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※曖昧さ回避 |
- 宿駅:古代律令制時代に街道に設けられた、宿泊施設・馬・舟などを供給するための場所。「うまや」とも。
- 鉄道駅:列車が停車し、旅客の乗降や貨物の積み降ろしを行う場所。単に「駅」と言う場合、現在はほとんどこの意味で用いられる。
- 道の駅:国土交通省により登録された、一般道路沿いの休憩施設。
- 海の駅:国土交通省により登録された、海沿いの休憩施設。
- 駅:竹内まりやが作詞・作曲した、中森明菜歌唱の曲。
- 駅 STATION:北海道を舞台にした、高倉健主演の映画。
由来
まずは「駅」という漢字の成り立ちについて解説しておこう。字の成り立ちには諸説あるが、ここでは会意兼形声文字とする説のひとつを紹介する。
駅は旧字では「驛」と書き、「馬」と「睪」とに分解が可能である。「睪」は音を表す部分であるが、この字はもともと「目+幸(刑具)」の会意文字であり、罪人を「次々と連ねて」面通しするという意味を持つ。これに「馬」を合わせることで「一定の距離を置いて次々と連ねて設けた、馬を乗り換えるための中継所」を表し、宿駅としての「駅」の意味に通じるようになったわけである。
宿駅としての駅は中国で生まれた概念である。中国で律令制が成立すると駅が街道の主要な場所に設置され、これらを中継して公文書や物品を送り届ける旨を定めた「駅伝制」が導入された。その後、日本でもこれに倣って駅伝制が導入されることになった。なお、現代日本においてリレー形式の長距離走を「駅伝競走」と呼ぶが、これは公文書や物品を次々と「リレーして」送り届ける駅伝制が由来とされる。
時代は下って明治時代、日本にも鉄道が導入されることになった。このとき、宿駅制度の「次々と中継する」というイメージから転じて、鉄道において列車が停車する場所を「駅」と呼ぶようになったと言われる。
鉄道駅
さて、以上のような経緯から旅客・貨物を扱うための列車の停車場のことを駅と呼ぶようになってからは、「駅」=「鉄道駅」と見なされることが一般的となった。ここからは鉄道駅について解説を行う。なお、以降は特に断りのない限り、単に「駅」と記した場合は鉄道駅のことを表すものとする。
駅は鉄道の運用を安全かつ効率的に行う上で非常に重要な要素である。
少し想像してみれば理解できると思うが、列車をどこかで停車させなければ、旅客の乗降や貨物の積み降ろしが大変な危険を伴うものになってしまう。かと言って常に旅客の乗降や貨物の積み降ろしが容易なスピードで運行していたのでは、交通手段としての速達性を損なってしまう。また列車を停車させるにしても、予めどこに停車させるかを定めておかないと、好き勝手に旅客の乗降や貨物の積み降ろしを行うたびに何度も停車をさせなければならず、これまた速達性を損なう原因となってしまう。旅客や貨物を扱うために停車する場所を予め定めておき、そこに駅を設置することで、こうした事態を防ぐことも可能になるわけである。
鉄道というものは設置・維持ともに相当なコストがかかるもので、駅自体の設置・維持費用のことも考えるとそれなりの利用が見込まれる場所に駅が設置されるのが望ましい。人が集中する都市部以外では、集落の近くだったりとか、観光名所の近くに駅が設置されることが多い。
しかし、社会情勢というものは刻一刻と変化していくもので、基幹産業の喪失などにより集落が別の場所に移転したり、観光名所がなくなったりすると駅の利用がほとんどなくなってしまうこともある。このような場合、信号場への格下げや廃駅という末路を辿ることも多いが、施設の撤去費用を捻出できずそのまま秘境駅化してしまうこともある。
いろいろな鉄道駅
- 旅客駅
旅客の乗降を目的とした駅。一般に駅というと、旅客駅をイメージする人が多いと思われる。 - 貨物駅
旅客駅に対して、貨物の積み降ろしを目的とした駅。 - 無人駅
駅員のいない駅。これに対して駅員がいる駅を有人駅という。自動改札機などが置かれて業務が機械化されていることもあるが、それすらもない場合は車内で運賃の支払いなどを行うことが多い。 - 秘境駅
利用者がほとんどおらず、到達することすら困難な旅客駅。具体的な基準は人それぞれだが、「周りに人家がない」「なんとなく雰囲気が秘境っぽい」「列車のダイヤが驚きの薄さ」「車や徒歩での到達が困難」などの条件を満たせば一般に秘境駅としてのレベルが高いとされる。 - 臨時駅
決められた期間の間だけ列車が発着し、それ以外の時期は閉鎖されてしまう駅。利用者の減少などによって発着期間が設定されなくなり、何年も列車が止まらなくなる事も有る。 - 仮乗降場
もともとは、国鉄時代に乗降客の少ない地域に設置された駅。手続きの簡略化や設備費用の低減を考慮して設けられたため、小さな仮設ホームしかなく、待合室さえ備えていないものも多かった。国鉄のJR移行と共に名目的には一般の駅に昇格した。 - スイッチバック駅
スイッチバック配線と組み合わせて設置された駅。列車の馬力が向上するに従ってスイッチバックそのものが不要となることも多く、年々減少している。
ほかにも、路面電車や軽便鉄道の「停留所」(停留場や電停とも呼ばれる)も一般生活上では『駅』と呼ばれる事がある。
