高井幸大(たかい こうた、2004年9月4日 - )とは、日本のプロサッカー選手である。
イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパー所属。サッカー日本代表。
ポジションはDF(CB)。192cm90kg。利き足は右足。
概要
神奈川県横浜市鶴見区出身。川崎フロンターレの下部組織出身であり、190センチを超える高さと体の幅が最大の武器の大型センターバック。恵まれた体格を活かした守備に加え、攻撃の意識も高く、最終ラインから長短のボールを配給しチーム全体のリズムを作る。フロンターレ育ちらしく足元の技術も高く、いずれは日本を代表するDFへ成長することが期待される逸材。
2022年に高校2年生で川崎フロンターレとプロ契約を結ぶと、着実に試合出場機会を増やしていき、最終ラインの要に成長した2024年にはJリーグベストヤングプレイヤー賞を受賞。2025年のAFCチャンピオンズリーグエリートではマッチアップしたクリスティアーノ・ロナウドを完封し、国際的な評価も大きく高めている。2025年7月にはイングランド・プレミアリーグの名門トッテナム・ホットスパーへ移籍。
2024年のパリオリンピックではチーム最年少の19歳ながらもU-23代表のディフェンスリーダーとして堂々としたプレーを披露。同年9月にはフル代表デビューも果たしている。
経歴
生い立ち
2004年9月4日、横浜市鶴見区で誕生。5歳のときに母親同士が仲がよかったことから、友人がいたリバーFCでサッカーを始める。親が川崎フロンターレのファンということもあり、幼稚園の頃から等々力陸上競技場によく試合観戦に行っていた。当時は鄭大世とジュニーニョが好きで、9番と10番の背番号が入ったユニフォームを持っていた。
リバーFCには幼稚園から小学4年まで所属。TAKAサッカースクールにも通っており、小学2年の暮れに横浜F・マリノスのスペシャルクラスのセレクションに合格。当時のポジションはFWだった。3年生からは平日に2日は横浜FMでのトレーニングも始まった。幼少期はピアノ、空手、水泳も習っていたが、その頃には、習い事はやめて、サッカーだけになっていた。
川崎フロンターレ
小学5年生のときに川崎と横浜FMのセレクションを受け、合格した川崎フロンターレU-12に入団する。入団して1週間ほどでFWからDF(CB)にコンバートされる。当時の玉城晴一コーチはアカデミーの出身者である板倉滉をモデルケースとして高井をDFとして指導している。5年生のときにはスペイン遠征に参加し、当時試合をしたレアル・ベティスの下部組織に在籍していた選手で、「こんなにもうまい選手がいるんだ」と感銘を受けたのが後にFCバルセロナで17歳にして主力となったガビだった。
中学生になるとU-15に昇格。2年生の夏頃から飛び級で1学年上の試合に出場するなど成長を重ねていく。2年生で出場した2018年の高円宮杯JFA第30回全日本U-15サッカー選手権大会では3位に入賞。この頃には初めて年代別の日本代表にも選ばれ、さらなる自信につなげる。
高校生になりU-18チームに上がった頃には身長は190cmを超えるまでに伸びていた。2021年には高円宮杯 JFA U-18サッカープリンスリーグ関東で優勝し、チームを初のプレミアリーグ昇格に導く。またこの年の8月には、2種登録選手としてトップチームに登録。
2022年2月、高校3年生ながら飛び級で川崎フロンターレとプロ契約を結ぶ。4月18日のAFCチャンピオンズリーグ第2節広州足球倶楽部戦で途中出場ながらプロ初出場を果たす。当時のトップチームは谷口彰悟、ジェジエウというJリーグトップクラスのCBコンビが君臨していたこともあって公式戦の出場は1試合のみとなったが、U-18チームに年代別代表と多忙な1年となった。
2023年はU-23代表での活動中にシーズンが開幕したためチームへの合流が遅れたが、帰国後の4月5日、ルヴァンカップの浦和レッズ戦でスタメンに抜擢される。4月15日のJ1リーグ第8節名古屋グランパス戦でスタメンに抜擢されJリーグデビューを飾る。この年のチームは谷口の移籍に加えて怪我人の続出という問題を抱えていたこともあって出場機会が増え、リーグ戦14試合、公式戦21試合に出場する。
2024年より背番号を2に変更。開幕からレギュラーの座を掴むものの、チームは失点の多さが目立ち、負けが先行するなど苦しいシーズンとなる。さらにU-23代表としての活動が本格化していたためチームから離脱することも増えていた。それでも、これまでよりも精神的にも肉体的にも大きく成長を遂げ、国内でもトップレベルのCBという評価を得るようになっていた。5月15日の第14節サガン鳥栖戦では敗れたものの、プロ初ゴールを記録。8月11日の第26節FC東京戦ではダメ押しとなるチームの3点目を決めている。この年の川崎は優勝争いの一角と予想されながら57失点を喫し、8位と低迷したが、個人としては評価され、この年のJリーグベストヤングプレイヤー賞に選出される飛躍の1年となった。
