時忘却させた。
これらはもともと敵対相手が木原幻生ということもあって、むやみに御坂美琴に通じた友人への被害を避ける目的ではあったのだが「記憶を読めない相手は信じられない」とした美琴に対する不信からくるものでこの件に関して美琴とは衝突しており、『とある魔術の禁書目録』において、御坂は上条の失った記憶を戻す手段の一つに挙げていたものの「最悪、治療と称して精神にいらない細工をされるかも」と危惧し断念している。というか幻想殺しがあるから上条さんには能力が効いても右手で頭を触れば解除されちゃうんだけども。
とはいえ目的のためには美琴と協力関係になることもある。実際、この騒動の後木原を捕まえるために共闘、その後の天賦夢路編でも協力しあっている。あと変態趣味が講じて暴走した青髪ピアスを二人で粛清した。
また、奔放ではあるが面倒見はよく、アストラル・バディでは幽霊騒動から肩を痛めた派閥メンバーの潤子に対し、マッサージさせるという名目で猿捕獲作戦の人員から外した上で怪我の状態を確認していたり、潤子に憑依した幽霊に関する捜索でも陰ながら力を貸したりしている。とある事情から妹達(シスターズ)に関してはかなり気にかけており、美琴に対しては「取引」とは言いつつも彼女らへの協力を約束している。
運動能力に関しては幼少の頃から極端に低い。短距離のダッシュも美琴のランニング程度のスピードにもついていけないばかりか途中でスタミナを切れ起こすほど。本人もかなり気にしており、運動音痴を指摘されると普段とは打って変わってムキになる。
本編である『とある魔術の禁書目録』では新約第6巻で初登場し、同第7巻では上条と接触。常盤台中学に迷い込んだ彼をサポートし、美琴とも組んでいる。
能力
能力は「心理掌握(メンタルアウト)」で、学園都市最高の精神系能力。
脳内の血液・髄液などの水分をミクロレベルで操作し、記憶の読心・人格の洗脳・念話・想いの消去・意志の増幅・思考の再現・感情の移植など精神に関する事ならなんでもできる十徳ナイフのような能力。・・・が、新約7巻にて動物には効果がないことが判明。
使い方を誤れば人を簡単に廃人に出来る能力にもかかわらず、使い手である食蜂自身は倫理観や常識が薄く欠けていてイタズラ好きとも自分勝手とも取れるような性格である。また、能力を使用する際にリモコンを使用しているが、これは「能力の応用範囲があまりにも広すぎて『区切り』を用意しなければ安定して制御できない」ため。
欠点は制御の起点をリモコンに委ねているためリモコンがないと制御が困難になる点と、記憶の中の相手の操作は(当然ながら)できないため他人の記憶を通じた間接的な攻撃には脆い点が挙げられる。また、生体電流にも影響を受けるため美琴のように電磁バリアを張れる強力な電撃使い(エレクトロマスター)には能力が通用しない(ただし本人が意識して電磁バリアを解けば能力自体は通じる)。
また無闇に人の記憶を覗くことはせず、記憶を覗いた相手は全責任を持って面倒を見る、という自分ルールを課している。
『外装代脳(エクステリア)』
第二学区にある「才人工房(クローンドリー)」研究所内部に存在する設備。
食蜂の心理掌握を増幅・拡張するブースター…というのは表向きの話。実際能力を拡張し、数キロに渡って心理掌握を発動させたりもしたのだが、それはこの能力の一端でしかない。その本質は心理掌握を能力レベル問わず他人に付与することが可能な巨大なコンピュータである。都市伝説「超能力を生み出すDNAコンピュータ」とはこれのことである。
食蜂の大脳皮質から培養された2つの巨大な脳がその実態であり、才人工房の悲願でもあったが悪用される前に心理掌握で研究者全員を乗っ取っている。
絶対能力進化(レベル6シフト)計画の別プランとして木原幻生の襲撃を受け幻想御手を利用し乗っ取られるが、保護するデメリットが多くなったと判断した食蜂によって木原との心理戦の末破棄された。
御坂美琴との関係
同じ常盤台のレベル5としての関係上、多くの常盤台生が美琴にも(本人の意思と関係もなければ自身に派閥を作る気もない)好かれており、そのパワーバランスからよくちょっかいを掛けている。
上記の通りパワーバランスの関係だけでなく、心も読めない相手としての不審もあるが、一番大きいのは「自分が失い、手に入れられなかったものを彼女が持っている」という嫉妬心からくるものではないかと思われる。
美琴からも上条の記憶障害の治癒として対象候補には挙げたが、性格に関して信用しておらず変なイタズラをされるかもしれないと候補から外している(が後述のネタバレを考えるとできないし頼まれても絶対やらないと思われる)。
とはいえなんだかんだいがみ合いながらも「仲良く喧嘩している」状態とは見受けられる。
また、妹達(シスターズ)に関してはそのプロトタイプであるドリーとの思い出から非常に気にかけている。
帆風潤子との関係
帆風は自身が傘下に収めている派閥のNo.2で、その派閥メンバーの中では特に気にかけている相手でもある。また、派閥メンバーの中では自分の意見をしっかりと伝えられる(必要なら苦言も呈する)唯一の存在でもある。能力で無理やりエクレア大食いをやらせるのも、単なるイタズラというだけではなく、あまりにも細身な体を気にしたからというところが実は大きかったりする。やりすぎ。体重は増えているようだが、その栄養は胸に行っているらしい。
