高機動型ザクⅡR-2型(MS-06R-2 高機動型ザクⅡ後期型)とは、メカニックデザイン企画『MSV』に登場するモビルスーツである。
高機動型ザクⅡR-2P型
連邦に後れを取った「ビーム・ライフル」の採用を急いだジオンだが、ジェネレーター自体の高性能化に伴い、既に水陸両用機以外のMSにもビーム兵器を採用する目処はついていた。
そこでジオニック社は既存のMSを開発ベースに据え、MS-11(※当時のゲルググ)の途上段階の改良型ジェネレーターを搭載した機体でビーム兵器のテストを行った。
ビーム兵器採用型のテストベッドはジオニック社の高機動型ザクⅡR-1A型をベースにした、後にR-2Pの型式番号が与えられるザクⅡであった。
本機は第二次主力MS開発計画においてMS-09R「リック・ドム」とコンペティションに参加している。ただしビーム兵器はキャパシティから冷却が難航しており、機動性を維持しつつビームを照射するのも困難を極めた。よって1号機が開発された時点でビーム兵器採用の計画を断念している。
本機は最初に作られたR-2系の1号機でもあり、後に下記の仕様になった。
高機動型ザクⅡR-2型
ZAKUⅡ HIGH MANEUVER MODEL 高機動型ザク後期生産型 |
|
---|---|
型番 | MS-06R-2 |
頭頂高 | 17.5m |
重量 | 49.5t / 75.0t(全備) |
出力 | 1,340kw |
推力 | 60,000kg |
搭乗者 | ジョニー・ライデン ロバート・ギリアム ギャビー・ハザード |
兵装 | 280mmザク・バズーカ |
360mmジャイアント・バズ | |
120mmザク・マシンガン | |
ヒート・ホーク |
ザクⅡR-2P型の改良機。
R-1Pから直接改修された1号機以外(2号機以降)は最初から形状が違っていたとされている。
また冷却システムの改善が難航し、一旦ビーム兵装の採用を諦めてR-1A型の単純な高性能化を目指していた。
R-1A型から装甲材をより高質の物に変更し、脚部装甲の増設で対弾性も大幅に向上。ランドセルと脚部カートリッジの大型化で搭載燃料も18%増し、メインスラスターとサブスラスターの性能も強化されている。
コックピットの開閉方式も右胸部が展開するダイレクトインタイプに変更された。
当初、1号機の試作以降はR-1A型のジェネレーターが使用されたが性能の維持に至らずにR-2P型のもの(MS-11当時のゲルググ用試作ジェネレーター)に戻された。
あらゆる面で進化した本機は、ザクという機種を次のステップへ引き上げたと言っても過言ではない。実際、従来のザクと比較して高いポテンシャルを秘めており、「ザクの皮をかぶったゲルググ」と後世で称されるほど高く評価されている。
しかしコスト面の問題に直面、さらに競合機種のリック・ドムと比較して兵器搭載量が劣っていた事から、製造された4機を残して量産案は却下されている。
圧倒的な機動力と戦闘パターンはエースパイロット達からの受けが良く、研究ベースに残された1機を残して全てエースパイロットに廻している。これはパイロットからの上申という形だったようだ。
本機の高評価は後世に限った話ではない。R-2型をまともに扱える一部のトップエースは、リックドムよりも運動性に優れるこちらを選択したわけである。
武装
- H&L-SB25K/280mmA-P「ザク・バズーカ」
:ハニーウォール&ライセオン社製の無反動ロケットランチャー。 - H&L-GB05R/360mm「ジャイアント・バズ」
:ハニーウォール&ライセオン社製のロケットランチャー。 - ザクマシンガン
- ヒートホーク
ジョニー・ライデン専用機
とりわけ有名なのが“真紅の稲妻”の異名をとるジョニー・ライデン少佐の専用機だろう。ガンダムを知らなくてもジョニーと彼の赤い高機動型ザクⅡR-2型なら知ってると言われんばかりの絶大な知名度を誇り、現代でもゲーム等の他方メディアに頻繁に出演している。
MSV関連は世代によって知名度に差があるが、ジョニーと赤いザクは現代でもMSVの代表として扱われる。
ジョニーが少佐に昇進した後の搭乗機であり、全体色は彼のパーソナルカラーの赤に塗装されている。ちなみにジョニーが搭乗機を赤く染め始めたのはF型からの慣習である。
S型、R-2型乗換後の目覚ましい活躍から敵には“赤い彗星”と誤認されることもあったようだ(彼の名誉のために触れておくと、ジオンの兵からはエースとして認知されていた)。
キマイラ隊に召集以降、ジョニーは高機動型ゲルググに乗り換えたが、R-2型の行方は明らかになっていない。
クロスボーンガンダムで知られる長谷川裕一氏の漫画『MSV戦記 ジョニー・ライデン』の独自設定だと、召集中にR-2型をフルバレットザクに改修した事になっている(ただこの漫画はオフィシャルではない)。
その他の専用機
以下の2機は受領後ア・バオア・クーに向かったと言われる。『ギレンの野望 ジオン独立戦争記』で使用可能。
- 「ロバート・ギリアム専用機」
- MSVに登場。ジオン軍撃墜数8位のロバート・ギリアム大佐専用機。
- キマイラ隊の若きエース、ユーマ・ライトニングの専用機がギリアム大佐の機体と誤認されていたようだ。
- 「ギャビー・ハザード専用機」
- MSVに登場。撃墜数6位のギャビー・ハザード中佐専用機。
ゲルググ先行試作型
研究用に残されたR-2型の一機はゲルググの開発母体として改修された。型番はMS-06R-3S、すなわち高機動型ザクⅡの到達点R-3型である。RD-4型という4の名を冠するR型もあるのだが、あちらはリック・ドムの複合試験型であり母体にはF型が使われている、という説がある。
→詳細は「ゲルググ先行試作型」を参照。
この機体にはザクⅢという名称も与えられていた(ネオ・ジオンのザクⅢとは別)。
フルバレットザク
漫画『MSV戦記 ジョニー・ライデン』に登場するR-2の実弾装備案。
→詳細は「フルバレットザク」を参照。
ビーム兵器の採用が期待されたR-2としては苦肉の策なのだが、これも果たして量産に適しているかどうか。
ドズル専用ザク後期型
雑誌企画『F.M.S.』に登場。
R-2S型とされる、R-2型を元にソロモン工廠で開発されていたドズル・ザビ専用機。機体の形状はザクII改に似ており、この機体も統合整備計画の範囲に含まれるのかもしれない。ソロモン戦前に機体は完成したものの、ドズルがビグ・ザムに搭乗したため実戦には投入されずに終わった。
腹部の2連メガ粒子砲という形でビーム兵器の搭載を実現しているが、やはり無理があったらしく、使用するには「機動バックパック」の役を担うエネルギー・バックアップ用随伴機からエネルギーの供給を受ける必要がある。その他にも専用マシンガンなどの各種兵装を有する。
なお、エネルギー・バックアップ用随伴機も新規に開発された機体で、全体的なフォルムはこちらもザクII改に近く、脚部は丸ごとスラスターユニットになっている。
関連動画
関連静画
関連項目
- MSV
- ジョニー・ライデン
- 高機動型ザクⅡR-1型
- 高機動型ザクⅡR-2型
- 高機動型ザクⅡR-3S型
- 宇宙用高機動試験型ザクⅡ
- 陸戦高機動型ザクⅡ
- サイコ・ザク
- フルバレットザク
- ガンダムシリーズのMS・MAの一覧
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