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髄膜炎とは、非常に危険な病気の一種である。
概要
脳や脊髄を包んでいる髄膜と呼ばれる部分に細菌などが感染し、炎症を起こす病気(ただし稀に感染ではなく、医薬品の副作用や自己免疫疾患などが原因の髄膜炎もある)。
高熱、激しい頭痛、首の痛み、首を曲げられない、明るい光や大きな音を嫌う、などの症状があらわれる。病原体によっては咳やくしゃみ、鼻水などの風邪のような症状を伴うこともある。
進行すると痙攣や意識障害などがあらわれ、死亡することもある怖い病気である。
細菌性髄膜炎(化膿性髄膜炎)
髄膜炎菌、インフルエンザ菌(Hib)、肺炎球菌などの細菌が感染して起こる髄膜炎。大腸菌やサルモネラ菌、リステリア菌、溶連菌などが原因となることもある。
ちなみに結核菌やマイコプラズマによる髄膜炎はこの髄膜炎には含まれないことが多い。
ウイルス性髄膜炎と比べて重症化しやすく、すぐに抗生物質で治療しなければ重篤になることもある。
髄膜炎菌性髄膜炎(流行性髄膜炎)
細菌性髄膜炎の中でも髄膜炎菌による髄膜炎は進行が非常に早く、致死率が非常に高いので特に警戒する必要がある。
副腎皮質不全や敗血症、播種性血管内凝固症候群(DIC)などの重大な合併症を起こすことも多い。ペスト(黒死病)のような全身からの出血(出血傾向)がみられることもある。
感染力が強く、咳やくしゃみによって容易に他人に伝染する(飛沫感染)。
日本では非常に稀な病気だが、世界では年間30万人が感染しており、毎年3万人もの人がこの病気で亡くなっている。特にアフリカへ旅行される方は予防接種(ワクチン)をすべきである。また、欧米先進国でもたまに流行することがある。
結核性髄膜炎
結核菌による髄膜炎のこと。主に肺結核の合併症として起こることが多い。
化膿性髄膜炎と比べて進行が緩やかであるものの致死率が非常に高く、重症化した場合は失明などの重大な後遺症が残ることもある。
ウイルス性髄膜炎
ムンプスウイルス、西ナイルウイルス、エンテロウイルス、コクサッキーウイルス、ヘルペスウイルスなどのウイルスが感染して起こる髄膜炎。
無菌性髄膜炎の多くはこのウイルス性髄膜炎である。(ただし厳密に言えば、マイコプラズマや真菌、寄生虫による髄膜炎も無菌性髄膜炎に含まれる)。
ウイルス性髄膜炎は抗生物質が効かないものの、基本的には細菌性髄膜炎や結核性髄膜炎に比べて予後は良好であり、対症療法で治癒することが多い(ただし、入院は必要である)。
予防方法
一部の病原体(髄膜炎菌、肺炎球菌、インフルエンザ菌、ムンプスウイルス)に対しては予防のためのワクチンがある。
関連項目
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