首都高速道路(しゅとこうそくどうろ)は、東京都区部とその周辺を通る自動車専用道路である。首都高速(しゅとこうそく)、首都高(しゅとこう)と略して呼ばれることが多い。首都高速道路株式会社(旧首都高速道路公団)の運営・管理する自動車専用道路(都市高速道路)である。
概要
東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県に路線を展開する有料の自動車専用道路。
土地のない都心のため川や既存の道路の上などに道路が造られてきた歴史があり、道幅が狭い・カーブが多い・見通しが悪い・高低差が多い・分合流が多い、といった要素が多く、"高速道路"と名は付いているものの高速自動車国道のような立派な環境とは大きく異なる。その構造ゆえに年間12,000回もの事故が起こる。つまり45分に1度、首都高のどこかで誰かが事故を起こしている計算になる。
都内では慢性的な渋滞が頻発しており、一般道を走ったほうが早く着いてしまうケースも。
制限速度はおおむね60km/h(都心環状線など一部は40km/h~50km/h、湾岸線などは80km/h)だが、早朝や深夜など交通量が少ない時間帯は速度超過で走行している車が多い。警察なども制限速度を超過して走行している場合がある(ただし、速度を超過して走行した場合は当然違反となる)。逆に交通量の多い昼間などは渋滞などにより、制限速度以下の流れとなることが多い。
通行料金は5つの区分がある。
2012年1月から均一料金制から距離別料金制に移行した。
2016年4月から料金体系が大幅に変わり、現金車は一律1300円(普通車の場合)、ETC車は対距離制となった。
通行料金
ETC車の場合、走行距離に応じて下記の下限料金から上限料金までの金額で変動する。現金車は一律上限料金となる。
過去の料金制度について
首都高は営業開始以来、料金圏という概念が存在した。東京線(千葉区間含む)・神奈川線・埼玉線というくくりが存在しそれぞれに700円・600円・400円(1994年~2011年)の定額通行料であった。しかし2012年の料金制度の改正で、首都高速道路全線を通しての距離料金となった。
今回の料金制度改正では首都高会社側の総収益に変化が無いよう調整された。つまり、これまで料金圏をまたいでいた利用者は大幅な値下げとなり、それ以外の利用者が値下がり分を背負うがのごとく、値上げとなった。
そのため、たとえば東京に向かう神奈川県民・埼玉県民は、値下げとなっただろう。そして、東京線しか使わない東京都民・千葉県民は値上げになっただろう。ただ、千葉県民が旧神奈川線をぬけて、横浜や、保土ヶ谷・町田まで900円(以前は1300円)で行けることを考えると、一概に値上げになったとも言い切れないところがある。
なお、このどさくさの中で今まで存在した日曜祝日割引・深夜割引さえも廃止したことが要因で、皮肉にも首都高会社の収益は制度改正前の4%上向く結果となった。
普通車→オートバイ・小型特殊自動車・軽自動車・普通自動車・定員29人以下かつ総重量8トン未満のバス
大型車→定員30人以上or総重量8トン以上のバス・積載量5トン以上or総重量8トン以上のトラック・大型特殊自動車・3軸のトレーラー&トラクターヘッド
距離別料金制。ただしETC搭載車のみ適用し、現金払いの車は一律930円となっていた。
距離(km) | 料金(円) |
---|---|
6kmまで | 510 |
6km超え12kmまで | 610 |
12km超え18kmまで | 720 |
18km超え24kmまで | 820 |
24km超 | 930 |
かつてはいくつかの割引制度が設けられ、利用する経路によって100円程度の割引を受けられることが多かった。2016年4月の利用金体系の変更と同時に、各種割引制度は終了した。
ETC割引
- 会社間乗継割引(終了)
- NEXCO管轄の高速道路⇔首都高乗り継ぎで普通車100円・大型車200円(中央道&アクアライン⇔首都高の場合は普通車200円・大型車400円)割引。ただし、首都高の走行は6km以内でないといけない。外環道⇔首都高埼玉大宮線は対象外。 狩場JCTでは、横浜横須賀道路との乗り継ぎのみ適用。
- 放射道路端末区間割引(終了)
- かなりややこしいのでコチラ
を参照されたし。
- 埼玉線内々利用割引(終了)
- 埼玉新都心線さいたま見沼⇔5号池袋線戸田間のみの利用で普通車100円・大型車200円割引。
- 大型車環境ロードプライシング割引
- 大型車限定。神奈川1号横羽線大師⇔浅田間を通りさえしなければ割引。湾岸線や川崎線といった神奈川県エリアのみの利用なら950円均一。湾岸線空港中央・湾岸環八出入口を利用する場合は15%割引。それ以外の路線(東京・埼玉・千葉方面)は10%割引となる。
- 大口・多頻度割引
- ETCコーポレートカードのみの適用で、 カード一枚の1ヶ月間の利用額が5000円超1万円までの部分は10%、1万円超3万円までの部分は15%、3万円超の部分は20%割引となる。そして、カードが複数あり、一事業者の毎月の利用額が100万円を超え、車両1台の平均利用額が5000円を超える場合、請求総額が10%割引となる。
- 中央環状線迂回利用割引(終了)