また、才人工房(クローンドリー)では部署は違うものの同じ研究所の出身で、過去に能力開発の影響で群発頭痛と能力の暴走に苦しんでいた帆風を能力で緩和させたことがある。この際、能力の詳細を正確に測るため帆風が受けている群発頭痛もモロにフィードバックした状態で対応していた。
「アストラル・バディ」では帆風を操作し、漫画力の高い似顔絵からちゃんとした似顔絵を用意して「幽霊」捜索を陰ながら手伝ったりしている他、食蜂誘拐事件の件では帆風より「女王を巻き込んだ」責任をとって派閥脱退を伝えるが、「貴女をそばに置いているのわぁ 優秀力とか 実力とか そんなのが決め手って誰が言った!?」と強く反発し、脱退の意思を突っぱねている。
普段は年上の相手ながら「帆風」と呼んでいるが肝心なところでは「潤子さん」と呼んでいたり、その内心は友情めいたものもかすかに覗かせる一面もある。
白井黒子との関係
白井黒子は異常なほどの美琴ラブを貫く存在であり、それが報われないことも内心理解しつつ行動している。
食蜂はそんな黒子の姿にシンパシーを感じているのかかなり好意的。できれば自分の派閥に入れたいとは思っているらしいが、黒子の性格上それは叶いそうにない…と思われたが、「取引」を条件に一時的にではあるが派閥メンバーとして加入させた。もちろん精神操作抜きで。
上条当麻との関係性
なお、食蜂と上条の関係性については新約以降の本編及び外伝の描写から活発に議論されるようになった。
『超電磁砲』ではお互い初対面かと思われたが、上条が名乗る前に食蜂が「・・・こんにちは上条さん」という台詞を発している。雑誌連載時は「こんにちわぁ上条さん」であったが、単行本で修正されていることから何らかの関係性を意図的(伏線)に匂わせている。なお、この時の彼女の表情は描かれていない。
更には木原幻生による『外装代脳』の簒奪、ミサカネットワークへのハッキングによる美琴の暴走というピンチに上条を見つけたときにはこの上ない満面の笑顔を見せている他、幻想殺しに関しても知っている様子だった。
『禁書目録』では別の女生徒を操り上条と接触、本人同士では顔を合わせていない。
上条に対し
『そんな台詞が言えるのも、まあ、あなたらしいわねえ』
『何度尋ねても何度すれ違っても、答えはいつも一緒』
と何度も会っているかのような発言。また、彼が事の説明をした際にも
『あなたがそうと言うならそうなんでしょうしい』
と答えるなど、あまり他人を信用しない性格の彼女が能力の通じない=心を読む事が出来ないにも関わらず、上条に対してかなり信頼感を抱いているような描写がなされている。
以上の事から『上条の記憶喪失以前』からの関係があるのでは、と言われていた。
学園都市には、何かしらの理由を持って能力開発が打ち止めとなった『デッドロック(行き止まり・行き詰まり)』と呼ばれる子どもたちが存在する。
所属する学校、学年、性別、出自などの一切に共通点が無く、ただ「能力開発が止められた」生徒たち。
真新しい夏服が目立つ食蜂操祈は、そんな彼らとその武装『簒奪の槍(クイーンダイバー)』に狙われた。
食蜂操祈のもつ能力は、説明不要の『心理掌握(メンタルアウト)』。
そして、能力者なら誰もが無意識のうちに放つという微弱な力である『AIM拡散力場』。
この2者を掛けあわせると「食蜂操祈の気付かない所で『心理掌握』が(デッドロックを含む)人の心や世界を都合よくねじ曲げ、同時に見知らぬ誰かを不幸にしているのでは無いか」という恐ろしい仮定に辿り着く。
食蜂操祈が狙われた理由は、「自分達の開発が止められたのは食蜂操祈の能力の影響では無いだろうか」という『デッドロック』側の疑いによるものだった。
この事に気が付いてしまった瞬間に食蜂は半狂乱に陥るが、食蜂を連れて共に逃げていた上条は「そんなもん、どうでも良いよ」と一蹴。上条・食蜂の2人と『デッドロック』の戦闘となる。
自慢の能力を持って応戦した食蜂であったが、それでも襲い来る全ての『デッドロック』を阻止することは敵わず、それらは全て上条自身の体で受け止められていた。
戦闘後、結果として上条は『簒奪の槍』の燃料タンクの破片が刺さり、ショック症状が発生。不気味なほどの痙攣に多大な出血と、文字通り命の危機に晒される。
この時、食蜂は覚悟を決めて『心理掌握』を使用して上条の痛覚を遮断。麻酔による血圧の低下を起こすこと無く治療を実現し、上条の命は救われた。
ところがこの時、上条の記憶の経路が破損。「食蜂操祈の顔や名前を記憶する枠」が破壊されてしまい、上条は(少なくとも現時点では)食蜂操祈という人物を記憶出来ない状態に陥る。
それを知った上でなお、食蜂は上条が自分の事を思い出してくれる奇跡を一途に待ち続けている。
以上が上条が食蜂のことを全く記憶していないにも関わらず、いかにも面識があるかのように食蜂が振舞っていたことに対する種明かしである。またこのときに貰ったホイッスルは宝物。
関連動画
関連静画
美琴から「あんたほんとに中学生?」と尋ねられている影響か、静画には「※中学生です」タグか「※自称中学生です」タグがつくことがある。
関連項目
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