高橋和希とは、日本の漫画家である。制作スタジオとして「スタジオ・ダイス」を持つ。
ニコニコ動画では『遊☆戯☆王』の原作者として知られる。ファンからの愛称は『和希』。
概要
東京都出身。代表作は『遊☆戯☆王』。
元アシスタントは伊藤彰、影山なおゆき、佐藤雅史、友永晃浩。4名はそれぞれ『遊戯王』の派生作品の漫画を手掛けたことがある。
『遊戯王』は元々、黄金の秘宝『千年パズル』の力によって闇の番人となった主人公が、次々と登場する悪党に闇のゲームを仕掛け、心理戦を繰り広げ、最後は罰ゲームで成敗してゆくという物語であったが、シャーディー編に突入してから人気は低迷の一途を辿り、打ち切りの話も囁かれるようになった。どうにかして漫画を続けたかった和希は、以前登場させた『マジック&ウィザーズ』が高い人気を得ていた事を思い出し、作中に再び『マジック&ウィザーズ』を登場させる事にした。この判断は担当編集者による声も大きかったようで、後押しされたところも大きいようである(DEATH-T編は元々大長編であったが、この為に短縮を決断したとも語っている)。
こうして作品の人気は復活し、『遊戯王』は『カードバトル漫画』へと路線転換。小中学生を中心に高い支持を集め、日本国内のみならず世界的なヒット作となった。海外においては『第二のポケモン』と評され、高い支持を集めるように。
そんな『遊戯王』も2004年に連載が終了。漫画家としては筆を休めつつも、『遊戯王R』や『GX』などの漫画監修を務め、『遊戯王OCG』ではデザイン提供を積極的に行うなど、依然として『遊戯王』とは関わりを持ち続けている。
2010年4月頃に制作スタジオ(スタジオ・ダイス)のホームページを開設。和希本人によるブログ、イラスト、ラフスケッチなどが公開され、国内海外からも注目される事となった。本人によれば『未熟で上手くなりたいけれど、やはり見てもらえる環境を作らなければサボってばかりだと思った為』『ファンの皆さんから画集要望の声があった為(後述)』であると開設の理由を語っている。また、イラストの描き方なども公開されており、ファン必見の内容となっている。(なお、現在は休止中)
2016年6月13日、劇場版『遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS』公開の御礼として悪戦苦闘しながらInstagramを始めていたことが判明。iPadを用いて描いた、新たなイラストを公開している。
2022年7月6日、沖縄県名護市の沖合でシュノーケルを付けている状態で浮いているのが発見され、死亡が確認された。60歳没。
2日前の7月4日に恩納村の海で人命救助中に波にのまれて行方不明になっており、その際に溺死したと推定されている。
経歴
子供の頃から絵を描くのが好きで、中学1年の頃に担任の教師から『高橋!お前は喰って、ウンコして、寝るだけのウンコ製造器じゃあ!』とからかわれた事から、漫画家となる決意を固める。この頃はテニスのクラブ活動に没頭し、漫画は趣味としてやっていたという。
高校生の時に手塚プロダクションのアニメ背景スタッフの採用試験を受けに行っており、将来はアニメの仕事がしたかったとも語っている(絵が下手すぎて結果は不合格だったという)。和希にとっては一つのチャレンジだったようで、いい思い出だったようだ。
19歳の時に製作した漫画が某少年誌にて入選し、一応のデビューを果すも、他の漫画家のアシスタントをし、出版社を渡り歩き漫画を見せるなどして、10年もの歳月が経過。そんな頃に『週刊少年ジャンプ』のある編集者から良い評価を受け、漫画を描く機会を与えられたと語る。その結果、『遊戯王』の誕生に繋がり、30歳を過ぎてようやく漫画家としての大成功を収めるに至った。このように漫画家としては大変な苦労を重ねている努力家である。
とにかく貧乏で漫画で一発当てたいという気持ちがあったようで、『闘輝王の鷹』執筆時には将来の目標は「リッチマン」であるとコメントしていた。
漫画家として成功する以前はゲーム会社で働いていたという経歴を持つ(スロット・マシーンのパネルのデザイナーをしていたという。漫画家への夢を捨てきれなかった為、再度挑戦し、今日に至ると語っている)。