- C2中央環状線の外側の路線を行き来する場合、中央環状線を通ると遠回りとなる乗り方をした場合、普通車100円・大型車200円割引。
- 羽田空港アクセス割引(終了)
- 出発地もしくは到着地が湾岸線空港中央出入口or湾岸環八出入口の場合、実際に走った距離よりも短い距離計算に書き換わる。東海JCT⇔空港中央間は4.3km→3.5kmに、大師JCT⇔湾岸環八は7.9km→1.5km(空港中央なら9.8km)に、川崎浮島JCT⇔空港中央は4.2km→2.3kmに計算が書き換わる。
- 障がい者割引
- 障がい者手帳を持っている人本人が運転する場合、障がい者本人以外の人が代わりに運転する場合は重度障がいのみの場合、料金が半額になる。ETCによるノンストップ通過の場合はあらかじめ首都高に書類提出をしなければならない。なお、この割引は現金払いでも適用される。
ニコニコ動画における首都高
ニコニコ動画には、首都高を走行するシーンを録った車載動画が多くうpされている。構造上、無茶な分合流や車線の増減が多いため、首都高を初めて走る場合は走行ルートをある程度事前に知っておいた方が安全である。車載動画や首都高バトル、湾岸ミッドナイトでコースの事前予習をするというのも良いだろう。
路線
首都高は以下の路線から成り立っている。日本語の路線呼称の他に英数字からなるルートマークも用意されており、案内看板などで用いられる。
東京線
- C1 - 都心環状線
- C2 - 中央環状線
- 1 - 1号上野線
- 1 - 1号羽田線
- 2 - 2号目黒線
- 3 - 3号渋谷線
- 4 - 4号新宿線
- 5 - 5号池袋線
- 6 - 6号向島線
- 6 - 6号三郷線
- 7 - 7号小松川線
- 8 - 路線番号として存在しない理由は「首都高速8号線」を参照。
- 9 - 9号深川線
- 10 - 10号晴海線
- 11 - 11号台場線
- S1 - 川口線…路線番号にSとついてはいるが、東京線の路線である。
- Y - 八重洲線
- B - 湾岸線
- B - 湾岸分岐線
- (KK線) - ⇒ 東京高速道路
神奈川線
- K1 - 神奈川1号横羽線
- K2 - 神奈川2号三ツ沢線
- K3 - 神奈川3号狩場線
- K4は、神奈川4号磯子線の路線番号とされるが、本牧JCTがフルJCT化した今となっては、開通する可能性は低い。
- K5 - 神奈川5号大黒線
- K6 - 神奈川6号川崎線
- K7 - 神奈川7号横浜北線
- K7 - 神奈川7号横浜北西線
- B - 湾岸線
埼玉線
歴史
まだ鉄道輸送が主だった第二次世界大戦前の1938年に、最初の東京都内高速道路計画案が作成された。当時の第一案から環状線と放射線による路線網が構想されていたという。その後もいくつかの構想が立てられていったが、1964年に東京オリンピックが開催されることが決定し、羽田空港や代々木等のオリンピック関連施設を結ぶ路線の建設が急務となったことから、急ピッチで首都高の建設が開始された。
土地も時間もなかったため、川や道路の上に強引に路線をしく「空中作戦」がとられ、極力用地買収を避ける方針で建設が進められた。C1の銀座エリアは元々築地川という川が流れていたが、この川を埋め立て、川に架かる橋などはそのまま残して道路を建設するという大胆な手法がとられた。このように現在では考えられないような方針で首都高が建設されたため、古い路線を中心にグネグネと曲がりくねった道路が多いのである。
現在は、横浜ベイブリッジ (B) やレインボーブリッジ (11) といったランドマーク的な橋や、飛鳥山トンネル (C2) や山手トンネル (C2) といった都心部の地下トンネルなど、時代に併せた建設がすすめられている。2015年(平成27年)の中央環状線全線開通に伴い、山手トンネルは総延長18キロにも及ぶ日本一長い道路トンネルとなった。
首都高のこれから
近年は、東京の現営業区間の改良の他、神奈川の新規路線建設に重点を置いている。
(東名高速~第三京浜を結ぶ横浜環状北西線、第三京浜~横羽線を結ぶ横浜北線)
首都高は最も古い箇所で建設から50年が経過しようとしており、老朽化の対策が早急に必要と言われている。今後の見通しとして、近く大改修が行われることは間違いない。現在有識者による検討会議が行われている最中で、メリットによっては経路の大幅変更や、地下トンネルに生まれ変わることもありうるとしている。もしそうなれば、東京の空から首都高が消える日も来るかもしれない。
関連動画
関連項目
- 日本国:高速道路一覧
- 日本高速道路保有・債務返済機構
- 大橋ジャンクション
- 大黒PA
- 首都高速8号線
- 首都高バトル - 首都高を舞台にしたレースゲーム。
- 湾岸ミッドナイト - 物語の舞台となる。
- 阪神高速 / 名古屋高速 / 福岡高速 / 広島高速 / 北九州高速
- 東名高速道路
- 中央自動車道
- 東北自動車道
- 常磐自動車道
- 上下分離方式
- 東京外環自動車道
- 京葉道路
- 東京高速道路
- 横浜横須賀道路
- 第三京浜道路
- 横浜新道
- 道路関連項目一覧
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外部リンク
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