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高尿酸血症とは、血中の尿酸量が異常に高くなってしまった状態である。
概要
プリン体 | → | ヒポキサンチン | → | キサンチン | → | 尿酸 |
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人間の体内では核酸(DNA、RNA)から作られたプリン体(プリン骨格を持つ物質の総称)の代謝が行われており、尿酸はその最終産物である。
プリン体は魚卵やビールなどの食品に含まれているという印象が強いが、人間の体内でも盛んにプリン体が生合成され、尿酸に代謝されている。そのため、食事が高尿酸血症の引き金になることもあるが、体内の代謝がおかしくなるのが原因となることが多い。プリン体が多い食生活を送っていると肥満がちになり代謝に悪影響が出るので、間接的には引き金になっているという面もある。
血液を濾過する腎臓へダメージを与えてしまうため、慢性腎臓病や腎不全の危険因子となる。また、尿酸が末梢で結晶化することにより、痛風の引き金にもなる。
尿酸代謝異常の様子から、大きく「尿酸産生過剰型」「尿酸排泄低下型」に分けられる。
高尿酸血症の薬
尿酸生合成阻害薬
キサンチンオキシダーゼという酵素の働きを阻害して、体内での尿酸の産生を抑える。尿酸産生過剰型に対して用いられ、アロプリノール(商品名:ザイロリック)やフェブキソスタット(商品名:フェブリク)がこれにあたる。後述の尿酸排泄促進薬は腎障害の患者に禁忌だが、こちらにはそれが無いため、腎障害のある慢性痛風患者に用いられる。
尿酸排泄促進薬
尿酸が腎臓から尿へ排泄されるとき、その殆どは尿細管から再吸収されてしまう(そこから零れた僅かな尿酸が普段は排泄されている)のだが、その再吸収に関与するトランスポーターを阻害する薬である。腎障害の患者に対しては禁忌。尿酸排泄低下型に用いられ、プロベネシド(商品名:ベネシッド)やベンズブロマロン(商品名:ユリノーム)がこれにあたる。
副作用に尿路結石があるため、水分をよく取って尿量を多くしたり、尿を塩基性にするクエン酸カリウムなどの薬を併用してこれを防ぐ(尿酸は酸性なので酸性条件で分子型が多くなり結晶化しやすくなる)。また、ベンズブロマロンには劇症肝炎の副作用がある。
酵素製剤
遺伝子組換を用いて作られたラスブリカーゼ(商品名:ラスリテック)という尿酸分解酵素の薬。人間以外の動物には多く存在する尿酸分解酵素を補うという発想で作られたもの。尿酸を分解してアラントインという水溶性物資に変え、尿への排泄を促す。白血病などのがんに対する化学療法で起こる高尿酸血症に対して用いられている。
前述のフェブキソスタットも2016年に同様の追加適応を取得した。
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