漫画家ではなく別の仕事に就いていたとしたら、『ゲーム・デザイナーになっていただろう』と述べている。
作風
漫画家としてのタッチの幅は広く、『遊戯王』ではアメコミのような筋肉質なモンスターから可愛らしい美少女、果てはディズニーのようなカートゥーン調のものなど、様々なものを描き上げている。インタビューでは『今の絵のスタイルに落ち着くまで、コミカルな絵、リアルな絵、アニメ絵と様々な絵柄を転々とし、その全てに影響を受けている。』『最終的に全てのスタイルを集大成して、遊戯王が生まれたと思っている。』と語っており、そのタッチの幅の広さは和希の努力の賜物であるといえよう。
同じく漫画家の荒木飛呂彦を敬愛しており、『ジョジョの奇妙な冒険』を愛読書に挙げている。『遊戯王』の初期のタッチには荒木飛呂彦の影響が垣間見える。
人物
かなりのゲーム好き。RPGとテーブルゲーム全般を愛好している。
実は遊戯王のカードで遊んだ事は一度もないらしい。その理由を氏は「漫画はキャラクターが一番で、カードはあくまで小道具。カードに作品を操られないようにするために、あえてカードで遊ばないように心掛けていた(要約)」と、津田健次郎との対談で語っている。とはいえ、99年発売のザ・ヴァリュアブル・ブック1では「デュエルは何回もした事はある」とコメントしている為、実際のところは不明。
オンラインゲームにも関心はあるが、『ゲームというものは人間と人間が向かい合ってするもの』『相手の表情を見て、心理的に作戦を練るのが面白いんです』と述べた上で、『オンラインゲームはバーチャル世界がモニターに映し出されただけのものであり、主人公が見る実際の世界ではないですからね』と語っており、作品に登場させる事はないという。実際、『遊戯王』本編にはオンラインゲームが登場した事はなく、後述の読み切り漫画『TRANSCEND GAME 遊戯王』にVRゲームが登場した程度である。
当の和希氏自体は少なくとも2016年7月配信の「Pokémon GO」をプレイしているようである。
なお、当の和希本人は、元アシスタントの伊藤彰曰く「パソコン音痴」。伊藤は和希氏がInstagramを始めたことにたいそう驚き、「こんなに成長されて・・・」と呟いている。しかしコメントの読み方すら分からず、コメントをつけるイラストすら間違えていたという。ちなみにフォロワー一番乗りは影山なおゆき。
『遊戯王』では『父親』や『親殺し』を裏テーマとし、『父親』をシビアな存在として描いているが、和希と父親との関係は至って良好である。単行本12巻の作者コメントによると、正月で久々に実家に帰った時に、家族の皆に『遊戯王』のカードダスを見せようとしたら、親父が既に持っていたという。語るところによると親父は隣町までバスに乗って買いにいったらしく、ぼつぼつとその事を語っていたらしい。なんともお茶目な親父さんである。
大のアメコミ好きであり、『遊戯王』の作風にも反映されている。好きな作家はサイモン・ビズリー、好きな映画として『スパイダーマン』を挙げている。曰く、『正義を求めつつ、自分の人間性を失わない事は、現代のヒーローの条件なのではないか』との事。
海外の動物愛護団体『TeachKind』を訪問し、動物虐待などに関してインタビューに応じた事もある。動物好きのようで、インタビューによると好きな動物は『馬』であるとの事。
ペットとして柴犬のタロを飼っている。また、タロをモデルにした『柴戦士タロ』というカードが『遊戯王OCG』に存在する。自分の飼っているペットをOCG化する等、和希の愛情が垣間見える。
主な漫画作品
- 剛Q超児イッキマン
- 1986年、『週刊少年マガジン』連載のSFスポーツ漫画。原作はたなみやすお、当時のペンネームは高橋かずお。講談社コミックスで全2巻。絶版。野球に似たスポーツ『バトルボール』を通じて、主人公・沢村一気(イッキマン)とその仲間たち(ブループラネッツ)が、地球占領を目的にやってきた異星人の球団『サタノブラッキーズ』と戦うという物語。画風は現在とは大分異なるが、氏のテーマである『戦い』や『友情』が色濃く描かれており、熱い。