2025年は2月15日のJ1リーグ開幕戦 名古屋グランパス戦でセットプレーからヘディングでチームのシーズン最初のゴールを決める。4月からサウジアラビアで集中開催となったAFCチャンピオンズリーグエリートでは決勝までの3試合全てにフル出場。特に準決勝のアル・ナスル戦ではマッチアップしたクリスティアーノ・ロナウドを完封する見事な守備を見せたことで国際的にも高く評価される。6月30日、海外移籍に伴う準備と手続きのため、7月5日のJ1第23節・鹿島戦後にチームを離脱予定と発表される。
トッテナム
2025年7月8日、イングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーへの完全移籍が発表される。
日本代表
中学3年生だった2019年にU-15代表選出され、欧州遠征にも参加。
2022年からはU-20代表に選出され、主力に定着。2023年3月にはウズベキスタンで開催されたAFC U-20アジアカップに出場。初戦の中国戦はスタメンで起用されたが、その後は控えに回ることになる。準決勝のイラク戦でスタメンに復帰し、120分間フル出場するがPK戦の末に敗退。5月にアルゼンチンで開催されたFIFA U-20ワールドカップ2023のメンバーにも選出され、3試合全てにフル出場したが、不慣れな右サイドバックで起用されたこともあって持ち味を十分に出せずグループステージ敗退。不本意な大会となった。
2023年9月にはパリオリンピック出場を目指すU-23日本代表に選出。2024年4月にカタールで開催されたAFC U-23アジアカップ2023では、大会直前までポジションを掴めていなかったが、スタメン起用された初戦の中国戦で相棒の西尾隆矢が前半で退場になるアクシデントに見舞われながら冷静な対応でクリーンシートを果たす。この活躍でCBのファーストチョイスまで序列を上げると、温存された第2戦を除く全試合にフル出場し、日本の2度目の優勝とオリンピック出場権獲得に貢献。
2024年7月のパリオリンピックではチーム最年少での選出ながらもディフェンスリーダーとして活躍。グループリーグ初戦のパラグアイ戦、第2戦のマリ戦では2試合連続での完封勝利に貢献する。しかし、準々決勝では強豪スペインを相手に3失点を許し、敗退。世界の壁を痛感させられる。
オリンピック直後の2024年9月には2026 FIFAワールドカップ アジア最終予選のメンバーとしてフル代表に初選出される。9月5日、初戦のホームの中国戦で後半26分に板倉滉との交代で出場し、20歳と1日でのフル代表デビューを果たす。2025年3月28日の第8節ホームのサウジアラビア戦で初めてスタメンに起用され、無失点で試合を終えたことで評価が高まる。
個人成績
シーズン | 国 | クラブ | リーグ | 試合 | 得点 |
---|---|---|---|---|---|
2021 | ![]() |
川崎フロンターレ | J1リーグ | 0 | 0 |
2022 | ![]() |
川崎フロンターレ | J1リーグ | 0 | 0 |
2023 | ![]() |
川崎フロンターレ | J1リーグ | 14 | 0 |
2024 | ![]() |
川崎フロンターレ | J1リーグ | 24 | 2 |
2025 | ![]() |
川崎フロンターレ | J1リーグ | 22 | 2 |
個人タイトル
プレースタイル
192cmという身長を活かした空中戦での強さが武器の大型センターバック。対戦相手との競り合いでは、ほとんど負けることがなく、セットプレーやゴール前でのディフェンス時にその力を見せつけ、ジャンプ力とタイミングの良さが相まって、空中戦には大きな信頼を寄せられる。クロス対応などでは相手を掴まえきれていなくてもジャンプ力だけで競り勝てるほどの身体能力を持っている。はっきり言えば、空中戦や競り合いなどのフィジカルバトルでは国内なら無双できる。
地上戦での相手選手との駆け引きでは、無理にタックルに行かずに、タイミングを見計らってボールを奪うことができるクレバーさを持っている。これは川崎の下部組織でいかにストレスなくボールを奪えるかの指導によって培ったものでもあり、大型の選手が苦手としがちな小回りが利くドリブラー相手のマッチアップでも対応ができる。
足元の技術も高く、川崎育ちのCBらしく止める、蹴るの基本技術が高いためビルドアップでの貢献度も高い。サイドに振り分けてパスを付けることができ、正確なフィードで攻撃の起点となることも多い。
一方でまだ若いこともあって荒削りな部分も多く、オリンピックのスペイン戦などで露呈していたが、守備の準備動作が遅いためチームがボールを持てない局面になると対応が遅れがちになるのが弱点(規格外の身体能力でカバーできることもあるが)。また、持ち場から前に出て相手を潰す守備も得意ではない。ロングボールを放り込まれたときなどのヘディングで跳ね返す際の精度もまだまだ改善の余地がある。
関連項目
親記事
子記事
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兄弟記事
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