また旅客扱いをしていた一部の信号場についても、一種の駅と見做す場合がある。
鉄道駅の設備
- 線路
鉄道には欠かせないもの。言うまでもないと思うが、線路にみだりに侵入することは危険を伴うばかりでなく営業妨害にも繋がるため、許可なく立ち入ってはならない。もし線路に物を落としたりした場合は、自力で取りに行かず駅員に言って取ってもらおう。[1] - プラットホーム(電停では「安全地帯」)
旅客駅において、列車への乗降を行うために設けられた台。単に「ホーム」と呼ぶことも多い。最近は転落防止のためホームドアを設置している駅も増えている。
路面電車の併用軌道上での電停では安全地帯と呼ばれる簡易ホームを設置している。キッチリと屋根を設けている場所もあるが、アスファルト上にペンキを塗っただけというやっつけ仕事すぎる場所もある。 - 駅舎
改札口や切符売り場、待合室などを兼ねた建物。小さな無人駅では待合室としての機能しかなかったり、駅舎そのものがないこともある。逆に大都市では駅舎に数多くの店舗やホテルなどを入れた結果、「駅ビル」と呼ばれるような大規模な建造物となることも。 - 券売機
切符を買うための機械。目的地の駅までの金額を投入して切符を発行する。交通系カードの普及で存在が若干薄れてきたかもしれないが未だ現役である。広義には交通系カードのポイントチャージも行う機会を含めても良いかもしれない。小さな子供には初見殺し。 - 改札
自動改札とも。無人駅/有人駅問わず省人化のため係員に代わって普及している。車内で改札を行う場合もある。対応した切符やチャージされたカードを使わなければ改札ラリアットを食らう。基本的にここ以外は不正乗車対策で通れない。 - 非常停止ボタン(緊急停止ボタン)
ホームへの転落などのトラブルの際に走行中の列車を止める。押すと大きな警報と共に特殊信号発光機等が激しく光る。もちろん悪戯やつまらない理由で押すと多額の損害賠償が請求される事になる。また多くの踏切にも設置されている。
道の駅
一般道路に設けられた休憩施設で、国土交通省による登録を受けている。
高速道路では道の駅とは呼ばずSA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)と呼ばれる。
鉄道駅と対比する形で命名されたが、「駅」という言葉の本来の意味である宿駅に近い施設となっている。
海の駅
その他
自動販売機
海外ではあまり見ない日本固有の現象として高い治安率等を背景として屋外や無人の位置への自動販売機(自動券売機も含む)の設置が見られる。
これは駅においても同様であり鉄道駅、道の駅、SA、PA問わず自動販売機が見受けられ日本国内の駅をより便利な施設にしている。
売店・飲食店
お菓子、ジュース、軽食、弁当、新聞、日用品、駅弁、お土産まで様々。
おばさん一人が商品に囲まれているものから小規模なコンビニのような店内に入れるものまで幅広い。ホームに併設されていない店舗のほうが多少広さに融通が利きやすいが、広すぎても置く商品がないため結局こじんまりと収まっているパターンも多い。キヨスク等が有名。
飲食店としては、立ち食いそば等の飲食店が併設されている場合もある。改札外の駅舎スペースにその他店舗が通常展開しているパターンも多いが、駅の売店というと改札内にあるイメージのほうが強いかもしれない。
国土交通省
現在では道路、鉄道、およびそれに付随する設備は国土交通省の所管となっているため、駅の監督官庁も国土交通省となっている。
日常的な風景
日常・フィクション共に、バス・バスターミナルと並んで
登下校/通学・通勤として、定番の思い出・シチュエーションである。
歴史ある駅舎、自然豊かな海や山奥では電車を待つ姿も写真・絵としても映えやすい。
漢字として
- 意味
- 公文書などの伝達のために用意していた替えウマ・乗り物、またそうしたウマを置く場所や宿舎、伝える。日本語では、鉄道駅の意味がある。
- 旧字体は驛。
- 〔説文解字・巻十〕には「置騎なり。馬に从ひ睪聲」とある。〔玉篇〕に「譯なり、道なり」とある。
- 字形
- 形声。声符は睪。驛は睪の意味を受けるとする説があるが、そもそも睪の成り立ち・もともとの意味がなんであるかに諸説あり、驛の解釈もさまざまである。たとえば睪は獣の屍骸の象形であり、驛は睪の長く続く意味を受けるとする説(白川静)、睪は罪人を目通ししてえらぶ字で驛は睪のかえる意味を受けるとする説(角川新字源)など。
- 音訓
- 音読みは、エキ(漢音)、ヤク(呉音)、訓読みは、うまや、つたえる。
- 規格・区分
- 常用漢字であり、小学校3年でならう教育漢字である。1946年に当用漢字に採用され、1981年に常用漢字になった。JIS X 0213第一水準。
- 語彙
- 駅駅・駅舎・駅站・駅長・駅亭・駅逓・駅伝・駅路
異体字
- 驛は旧字体である。常用漢字表に参考字体として載っている。JIS X 0213第二水準。
- 𩦯は、〔正字通〕に「驛、――本、𩦯と作(な)す」とある異体字。
- 簡体字は驿。
関連動画
関連静画
関連コミュニティ
関連項目
宿駅の関連項目 |
鉄道駅の関連項目 |
その他 |
脚注
子記事
兄弟記事
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