- 闘輝王の鷹
- 1990年、『週刊少年ジャンプ』読み切りのアクション漫画。この頃のペンネームは高橋一雅。『天燃色男児BURAY』の2巻目巻末に収録。高度な文明が発達したが、その代償として発生した環境汚染によって荒廃した世界が舞台。主人公・闘輝王は、地上の支配者『バルダ王国』に献上されそうになった村の娘『ミライ』と出会う。バルダ王国の虐制に苦しむ彼女と村の人々を救うため、闘輝王が権力者バルダと戦うという物語。『ジョジョの奇妙な冒険』や『北斗の拳』の影響を感じさせる作品だが、氏の一貫したテーマである「戦い」が気持ちよく描かれた作品。
- 天燃色男児BURAY
- 1991年、『週刊少年ジャンプ』連載のプロレス漫画。集英社コミックスで全2巻。絶版。自分が育った孤児園とそこを切り盛りする想い人(ルリ子先生)の為に、主人公・ブライは強靭な肉体を武器に当たり屋稼業に勤しんでいた。ある日、ブライは当たり屋稼業の最中に、車との接触事故から偶然一人の少女を助ける。名は『等久力ひかる』。ブライはプロレスラーを父に持つ彼女との出会いを経てプロレスラーを目指す事となり、プロレス界の強豪を相手に戦いを繰り広げる、という物語。画風は初期の『遊戯王』に近い。
- 遊☆戯☆王
- 1996年、『週刊少年ジャンプ』連載の作品。言わずと知れた氏の代表作。現在のペンネームはこの頃に定着した。
- 連載終了後も人気は高く、2016年には本編後の特別読み切り『TRANSCEND GAME 遊戯王』を手がけた。
- 詳細は該当記事を参照。
画集要望の声
『遊戯王』の大ヒットによって高い知名度と人気を得、今やベテラン漫画家としてその名が知られる和希であるが、不思議な事に今まで画集が発売された事はない。
その為、画集出版を熱望するファンは非常に多く、その域は検索をかければガンガンヒットするのは勿論のこと、出版嘆願同盟なるものまでヒットするほど。公式ホームページ開設後もメールを通じて要望の声を送るファンは少なくない。
これに対し和希は2011年6月25日のブログにて、『画集要望の声があった時は、作品数が少なかった事もあり、昔のカラーページをデジタル処理で描き直そうと試みたが、作業は困難を極め断念した』と画集を出せない理由を発表。その代わりとして、ホームページでギャラリー制作に励み、ファンの皆さんに楽しんでもらう、と述べた。
『今でも画集要望のメールを沢山貰っており、その事をうれしく思っている』と語る和希は、今後はその声に応じてイラストを沢山描き、ホームページに載せていくようである。
残念ながら、この事からおそらく、今後画集が出版される事はないと思われる。
ただ、ホームページに展示されているイラスト、今後展示されるイラストを含め、何年後でもいいから画集としてまとめ、出版してほしいというのがファンの心情であろう。
…だが2011年11月某日、集英社サイトの新刊案内にて突如、画集の発売情報が掲載され、2011年12月16日にめでたく発売された。多くのファンが『夢のまた夢』と諦めていたことが現実になろうとは…!ありがとう和希…!ありがとう集英社…!これは和希からのクリスマスプレゼントとして、ファンならぜひとも購入するべし。
遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS
そして映画遊戯王最新作「遊☆戯☆王 THE DARK SIDE OF DIMENSIONS」が発表される。
和希は製作総指揮であり、脚本とキャラクターデザインも担当する。後に絵コンテと原画スタッフも兼任していたことが判明。
本作はアニメではなく漫画遊戯王の続編であり、原作終了後の話が初めて作品となる。
本作公開に伴い、原作ラストと映画の間の物語である前後編の読み切り漫画『TRANSCEND GAME 遊☆戯☆王』を手掛け、週刊少年ジャンプ本誌に再び姿を見せた。
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